5]%)。なお、同様の臨床所見を有する乳児期発症の急速進行性のライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(ウォルマン病)患者のヒストリカルコントロールでは生後8ヵ月を超えて生存した患者はなかった(生後12ヵ月での生存率とその信頼区間は0[0, 16.1]%)。また、成長及び肝酵素パラメータは表4のとおりであった。
注)忍容性を確認するためであり、承認された開始用量は1mg/kgである。
12ヵ月を超えて生存した6例中1例では、中和抗体が生じたため5mg/kgの週1回投与に増量された。
なお、乳児期発症の急速進行性の患者を対象とした臨床試験(2015年1月データカットオフ)において生存例9例中2例では5mg/kg週1回投与に増量された。
全臨床試験に参加したライソゾーム酸性リパーゼ欠損症患者における抗薬物抗体産生について
本剤の臨床試験に参加した全患者のうち、2015年1月のデータカットオフ時点で安全性統合解析集団を対象に抗薬物抗体の発現率を確認したところ、106例中12例(11.3%)で、試験期間中1回以上の抗薬物抗体の陽性が確認された。その患者内訳は、乳児で5/14例(35.7%)、幼児から成人で7/92例(7.6%)であった。日本人は1/2例で抗体価が陽性になった。これらの抗体陽性患者の抗体が陽性になる最初の期間の中央値は、85日(最短日:29日、最長日:677日)であった5)。
臨床成績の表
表3 LAL-CL02試験における有効性の副次評価項目
評価項目 本剤
(n=36) プラセボ
(n=30)
LDLコレステロール
[ベースラインからの平均変化率(%)] -28*±22 -6±13
non-HDLコレステロール
[ベースラインからの平均変化率(%)] -28*±19 -7±11
ASTの正常化a(%) 42**
(15/36) 3
(1/29)
トリグリセリド
[ベースラインからの平均変化率(%)] -25**±29 -11±29
HDLコレステロール
[ベースラインからの平均変化率(%)] 20*±17 -0.3±12
肝脂肪含量b
[ベースラインからの平均変化率(%)] -32*±27
(n=32) -4±16
(n=25)
平均値±標準偏差
a正常化を達成した患者の割合。年齢及び性別に応じ、34~59U/Lを正常化と定義した。ベースライン値が異常値であった患者(本剤投与群:n=36、プラセボ投与群:n=29)を対象に評価した。
bMEGE MRIによる評価が実施された患者(本剤投与群:n=32、プラセボ投与群:n=25)を対象に評価した。
P値:正常化の評価項目についてはFisherの正確確率検定、その他すべての評価項目についてはWilcoxonの順位和検定を用いて算出した。*:P<0.001,**:P<0.05
表4 成長及び肝酵素パラメータの結果
評価項目 ベースライン
(n=9) 4週目
(n=6) 12週目
(n=6)
年齢別
身長a 1.798
(0.00, 80.78)
(n=8) 3.157
(0.00, 83.15)
(n=6) 6.932
(0.06, 94.06)
(n=6)
年齢別
体重a 3.076
(0.00, 77.04)
(n=8) 3.057
(0.00, 60.26)
(n=6) 3.471
(0.14, 53.59)
(n=6)
ALT(U/L) 145.0
(16.0, 297.0)
(n=9) 31.0
(14.0, 71.0)
(n=5) 27.0
(15.0, 44.0)
(n=5)
AST(U/L) 125.0
(71.0, 716.0)
(n=9) 62.0
(35.0, 120.0)
(n=4) 44.0
(33.0, 75.0)
(n=5)
評価項目 24週目
(n=5) 48週目
(n=4) 60週目
(n=4)
年齢別
身長a 10.75
(0.03, 91.62)
(n=5) 12.57
(0.29, 75.49)
(n=4) 14.98
(0.43, 61.41)
(n=4)
年齢別
体重a 1.044
(0.10, 64.06)
(n=5) 14.93
(7.08, 82.38)
(n=4) 21.44
(4.95, 88.88)
(n=4)
ALT(U/L) 39.0
(15.0, 90.0)
(n=5) 28.5
(28.0, 29.0)
(n=4) 33.0
(29.0, 42.0)
(n=4)
AST(U/L) 56.0
(28.0, 106.0)
(n=5) 39.5
(32.0, 45.0)
(n=4) 43.0
(37.0, 58.0)
(n=4)
中央値(最小値, 最大値)
aWHOパーセンタイル値
薬効薬理
1. 作用機序
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症は、ライソゾーム酵素であるライソゾーム酸性リパーゼ遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患である。ライソゾーム酸性リパーゼの活性が低下することにより、コレステロールエステル及びトリグリセリド等が蓄積し、肝線維症、脂質代謝障害等を呈する6)。
セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、ヒトライソゾーム酸性リパーゼに高マンノース型糖鎖及びリン酸化高マンノース型糖鎖を含むN-結合型糖鎖を付加した糖タンパク質であり、マクロファージのマンノース受容体及びマンノース-6-リン酸受容体を介して細胞内に取り込まれ、ライソゾームに蓄積したコレステロールエステル及びトリグリセリドを加水分解する。
2. 薬理作用
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症のモデルラットにセベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)を週1回又は隔週1回反復投与したとき、肝臓においてライソゾーム酸性リパーゼ活