ARGATROBAN INJECTION(ARGATROBAN HYDRATE)阿加曲班水合物,*アルガトロバン注射液10mg「サワイ」
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作成又は改訂年月
**2011年7月改訂(第10版)
*2010年5月改訂
日本標準商品分類番号
87219
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
2004年11月
薬効分類名
抗トロンビン剤
承認等
販売名
*アルガトロバン注射液10mg「サワイ」
販売名コード
2190408A1089
承認・許可番号
*承認番号
22100AMX02333000
商標名
ARGATROBAN
薬価基準収載年月
2010年5月
販売開始年月
2001年7月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱等に表示
規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成及び性状の表
有効成分・含量 添加物 剤形・性状 pH 浸透圧比(生理食塩液に対する比)
1アンプル(20mL)中
日局アルガトロバン水和物 10mg D-ソルビトール 1.08g
pH調節剤 無色澄明の注射液
(褐色アンプル入り) 5.2~7.2 約1
一般的名称
アルガトロバン注射液
警告
アルガトロバン製剤の脳血栓症急性期の臨床試験において、出血性脳梗塞の発現が認められている。脳血栓症の患者に使用する場合には、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
出血している患者:頭蓋内出血、出血性脳梗塞、血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の凝固障害、月経期間中、手術時、消化管出血、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産婦等〔出血している患者に投与した場合には止血が困難になるおそれがある(「警告」の項参照)。〕
2.
脳塞栓又は脳塞栓のおそれがある患者〔出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」の項参照)。〕
3.
重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者〔大梗塞の患者は出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」の項参照)。〕
4.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果/用法及び用量
1.
下記疾患に伴う神経症候(運動麻痺)、日常生活動作(歩行、起立、坐位保持、食事)の改善
発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)
通常、成人に、はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し、24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回、1回3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
2.
慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍、安静時疼痛ならびに冷感の改善
通常、成人1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を輸液で希釈し、1日2回、1回2~3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
3.
下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
先天性アンチトロンビンIII欠乏患者
アンチトロンビンIII低下を伴う患者
(アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し、かつ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの)
通常、成人に、体外循環開始時に1管(アルガトロバン水和物として10mg)を回路内に投与し、体外循環開始後は毎時2.5管(アルガトロバン水和物として25mg)より投与を開始する。凝固時間の延長、回路内凝血(残血)、透析効率および透析終了時の止血状況等を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定するが、毎時0.5~4管(アルガトロバン水和物として5~40mg)を目安とする。
効能又は効果に関連する使用上の注意
血液体外循環時に使用する場合、播種性血管内血液凝固症候群(DIC)に伴うアンチトロンビンIII低下患者では、血液体外循環時に投与した経験がないので、投与しないことが望ましい。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
慢性動脈閉塞症の患者に使用する場合
4週間を超えて投与した経験は少ないので、本剤の投与期間は4週間以内をめどとすること。
2.
血液体外循環時に使用する場合
本剤を使用することによりアンチトロンビンIIIが70%以上に回復し、体外循環路内の凝血(残血)が管理可能と判断されたときには、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用を速やかに検討し、本剤を漫然と使用しないこと。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
出血の可能性のある患者:消化管潰瘍、内臓の腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、脳出血の既往歴のある患者、血小板の減少している患者、重症高血圧症、重症糖尿病の患者等〔出血を起こすおそれがある。〕
2.
抗凝固剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解剤又はフィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤を投与中の患者〔これらの薬剤と併用することにより、出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること(「相互作用」の項参照)。〕
3.
重篤な肝障害のある患者〔本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
血液凝固能検査等の出血管理を十分に行いつつ使用すること。
2.
脳血栓症の患者に使用する場合、本剤の投与により出血性脳梗塞、脳内出血を助長する可能性があるので、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止すること(「警告」の項参照)。
3.
血液体外循環時に使用する場合、下記の点に留意すること。
(1)
出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時には観察を十分に行い、出血の増悪がみられた場合には減量又は投与を中止すること。
(2)
外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗凝固剤
ヘパリン
ワルファリン
等 出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。 血液凝固作用を阻害することにより、凝固時間を延長し、出血傾向を増強することが考えられる。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン
オザグレルナトリウム
チクロピジン塩酸塩
クロピドグレル硫酸塩
シロスタゾール
ジピリダモール
等 出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。 血小板凝集を抑制することにより、出血傾向を増強することが考えられる。
血栓溶解剤
アルテプラーゼ
ウロキナーゼ
等 出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。 プラスミノーゲンをプラスミンに変換させ、生成したプラスミンがフィブリンを分解し血栓を溶解するため、出血傾向を増強することが考えられる。
フィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤
バトロキソビン等 出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、減量するなど注意すること。 フィブリノーゲンが低下することにより出血傾向を増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
(頻度不明)
1.
出血性脳梗塞:脳血栓症急性期の患者に使用した場合、出血性脳梗塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと(「警告」の項参照)。
2.
脳出血、消化管出血:脳出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
ショック、アナフィラキシーショック:ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸:劇症肝炎等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明
血液注1) 凝固時間の延長、出血、血尿、貧血(赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少)、白血球増多、白血球減少、血小板減少
過敏症注2) 皮疹(紅斑性発疹等)、そう痒、蕁麻疹
血管 血管痛、血管炎
肝臓 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇、γ-GTP上昇
腎臓 BUN上昇、クレアチニン上昇
消化器 嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛
その他 頭痛、四肢の疼痛、四肢のしびれ、ふらつき、不整脈、心悸亢進、熱感、潮紅、悪寒、発熱、発汗、胸痛、過換気症候群、呼吸困難、血圧上昇、血圧低下、浮腫、腫脹、倦怠感、血清総蛋白減少
注1)このような場合には減量又は投与を中止すること。
注2)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
**過量投与
1.
症状:本剤の過量投与により、出血の危険性が増大する。
2.
処置:出血性の合併症が発現した場合は本剤の投与を中止し、出血の原因を確認すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていないので、症状に応じて、外科的止血や新鮮凍結血漿輸注など適切な処置を行うこと。
適用上の注意
アンプルカット時:本品はワンポイントアンプルなので、マークを上にして下方へ折ること。なお、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
薬効薬理
1.
トロンビンの活性部位に高い親和性を有し、特異的にトロンビンの活性を阻害する。
本剤は、トロンビンの関与する血液凝固反応を抑制し(in vitro)、また、トロンビン静注による致死を抑制した(ラット、in vivo)。1)
2.
ラット脳虚血モデルにおいて、本剤投与群はコントロール群に比し、虚血再灌流時に脳血流量の回復効果を示した(in vivo)。1)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アルガトロバン水和物(Argatroban Hydrate)
化学名
(2R,4R)-4-Methyl-1-((2S)-2-{[(3RS)-3-methyl-1,2,3,4-tetrahydroquinolin-8-yl]sulfonyl}amino-5-guanidinopentanoyl)piperidine-2-carboxylic acid monohydrate
分子式
C23H36N6O5S・H2O
分子量
526.65
構造式
性状
アルガトロバン水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。光によって徐々に分解する。
取扱い上の注意
・安定性試験
褐色のガラスアンプルに充てんしたものについて、40℃75%RHの保存条件下で6ヶ月間保存したものは定量試験等いずれの試験項目においても規格に適合した。2)
包装
10アンプル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
中田哲史他,薬理と治療,33(2),107(2005).
2)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]
文献請求先
〔主要文献(社内資料を含む)は下記にご請求下さい〕
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
TEL:0120-381-999
FAX:06-6394-7355
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30