ミンの現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
(4)
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、本剤の添加物である人血清アルブミンの製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、本剤投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
2.
本剤はタンパク質製剤であり、アナフィラキシーショックが起こる可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。
3.
本剤の投与によりinfusion associated reaction(腹痛、発熱/体温上昇、悪寒、下痢、喉頭浮腫、悪心、蒼白、そう痒症、発疹、頻脈、蕁麻疹、嘔吐等)が発現することがある。これらの症状があらわれた場合には、重症度により、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は副腎皮質ホルモン剤等)や緊急処置を行うこと。投与を中断した後に投与を再開する場合は、投与速度を下げて、忍容性を確認しながら投与すること。
次回以降の投与に際しては、症状発現を防ぐために、本剤投与前に抗ヒスタミン剤や解熱鎮痛剤等の前投与を考慮すること。
4.
重度の過敏症が発現した場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行い、本剤投与の再開については、有益性と危険性を考慮し決定すること。
5.
本剤の投与に際しては、アレルギー歴等について十分な問診を行うこと。臨床試験において、卵アレルギーを有する患者は除外されていたため、卵又は卵製品に対する全身性の過敏症の既往歴のある患者では、本剤使用の有益性と危険性を考慮した上で投与を決定すること。
6.
本剤の投与により抗体産生が予測されるため、定期的にセベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)に対する抗体検査を行うことが望ましい。(「臨床成績」の項参照)
7.
本剤投与後に一過性に脂質異常(血中コレステロール、トリグリセリドの上昇)の増悪が認められることがあるので留意すること。なお、概ね投与後2~4週間以内に発現が認められ、投与後8週間以内に改善がみられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症患者を対象とした国内外の臨床試験(1ヵ月齢から59歳まで)では、本剤群106例中31例に副作用が認められた。主な副作用は、腹痛、下痢、蕁麻疹、発熱、嘔吐、悪心、頻脈等であった。日本人患者(コレステロールエステル蓄積症)2例では、蕁麻疹が認められた。
コレステロールエステル蓄積症患者を対象とした臨床試験では、92例中23例に副作用が認められ、乳児期発症の急速進行性のウォルマン病患者を対象にした臨床試験では14例中8例に副作用が認められた。[承認時]
重大な副作用
アナフィラキシー(2.8%):
アナフィラキシーがあらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(【警告】、「重要な基本的注意」の項参照)
その他の副作用
1. 心臓障害
5%未満
頻脈
2. 胃腸障害
5%未満
腹部膨満、胃食道逆流性疾患、悪心、嘔吐
3. 胃腸障害
5%以上
腹痛、下痢
4. 一般・全身障害および投与部位の状態
5%未満
胸部不快感、発熱、悪寒、疲労、注入部位硬結、浮腫
5. 免疫系障害
5%未満
眼瞼浮腫
6. 感染症および寄生虫症
5%未満
尿路感染
7. 臨床検査
5%未満
体温上昇、酸素飽和度低下
8. 代謝および栄養障害
5%未満
高コレステロール血症、高トリグリセリド血症
9. 神経系障害
5%未満
浮動性めまい、筋緊張低下
10. 精神障害
5%未満
激越、不安、不眠症、易刺激性
11. 生殖系および乳房障害
5%未満
月経過多
12. 呼吸器、胸郭および縦隔障害
5%未満
咳嗽、呼吸困難、喉頭浮腫、呼吸窮迫
13. 皮膚および皮下組織障害
5%未満
そう痒症、発疹、丘疹性皮疹
14. 皮膚および皮下組織障害
5%以上
蕁麻疹
15. 血管障害
5%未満
充血、高血圧、低血圧、蒼白
高齢者への投与
高齢者では一般的に生理機能が低下していることから、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。[使用経験がない。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する使用経験がなく、安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。[乳汁中への移行は不明である。]
適用上の注意
調製時:
(1)
他剤との混注はしないこと。
(2)
各バイアルは1回限りの使用とすること。
調製方法:
(1)
患者の体重に基づき、投与に必要なバイアル数を決める。冷蔵庫より必要バイアルを取り出し、室温になるまで放置する。
(2)
算出した必要量のバイアルから本剤の投与量をとり、セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)の最終濃度が0.1~1.5mg/mLとなるよう日局生理食塩液で希釈する。静かに混和し、急激な振盪は避けること。
なお、投与液量は下表を参考にしてもよい。
(3)
希釈後は、無色から微黄色又はわずかに白濁した液である。また、タンパク質のためわずかな微粒子を認めることがある。目視で溶液中に異物の混入や変色が認められる場合は使用しないこと。
(4)
本剤には保存剤が含まれていないことから、希釈後直ちに使用すること。希釈後直ちに使用できない場合は、2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること。
投与時:
(1)
希釈後は、タンパク低結合性インラインフィルター(孔径0.2μm)を用いて投与すること。
薬物動態
外国人成人ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル