1.
心筋梗塞、脳梗塞、網膜動脈閉塞症、末梢動脈閉塞性疾患、静脈血栓塞栓症等の重篤な血管閉塞性事象があらわれることがあるので、本剤投与中は心血管系疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)を管理するとともに、患者の状態を十分に観察し、胸痛、腹痛、四肢痛、片麻痺、視力低下、息切れ、しびれ等の血管閉塞性事象が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。また、血管閉塞性事象が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。(「慎重投与5.、6.、7.」の項及び「副作用 重大な副作用」の項参照)
2.
肝不全、AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。(「慎重投与1.」の項及び「副作用 重大な副作用」の項参照)
3.
心不全があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認すること。本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。(「慎重投与3.」の項及び「副作用 重大な副作用」の項参照)
4.
血圧の上昇があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行い、必要に応じて降圧剤の投与を行う等の適切な処置を行うこと。重症、持続性あるいは通常の降圧治療でコントロールできない高血圧があらわれた場合には、本剤を減量、休薬又は投与中止すること。(「副作用 重大な副作用」の項参照)
5.
膵炎があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて膵酵素に関する血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。(「慎重投与2.」の項及び「副作用 重大な副作用」の項参照)
6.
好中球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて血液検査(血球数算定等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。(「副作用 重大な副作用」の項参照)
7.
体液貯留(心嚢液貯留、胸水、肺水腫、末梢性浮腫等)があらわれることがあるので、本剤投与中は体重を定期的に測定する等、患者の状態を十分に観察し、急激な体重の増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与する等、適切な処置を行うこと。(「副作用 重大な副作用」の項参照)
8.
眼乾燥、霧視、眼痛、結膜出血等の眼障害があらわれることがあり、網膜動脈閉塞により失明に至った例も報告されているので、本剤投与中は定期的に眼科検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
9.
B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
10.
他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の患者に本剤を投与する際には、投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が起こるおそれがあるので、前治療の副作用の内容を確認してから投与すること。(「慎重投与8.」の項参照)
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主としてCYP3Aで代謝される。(〔薬物動態〕の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A阻害剤
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リトナビル、ジルチアゼム、ベラパミル等
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
機序・危険因子
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。(〔薬物動態〕の項参照)
2. 薬剤名等
CYP3A誘導剤
リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等
セイヨウオトギリソウ含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
機序・危険因子
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。(〔薬物動態〕の項参照)
副作用
副作用等発現状況の概要
前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病及び再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象とした国内第I/II相試験において、本剤が投与された35例中、34例(97.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、発熱17例(48.6%)、血小板数減少16例(45.7%)、高血圧13例(37.1%)、リパーゼ増加11例(31.4%)、好中球数減少10例(28.6%)、発疹9例(25.7%)、皮膚乾燥9例(25.7%)、ALT(GPT)増加8例(22.9%)、AST(GOT)増加8例(22.9%)、便秘6例(17.1%)、γ-GTP増加6例(17.1%)、白血球数減少6例(17.1%)、薬疹6例(17.1%)、筋肉痛5例(14.3%)、血中ALP増加5例(14.3%)、末梢性浮腫4例(11.4%)、発熱性好中球減少症4例(11.4%)であった。(承認時)
前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病及び再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象とした海外第II相試験において、本剤が投与された449例中、419例(93.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、血小板数減少169例(37.6%)、発疹159例(35.4%)、皮膚乾燥145例(32.3%)、腹痛105例(23.4%)、好中球減少89例(19.8%)、頭痛88例(19.6%)、リパーゼ増加86例(19.2%)、疲労79例(17.6%)、便秘74例(16.5%)、筋肉痛74例(16.5%)、関節痛72例(16.0%)、悪心65例(14.5%)、貧血6