るケトコナゾールを併用投与した場合の活性代謝物R-138727の薬物動態は、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してCmaxが初回負荷用量(60mg)投与時で約46%及び維持用量(15mg)投与時で約34%低下したが、AUC0-24hへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制率(20μM ADP惹起)は初回負荷用量及び維持用量投与時のいずれもケトコナゾールの併用による影響を受けなかった。CYP3A4の誘導剤であるリファンピシンの前投与は、R-138727の曝露に影響を及ぼさなかった。
プロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールと併用した場合及びH2受容体拮抗剤であるラニチジンと併用した場合、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してR-138727のCmaxがプラスグレル60mg投与時で約14~29%低下したが、AUCへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制作用(血小板活性化の抑制)は併用による影響を受けなかった5,6)。 (外国人データ)
注) 本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
表1
活性代謝物R-138727の薬物動態パラメータ
投与量 n Cmax
(ng/mL) Tmax
(hr) AUClast
(ng・hr/mL) t1/2
(hr)
20mg
(投与1日目) 23 177.1±96.3 0.6±0.2 185.1±66.5 4.9±5.8
3.75mg
(投与7日目) 23 29.2±15.5 0.6±0.4 26.3±9.2 0.9±0.4
mean±SD
臨床成績
1. 国内臨床成績
(1) 急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)7)
PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者1,385例を対象とした国内第III相臨床試験における投与24週後までの主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。
(表2参照)
冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル群で5.7%(39/685例)、クロピドグレル群で4.3%(29/678例)であった。このうち、PCIの合併症の発現率は、プラスグレル群で2.8%(19/685例)、クロピドグレル群で1.8%(12/678例)であった。
CABGに関連しない、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血の発現率は、プラスグレル群で9.6%(66/685例)、クロピドグレル群で9.6%(65/678例)であった。なお、投与終了後14日以内にCABGが施行された患者での、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血は、プラスグレル群で10例中9例に、クロピドグレル群で9例中7例に発現した。
なお、初回負荷投与を除き、原則食後投与であった。
(2) 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞8)
安定狭心症、陳旧性心筋梗塞患者774例を対象とした国内第III相臨床試験における投与24週後までの主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。
(表3参照)
CABGに関連しない、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血の発現率は、プラスグレル群で5.4%(20/370例)、クロピドグレル群で6.2%(23/372例)であった。なお、投与終了後14日以内にCABGが施行された患者での、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血は、プラスグレル群で3例中3例に、クロピドグレル群で1例中1例に発現した。
なお、初回負荷投与を除き、原則食後投与であった。
また、国内第II相臨床試験における高齢(75歳以上)又は低体重(50kg以下)の患者での投与12週後までの主要心血管イベント(全死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、再入院を要する心筋虚血及び血行再建術の複合エンドポイント)の発現率は、プラスグレル2.5mg群a)で5.4%(2/37例)、プラスグレル3.75mg群b)で10.8%(4/37例)、クロピドグレル群c,d)で11.1%(4/36例)であった。
CABGに関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル2.5mg群で0%(0/37例)、プラスグレル3.75mg群で2.7%(1/37例)、クロピドグレル群で2.8%(1/36例)であった。
a)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量2.5mg/日
b)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日
c)アスピリン81~100mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日
d)参考として設定した群であり、統計学的な比較対照群ではない。
2. 海外臨床成績9)
PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者13,619例を対象とした海外第III相臨床試験における主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。
(表4参照)
CABGに関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル群で4.49%(303/6,741例)、クロピドグレル群で3.44%(231/6,716例)であった。なお、CABGが施行された患者での大出血の発現率は、プラスグレル群で11.27%(24/213例)、クロピドグレル群で3.57%(8/224例)であった。
注)本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
表2
PCI適用予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者における投与24週後までの主要心血管イベントa)の発現率(国内第III相臨床試験)
プラスグレル群b) クロピドグレル群c) ハザード比
(95%信頼区間)
発現率(例数) 9.3%(64/685) 11.8%(80/678) 0.773(0.557,1.074)
a)心血管死、非致死性心筋梗塞及び非致死性虚血性脳卒中の複合エンドポイント
b)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日
c)アスピリン81~100mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日
表3
安定狭心症、陳旧性心筋梗塞患者における投与24週後までの主要心血管イベントa)の発現率(国内第III相臨床試験)
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