mgを含有する錠剤を、水、コーヒー又はオレンジジュースと同時に単回経口投与(3期クロスオーバー法)したとき(n=40)の投与後24時間までの尿中排泄量(幾何平均値)は、水(19.20μg)を同時に摂取した場合と比べ、コーヒー(7.43μg)、オレンジジュース(6.77μg)では約60%減少した4)。
(注) 本剤の承認された用法・用量はアレンドロン酸として週1回35mgである。
表1
対象 尿中排泄率#(%)
静脈内投与 尿中排泄率#(%)
経口投与 生物学的利用率#(%)
非高齢者 44.7 1.11 2.49
高齢者 44.1 1.25 2.83
#: 幾何平均
表2
投与量
(mg) 尿中排泄率#
(%) 幾何平均比
比 幾何平均比
90%信頼区間
5 0.47 1.02 0.79~1.32
35 0.48 1.02 0.79~1.32
#: 幾何平均
臨床成績
1. 骨密度試験
(1) 国内における臨床成績
退行期骨粗鬆症患者(有効性評価対象297例)における52週間の二重盲検試験において、本剤(35mg/週) 投与の腰椎(L1-L4)骨密度の増加率(投与52週後)は6.3%であり、対照薬の5mg(5mg/日)投与の5.8%と比較して骨密度増加効果は同等であった(図)。また、大腿骨骨密度(投与52週後)においても、それぞれ3.0%(35mg/週)及び2.8%(5mg/日)と同程度の骨密度増加効果を示した。
なお、安全性において、本剤(35mg/週)投与の副作用発現率は、5mg(5mg/日)投与と同程度であった5)。[「副作用」の項参照]
図 腰椎(L1-L4)骨密度の増加率(平均値±標準誤差)
(2) 海外における臨床成績(参考)
閉経後骨粗鬆症患者1,258例における12ヵ月間の二重盲検比較試験において、70mg/週投与による腰椎(L1-L4)の骨密度の増加率は5.1%であり、10mg/日投与の5.4%と同等性を示した。また、大腿骨骨密度(12ヵ月後)においても、それぞれ2.9%(70mg/週)及び3.1%(10mg/日)と同程度の骨密度増加効果を示した。なお、安全性において、それぞれの投与法における副作用発現率は同程度であった6)。
2. 骨折試験(参考)
(1) 国内における臨床成績
退行期骨粗鬆症患者365例における2年間の二重盲検比較試験(骨折発生頻度)において、胸腰椎の新規骨折発生率は5mg製剤(5mg/日)投与で12.2%、対照薬(アルファカルシドール、1μg/日)で16.7%であり、対照薬に対する5mg製剤(5mg/日)の非劣性が検証された。この試験において、投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、5mg製剤(5mg/日)投与では対照薬に比して8.4%低く統計的に有意差を認めた(相対危険減少率66%)。また、2年間における胸腰椎での複数の新規骨折発生率は5mg製剤(5mg/日)投与では対照薬に比して4.9% 低かった(相対危険減少率67%)7)。さらに、延長試験として実施された3年間の成績においても投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、5mg製剤(5mg/日)投与で7.8%、対照薬で18.8%であり、5mg製剤(5mg/日)の有意な椎体骨折抑制効果が3年間に亘り確認された8)。
(2) 海外における臨床成績
閉経後骨粗鬆症患者2,027例における3年間のプラセボ対照二重盲検比較試験において、最初の2年間は5mg/日、3年目は10mg/日投与した結果は下表のとおりである9)。(表3参照)
なお、5mg製剤(5mg/日)投与後の平均腰椎骨密度増加率は、海外における10mg/日投与12ヵ月後の値と国内における5mg/日投与48週後の値に類似性が認められた10), 11)。また、骨密度増加効果と骨折抑制効果は相関することが確認されている12)。
(注) 本剤の承認された用法・用量はアレンドロン酸として週1回35mgである。
表3
骨折の種類 骨折抑制率(%)
胸腰椎の新規骨折# 47%
2個以上の胸腰椎の新規骨折# 90%
新規大腿骨近位部骨折 51%
#: X線像による判定
薬効薬理
1. 作用機序
アレンドロン酸は骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を持ち、ラットでは破骨細胞が存在する骨表面に選択的に分布した。アレンドロン酸は破骨細胞に取り込まれた後その活性を抑制することにより、骨吸収を減少させる13), 14)。
2. 骨量減少に対する作用
(表4参照)
3. 骨石灰化に対する影響
アレンドロン酸ナトリウム水和物は、上記の骨量減少モデルにおいて1年以上の投与(ラット:1年、ヒヒ:2年)を行ったとき、骨量減少を抑制する投与量では骨石灰化障害を示唆する結果が得られていない16)。成長過程のラット(Schenk評価系)において、骨吸収を抑制する投与量は骨石灰化を障害する投与量の約1/6000であり、広い安全域が示されている。
4. 骨強度、骨折治癒過程に対する影響
(表5参照)
表4
動物種 方法 結果
卵巣摘出ラット15) アレンドロン酸として0.04~5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から2ヵ月間経口投与 卵巣摘出による骨量減少をアレンドロン酸として1mg/kg/日以上の投与量で骨石灰化に障害を与えずに抑制した。
卵巣摘出ラット アレンドロン酸として0.1、0.5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から12ヵ月間経口投与 アレンドロン酸として0.5mg/kg/日の1年間の経口投与により、卵巣摘出による腰椎の骨量の減少を抑制し、卵巣非摘出ラットと同様の骨強度を維持した。
卵巣摘出ヒヒ16) アレンドロン酸として0.04、0.19mg/kgを、卵巣摘出後2週に1回、2年間静脈内投与 アレンドロン酸として0.04mg/kg以上で骨代謝回転亢進が卵巣非摘出群レベルまで抑制されることが、生化学的マーカー及び骨形態により示された。また、海綿骨量を骨石灰化を障害せずに増加させ、皮質骨の粗鬆性の亢進を防止した。腰椎の海綿骨の強度はアレンドロン酸ナトリウム水和物投与により増加し、骨量と骨強度には正の相関が認められた。
表5