倍に低下したが、血漿蛋白非結合型未変化体のAUCは腎障害患者と健康成人で同程度であった。また、血液透析はアプレピタントのAUCに影響を及ぼさなかった。3)
(5) 肝障害患者(参考:外国人でのデータ)
健康成人20例及び肝障害患者20例(軽度肝障害者10例、中等度肝障害者10例)にアプレピタントを1日目に125mg、2~3日目に80mg経口投与した時、健康成人に比べて軽度肝障害者及び中等度肝障害者のAUCは、1日目に0.89倍及び1.10倍、3日目に0.64倍及び1.18倍であった。
2. 分布
(1) 蛋白結合率
ホスアプレピタントの血漿蛋白結合率は、99.6~99.8%であった(in vitro、平衡透析法)。また、アプレピタントの血漿蛋白結合率は、99.6~99.7%であった(in vitro、限外ろ過法)。
(2) P-糖蛋白質
アプレピタントはP-糖蛋白質の基質である。また、アプレピタントは10μmol/Lの濃度において、P-糖蛋白質の基質であるビンブラスチンの輸送を36%阻害した(in vitro)。
3. 代謝(参考:外国人でのデータ)
ホスアプレピタントは、体内で速やかに活性本体であるアプレピタントに代謝される。
健康成人男性に [14C]ホスアプレピタント100mgを15分間かけて静脈内投与した時、投与72時間までの血漿中放射能の約19%がアプレピタントであり、ヒト血漿中には12種類の代謝物が同定されている。なお、アプレピタントはモルホリン環及びその側鎖の酸化によって大部分が代謝される。
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では、アプレピタントは主としてCYP3A4によって代謝され、一部はCYP1A2及びCYP2C19によっても代謝されるが、CYP2D6、CYP2C9、又はCYP2E1の代謝を受けない。4)
また、アプレピタントはCYP3A4の阻害・誘導作用及びCYP2C9の誘導作用を有する。
4. 排泄(参考:外国人でのデータ)
健康成人男性に[14C]ホスアプレピタント100mgを15分間かけて静脈内投与した時、投与後28日間で投与量の57.0%及び45.0%がそれぞれ尿及び糞中に排泄された。
5. 薬物相互作用
(1) ケトコナゾール(参考:外国人でのデータ)
健康成人11例に対して、ケトコナゾール400mgを1日1回10日間反復投与し、投与5日目にアプレピタント125mgを経口投与した時、アプレピタントのAUC及びCmaxは単独投与時に比べて、それぞれ4.78倍及び1.52倍に上昇した。
(2) リファンピシン(参考:外国人でのデータ)
健康成人11例に対して、リファンピシン600mgを1日1回14日間反復投与し、投与9日目にアプレピタント375mgを経口投与した時、アプレピタントのAUC及びCmaxは単独投与時に比べて、それぞれ0.09倍及び0.38倍に低下した。
(3) **ミダゾラム(参考:外国人でのデータ)
健康成人10例に対して、本剤150mgを1日目に静脈内投与し、ミダゾラム2mgを1日目及び4日目に経口投与した時、ミダゾラムのAUCは本剤非併用時に比べて1日目に1.77倍に上昇し、4日目に1.02倍であった。5)
(4) ジルチアゼム(参考:外国人でのデータ)
軽度から中等度の高血圧症患者9例に対して、ジルチアゼム120mgを反復投与時に、ホスアプレピタント100mgを静脈内投与した時、アプレピタントのAUCは単独投与時に比べて1.45倍に、ジルチアゼムのAUCはジルチアゼム単独投与時に比べて1.40倍に上昇した。同様に、アプレピタントの錠剤300mg(アプレピタントカプセル230mgと同程度のAUCが得られる)を経口投与した時、アプレピタントのAUCは単独投与時に比べて2.00倍に、ジルチアゼムのAUCはジルチアゼム単独投与時に比べて1.66倍に上昇した。
(5) **デキサメタゾン
・参考:外国人でのデータ
健康成人11例に対して、本剤150mgを1日目に静脈内投与し、デキサメタゾン8mgを1~3日目に経口投与した時、デキサメタゾンのAUCは本剤非併用時に比べて1日目に2.01倍、2日目に1.86倍に上昇し、3日目に1.18倍であった。5)
・母集団薬物動態(PPK)解析
日本人の悪性腫瘍患者440例から得られた一人あたり約2点の血漿中濃度データ(計847点)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、抗悪性腫瘍剤及びグラニセトロンの投与に加え、アプレピタント125mgを経口投与し、デキサメタゾンリン酸エステル6mgを静脈内投与した時のデキサメタゾンのクリアランスは、アプレピタント非併用時に比べて0.53倍に低下した。6)
(6) メチルプレドニゾロン(参考:外国人でのデータ)
健康成人10例に対して、アプレピタントを1日目に125mg、2~3日目に80mg経口投与し、メチルプレドニゾロンを1日目に125mg静脈内投与、2~3日目に40mg経口投与した時、メチルプレドニゾロンのAUCは単独投与時に比べて静脈内投与で1.34倍、経口投与で2.46倍に上昇した。7)
(7) オンダンセトロン(参考:外国人でのデータ)
健康成人15例に対して、デキサメタゾンの投与に加え、アプレピタントを1日目に375mg、2~5日目に250mg経口投与し、オンダンセトロン32mgを1日目に静脈内投与した時、オンダンセトロンのAUCはアプレピタント非併用時に比べて1.15倍であった。8)
(8) グラニセトロン(参考:外国人でのデータ)
健康成人17例に対して、アプレピタントを1日目に125mg、2~3日目に80mg経口投与し、グラニセトロン2mgを1日目に経口投与した時、グラニセトロンのAUCは単独投与時に比べて1.10倍であった。8)
(9) ワルファリン(参考:外国人でのデータ)
健康成人11例に対して、ワルファリンを反復投与時に、アプレピタントを1日目に125mg、2~3日目に80mg経口投与した時、8日目に、S(-)-ワルファリンの血漿中濃度のトラフ値は0.66倍に低下し、INRは0.86倍に低下した。9)
(10) トルブタミド(参考:外国人でのデータ)
健康成人12例に対して、アプレピタントを1日目に125mg、2~3日目に80mg経口投与し、トルブタミド500mgをアプレピタント投与前、4日目、8日目及び15日目に経口投与した時、トルブタミドのAUCは4日目に0.77倍、8日目に0.72倍、15日目に0.85倍に低下した。10)
(11) パロキセチン(参考:外国人でのデータ)
健康成人18例に対して、アプレピタントの錠剤100mg(アプレピタントカプセル85mgと同程度のAUCが得られる)を1日1回4日間、5日目から錠剤200mg(アプレピタントカプセル170mgと同程度のAUCが得られる)を1日1回10日間と