を中止すること
高齢者への投与
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあるので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験(ラット)において、新生児の発育遅延等が報告されている1)2)。]
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験(ラッ卜)で乳汁中へ移行することが報告されている3)。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
1.
調剤時:本剤は徐放性製剤であるため、カプセル内容物を取り出して調剤しないこと。
2.
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシ-卜から取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシー卜の誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 血中濃度4)
健康成人にイブジラスト10mgを単回経口投与した時の血中未変化体濃度及び薬物速度論的パラメータは次のとおりである。
図 血中濃度(健康成人)
2. 代謝・排泄5)
健康成人にイブジラスト10mgを単回経口投与した結果、72時間までに投与量の約60%が尿中に排泄された。尿中に未変化体は検出されず、主な代謝物は6,7-ジヒドロジオール体(抱合体)、2β,3β‐ジオール体(抱合体)であった。
薬物動態の表
薬物速度論的パラメータ
投与量(mg) Tmax(hr) Cmax(ng/mL) t1/2(hr) AUC0→30(ng・hr/mL)
10 4 25 12.0 334
*臨床成績
1. 気管支喘息(20mg/日 投与)
気管支喘息を対象に行った二重盲検比較試験を含む臨床試験について評価した成績の概要は次のとおりである。また、気管支喘息を対象とした二重盲検比較試験において本剤の有用性が認められている。
2. *脳梗塞後遺症(30mg/日 投与)6)
脳梗塞後遺症患者を対象に、4週間の観察期(プラセボ投与)の後、コンプライアンス不良の患者、脳梗塞後遺症に伴う症状が不安定な患者等は試験終了とし、その他の患者についてイブジラスト又はプラセボを8週間投与する二重盲検比較試験を実施した。その結果、本剤のめまい改善度は次のとおりであり、有用性が認められている。
臨床成績の表
病型 改善率(%)
中等度改善以上 改善率(%)
軽度改善以上
アトピー型 44.3( 74/167) 78.4(131/167)
混合型 39.6(101/255) 71.4(182/255)
感染型 40.7( 24/ 59) 67.8( 40/ 59)
合計 41.4(199/481) 73.4(353/481)
評価項目 薬剤 改善(%) 検定
めまい改善度 イブジラスト
プラセボ 50.0( 47/ 94)
18.7( 20/107) p<0.001
薬効薬理
1. 脳血管障害に対する作用
(1) 臨床薬理作用
1) 脳血流量増加作用
脳血管障害患者において、脳血流量を増加させた(PET)7)。
2) 内頸動脈平均血流量改善作用
慢性脳循環不全症患者において、総頸動脈の平均血流量を増加させ、循環抵抗を低下させた8)。
3) 血小板活性化抑制作用
脳血管障害患者において、血小板の活性化を抑制した9)。
4) 血小板凝集抑制作用
脳血管障害患者において、血小板凝集を抑制した9)10)。
5) 血管内皮保護作用
脳梗塞患者において、血管内皮細胞接着分子の発現を抑制した11)。
(2) 基礎薬理作用
ホスホジエステラーゼ阻害作用RT-PCR法によりクローニングしたヒトの心および脳のホスホジエステラーゼの活性を阻害した12)。
1) 血管拡張作用
摘出イヌ脳底動脈においてプロスタサイクリンによる血管弛緩作用を増強した13)。
また、脳梗塞モデルラットの脳局所血流量を増加させた。その増加率は正常ラットと比較してより高かった14)。
2) 抗炎症作用
マウスのグリア細胞からのTNFα及びNOの産生を抑制した15)。
また、慢性脳低灌流モデルラットの視索、内包、脳梁において白質病変の抑制効果が認められた16)。
3) 血栓形成阻止作用
脳血栓モデルスナネズミにおいて、血栓形成を抑制し17)、脳血栓モデルラットにおいて、脳血管閉塞による脳波の平坦化を抑制した18)。
4) 神経保護作用
ラットの海馬神経においてグルタミン酸塩により生じた神経損傷を抑制した19)。
また、一過性脳虚血モデルラットにおいて虚血による神経密度の低下を回復した20)。
2. 気管支喘息に対する作用
(1) 臨床薬理作用
1) 気道過敏性の改善作用
気管支喘息患者におけるメサコリン吸入試験において、気道過敏性を改善した21)。
2) 抗原吸入誘発による気管支反応の抑制作用
気管支喘息患者における抗原吸入誘発試験において、即時型気管支反応22)及び遅発型気管支反応23)を抑制した。
(2) 基礎薬理作用
1) 好酸球及び気道平滑筋ホスホジエステラーゼ阻害作用
モルモット好酸球及びウシ気道平滑筋から抽出したホスホジエステラーゼ活性を阻害した24)。
2) 気道反応性亢進の抑制作用
モルモットにおいて、PAF投与による気道反応性亢進を抑制した25)。
3) ロイコトリエン・PAF拮抗作用
摘出モルモット気道平滑筋26)27)及びモルモット28)29)、ネコ30)の気道において、ロイコトリエンD4あるいはPAFによる収縮反応を選択的に抑制した。
また、モルモットにおいて、ロイコトリエンD4あるいはPAFによる血管透過性の亢進を抑制した29)。
4) ロイコトリエン遊離抑制作用
健康成人及び気管支喘息患者の末梢白血球からのロイコトリエンC4及びB4の遊離を抑制した31)。
5) 実験的喘息抑制作用
モルモット及びラットの実験的喘息モデルにおいて、気道収縮を抑制した32)。