デシン)
4. 排泄(外国人のデータ)4)
転移性副腎腫患者に3H-ビンブラスチン硫酸塩10mgを静脈内投与した後、放射活性を調べた結果、72時間以内に尿中には投与量の約13.6%、糞中には約9.9%が排泄され、代謝を受けることが示唆された。(副腎腫は承認外用法である。)
表1
投与量 n T1/2α
(hr) T1/2β
(hr) T1/2γ
(hr) 消失速度定数
(hr-1)
10.3mg i.v. 3 0.062±0.040 1.64±0.34 24.8±7.5 0.190±0.058
(平均±標準偏差)
表2
投与量 n 分布容積
(L/kg) 血清クリアランス
(L/kg/hr)
10.3mg i.v. 3 27.3±14.9 0.740±0.317
(平均±標準偏差)
臨床成績
1. 悪性リンパ腫及び絨毛性疾患
再評価申請時に、本剤の国内臨床報告16篇及び外国臨床報告36篇に収載された臨床成績を集計すると次の表のとおりであった。(表3参照)
2. ランゲルハンス細胞組織球症
18歳未満のランゲルハンス細胞組織球症患者を対象に海外で実施された4つの臨床試験の報告によると、本剤は6mg/m2を導入療法においては1週に1回、維持療法においては3週に1回、プレドニゾロン及び他の抗悪性腫瘍剤と併用で6~12ヶ月間投与され、その臨床成績は次の表のとおりであった。(表4参照)
表3
単独投与例 単独投与例 他剤併用例 他剤併用例 合計 合計
有効率(%) 有効率(%) 有効率(%)
症例数 1062 / 393 / 1455 /
評価例数 1041 / 374 / 1415 /
悪性リンパ腫
(有効例数/評価例数) 665/981 67.8 244/351 69.5 909/1332 68.2
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
絨毛癌 12/25 48.0 10/18 55.6 22/43 51.2
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
破壊胞状奇胎 6/17 35.3 6/17 35.3
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
胞状奇胎 7/14 50.0 3/5 60.0 10/19 52.6
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
分類不詳 2/4 50.0 2/4 50.0
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
合計 27/60 45.0 13/23 56.5 40/83 48.2
表4
試験名 奏効率 再発率 生存率
DAL-HX 835) 86%
(91/106)注1) 23%
(21/91)注1) 90%
(96/106)注2)
DAL-HX 83・906) 79%
(50/63)注3) 30%
(15/50)注1) 81%
(51/63)注4)
LCH-I7) 57%
(42/74)注3) 61%注5) 76%注5)
LCH-II8) 67%
(118/175)注3) 46%注5) 74~79%注6)
注1)評価時期特定不能
注2)観察期間(中央値)6年9ヶ月
注3)導入療法開始6週後での評価
注4)観察期間(中央値)7年6ヶ月
注5)寛解後3年時での評価
注6)5年生存率
薬効薬理
1. 薬理作用
(1) 動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果9),10)
ビンブラスチン硫酸塩はマウスのP-1534白血病、Ehrlich腹水型腫瘍、Freund腹水型腫瘍、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスの乳腺腫瘍(DBA腺癌)、ラットのWalker癌及び横紋筋肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した。
(2) 細胞学的効果11)
ビンブラスチン硫酸塩1.0mg/kgをマウスの腹腔内へ投与し経時的に腹水腫瘍細胞の分裂像を観察したところ、マウス腫瘍細胞(Ehrlich腹水型腫瘍及びL1210腹水型腫瘍)において、分裂細胞の増加とともに分裂中期細胞の蓄積がみられた。
2. 作用機序12)
ビンブラスチン硫酸塩の作用機序の詳細はまだ明らかにされていないが、紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ビンブラスチン硫酸塩(Vinblastine Sulfate)
(初期にはVincaleukoblastineの名称で記載された。)
略号
VLB、VBL
化学名
Methyl(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)-4-acetoxy-3a-ethyl-9-[(5S,7S,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-methoxycarbonyl-1,4,5,6,7,8,9,10-octahydro-3,7-methano-3-azacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-5-hydroxy-8-methoxy-6-methyl-3a,4,5,5a,6,11,12,13a-octahydro-1H-indolizino[8,1-cd]carbazole-5-carboxylate mono