.
重度の肝障害のある患者[凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血の危険性が増大するおそれがある。]
5.
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の既往のある患者[HIT抗体との交差反応性は認められていないが、使用経験が少なく、安全性は確立していない(「薬効薬理」の項参照)。]
6.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
本剤の使用にあたっては、個々の患者の出血リスク、体重、年齢、症状(腎機能の低下、血行動態等の心機能、尿量等)を踏まえ、観察を十分に行い、出血等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
2.
本剤の全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられるため、低体重の患者に投与する場合には本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがあるので、十分に注意すること(「慎重投与」の項参照)。
3.
出血等の副作用を生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい(「重大な副作用」の項参照)。
4.
血小板減少症が起こることがあるので、1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行い、急激な血小板数の減少がみられた場合には、投与を中止すること。
5.
ヘパリンから本剤に切り替える場合には、本剤の投与開始時に抗凝固薬として過量にならないよう、一定の投与間隔をあけること(「臨床成績」の項参照)。
6.
*本剤の注射針カバーは天然ゴムラテックスを含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、投与に際し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
相互作用
他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組合せについて検討されているわけではない。抗凝固療法施行中に新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、凝固能の変動に注意すること。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
抗凝固剤
(ヘパリン、低分子ヘパリン、ワルファリン等)
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩等)
血栓溶解剤
(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)
臨床症状・措置方法
これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子
相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
急性肺血栓塞栓症患者を対象とした国内臨床試験において、31例中6例(19.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。その内訳は、出血4例(12.9%)、発疹1例(3.2%)、貧血1例(3.2%)であった(承認時)。
急性深部静脈血栓症患者を対象とした国内臨床試験において、29例中7例(24.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。その内訳は、出血5例(17.2%)、肝機能障害2例(6.9%)、凝固障害1例(3.4%)、血小板数増加1例(3.4%)であった(承認時)。
重大な副作用
1. 出血
出血(15.0%)を生じることがあり、また、まれに後腹膜出血、頭蓋内・脳内出血を生じるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害(3.3%)や黄疸(頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3. *ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシー(血圧低下、頻脈、蕁麻疹等)(いずれも頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1. 血液
4%未満
血小板数増加、貧血、凝固障害
2. 血液
頻度不明注)
血小板減少症、紫斑、血小板異常
3. 肝臓
4%未満
肝機能障害
4. 肝臓
頻度不明注)
高ビリルビン血症
5. 精神神経系
頻度不明注)
頭痛、めまい、不安、傾眠、錯乱
6. 循環器
頻度不明注)
低血圧
7. 消化器
頻度不明注)
便秘、腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、消化不良、胃炎
8. 皮膚
4%未満
発疹
9. 皮膚
頻度不明注)
そう痒
10. 注射部位
頻度不明注)
局所反応
11. 全身症状
頻度不明注)
発熱、浮腫、胸痛、疲労、下肢痛、潮紅、失神
12. その他
頻度不明注)
咳嗽、低カリウム血症、創部分泌、手術部位感染、アレルギー反応、呼吸困難
注)自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
高齢者への投与
一般に高齢者では腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[ヒト胎盤を用いたin vitro試験では胎盤通過性はみられていないものの、妊娠ラットの反復静脈内投与試験では、わずかに胎児への移行が確認されている1)。]
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[ラットにおいて乳汁への移行が報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
徴候、症状
通常用量以上の投与は、出血の危険性を増大させる。
処置
出血を伴う場合には投与を中止し原因を確認すること。症状に応じて、外科的止血、新鮮凍結血漿輸注、血漿交換等の適切な治療の開始を検討すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていない。
適用上の注意
1. 投与部位
連日皮下注射する場合には、例えば左右の前側腹部と後側腹部に交互に投与するなど、注射部位を変えて行うこと。
2. 投与時
(1)
配合変化試験を実施していないので、他の薬剤との混合は避けること。
(2)
本剤は1