E Keppra for I.V. infusion 500mg(Levetiracetam)イーケプラ点滴静注500mg
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作成又は改訂年月
**2016年5月改訂( 部、第5版)
*2016年2月改訂(第4版)
日本標準商品分類番号
871139
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
*2016年2月
国際誕生年月
1999年11月
薬効分類名
抗てんかん剤
承認等
販売名
イーケプラ点滴静注500mg
販売名コード
1139402A1025
承認・許可番号
承認番号
22600AMX00747000
商標名
E Keppra for I.V. infusion 500mg
薬価基準収載年月
2015年11月
販売開始年月
2015年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示
規制区分
処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
成分・分量注)
1バイアル(5mL)中レベチラセタム500mg
添加物
酢酸ナトリウム水和物、氷酢酸、塩化ナトリウム、注射用水
性状
性状
無色澄明な注射液
pH
5.0~6.0
浸透圧比
約3(生理食塩液に対する比)
注)本剤の実際の充てん量は表示量より多く、表示量を吸引するに足る量である。
一般的名称
レベチラセタム注射液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分又はピロリドン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
*一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するレベチラセタム経口製剤の代替療法
○てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
*○他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法
用法及び用量
レベチラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合:
通常、レベチラセタム経口投与と同じ1日用量及び投与回数にて、1回量を15分かけて点滴静脈内投与する。
レベチラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:
成人:
通常、成人にはレベチラセタムとして1日1000mgを1日2回に分け、1回量を15分かけて点滴静脈内投与する。
小児:
通常、4歳以上の小児にはレベチラセタムとして1日20mg/kgを1日2回に分け、1回量を15分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1日最高投与量及び増量方法は以下のとおりとすること。
成人:
成人では1日最高投与量は3000mgを超えないこととし、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として1000mg以下ずつ行う。
小児:
4歳以上の小児では1日最高投与量は60mg/kgを超えないこととし、増量は2週間以上の間隔をあけて1日用量として20mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ投与量を用いること。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤は、希釈してから投与すること(「適用上の注意」の項参照)。
2.
*本剤を強直間代発作に対して使用する場合には、他の抗てんかん薬と併用すること。[臨床試験において、強直間代発作に対する本剤単独投与での使用経験はない。]
3.
成人腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、下表に示すクレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量及び投与間隔を調節すること。また、血液透析を受けている成人患者では、クレアチニンクリアランス値に応じた1日用量に加えて、血液透析を実施した後に本剤の追加投与を行うこと。なお、ここで示している用法・用量はシミュレーション結果に基づくものであることから、各患者ごとに慎重に観察しながら、用法・用量を調節すること。(「薬物動態」の項参照)
4.
重度の肝機能障害のある患者では、肝臓でのクレアチン産生が低下しており、クレアチニンクリアランス値からでは腎機能障害の程度を過小評価する可能性があることから、より低用量から開始するとともに、慎重に症状を観察しながら用法・用量を調節すること。
5.
点滴静脈内投与から経口投与に切り替える際の経口投与の用法・用量は、点滴静脈内投与と同じ1日用量及び投与回数とすること。
6.
経口投与が可能になった場合は速やかにレベチラセタム経口製剤に切り替えること。[国内外の臨床試験において、5日間以上の点滴静脈内投与の使用経験はない。]
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
腎機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
2.
重度肝機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
3.
高齢者(「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照)
重要な基本的注意
1.
連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあるので、レベチラセタムの投与を中止する場合には、少なくとも2週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
2.
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
3.
易刺激性、錯乱、焦燥、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
4.
患者及びその家族等に攻撃性、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
5.
