、めまい、嘔気、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等)があらわれることがある。
なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること。また、長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を経口摂取し、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を経口摂取すること。
経口摂取が不可能な場合はブドウ糖を静脈内に投与するか、グルカゴンを筋肉内又は静脈内投与すること。
低血糖は臨床的にいったん回復したと思われる場合にも後で再発することがあるので、経過観察を継続して行うことが必要である。本剤の作用は持続的であるため、他の基礎インスリンの補充に用いる製剤と同様に、低血糖症状の回復が遅延するおそれがある。
2. アナフィラキシーショック(頻度不明)
アナフィラキシーショック(呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身の発疹、血管神経性浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症
頻度不明
アレルギー、蕁麻疹、そう痒感
2. *肝臓
頻度不明
肝機能異常注1)(AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等)
3. *神経系
0.4~5%未満
頭痛、めまい
4. *眼
0.4~5%未満
糖尿病網膜症の顕在化又は増悪
5. *注射部位
0.4~5%未満
注射部位反応注2)(疼痛、血腫、結節、熱感等)、リポディストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等)
6. *,**その他
0.4~5%未満
血中ケトン体増加、体重増加
その他の副作用の注意
*注1)自発報告を含む副作用のため頻度不明
*注2)注射部位反応の症状の多くは軽度であり、治療の継続中に軽快又は消失している。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、低血糖が起こりやすいので、用量に留意し、定期的に検査を行うなど慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。
妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期、授乳期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する。
小児等への投与
*寛解期(ハネムーン期)の患者では減量を考慮すること。成長及び活動性に応じてインスリンの需要量が変化するので、投与量は患者の状態に応じて適宜増減すること。思春期の患者ではインスリン抵抗性が上昇するため、投与量が多くなることがある。
過量投与
1.
徴候・症状
低血糖が起こることがある(「重要な基本的注意」の項4及び「副作用」の項参照)。
2.
処置
低血糖の起こる時間はインスリンの種類、量等により異なるため、低血糖が発現しやすい時間帯に特に経過を観察し、適切な処置を行うこと(「副作用」の項参照)。
適用上の注意
1. 投与時
本剤は他の薬剤との混合により、成分が分解するおそれがあるため、本剤と他の薬剤を混合しないこと。
2. 保存時
使用中は冷蔵庫に入れず、室温に保管し、8週間以内に使用すること。残った場合は廃棄すること。
3. 投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
4. 投与部位
皮下注射は、大腿、上腕、腹部に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射場所を毎回変えること。前回の注射場所より2~3cm離して注射すること。
5. その他
(1)
本剤は専用のインスリンペン型注入器、また、JIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
[本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。]
(2)
本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
(3)
インスリンカートリッジにインスリン製剤を補充してはならない。
(4)
注射後、注射針は廃棄すること。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。
(5)
液に濁りが生じたり、変色している場合は、使用しないこと。
(6)
インスリンカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
(7)
1本のインスリンカートリッジを複数の患者に使用しないこと。
その他の注意
1.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある1)。
2.
ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されている。併用する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
薬物動態
1. 1型糖尿病患者における薬物動態及び薬力学的プロファイル
(1) 日本人1型糖尿病患者2)
1型糖尿病患者22例に本剤0.4単位/kgを6日間1日1回皮下投与した。本剤は定常状態において平坦で安定したプロファイルを示し、本剤の半減期は18時間であった(作用持続化の機序は【薬効薬理】の項参照)。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の曝露量は、投与開始後~12時間と投与後12時間以降で同様であった(AUC0-12h,SSとAUCτ,SSの比は0.53)。血中濃度は投与後2~3日で定常状態に達した。
また、定常状態(1日1回6日間投与後)における本剤の24時間平均グルコース注入速度(グルコースクランプにおけるGIR)推移プロファイルから、本剤の血糖降下作用は一定であり、平坦で安定していることが示された。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の血糖降下作用についても、投与開始後~12時間及び投与後12時間以降で同様であった(AUCGIR,0-12h,SSとAUCGIR,τ,SSの比は0.48)。
本剤の作用持続時間は長く、検討したすべての患者において26時間を超えていた
(2) 1型糖尿病患者における