/m2を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したとき、投与5日目の血漿中未変化体濃度のtmaxは1.3~1.9時間、t1/2λzは1.4~1.8時間であり、Cmax及びAUCはいずれも投与量に比例して上昇した。200mg/m2投与群のAUCについて同用量投与時の成人と比較すると、小児で成人の約1.4倍高値を示した。
(7) クリアランスに及ぼす生体側の影響因子12)
各種進行性癌患者(外国人)を対象とした第I相及び第II相試験で得られた総計359名の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスは、体のサイズ(体表面積、体重)及び性別(女性は男性より5%程度クリアランスが低下した)による影響を受けるが、年齢(19~78歳)、喫煙、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、Al-P、AST(GOT)、ALT(GPT)及びクレアチニンクリアランスによる影響を受けなかった。
2. 分布
(1) 血漿蛋白結合13)
ヒトに14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、放射能の血漿蛋白結合率(in vivo)は12%~16%であった。
(2) 脳脊髄液中への移行14、15)
神経膠腫患者(外国人)に本剤の75mg/m2を放射線治療との併用により1日1回42~49日間反復経口投与したとき(23名)及び200mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき(32名)、脳脊髄液中への未変化体の移行が認められ、脳脊髄液/血漿のAUC比はそれぞれ20.6%及び20.3%であった。また、脳転移を有する悪性黒色腫患者(1名、外国人)に本剤の150mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき、脳脊髄液中未変化体濃度は血漿中濃度とほぼ平行して推移し、脳脊髄液/血漿のAUC比は約30%であった。
3. 代謝13、16)
テモゾロミドの主要な生体内変換は、テトラジン環の4位のカルボニル基におけるpH依存的な加水分解と脱炭酸によるMTICへの変換と、続いて起こるAIC(5-Amino-1H-imidazole-4-carboxamide)への分解であり、このMTICからAICへの分解過程でDNAのアルキル化分子であるメチルジアゾニウムイオンが産生される。これら一連の反応は薬物代謝酵素に依存しない化学反応である。
4. 排泄
進行性癌患者(6名、外国人)に14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、投与後7日間で尿及び糞中にそれぞれ投与した放射能の約37%及び約0.8%が回収された。
5. 薬物相互作用
(1) 胃内pHの影響17)
進行性癌患者(12名、外国人)に本剤の150mg/m2を1日1回5日間反復経口投与し、併用薬としてラニチジンの150mgを1日2回経口投与したとき、本薬の体内動態にはラニチジン併用と非併用で変化がなく、本剤の吸収及び薬物動態に対する胃内pH上昇とラニチジンによる影響はほとんどないことが示唆された。
(2) クリアランスに及ぼす併用薬の影響12)
各種進行性癌患者(外国人)を対象とした第I相及び第II相試験で得られた総計359名の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、バルプロ酸との併用ではクリアランスが約4.7%低下したが、デキサメタゾン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、H2受容体拮抗薬、オンダンセトロン又はプロクロルペラジンとの併用により影響を受けなかった。
薬物動態の表
表1
悪性神経膠腫の再発患者における薬物動態パラメータ
分析対象 投与量
(mg/m2) 投与
(日) tmax
(hr) Cmax
(μg/mL) t1/2λz
(hr) AUC0-t
(μg・hr/mL) R※
テモゾロミド 150
(6名) 1 1.42
(52) 7.87
(38) 2.14
(25) 25.7
(15) -
テモゾロミド 150
(6名) 5 0.96
(53) 8.38
(36) 2.29
(35) 25.2
(10) 0.986
(8)
テモゾロミド 200
(3名) 1 0.58
(25) 15.3
(5) 2.03
(4) 35.1
(6) -
テモゾロミド 200
(3名) 5 0.92
(57) 14.0
(30) 2.02
(5) 36.0
(4) 1.03
(3)
MTIC 150
(6名) 1 1.42
(52) 0.145
(38) 1.98
(24) 0.426
(15) -
MTIC 150
(6名) 5 1.08
(43) 0.154
(28) 1.83
(12) 0.425
(12) 1.00
(16)
MTIC 200
(3名) 1 0.75
(33) 0.272
(15) 1.93
(6) 0.594
(7) -
MTIC 200
(3名) 5 0.92
(57) 0.284
(33) 1.87
(3) 0.636
(7) 1.07
(1)
※:AUC0-24hrに基づく累積係数
平均値(%CV)
臨床成績
1. 単独経口投与での成績(国内臨床試験)18)
初回再発の退形成性星細胞腫患者を対象として、本剤単剤投与によるオープン試験を実施した。すべての患者は前治療に化学療法を受けていた。用いた用法・用量は28日を1クールとし、初回投与量として本剤1回150mg/m2を1日1回5日間経口投与し、23日間休薬とした。第2クール以降は用量調整基準に従い、本剤1回150又は200mg/m2を1日1回5日間経口投与し、6クール施行後に有効性を評価した。なお、治験薬投与前の予防的な制吐剤の使用は必須としたが、制吐剤の種類は限定しなかった。ただし、制吐目的のステロイド使用は不可とした。その結果、退形成性星細胞腫患者を対象とした海外臨床試験成