*小児患者の部分発作に対する単剤療法に関する臨床試験は国内・海外ともに行われていないことから、小児患者の部分発作に対する単剤療法に本剤を使用する場合、特に投与開始時には患者の状態を十分に観察すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
<注射剤における試験成績>
[部分発作に対する併用療法]
成人:
既存の抗てんかん薬とレベチラセタム錠を併用中の部分発作を有する成人(16歳以上)てんかん患者16例を対象として、レベチラセタムの投与経路を経口投与から15分間点滴静脈内投与(4日間)に切り替えたとき、3例(18.8%)に副作用が認められた。その内訳は、注射部位炎症、注射部位疼痛、注射部位腫脹が各1例(6.3%)であった。
<経口剤における試験成績>
[部分発作に対する単剤療法]
成人:
承認申請時までの国内第III相試験(長期投与を含む)における安全性解析対象例71例のうち、39例(54.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠(32.4%)であった。また、臨床検査値異常(副作用)は、ALT増加(1.4%)、γ-GTP増加(1.4%)、好中球数減少(1.4%)、尿中ケトン体陽性(1.4%)であった。
[部分発作に対する併用療法]
成人:
承認申請時までの国内プラセボ対照比較試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例543例のうち、490例(90.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、鼻咽頭炎(53.0%)、傾眠(35.5%)、頭痛(19.9%)、浮動性めまい(17.5%)、下痢(13.8%)、便秘(10.9%)等であった。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、γ-GTP増加(6.8%)、体重減少(5.7%)、好中球数減少(5.5%)であった。
小児:
承認申請時までの国内第III相試験(長期投与を含む)における安全性解析対象例73例のうち、43例(58.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠(42.5%)であった。また、臨床検査値異常(副作用)は、好中球数減少(1.4%)、白血球数増加(1.4%)であった。
*[強直間代発作に対する併用療法]
成人:
承認申請時までに日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験及びそれに続く国内長期継続投与試験における安全性解析対象例218例(日本人39例を含む)のうち、46例(21.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠(4.6%)、上気道感染(1.8%)等であった。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、尿中蛋白陽性(4.1%)、血小板数減少(2.3%)、好中球数減少(1.8%)であった。
小児:
承認申請時までの国内第III相試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例13例のうち、6例(46.2%)に副作用が認められ、主な副作用は傾眠(23.1%)であった。また、臨床検査値異常(副作用)は心電図QT延長(15.4%)であった。
重大な副作用
1. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明*)
観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 薬剤性過敏症症候群1)(頻度不明*)
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
3. 重篤な血液障害(頻度不明*)
汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、好中球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 肝不全、肝炎(頻度不明*)
肝不全、肝炎等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 膵炎(頻度不明*)
激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 攻撃性、自殺企図(1%未満)
易刺激性、錯乱、焦燥、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、患者の状態に十分注意し、これらの症状があらわれた場合には、徐々に減量し中止するなど適切な処置を行うこと。
7. 横紋筋融解症(頻度不明*)
横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8. **急性腎不全(頻度不明*)
急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
*市販後の自発報告及び外国の臨床試験成績に基づく記載のため頻度不明とした。
その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
1. 精神神経系
3%以上
浮動性めまい、頭痛、不眠症、傾眠、痙攣、抑うつ
2. 精神神経系
1~3%未満
不安、体位性めまい、感覚鈍麻、気分変動、睡眠障害、緊張性頭痛、振戦、精神病性障害、易刺激性
3. 精神神経系
1%未満
激越、健忘、注意力障害、幻覚、運動過多、記憶障害、錯感覚、思考異常、平衡障害、感情不安定、異常行動、協調運動異常、怒り、ジスキネジー
4. 精神神経系
頻度不明*
錯乱状態、敵意、気分動揺、神経過敏、人格障害、精神運動亢進、舞踏アテトーゼ運動、パニック発作、嗜眠
5. 眼
3%以上
複視、結膜炎
6. 眼
1~3%未満
眼精疲労、眼そう痒症、麦粒腫
7. 眼
1%未満
霧視
8. 血液
3%以上
白血球数減少、好中球数減少
9. 血液
1~3%未満
貧血、血中鉄減少、鉄欠乏性貧血、血小板数減少、白血球数増加
10. 循環器
1~3%未満
高血圧
11. 循環器
1%未満
*心電図QT延長
12. 消化器
3%以上
腹痛、便秘、下痢、胃腸炎、悪心、口内炎、嘔吐、齲歯、歯痛
13. 消化器
1~3%未満
口唇炎、歯肉腫脹、歯肉炎、痔核、歯周炎、胃不快感
14. 消化器
1%未満
消化不良
15. 肝臓
3%以上
肝機能異常
16. 肝臓
1~3%未満
ALP増加
17. 泌尿・生殖器
3%以上
月経困難症
18. 泌尿・生殖器
1~3%未満
膀胱炎、頻尿、尿中ブドウ糖陽性、尿中血陽性、尿中蛋白陽性
19. 呼吸器
3%以上
鼻咽頭炎、咽頭炎、咽喉頭疼痛、上気道の炎症、インフルエンザ、鼻炎
20. 呼吸器
1~3%未満
気管支炎、咳嗽、鼻出血、肺炎、鼻漏
21. 代謝及び栄養
3%以上
食欲不振
22. 皮膚
3%以上
湿疹、発疹、ざ瘡
23. 皮膚
1~3%未満
皮膚炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、そう痒症、白癬感染
24. 皮膚
1%未満
脱毛症
25. 皮膚
頻度不明*
多形紅斑
26. 筋骨格系
3%以上
関節痛、背部痛
27. 筋骨格系
1~3%未満
肩痛、筋肉痛、四肢痛、頸部痛、筋骨格硬直
28. 筋骨格系
頻度不明*
筋力低下
29. 感覚器
1~3%未満
耳鳴
30. 感覚器
1%未満
回転性めまい
31. その他
3%以上
けん怠感、発熱、体重減少、体重増加、注射部位炎症注)、注射部位疼痛注)、注射部位腫脹注)
32. その他
1~3%未満
血中トリグリセリド増加、胸痛、末梢性浮腫、抗痙攣剤濃度増加
33. その他
1%未満
無力症、疲労
34. その他
頻度不明*
事故による外傷(皮膚裂傷等)
*市販後の自発報告及び外国の臨床試験成績に基づく記載のため頻度不明とした。
注)国内臨床試験(経口剤から注射剤への切り替え試験)で認められた副作用
高齢者への投与
高齢者では腎機能が低下していることが多いため、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど慎重に投与すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、ヒトにおいて、妊娠中にレベチラセタムの血中濃度が低下したとの報告があり、第3トリメスター期間に多く、最大で妊娠前の60%となったとの報告がある。ラットにおいて胎児移行性が認められている。動物実験において、ラットではヒトへの曝露量と同程度以上の曝露で骨格変異及び軽度の骨格異常の増加、成長遅延、児の死亡率増加が認められ、ウサギでは、ヒトへの曝露量の4~5倍の曝露で胚致死、骨格異常の増加及び奇形の増加が認められている。]
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
1.
