840) 0.749
(0.121) 2.7
(1.0) 8.0
(1.1) 147.8
(18.1) 74.3
(9.2) 110.6
(8.4)
平均値(標準偏差)CLT/F:見かけの経口クリアランス CLR:腎クリアランス UR:尿中排泄率,40mg及び80mg投与群はUR0~30h,160mg投与群はUR0~48h
表2
血清クレアチニン(mg/dL) 推奨用量
<1.2 通常用量※
≧1.2~<2.3 通常用量の3/4
≧2.3~<3.4 通常用量の1/2
≧3.4~<5.7 通常用量の1/4
※:米国における通常用量は160~320mg/日
臨床成績
〈国内臨床試験成績〉6)
日本国内において,他の抗不整脈薬が無効あるいは副作用のため使用できなかった生命に危険のある再発性の頻脈性不整脈(心室頻拍,心室細動)患者を対象とした臨床試験を実施し,主に不整脈発作の出現頻度により評価した本剤の有効率は以下のとおりであった。
(下表参照)
〈海外臨床試験成績〉7)
海外において無作為臨床試験[Electrophysiologic Study Versus Electrocardiographic Monitoring(ESVEM)試験]が実施され,再発性心室細動及び持続性心室頻拍患者486例に本剤並びに他の抗不整脈薬が順次投与され,効果が予測可能と判断された296例に対しその有効な薬剤の長期投与を行い,その間の不整脈の再発及び死亡等が比較検討された。本剤の1年累積不整脈再発率は20%と最も低く,また6.2年間の追跡期間中の累積不整脈再発率,死亡のリスクについても他の投与群の合計に比べ低値を示した。
試験名 疾患名 有効率
用量設定試験 心室細動 60.0%(3/5)
用量設定試験 心室頻拍 63.6%(42/66)
用量設定試験 合計 63.4%(45/71)
長期投与試験 心室細動 80.0%(4/5)
長期投与試験 心室頻拍 59.3%(32/54)
長期投与試験 合計 61.0%(36/59)
( ):改善以上の症例数/対象症例数
薬効薬理
1. 抗不整脈作用8)~10)
イヌの冠動脈結紮後の心筋梗塞期に誘発される不整脈を静脈内投与により抑制し,生存率を上昇させた。また,ラットの冠動脈結紮再灌流モデルにおける不整脈を抑制した。さらに,マウスにおけるクロロホルム誘発不整脈,モルモットにおけるウアバイン誘発不整脈あるいはイヌにおけるエピネフリン誘発不整脈を抑制した。
2. β受容体遮断作用11),12)
モルモット心臓及び肺を用いた受容体結合実験の結果からβ1及びβ2受容体への非選択的な結合親和性が認められた。また,ウサギ乳頭筋(in vitro標本)及び麻酔下のイヌ(in vivo標本)においてβ受容体遮断作用を示し,その効力はプロプラノロールの1/100(in vitro)及び1/8~1/16(in vivo)であった。なお,局所麻酔作用及び内因性交感神経刺激活性は示さなかった。
3. 電気生理学的作用11),13),14)
モルモットの心電図においてQRS幅には影響を及ぼさず,用量依存的にPR間隔及びQTc間隔を延長した。また,心房及び心室筋の有効不応期を延長し房室伝導を抑制したが,心房内及び心室内刺激伝導時間,ヒス束-プルキンエ線維伝導時間には影響を及ぼさなかった。さらにモルモット,ウサギ,イヌあるいはヒツジの摘出心筋の活動電位に対して,最大拡張期電位,最大脱分極速度あるいは活動電位振幅に影響することなく活動電位持続時間を延長した。活動電位持続時間に対する延長作用は,心筋の時間依存性外向きカリウム電流(IK)の抑制によるものであった。
4. 循環器系に対する作用12)
α-クロラロース麻酔下のイヌの血行動態に対し,静脈内投与により収縮力及び心拍数を減少させ,それに伴う収縮駆出期の減少を引き起こした。また,平均動脈血圧,大動脈血流量,左心室仕事量及び左心室内圧上昇速度を減少させ末梢抵抗を増加させたが,一回仕事量及び左室拡張末期圧には影響しなかった。なお,レセルピン処置下で心拍数を一定にしたイヌにおいては,心筋の収縮力に対する非特異的な抑制作用は軽度であった。
5. 作用機序
ソタロールは,β受容体遮断(Class II)作用により不整脈発生の一因である交感神経系の緊張増加を抑制し,さらにそれらが誘因となって引き起こされる心室頻拍及び心室細動等のリエントリー性の致死性頻脈性不整脈を,活動電位持続時間延長に基づく不応期延長(Class III)作用により抑制する。
6. 光学異性体の薬理作用10)~14)
d-ソタロール及びl-ソタロールの抗不整脈作用をソタロール(ラセミ体)と比較すると,その効力は同等~約1/3であった。いずれの異性体もβ1/β2受容体選択性を示さず,β受容体遮断活性はl-体>ラセミ体>d-体の順に強かった。電気生理学的には,d-ソタロール及びl-ソタロールはソタロールと同等の作用を示し,QTc間隔,有効不応期及び活動電位持続時間を延長させ,膜電流における時間依存性外向きカリウム電流(IK)を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
ソタロール塩酸塩(sotalol hydrochloride)
化学名:
(±)-4-[(RS)-1-hydroxy-2-(isopropylamino)ethyl]methanesulfonanilide monohydrochloride
分子式:
C12H20N2O3S・HCl
分子量:
308.82
構造式:
性状:
白色~微黄白色の結晶性の粉末で,水に溶けやすく,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトニトリルに極めて溶けにくく,エーテルにほとんど溶けない。
承認条件
*
医療機関に対し,本剤の投与対象となる患者の選択に関し,必要な情報提供を確実に行うこと。
包装
ソタコール錠40mg:140錠
ソタコール錠80mg:140錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
木村雅彦他:臨床医薬, 11(12),2521(1995)
2)
清水孝容他:薬物動態, 10