1)
用時、下室の生理食塩液に溶解し、点滴静注すること(「取扱い上の注意」の項参照)。
(2)
本剤の使用にあたっては、完全に溶解したことを確認すること。
(3)
溶解後は速やかに使用すること。
(4)
アミノグリコシド系抗生物質(トブラマイシン等)の混注により、アミノグリコシド系抗生物質の活性低下をきたすので、本剤と併用する場合にはそれぞれ別経路で投与すること。
(5)
残液は決して使用しないこと。
2. 調製時
(1) 配合変化
1) 下記製剤と配合すると、不溶物が析出することがあるので、配合しないこと。
ジェムザール注射用1g、サンラビン点滴静注用250mg、ユニカリックL輸液、ユニカリックN輸液、フェジン静注40mg
2) 下記製剤と配合すると、3時間後で著しい力価の低下を起こすことがあるので、配合しないこと。
アミゼットB輸液、キドミン輸液、フトラフール注400mg、5-FU注250mg、ネオフィリン注250mg
3) 下記製剤と配合すると、3時間後で著しい力価の低下を起こすことがあるので、これらの薬剤との直接の混合を避け、側管又はピギーバック方式により投与すること。
アミノレバン点滴静注、モリアミンS注、モリプロンF輸液、ネオアミユー輸液、アミノフリード輸液
4) 下記製剤と配合すると、3時間後で色調変化が認められることがあるので、配合後は速やかに使用すること。
パンスポリン静注用1g、ロセフィン静注用1g
(2) 調製時の注意
本剤の注射液調製時にショックを伴う接触蕁麻疹等の過敏症状を起こすことがあるので、本剤を調製する際には手袋を使用するなど、直接の接触を極力避けること。
3. 投与経路
〈バイアル製剤〉
静脈内注射又は点滴静注のみに使用すること。
〈バッグ製剤〉
点滴静注のみに使用すること。
4. 投与時
〈バイアル製剤〉
次のことから、静脈内注射にあっては注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度はできるかぎり緩徐にし、必要に応じて輸液等で希釈して注射すること。
〈バッグ製剤〉
次のことから、投与に際しては点滴部位、点滴方法等に十分注意し、点滴速度はできるかぎり緩徐にすること。
(1)
静脈内注射により、血管痛、血栓又は静脈炎を起こすことがある。
(2)
ラットに大量の薬剤を急速に静脈内注射した場合、注射速度に起因したと考えられる死亡例が報告されている。
(3)
ウサギを用いた局所刺激性試験(筋肉・血管)において、注射局所に刺激性が認められた。
その他の注意
1.
外国において嚢胞性線維症の患者でピペラシリンの過敏症状の発現頻度が高いとの報告がある。
2.
併用により、ベクロニウムの筋弛緩作用を延長させるとの報告がある。
3.
幼若イヌを用いた反復投与毒性試験(生後2~4日のイヌに720mg/kg/日を5週間、あるいは生後52~64日のイヌに4,500mg/kg/日を7週間)で、散在性の腎嚢胞が認められたとの報告がある。
薬効薬理
タゾバクタムは、それ自体の抗菌作用は弱いが、β-ラクタマーゼに対して不可逆的阻害作用を示すので、β-ラクタム系抗生物質と組み合わせて用いる。通常、ピペラシリンとの合剤とする。
ピペラシリンナトリウムは、β-ラクタム系抗生物質に属するので、作用機序は細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの生合成阻害である。その結果細胞壁の剛直性が失われ、細菌は破裂・死滅する。広域ペニシリンであり、抗菌スペクトルが拡大されている。2)
有効成分に関する理化学的知見
1.
タゾバクタム
一般名
タゾバクタム(Tazobactam)
略号
TAZ
化学名
(2S,3S,5R)-3-Methyl-7-oxo-3-(1H-1,2,3-triazol-1-ylmethyl)-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylic acid 4,4-dioxide
分子式
C10H12N4O5S
分子量
300.29
構造式
性状
・白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
・ジメチルスルホキシド又はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくい。
・炭酸水素ナトリウム溶液(3→100)に溶ける。
2.
ピペラシリン水和物
一般名
ピペラシリン水和物(Piperacillin Hydrate)
略号
PIPC・H2O
化学名
(2S,5R,6R)-6-{(2R)-2-[(4-Ethyl-2,3-dioxopiperazine-1-carbonyl)amino]-2-phenylacetylamino}-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylic acid monohydrate
分子式
C23H27N5O7S・H2O
分子量
535.57
構造式
性状
・白色の結晶性の粉末である。
・メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)又はジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
取扱い上の注意
1. バッグ製剤の溶解操作方法
使用にあたっては、薬剤部分のカバーシートをはがし、溶解液(生理食塩液)部分を手で押して隔壁を開通させ、薬剤部分と溶解液部分を交互に押して薬剤を完全に溶解する。
(詳しい溶解操作方法については、バッグ製品の外袋及びカバーシートに記載の「溶解操作方法」を参照)
2. バッグ製剤に関する注意
(1)
製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
(2)
次の場合には使用しないこと。
1)
外袋が破損しているとき
2)
溶解液の漏れが認められるとき
3)
隔壁の開通前に薬剤が溶解しているとき
4)
薬剤が変色しているときや、薬剤溶解前に溶解液が着色しているとき
5)
ゴム栓部のシールフィルムがはがれているとき
(3)
ゴム栓への針刺は、ゴム栓面にまっすぐに行うこと。斜めに刺すと、ゴム片が薬液中に混入したり、排出口の側壁を傷つけて液漏れを起こすことがある。
(4)
通気針は不要である。
(5)
連結管(U字管)による連続投与は行わないこと。
(6)
容器の液目盛りはおよその目安