低出生体重児、新生児、乳児、4歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(国内では、4歳未満での使用経験がなく、4~16歳未満での使用経験は経口剤に限られる)。
2.
*小児患者の部分発作に対する単剤療法に関する臨床試験は国内・海外ともに行われていない。
過量投与
1. 症状
外国の市販後報告において、レベチラセタムを一度に15~140g服用した例があり、傾眠、激越、攻撃性、意識レベルの低下、呼吸抑制及び昏睡が報告されている。
2. 処置
本剤は血液透析により除去可能であり、発現している症状の程度に応じて血液透析の実施を考慮すること。(「薬物動態」の項参照)
適用上の注意
1.
本剤は点滴静脈内投与のみとすること。
2. 調製方法
(1)
本剤の1回投与量(500~1500mg)を100mLの生理食塩液、乳酸リンゲル液又は5%ブドウ糖注射液で希釈すること。小児では、成人での希釈濃度を目安に希釈液量の減量を考慮すること。
(2)
希釈後は、速やかに使用すること。
(3)
希釈後、変色又は溶液中に異物を認める場合は使用しないこと。
その他の注意
1.
海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
2.
外国人成人てんかん患者1208例を対象としたプラセボ対照臨床試験の併合解析において、非精神病性行動症状の有害事象(攻撃性、激越、怒り、不安、無力感、離人症、抑うつ、情動不安定、敵意、運動過多、易刺激性、神経過敏、神経症、人格障害)の発現率は本剤群で13.3%、プラセボ群で6.2%であった。同様に、外国人小児てんかん患者(4~16歳)198例を対象としたプラセボ対照臨床試験における当該有害事象の発現率は本剤群で37.6%、プラセボ群で18.6%であった。
また、外国人小児てんかん患者(4~16歳)98例を対象とした認知機能及び行動に対する影響を評価するプラセボ対照臨床試験において、探索的な検討であるが、プラセボ群と比較して攻撃的行動の悪化が示唆された。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 成人
1) 単回投与及び反復投与2)
健康成人にレベチラセタム1500mgを15分間にて単回点滴静脈内投与及び1日2回4.5日間反復点滴静脈内投与したとき、レベチラセタムの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
(表1参照)
2) 点滴静脈内投与と経口投与の比較3)
健康成人にレベチラセタム1500mgを15分間点滴静脈内投与又は経口投与したとき、レベチラセタムの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。経口投与時と比較して、点滴静脈内投与時のCmaxは約1.6倍高く、AUC及びt1/2は類似していた。なお、レベチラセタム経口投与時の生物学的利用率は約100%であった。
(表2参照)
(2) 小児
1) 外国人小児てんかん患者4)
外国人小児てんかん患者(計49例:生後1ヵ月~4歳未満17例、4~16歳未満32例)から収集した血漿中レベチラセタム濃度データを用いて、レベチラセタム15分間点滴静脈内投与後の薬物動態を検討した。本剤投与時の血漿中レベチラセタム濃度は、レベチラセタム経口投与時と同程度であった。また、本剤の母集団薬物動態解析の結果、全身クリアランスに対して体重及び腎機能成熟度、分布容積に対して体重が統計学的に有意かつ臨床的に意味のある因子として推定された。
2) 母集団薬物動態解析(経口剤における試験成績)5)
日本人小児(4~16歳)及び成人(16~55歳)のてんかん患者から得られた血漿中レベチラセタム濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を行った。その結果、CL/Fに対して体重及び併用抗てんかん薬、V/Fに対して体重が統計学的に有意かつ臨床的に意味のある因子として推定された。日本人小児及び成人てんかん患者の血漿中薬物濃度をシミュレーションした結果、日本人小児てんかん患者に10~30mg/kgを1日2回投与した際の血漿中薬物濃度は、日本人成人てんかん患者に500~1500mg1日2回投与した際と同様と予測された。
2. 分布2, 6)
健康成人にレベチラセタム1500mgを単回点滴静脈内投与したときの分布容積の平均値は35.8L(0.54L/kg)であり2)、体内総水分量に近い値であった。in vitro及びex vivo試験6)の結果、レベチラセタム及び主代謝物であるucb L057の血漿たん白結合率は、10%未満である。
3. 代謝
レベチラセタムは、肝チトクロームP450系代謝酵素では代謝されない。主要な代謝経路はアセトアミド基の酵素的加水分解であり、これにより生成されるのは主代謝物のucb L057(カルボキシル体)である。なお、本代謝物に薬理学的活性はない。
in vitro試験において、レベチラセタム及びucb L057はCYP(3A3/4、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1及び1A2)、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1及びUGT1A6)及びエポキシドヒドロラーゼに対して阻害作用を示さなかった。また、バルプロ酸ナトリウムのグルクロン酸抱合にも影響を及ぼさなかった。
4. 排泄2, 6, 7)
健康成人にレベチラセタム1500mgを単回点滴静脈内投与したときの全身クリアランスの平均値は0.87mL/min/kgであった2)。
