高齢者
[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
本剤の用量規制因子は神経毒性であり、用量依存的に重篤な末梢神経障害及び筋障害が起こることがあるので、使用に際しては、臨床症状、患者の状態を十分に観察し、また臨床検査(末梢神経伝達速度検査、握力測定、振動覚を含む知覚検査など)を定期的に行う。しびれ、麻痺、知覚異常等の異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行うこと。
また、シャルコー・マリー・トゥース病の罹患歴、家族歴の調査等を行い、脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病が疑われる場合には本剤の投与を行わないこと。
2.
骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的な感染症及び出血)が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行うこと。
また、骨髄抑制のある患者、感染症を合併している患者、長期間使用患者等のリスク患者では、副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、適切な治療設備(無菌室、簡易無菌室等)、G-CSF製剤、また抗生剤等の使用に関しても考慮すること。
3.
高度な骨髄抑制による感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
4.
治療時に腫瘍が崩壊する腫瘍崩壊症候群(腹部痛、血尿、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、腎不全)を伴うことがある。特に治療開始後3~4週間は、血清尿酸値上昇を避けるため補液による尿量確保や尿のアルカリ化を促すとともに、頻繁に尿酸値や尿量を測定するなど、患者の状態を十分に観察し注意すること。
5.
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
6.
本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、非可逆的な性腺障害(精子形成不全(無精子症等)、無月経等)が認められたとの報告があるので、小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
7.
本剤は脳血液関門を十分に通過しないと考えられるので、白血病性中枢神経障害の合併が認められる症例に使用する場合には、他の療法を併用するなど適切な処置を行うこと。
8.
ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、直接末梢静脈に投与すると薬液の漏出による組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈カテーテルを留置して中心静脈より投与すること。また、血管内にカテーテルを留置することによる感染症の合併に十分注意すること。
9.
本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用により、肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告があるので、十分に注意すること。
10.
褐色細胞腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ビンクリスチン硫酸塩(褐色細胞腫(傍神経節細胞腫を含む))1)」等)を熟読すること。
相互作用
本剤の代謝は肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされていることから、肝チトクロームP-450 3Aを阻害する薬剤との併用において、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)
臨床症状・措置方法
本剤の筋神経系の副作用が増強することがあるので、副作用が発現した場合には、減量、休薬、投与中止等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
本剤は肝チトクロームP-450 3Aにより代謝される。アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP-450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある。
2. 薬剤名等
フェニトイン
臨床症状・措置方法
フェニトインと本剤を含む抗悪性腫瘍剤を同時に投与することで、フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい。
機序・危険因子
本剤は併用によりフェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある。
3. 薬剤名等
神経毒性を有する薬剤(白金含有の抗悪性腫瘍剤等)
臨床症状・措置方法
神経系副作用が増強することがある。白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合、聴覚障害(難聴)が増強する可能性がある。
機序・危険因子
ともに神経毒性を有する。
4. 薬剤名等
L-アスパラギナーゼ
臨床症状・措置方法
神経系及び造血器系の障害が増強する可能性がある。毒性を最小にとどめるためにL-アスパラギナーゼ投与の12~24時間前に本剤を投与することが望ましい。
機序・危険因子
本剤投与の前にL-アスパラギナーゼを投与すると本剤の肝クリアランスを低下させる可能性がある。
5. 薬剤名等
マイトマイシンC
臨床症状・措置方法
ビンカアルカロイド製剤で、マイトマイシンCとの併用時に呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている。
機序・危険因子
機序不明
6. 薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意する。
機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。
7. 薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤
臨床症状・措置方法
他の抗悪性腫瘍剤との併用により、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等が発現したとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
8. 薬剤名等
放射線照射
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意する。
機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。
9. 薬剤名等
放射線照射
臨床症状・措置方法
肝を含む病巣への放射線照射を施行中の患者に、本剤を併用すると肝毒性が増強するとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
**〈概要〉
承認時における安全性評価対象例は