AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、γ-GTPの上昇
肝臓注3)
0.1~5%未満
LDHの上昇
消化器
5%以上
悪心
消化器
0.1~5%未満
食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢、口内炎
過敏症
0.1~5%未満
発疹、そう痒感
腎臓
0.1~5%未満
BUN、クレアチニンの上昇
投与部位
0.1~5%未満
疼痛、発赤、腫脹等の注射部位反応
その他
0.1~5%未満
呼吸困難、発汗亢進、血清アルブミンの低下
その他の副作用の注意
注3)定期的に検査を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[動物試験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている。1)]
2.
授乳中の婦人に投与する場合には授乳を避けさせることが望ましい。[動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
用時調製し、溶解後は速やかに使用すること。
なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも12時間以内に使用すること。
その他の注意
臨床において本剤によりリンパ球系腫瘍の増殖をきたしたとの報告はないが、試験管内でリンパ球系腫瘍細胞が増殖したとの報告があるため、リンパ球系腫瘍を合併している症例に投与する時には注意すること。
薬物動態
1.
血中濃度2)
各種悪性腫瘍患者(成人)に1回40万又は80万国内標準単位(JRU)を点滴静注(1時間)した場合の血中濃度は図及び表1のとおりであり、用量依存性を示す。
なお、各種悪性腫瘍患者(3例)に1日1回40万国内標準単位を連日4週間点滴静注(1時間)し、その初回投与時と4週間投与終了時の血中濃度を比較した結果からは、蓄積性は認められていない。
2.
尿中排泄
各種悪性腫瘍患者に1日40万国内標準単位(分1)〔5例〕又は1日80万国内標準単位(分2)〔4例〕を連日7日間点滴静注(1時間)した場合の尿中濃度はいずれも測定限界以下(<0.38JRU/mL)である。
表1
投与量 40万 JRU 80万 JRU
Cmax(JRU/mL) 61.66 189.59
T1/2(hr) 0.84 0.31
AUC(JRU・hr/mL) 80.05 212.95
臨床成績
悪性血管内皮細胞腫患者12例を対象に、主として1日1回40万国内標準単位の点滴静注例では23~116日間、局所(腫瘍周縁部)投与例では14~47日間投与した臨床試験において、CR(著効)2例、PR(有効)4例の計6例の有効例が得られ、奏効率は50%(6例/12例)である。そのうち点滴静注例の奏効率は40%(2例/5例)、局所(腫瘍周縁部)投与例の奏効率は57%(4例/7例)である。
CR、PR例における50%以上の腫瘍縮小効果は5例において認められ、その効果は6~57日で発現している。CR又はPRの奏効期間は70~791日である。3)
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用4)
マウスの皮下又は筋肉に移植されたマウス由来血管内皮腫に対して皮下投与により増殖抑制作用を示す。
2. 抗腫瘍作用の機序5~10)
抗原特異的キラーT細胞、あるいはナチュラルキラー(NK)細胞、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞などの抗原非特異的キラー細胞の活性化や増殖促進等によって抗腫瘍作用をもたらすものと考えられる。
(1)
皮下投与により正常マウス及びヌードマウス脾臓において抗原非特異的キラー細胞を誘導し、誘導されたキラー細胞はマウス血管内皮腫細胞株に対して細胞傷害活性を示す。マウス脾臓におけるキラー活性の誘導は、投与回数に応じて上昇する。なお、誘導された抗原非特異的キラー活性を示す細胞は主としてThy-1+、アシアロGM1-のLAK様の細胞である。
(2)
正常マウス脾臓細胞において精製天然型IL-2と同程度に抗原特異的及び抗原非特異的キラー活性を誘導し、更に細胞増殖を促進する。誘導されたキラー細胞はマウス血管内皮腫細胞株に対して細胞傷害活性を示す(in vitro)。
(3)
癌患者末梢血リンパ球(PBL)において健常人PBLと同程度のNK活性、LAK活性、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)等の抗原非特異的キラー活性を増強し、更にそれら活性細胞の増殖を促進する(in vitro)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
セルモロイキン(遺伝子組換え)〔Celmoleukin(Genetical Recombination)〕 〔JAN〕
構造
133個のアミノ酸残基からなる蛋白質
分子式
C693H1118N178O203S7
分子量
15415.82
性状
セルモロイキン(遺伝子組換え)は無色澄明の液である。
包装
40万国内標準単位:1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
伊原敏夫 他 : 基礎と臨床,23(13): 4857,1989.
2)
田口鐵男 : BIOTHERAPY,3(5): 960,1989.
3)
池田重雄 他 : Skin Cancer,4(2): 367,1989.
4)
大津紘一郎 他 : 薬理と治療,17(9): 4259,1989.
5)
Naruo,K.et al.: Biochem.Biophys.Res.Commun.,128(1): 257,1985.
6)
Hinuma,S.et al.: Immunology,59 : 251,1986.
7)
田口鐵男 : 癌と化学療法,13(1): 1,1986.
8)
田口鐵男 他 : 癌と化学療法,14(3): 914,1987.
9)
成尾憲一 他 : 薬理と治療,17(7): 3057,1989.
10)
成尾憲一 他 : 薬理と治療,17(8): 3781,1989.
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