健康成人(各投与量6例)にレベチラセタム250~5000mg注)を空腹時に単回経口投与したとき7)、投与48時間後までの投与量に対する尿中排泄率の平均値は、未変化体として56.3~65.3%、ucb L057として17.7~21.9%であった。健康成人男性(外国人)4例に14C-レベチラセタム500mgを単回経口投与したとき6)、投与48時間後までに投与量の92.8%の放射能が尿中から、0.1%が糞中から回収された。投与48時間後までの投与量に対する尿中排泄率は、未変化体として65.9%、ucb L057として23.7%であった。
レベチラセタムの排泄には糸球体ろ過及び尿細管再吸収が、ucb L057には糸球体ろ過と能動的尿細管分泌が関与している。
注)国内で承認された本剤の1日最高投与量は3000mgである。
5. 腎機能障害患者(経口剤における試験成績)8)
腎機能の程度の異なる成人被験者を対象に、レベチラセタムを単回経口投与したとき、見かけの全身クリアランスは腎機能正常者(CLCR:80mL/min/1.73m2)と比較して、軽度低下者(CLCR:50~<80mL/min/1.73m2)では40%、中等度低下者(CLCR:30~<50mL/min/1.73m2)で52%、重度低下者(CLCR:<30mL/min/1.73m2)で60%低下した。レベチラセタムとucb L057の腎クリアランスはクレアチニンクリアランスと有意に相関した。
(表3参照)
6. 血液透析を受けている末期腎機能障害患者(経口剤における試験成績)8)
血液透析を受けている末期腎機能障害の成人被験者にレベチラセタム500mgを透析開始44時間前に単回経口投与したとき、レベチラセタムの非透析時の消失半減期は34.7時間であったが、透析中は2.3時間に短縮した。レベチラセタム及びucb L057の透析による除去効率は高く、81%及び87%であった。
(表4参照)
7. 肝機能障害患者(経口剤における試験成績、外国人データ)9)
軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の成人肝機能低下者にレベチラセタムを単回経口投与したとき、レベチラセタムの全身クリアランスに変化はみられなかった。重度(Child-Pugh分類C)の肝機能低下者では、全身クリアランスが健康成人の約50%となった。
(表5参照)
8. 高齢者(経口剤における試験成績、外国人データ)10)
高齢者におけるレベチラセタムの薬物動態について、クレアチニンクリアランスが30~71mL/minの被験者16例(年齢61~88歳)を対象として評価した結果、高齢者では消失半減期が約40%延長し、10~11時間となった。
9. 薬物相互作用
(1) フェニトイン(経口剤における試験成績、外国人データ)11)
フェニトインの単剤治療で十分にコントロールできない部分発作又は二次性全般化強直間代発作を有する成人てんかん患者6例を対象に、レベチラセタム3000mg/日を併用投与したとき、フェニトインの血清中濃度や薬物動態パラメータに影響を及ぼさなかった。フェニトインもレベチラセタムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
(2) バルプロ酸ナトリウム(経口剤における試験成績、外国人データ)12)
健康成人16例を対象に、バルプロ酸ナトリウムの定常状態下においてレベチラセタムを1500mg単回経口投与したとき、バルプロ酸ナトリウムはレベチラセタムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。レベチラセタムもバルプロ酸ナトリウムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
(3) 経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの合剤)(経口剤における試験成績、外国人データ)13)
健康成人女性18例を対象に、経口避妊薬(エチニルエストラジオール0.03mg及びレボノルゲストレル0.15mgの合剤を1日1回)及びレベチラセタムを1回500mg1日2回21日間反復経口投与したとき、レベチラセタムはエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの薬物動態パラメータに影響を及ぼさなかった。各被験者の血中プロゲステロン及び黄体形成ホルモン濃度は低濃度で推移し、経口避妊薬の薬効に影響を及ぼさなかった。経口避妊薬は、レベチラセタムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
(4) ジゴキシン(経口剤における試験成績、外国人データ)14)
健康成人11例を対象に、ジゴキシン(1回0.25mgを1日1回)及びレベチラセタム1回1000mg1日2回7日間反復経口投与したとき、レベチラセタムはジゴキシンの薬物動態パラメータに影響を及ぼさなかった。ジゴキシンもレベチラセタムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
(5) ワルファリン(経口剤における試験成績、外国人データ)15)
プロトロンビン時間の国際標準比(INR)を目標値の範囲内に維持するよう、ワルファリンの投与を継続的に受けている健康成人26例を対象に、ワルファリン(2.5~7.5mg/日)及びレベチラセタム1回1000mg1日2回7日間反復経口投与したとき、レベチラセタムはワルファリン濃度に影響を及ぼさず、プロトロンビン時間も影響を受けなかった。ワルファリンもレベチラセタムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
