は,M184I/Vも認められた。表現型解析の結果,M184V/Iを認めたHIV-1分離株は,エムトリシタビンに対する感受性が,野生株に対して61倍から152倍超低下した。エルビテグラビルの主要耐性関連変異を認めたHIV-1株は,エルビテグラビルに対する感受性が5.6倍から198倍超低下した。
抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者
236-0115試験,236-0121試験において,48週後の時点で遺伝子型及び表現型解析の対象となった被験者に,耐性変異は認められなかった。
4. 交差耐性
本剤の治療失敗例から分離したHIV-1株は,インテグラーゼ阻害薬及び核酸系逆転写酵素阻害薬に対し様々な交差耐性を示し,その程度は特定のアミノ酸置換に応じて変化した。これらのHIV-1株は,すべての非核酸系逆転写酵素阻害薬及びプロテアーゼ阻害薬に対して感受性を維持していた。
エルビテグラビル
インテグラーゼ阻害薬の間で交差耐性が認められた。培養細胞系においてエルビテグラビル耐性ウイルスは,ラルテグラビルに対し様々な交差耐性を示し,その程度はHIV-1インテグラーゼのアミノ酸置換の数や種類に応じて変化した。本剤のウイルス学的治療失敗例から検出された4種類のエルビテグラビルの主要耐性関連変異のうち,E92Q,Q148R及びN155Hの個々の変異は,エルビテグラビル及びラルテグラビルに対する感受性の低下を示し,FC値はそれぞれ32倍以上及び5倍以上に上昇した。T66Iは,エルビテグラビルに対する感受性が低下し,FC値が14倍以上に上昇したが,ラルテグラビルに対するFC値は3倍以下であった。3種類のラルテグラビル主要耐性関連変異(Y143H/R,Q148H/K/R及びN155H)のうち,Y143Hを除くすべての変異がエルビテグラビルに対する感受性の低下を示し,FC値は5倍以上に上昇した。
エムトリシタビン
核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。HIV-1逆転写酵素のM184V/Iを有するHIV-1株は,ラミブジンに対して交差耐性を示した。また,アバカビル,ジダノシン及びテノホビルによりin vivoで出現したK65R変異を有するHIV-1株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。テノホビルにより出現したK65R変異を持つHIV-1株は,アバカビル又はジダノシンが投与された患者においても出現することがある。K65R変異を持つHIV-1株は,エムトリシタビン及びラミブジンに対する感受性も低下したため,K65R変異ウイルスを有する患者では,これらの核酸系逆転写酵素阻害薬に対し交差耐性を示す可能性がある。平均3ヵ所のジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1臨床分離株(20例)では,テノホビルに対する感受性が低下し,FC値は3.1倍に上昇した45)。ジドブジン耐性関連変異がなく,L74V変異ウイルスを有する患者(8例)では,テノホビルの治療効果が低下した。Y115F変異(3例),Q151M変異(2例)又はT69挿入変異(4例)を持つ患者のデータは限られているが,全例でテノホビルの感受性が低下していた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エルビテグラビル Elvitegravir
化学名
6-[(3-Chloro-2-fluorophenyl)methyl]-1-[(2S)-1-hydroxy-3-methylbutan-2-yl]-7-methoxy-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid
分子式
C23H23ClFNO5
分子量
447.88
化学構造式
性 状
白色~微黄色の粉末であり,ジメチルスルホキシド,N,N-ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランに溶けやすく,アセトニトリル,メタノール又はエタノール(95)にやや溶けにくく,2-プロパノールに溶けにくく,水にほとんど溶けない。
融 点
約163℃
分配係数
LogD=4.5(pH6.8)
一般名
コビシスタット Cobicistat
化学名
1,3-Thiazol-5-ylmethyl {(2R,5R)-5-[(2S)-2-(3-methyl-3-{[2-(1-methylethyl)-1,3-thiazol-4-yl]methyl}ureido)-4-(morpholin-4-yl)butanamido]-1,6-diphenylhexan-2-yl}carbamate
分子式
C40H53N7O5S2
分子量
776.02
化学構造式
性 状
白色~微黄色の固体であり,アセトニトリル,ジクロロメタン,ジメチルスルホキシド又はメタノールに溶けやすく,水又はヘプタンにほとんど溶けない。
融 点
ガラス転移温度35℃,約200℃(分解)
分配係数
4.3(1-オクタノール/pH8.5のリン酸塩緩衝液)
一般名
エムトリシタビン Emtricitabine
化学名
4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
分子式
C8H10FN3O3S
分子量
247.25
化学構造式
性 状
白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
融 点
約155℃
分配係数
-0.43(オクタノール/水)
一般名
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 Tenofovir Disoproxil Fumarate
化学名
Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl) {[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl} phosphonate monofumarate
分子式
C19H30N5O10P・C4H4O4
分子量
635.51
化学構造式
性 状
白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融 点
114~118℃
分配係数
1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
承認条件
1.
本剤の使用に当たっては,患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であ