nfは,それぞれ平均21%及び5%上昇した。
(3) 分布
エルビテグラビル
ヒト血漿蛋白に対する結合率は,1ng/mL~1.6μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず98~99%であった。エルビテグラビルの血液中濃度/血漿中濃度比は0.73(平均値)であった14)。
コビシスタット
ヒト血漿蛋白に対する結合率は97~98%であり15),血液中濃度/血漿中濃度比は0.5(平均値)であった2)。
エムトリシタビン
ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.02~200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.01~25μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず0.7%未満であった。
(4) 代謝
エルビテグラビル
肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験において,主にCYP3Aにより代謝され,またUGT1A1/3によりグルクロン酸抱合を受けた1)。
コビシスタット
肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験において,主にCYP3Aにより代謝され,一部CYP2D6で代謝された2)。また,in vivo試料中にグルクロン酸抱合体は検出されなかった2)。
エムトリシタビン
in vitro試験及びin vivo試料中で代謝物はほとんど検出されなかった16)19)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
経口投与後速やかにテノホビルに代謝され,その後細胞内でテノホビル二リン酸に代謝された。また,in vitro試験から,テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもCYPの基質ではないことが示された17)。
(5) 排泄
エルビテグラビル
健康被験者に本剤反復投与後のエルビテグラビルの消失半減期は約12.9時間(中央値)であった18)。14C-エルビテグラビル50mgをリトナビル100mgでブーストして投与したところ,投与量の94.8%が糞中に,6.7%が尿中に排泄された14)。
コビシスタット
健康被験者に本剤反復投与後のコビシスタットの消失半減期は約3.5時間(中央値)であった18)。コビシスタット150mgを6日間反復投与した後に14C-コビシスタット150mgを経口投与したところ,投与量の86.2%が糞中に,8.2%が尿中に排泄された2)。
エムトリシタビン
健康被験者にエムトリシタビン200mg単回投与後の消失半減期は約10時間であった。健康被験者にエムトリシタビン200mg反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,放射能量の86%は尿中に,14%は糞中に完全に回収された19)。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された4)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
HIV-1感染症患者にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg単回投与時のテノホビルのβ相半減期は約17時間であった。また,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg1日1回食後反復経口投与した際,投与量の32%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に回収され,テノホビルを静脈内投与した場合は,投与量の70~80%が72時間までに,テノホビルとして尿中に回収された5)。腎クリアランスは推定クレアチニンクリアランスを超えていると考えられたことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送による腎排泄が示唆された20)。
(6) 腎機能障害患者
エルビテグラビル及びコビシスタット
クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の重度の腎機能障害を有する被験者において,エルビテグラビル150mg及びコビシスタット150mg投与時の薬物動態を検討した。健康被験者に対し重度の腎機能障害を有する被験者のAUCtauは,エルビテグラビルで約25%低下し,コビシスタットで約25%上昇した21)。
エムトリシタビン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の被験者では,クレアチニンクリアランスが80mL/min超の被験者に対しエムトリシタビンのCmax及びAUCは1.3倍及び3.0倍上昇し,テノホビルのCmax及びAUCは1.7倍及び6.6倍上昇した22)。
(7) 肝機能障害患者
エルビテグラビル及びコビシスタット
中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する被験者において,エルビテグラビル150mg及びコビシスタット150mg投与時の薬物動態を検討した。健康被験者に対し中等度の肝機能障害を有する被験者のAUCtauは,エルビテグラビルで35%上昇し,コビシスタットでは変化が認められなかった23)。
エムトリシタビン
肝機能障害を有する被験者におけるエムトリシタビンの薬物動態は未検討である。しかし,エムトリシタビンは肝臓の薬物代謝酵素によりほとんど代謝されないため肝機能障害の影響は受けにくいと考えられる16)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を中等度から重度の肝機能障害を有する被験者に投与したときのテノホビルの薬物動態を検討した。健康被験者に対し重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)を有する被験者の場合では,Cmax及びAUCはそれぞれ1.4倍及び1.4倍上昇した22)。
(8) 薬物相互作用
併用薬投与時のエルビテグラビルの薬物動態への影響を表3に,併用薬投与時のコビシスタットの薬物動態への影響を表4に,エルビテグラビル製剤及びコビシスタット製剤,コビシスタット製剤又は本剤投与時の併用薬の薬物動態への影響を表5に示す。
すべての薬物相互作用試験は健康被験者を対象として実施した。
薬物動態の表
表1 本剤単回経口投与時のエルビテグラビル,コビシスタット,エムトリシタビン及びテノホビルの薬物動態パラメータ
エルビテグラビル コビシスタット エムトリシタビン テノホビル
Cmax
(μg/mL) 2.3±0.5 1.1±0.2 2.3±0.3 0.6±0.1
t1/2
(hr) 4.3±1.0 3.1±0.5 13.1±2.1 15.6±1.0
AUCinf
(μg・hr/mL) 28.9±5.9 6.7±2.5 11.1±1.2&nb