(6) プロベネシド(経口剤における試験成績、外国人データ)16)
健康成人23例を対象に、プロベネシド(1回500mgを1日4回)及びレベチラセタム1回1000mg1日2回4日間反復経口投与したとき、プロベネシドはレベチラセタムの薬物動態には影響を及ぼさなかったが、主代謝物ucb L057の腎クリアランスを61%低下させた。
薬物動態の表
表1 血中濃度:成人 単回投与及び反復投与
薬物動態
パラメータ 単回投与
(N=16) 反復投与
(N=16)
Cmax(μg/mL) 108.7[17.5] 109.0[17.3]
tmax(h) 0.25(0.25-0.25) 0.25(0.25-0.25)
AUC0-12h(μg・h/mL) - 390.8[10.0]
AUC0-∞(μg・h/mL) 437.3[11.7] -
t1/2(h) 7.21[11.9] -
CL(L/h) a) 3.43[11.7] 3.84[10.0]
幾何平均値[CV(%)]、tmaxでは中央値(最小値-最大値)
a)反復投与ではCLss
Cmax:最高血中濃度
tmax:最高血中濃度到達時間
AUC:血中薬物濃度-時間曲線下面積
t1/2:消失半減期
CL:全身クリアランス
表2 血中濃度:成人 点滴静脈内投与と経口投与の比較
薬物動態
パラメータ 点滴静脈内投与
(N=25) 経口投与
(N=25) 幾何平均比a)
(90%信頼区間)
Cmax(μg/mL) 97.0[27.6] 58.9[37.0] 1.64(1.47-1.83)
AUC0-t(μg・h/mL) 472.3[15.4] 487.4[15.9] 0.97(0.95-0.99)
tmax(h) 0.25(0.17-0.27) 0.75(0.50-3.00) -
t1/2(h) 7.11[11.7] 7.23[12.7] -
幾何平均値[CV(%)]、tmaxでは中央値(最小値-最大値)
a)点滴静脈内投与/経口投与
表3 腎機能障害患者(経口剤における試験成績)
薬物動態
パラメータ 腎機能の程度
正常
(N=6) 腎機能の程度
軽度
(N=6) 腎機能の程度
中等度
(N=6) 腎機能の程度
重度
(N=6)
CLCR(mL/min/1.73m2) 80 50-<80 30-<50 <30
投与量 500mg 500mg 250mg 250mg
レベチラセタム
Cmax(μg/mL) 22.8±6.3 16.0±4.1 11.0±2.2 9.5±3.0
tmax(h) 0.5(0.5-2.0) 1.0(0.5-2.0) 0.5(0.5-1.0) 0.5(0.5-1.0)
AUC0-t(μg・h/mL) 167.9±27.9 250.5±41.0 171.2±27.8 215.3±41.0
t1/2(h) 7.6±0.5 12.7±1.4 15.7±2.6 20.3±5.5
CL/F(mL/min/1.73m2) 51.7±4.1 31.2±4.8 24.9±3.9 20.6±4.0
CLR(mL/min/1.73m2) 32.5±8.3 15.7±4.1 10.0±2.4 6.6±2.7
ucb L057
Cmax(μg/mL) 0.36±0.03 0.77±0.17 0.58±0.17 1.10±0.36
tmax(h) 5.0(2.0-8.0) 8.0(6.0-12.0) 12.0(8.0-12.0) 24.0(12.0-24.0)
AUC0-t(μg・h/mL) 5.9±0.6 24.0±7.6 20.7±10.0 66.5±45.8
t1/2(h) 12.4(11.3-15.3) 19.0(17.3-19.9) 20.3(19.7-23.6) 26.8(17.2-33.3)
CLR(mL/min/1.73m2) 251.4±35.8 111.8±43.9 88.8±44.1 31.3±11.6
平均値±SD、tmax及びucb L057のt1/2は中央値(最小値-最大値)
CL/F:見かけの全身クリアランス
CLR:腎クリアランス
表4 血液透析を受けている末期腎機能障害患者(経口剤における試験成績)
薬物動態パラメータ レベチラセタム ucb L057
Cmax(μg/mL) 18.7±1.6 8.86±0.63
tmax(h) 0.7(0.4-1.0) 44.0(44.0-44.0)
t1/2(h) 34.7(29.2-38.6) -
AUC0-44h(μg・h/mL) 464.6±49.6 231.0±18.0
CL/F(mL/min/1.73m2) 10.9(9.4-13.1) -
ダイアライザーの除去効率(%) 81.3±5.8 86.9±5.9
血液透析中の消失半減期(h) 2.3(2.1-2.6) 2.1(1.9-2.6)
血液透析クリアランス(mL/min/1.73m2) 115.7±9.3 123.1±8.6
N=6、平均値±SD
tmax、t1/2、CL/F、血液透析中の消失半減期は中央値(最小値-最大値)
表5 肝機能障害患者(経口剤における試験成績、外国人データ)
薬物動態
パラメータ 健康成人
(N=5) 肝機能低下者
Child-Pugh
分類A
(N=5) 肝機能低下者
Child-Pugh
分類B
(N=6) 肝機能低下者
Child-Pugh
分類C
(N=5)
CLCR(mL/min/1.73m2)a) 93.1±13.8 120.8±11.9 99.6±13.2 63.5±13.5
レベチラセタム
Cmax(μg/mL) 23.1±1.2 23.6±4.9 24.7±3.3 24.1±3.8
tmax(h) 0.8±0.3 0.6±0.2 0.5±0.0 1.6±1.5
