重篤な肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
血液凝固能検査等の出血管理を十分に行いつつ使用すること。
2.
脳血栓症の患者に使用する場合、本剤の投与により出血性脳梗塞、脳内出血を助長する可能性があるので、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止すること。(「警告」の項参照)
3.
血液体外循環時に使用する場合、下記の点に留意すること。
(1)
出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時には観察を十分に行い、出血の増悪がみられた場合には減量又は投与を中止すること。
(2)
外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
抗凝固剤:ヘパリン、ワルファリン等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。
機序・危険因子
血液凝固作用を阻害することにより、凝固時間を延長し、出血傾向を増強することが考えられる。
2. 薬剤名等
血小板凝集抑制作用を有する薬剤:アスピリン、オザグレルナトリウム、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、シロスタゾール、ジピリダモール等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。
機序・危険因子
血小板凝集を抑制することにより、出血傾向を増強することが考えられる。
3. 薬剤名等
血栓溶解剤:アルテプラーゼ、ウロキナーゼ等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。
機序・危険因子
プラスミノーゲンをプラスミンに変換させ、生成したプラスミンがフィブリンを分解し血栓を溶解するため、出血傾向を増強することが考えられる。
4. 薬剤名等
フィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤:バトロキソビン等
臨床症状・措置方法
出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。
機序・危険因子
フィブリノーゲンが低下することにより出血傾向を増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は、副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
1. 出血性脳梗塞(頻度不明)
脳血栓症急性期の患者に使用した場合、出血性脳梗塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「警告」の項参照)
2. 脳出血、消化管出血(頻度不明)
脳出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. ショック、アナフィラキシーショック(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明)
劇症肝炎等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
血液注2)
(頻度不明)
凝固時間の延長、出血、血尿、貧血(赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少)、白血球増多、白血球減少、血小板減少
過敏症注3)
(頻度不明)
皮疹(紅斑性発疹等)、そう痒、蕁麻疹
血管
(頻度不明)
血管痛、血管炎
肝臓
(頻度不明)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇、γ-GTP上昇
腎臓
(頻度不明)
BUN上昇、クレアチニン上昇
消化器
(頻度不明)
嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛
その他
(頻度不明)
頭痛、四肢の疼痛、四肢のしびれ、ふらつき、不整脈、心悸亢進、熱感、潮紅、悪寒、発熱、発汗、胸痛、過換気症候群、呼吸困難、血圧上昇、血圧低下、浮腫、腫脹、倦怠感、血清総蛋白減少
注2)このような場合には、減量又は投与を中止すること。
注3)このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
1. 症状
本剤の過量投与により、出血の危険性が増大する。
2. 処置
出血性の合併症が発現した場合は本剤の投与を中止し、出血の原因を確認すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていないので、症状に応じて、外科的止血や新鮮凍結血漿輸注など適切な処置を行うこと。
適用上の注意
1.
ブリスター包装開封後直ちに使用し、使用後の残液は決して使用しないこと。
2. 投与方法
シリンジポンプを用いて投与する場合は、下記の点に注意すること。
(1)
シリンジポンプにセットする際、本シリンジが使用可能な設定であることを必ず確認するとともにシリンジポンプ等の取扱説明書に従って投与すること。
(2)
シリンジポンプの送り機構(スライダー)のフックに確実にセットすること。[正しくセットされていない場合、サイフォニング(自然落下による急速注入)や逆流が起こるおそれがある。]
(3)
本シリンジは、抗凝固薬注入ラインが血液ポンプの下流に設置された血液回路に用いること。[血液回路の閉塞などにより極端な陰圧が発生した場合、ガスケットがプランジャーから外れたり、シリンジポンプの送り機構(スライダー)のフックからプランジャーが外れ、本剤が急速注入されるおそれがある。]
薬効薬理
合成抗トロンビン薬に分類される抗凝血薬。トロンビンの活性部位に結合し、トロンビンの作用、すなわちフィブリン