尿細管に作用する利尿剤の投与)
(2)
抗痙攣剤の投与
(3)
イレウスを予防するための浣腸及び下剤の使用(症例によっては腸管減圧を行う。)
(4)
循環器系機能のモニタリング
(5)
血球検査を毎日行い、必要であれば輸血を行う。
ホリナート(ロイコボリン)を本剤の致死量が投与されたマウスに使用したところ有効であったとの報告がある。また、ホリナートがヒトにおいても本剤の過量投与の治療に有益であったとする症例報告もある。ホリナート100mgを3時間ごとに8回投与し、その後は6時間ごとに少なくとも8回投与することが推奨されている。ホリナートの投与は支持療法と併せて行う。本剤は透析液中にほとんど流入せず体外除去のための血液透析は有効ではない。
適用上の注意
1. 調製方法
(1)
本剤1バイアルに通常、注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液10mLを加えて溶解する。
本剤の注射液調製にあたり、注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外の溶解液の使用は望ましくない。
(2)
注射液調製後はすみやかに使用すること。
[保存剤を含有していないため。]
(3)
眼には接触させないこと。眼に入った場合は直ちに水で洗うこと。
[眼に入った場合重篤な刺激や角膜潰瘍が起こることがある。]
2. 投与経路
(1)
静脈内注射にのみ使用すること。
(2)
髄腔内には投与しないこと。
[外国で本剤を誤って髄腔内に投与し、死亡したとの報告があるため、本剤を誤って髄腔内投与した場合は、死に至る麻痺の進行を阻止するよう直ちに救命措置を実施すること。]
3. 投与時
(1)
1回投与量を計算の上、次のいずれか適当な方法により投与する。
1)
静脈内に補液中の管の途中から、1分程度をかけて緩徐に注入する。(点滴容器内で他の薬剤と混合してはならない。
2)
直接静脈内に、1分程度をかけて緩徐に注入する。
3)
中心静脈内に、カテーテルを留置して持続注入する。
(2)
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死・炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
血管外漏出が疑われるときは直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、残量は他の静脈から投与すること。
その他の注意
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等)が発生したとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度(外国人のデータ)2)
急性骨髄性白血病及び悪性リンパ腫各2例に本剤2mgを静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合、血中濃度が投与直後より急速に低下するα期、比較的ゆるやかに低下するβ期、更に非常に緩徐な低下を示すγ期の3相性のパターンで推移した。(表1参照)
2. 分布(外国人のデータ)2)
急性骨髄性白血病及び悪性リンパ腫各2例に本剤2mgを静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合の薬物速度論的パラメータは以下の通りである。(表2参照)
(参考)
ラットに3H-ビンクリスチン硫酸塩1.0mg/kgを静脈内注射した場合、脾、甲状腺、副腎、大腸、小腸には血中の20~70倍の放射活性が分布し、ついで肺、腎、肝、骨髄(血中の7~20倍)が高く、脂肪細胞、眼球、脳では低値(血中の0.2~1倍)を示した3)。
3. 代謝
主要代謝部位:肝臓
肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされている4)。
4. 排泄(外国人のデータ)5)
悪性リンパ腫4例に、3H-ビンクリスチン硫酸塩2mg(40μCi/mg)を静脈内注射した後、放射活性を測定した結果、72時間以内に糞中には投与量の約69%、尿中には約12%が排泄された。
表1
投与量 n T1/2α
(hr) T1/2β
(hr) T1/2γ
(hr) 消失速度定数
(hr-1)
2mg i.v. 4 0.077±0.034 2.27±1.50 85.0±68.9 0.085±0.075
(平均±標準偏差)
表2
投与量 n 分布容積
(L/kg) 血清クリアランス
(L/kg/hr)
2mg i.v. 4 8.42±3.17 0.106±0.061
(平均±標準偏差)
臨床成績
全国10研究機関における承認時の臨床検討成績では、小児急性白血病、悪性リンパ腫及び小児腫瘍に高い寛解率を示した。
疾患名 治験例数 寛解例数 寛解率(%)
白血病:急性白血病(小児) 42 26 61.9
白血病:急性白血病(成人) 47 17 36.2
白血病:急性白血病(小計) 89 43 48.3
白血病:慢性白血病(急性転化) 3 2 66.7
悪性リンパ腫:細網肉腫 21 15 71.4
悪性リンパ腫:リンパ肉腫 16 10 62.5
悪性リンパ腫:ホジキン病 19 16 84.2
悪性リンパ腫:小計 56 41 73.2
小児腫瘍:神経芽腫 12 8 66.7
小児腫瘍:ウィルムス腫瘍 2 2
小児腫瘍:睾丸胎児性癌 2 2
小児腫瘍:横紋筋肉腫 2 1
小児腫瘍:血管肉腫 1 1
小児腫瘍:骨肉腫 1 0
小児腫瘍:網膜芽腫 1 0
小児腫瘍:脂肪肉腫 1 0
小児腫瘍:副腎皮質癌 1 0
小児腫瘍:小計&