AUC(μg・h/mL) 234±49 224±25 262±58 595±220
t1/2(h) 7.6±1.0 7.6±0.7 8.7±1.5 18.4±7.2
CL/F(mL/min/1.73m2) 63.4±9.7 62.5±8.7 55.4±10.5 29.2±13.5
平均値±SD
a)レベチラセタム投与後の値
臨床成績
1. 経口剤から注射剤への切り替え試験
(1) 部分発作に対する併用療法17)
部分発作を有する16歳以上のてんかん患者16例を対象に、レベチラセタム1000~3000mg/日を経口投与から15分間点滴静脈内投与(4日間、1日2回)に切り替えたとき、経口投与時及び点滴静脈内投与時における1日あたりの部分発作回数の中央値(第1四分位点-第3四分位点)は、0.59(0.04-1.12)回及び0.38(0.00-1.00)回であった。
2. 経口剤における臨床試験成績
(1) 部分発作に対する単剤療法(成人)18)
最近てんかんと診断された部分発作を有する16歳以上の患者を対象として、レベチラセタム1000~2000mg/日(1000mg/日を投与中に発作がみられた場合は2000mg/日に増量)又は3000mg/日(発作の有無にかかわらず、3000mg/日に強制漸増)を単剤にて経口投与したとき、主要評価項目である1000~2000mg/日群の最終評価用量における6ヵ月間発作消失患者の割合は、73.8%(45/61例)であった。1000~2000mg/日群の最終評価用量での1年間発作消失患者の割合は59.0%(36/61例)であった。また、3000mg/日群における6ヵ月間発作消失患者の割合は22.2%(2/9例)、1年間発作消失患者の割合は11.1%(1/9例)であった。
(2) 部分発作に対する併用療法
1)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する成人てんかん患者を対象として、二重盲検比較試験を実施した。
1. 試験119)
レベチラセタム1000mg/日、3000mg/日及びプラセボを12週間経口投与(既存の抗てんかん薬との併用)した場合、主要評価項目である週あたりの部分発作回数減少率は下表のとおりであり、プラセボ群とレベチラセタム群(1000及び3000mg/日)並びにレベチラセタム1000mg/日群の間で統計学的な有意差が認められた(それぞれp<0.001並びにp=0.006、投与群を因子、観察期間における対数変換した週あたりの部分発作回数を共変量とする共分散分析)。なお、各群における50%レスポンダーレート(週あたりの部分発作回数が観察期間と比べて50%以上改善した患者の割合)は、プラセボ群13.8%(9/65例)、1000mg/日群31.3%(20/64例)、3000mg/日群28.6%(18/63例)であった。
(表8参照)
2. 試験220)
レベチラセタム500mg/日、1000mg/日、2000mg/日、3000mg/日及びプラセボを12週間経口投与(既存の抗てんかん薬との併用)した場合、評価期間における観察期間からの週あたりの部分発作回数減少率(中央値)は、それぞれ12.92%、18.00%、11.11%、31.67%及び12.50%であり、主要評価項目であるレベチラセタム1000mg/日群、3000mg/日群及びプラセボ群の3群間での評価期間における観察期間からの週あたりの部分発作回数減少率に、統計学的な有意差は認められなかった(p=0.067、Kruskal-Wallis検定)。なお、各群における50%レスポンダーレートは、プラセボ群11.6%(8/69例)、500mg/日群19.1%(13/68例)、1000mg/日群17.6%(12/68例)、2000mg/日群16.2%(11/68例)、3000mg/日群33.3%(22/66例)であった。
2) 長期継続投与試験(成人)21)
試験1を完了した患者151例を対象として、レベチラセタム1000~3000mg/日を1日2回に分けて経口投与したときの部分発作回数は以下のとおりであった。
(注)本試験に参加した被験者のうち、76例がその後計画された継続試験に移行し本試験を終了した(33~36ヶ月で1例、36~48ヶ月で47例、48ヶ月以降で28例)。
3) *小児国内第III相試験(非盲検試験)22)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分発作を有する4歳以上16歳未満の小児てんかん患者73例を対象として、レベチラセタム40又は60mg/kg/日(体重50kg以上は2000又は3000mg/日)を1日2回に分けて14週間経口投与(既存の抗てんかん薬との併用)したとき、主要評価項目である観察期間からの週あたりの部分発作回数減少率の中央値(95%信頼区間)は、43.21%(26.19%, 52.14%)であり、発作頻度の減少が認められた。
また、小児てんかん患者55例に14週以降もレベチラセタム20~60mg/kg/日(体重50kg以上は1000~3000mg/日)を1日2回に分けて継続投与したときの部分発作回数は以下のとおりであった。
(3) *強直間代発作に対する併用療法
1) プラセボ対照国際共同第III相試験(成人)23)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない強直間代発作を有する16歳以上のてんかん患者251例(日本人43例を含む)を対象として、レベチラセタム1000若しくは3000mg/日(1000mg/日から投与を開始し、投与8週までに発作がみられた場合は2週間隔で1000mg/日ずつ3000mg/日に増量)又はプラセボを28週間経口投与(既存の抗てんかん薬との併用)したとき、主要評価項目である観察期間からの週あたりの強直間代発作回数減少率は下表のとおりであり、プラセボ群とレベチラセタム群の間で統計学的な有意差が認められた(p<0.0001、投与群及び国を因子、観察期間における週あたりの強直間代発作回数を共変量とする共分散分析)。
(表9参照)
2) 小児国内第III相試験(非盲検試験)24)
既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない強直間代発作を有する4歳以上16歳未満の小児てんかん患者13例を対象として、レベチラセタム40又は60mg/kg/日(体重50kg以上は2000又は3000mg/日)を24週間経口投与(既存の抗てんかん薬との併用)したとき、主要評価項目である観察期間からの週あたりの強直間代発作回数減少率の中央値(95%信頼区間)は、56.52%(-15.74%, 98.18%)であった。
3) 長期継続投与試験(成人及び小児)25)
プラセボ対照国際共同第III相試験若しくは小児国内第III相試験を完了、又はプラセボ対照国際共同第III相試験を効果不十分のため投与20週以降に中止した日本人患者44例を対象として、成人(16歳以上)ではレベチラセタム1000~3000mg/日、小児ではレベチラセタム20~60mg/kg/日(体重50kg以上は1000~3000mg/日)を経口投与したとき、強直間代発作回数は以下のとおりであった。
臨床成績の表
表8 経口剤における臨床試験成績:部分発作に対する併用療法:プラセボ対照試験(成人) 試験1
例数a) 週あたりの
部分発作回数b)
観察期間 週あたりの
部分発作回数b)
評価期間 週あたりの
部分発作回数b)
減少率
(%) プラセボ群に対する減少率c) d)
[95%信頼区間]
(p値) プラセボ群に対する減少率c) d)
[95%信頼区間]
(p値)
プラセボ群 65 2.73 2.67 6.11 / /
1000mg/日群 64 3.58 2.25 19.61 20.9
[10.2, 30.4]
(p<0.001) 18.8
[6.0, 29.9]
(p=0.006)
3000mg/日群 63 3.44 2.08 27.72 20.9
[10.2, 30.4]
(p<0.001) 23.0
[10.7, 33.6]
a)観察期間及び評価期間の両データが揃っている症例数
b)中央値
c)対数化調整済平均値に基づく減少率
d)投与群を因子、観察期間における対数変換した週あたりの部分発作回数を共変量とする共分散分析
*表9 経口剤における臨床試験成績:強直間代発作に対する併用療法:プラセボ対照国際共同第III相試験(成人)
例数a) 週あたりの
強直間代発作回数b)
観察期間 週あたりの
強直間代発作回数b)
治療期間 週あたりの
強直間代発作回数b)
減少率
(%) プラセボ群との差c)
[95%信頼区間]
(p値)
プラセボ群 109 0.83 0.65 19.64 56.13
[44.02, 68.24]
(p<0.0001)
レベチラセタム群 117 0.89 0.16 76.98 56.13
[44.02, 68.24]
(p<0.0001)
a)Full Analysis Set
b)中央値
c)投与群及び国を因子、観察期間における週あたりの強直間代発作回数を共変量とする共分散分析
薬効薬理
1. *てんかん発作に対する作用26-28)
古典的スクリーニングモデルである最大電撃けいれんモデル及び最大ペンチレンテトラゾール誘発けいれんモデルなどでは、けいれん抑制作用を示さなかった26)が、角膜電気刺激キンドリングマウス26)、ペンチレンテトラゾールキンドリングマウス26)、ピロカルピン又はカイニン酸を投与のラット26)、ストラスブール遺伝性欠神てんかんラット(GAERS)27)、聴原性発作マウス28)などの部分発作、全般発作を反映したてんかん動物モデルにおいて、発作抑制作用を示した。
2. *抗てんかん原性作用29)
扁桃核電気刺激キンドリングラットにおいて、キンドリング形成を抑制した。
3. *中枢神経に対するその他の作用26, 30, 31)
ラットのMorris水迷路試験において認知機能に影響を及ぼさず30)、ローターロッド試験では運動機能に影響を及ぼさなかった26)。また、中大脳動脈結紮ラットにおいて神経細胞保護作用を示した31)。
4. *作用機序32-38)
レベチラセタムは、各種受容体及び主要なイオンチャネルとは結合しないが32)、神経終末のシナプス小胞たん白質2A(SV2A)との結合32, 33)、N型Ca2+チャネル阻害34)、細胞内Ca2+の遊離抑制35)、GABA及びグリシン作動性電流に対するアロステリック阻害の抑制36)、神経細胞間の過剰な同期化の抑制37)などが確認されている。SV2Aに対する結合親和性と各種てんかん動物モデルにおける発作抑制作用との間には相関が認められることから、レベチラセタムとSV2Aの結合が、発作抑制作用に寄与しているものと考えられる38)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
レベチラセタム〔Levetiracetam(JAN)〕
化学名
(2S)-2-(2-Oxopyrrolidine-1-yl)butyramide
構造式
分子式
C8H14N2O2
分子量
170.21
融点
115~119℃
性状
白色~淡灰白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノール及びエタノール(99.5)に溶けやすく、2-プロパノール及びアセトニトリルにやや溶けやすく、トルエン及びジエチルエーテルに溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
分配係数
log P=-0.60(pH7.4、1-オクタノール/リン酸緩衝液)
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
イーケプラ点滴静注500mg:6バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
2)
社内資料:日本人健康成人におけるレベチラセタム注射剤の単回及び反復投与時の薬物動態
3)
社内資料:日本人健康成人におけるレベチラセタム錠及び注射剤の単回投与時の比較
4)
社内資料:外国人小児てんかん患者におけるレベチラセタムの母集団薬物動態解析
5)
Toublanc, N., et al.: Drug Metab. Pharmacokinet. 29, 61(2014)
6)
Strolin Benedetti, M., et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol. 59, 621(2003)
7)
社内資料:日本人健康成人におけるレベチラセタム単回投与時の薬物動態
8)
社内資料:日本人腎機能低下者及び血液透析を受けている末期腎不全患者におけるレベチラセタムの薬物動態
9)
Brockmoeller, J., et al.: Clin. Pharmacol. Ther. 77, 529(2005)
10)
社内資料:高齢者(外国人)におけるレベチラセタム単回及び反復経口投与時の薬物動態
11)
Browne, T. R., et al.: J. Clin. Pharmacol. 40, 590(2000)
12)
Coupez, R., et al.: Epilepsia 44, 171(2003)
13)
Ragueneau-Majlessi, I., et al.: Epilepsia 43, 697(2002)
14)
Levy, R. H., et al.: Epilepsy Res. 46, 93(2001)
15)
Ragueneau-Majlessi, I., et al.: Epilepsy Res. 47, 55(2001)
16)
社内資料:レベチラセタム及び代謝物の薬物動態に及ぼすプロベネシドの影響
17)
井上有史 他:臨床精神薬理 17, 413(2014)
18)
社内資料:日本における部分発作単剤療法の第III相試験
19)
*社内資料:日本における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験(試験1)
20)
*社内資料:日本における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験(試験2)
21)
八木和一 他:てんかん研究 29, 441(2012)
22)
*社内資料:日本における部分発作併用療法の小児第III相試験
23)
*社内資料:日本及び中国における強直間代発作併用療法のプラセボ対照比較試験
24)
*社内資料:日本における強直間代発作併用療法の小児第III相試験
25)
*社内資料:日本における強直間代発作併用療法の長期継続投与試験
26)
Klitgaard, H., et al.: Eur. J. Pharmacol. 353, 191(1998)
27)
Gower, A. J., et al.: Epilepsy Res. 22, 207(1995)
28)
Gower, A. J., et al.: Eur. J. Pharmacol. 222, 193(1992)
29)
Loescher, W., et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther. 284, 474(1998)
30)
Lamberty, Y., et al.: Epilepsy Behav. 1, 333(2000)
31)
Hanon, E., et al.: Seizure 10, 287(2001)
32)
Noyer, M., et al.: Eur. J. Pharmacol. 286, 137(1995)
33)
Lynch, B. A., et al.: Proc. Nat. Acad. Sci. U. S. A. 101, 9861(2004)
34)
Lukyanetz, E. A., et al.: Epilepsia 43, 9(2002)
35)
Pisani, A., et al.: Epilepsia 45, 719(2004)
36)
Rigo, J. M., et al.: Br. J. Pharmacol. 136, 659(2002)
37)
Margineanu, D. G., et al.: Pharmacol. Res. 42, 281(2000)
38)
Kaminski, R. M., et al.: Neuropharmacology 54, 715(2008)
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
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〒108-8242 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー
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東京都千代田区神田司町2-9