イブルチニブ560mg注)とCYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1/6及び1/3に減少することが推定された。
注)本剤の承認された用法・用量は、「420mgを1日1回経口投与する」である。
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブを単回又は反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
[平均値(標準偏差)]
測定日 |
用量
(mg) |
n |
Cmax
(ng/mL) |
tmax※1
(h) |
AUClast
(ng・h/mL) |
t1/2
(h) |
1日目 |
140 |
3 |
42.53±23.74 |
2.02
(1.98, 3.95) |
203.64±128.60 |
3.90±1.67 |
1日目 |
280 |
3 |
68.47±14.09 |
1.82
(1.00, 1.97) |
339.21±72.42 |
5.64±1.50 |
1日目 |
420 |
9 |
87.33±62.15 |
1.97
(1.00, 3.98) |
381.73±265.26 |
6.99※2±3.34 |
1日目 |
560注) |
6 |
94.57±65.43 |
1.48
(0.98, 3.92) |
419.09±238.74 |
7.35、5.33※3 |
8日目 |
420 |
8 |
77.50±58.11 |
2.00
(0.95, 3.97) |
383.17±189.61 |
4.60※2±1.86 |
8日目 |
560注) |
6 |
105.47±68.60 |
2.00
(0.97, 4.00) |
638.96±476.16 |
6.39、4.23※3 |
算術平均値±標準偏差、※1:中央値(範囲)、※2:n=6、※3:個別値(n=2)
臨床成績
1. 海外臨床試験成績(第III相試験:PCYC-1112-CA試験)14)
1レジメン以上の前治療歴を有する再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者を対象とし、オファツムマブを対照として本剤420mgを1日1回、食事の30分以上前又は2時間以上後に投与(modified fasting投与)した。有効性の成績は以下のとおりであった。なお、当該試験に組み入れられた患者の内訳は慢性リンパ性白血病患者が185例、小リンパ球性リンパ腫患者が10例であった。
無増悪生存期間(PFS)のKaplan-Meier曲線
2. 国内臨床試験成績(第I相試験:PCI-32765-JPN-101試験)1)
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者を対象とし、本剤を経口投与した。このうち本剤420mgを1日1回投与した慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者(8例)では、7例がカットオフ時点注)で本剤の投与を継続していた。奏効率は62.5%(5/8例)であった(95%CI:24.5~91.5%)。
注)最終登録患者が175日間の投与を完了した時点
薬効薬理
1. 作用機序
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、B細胞性腫瘍の発症、増殖等に関与するB細胞受容体(BCR)、及びB細胞の遊走、接着等に関与するケモカイン受容体の下流に位置するシグナル分子である。イブルチニブは、BTKの活性部位にあるシステイン残基(Cys-481)と共有結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害した。
2. 抗腫瘍効果
In vitro試験において、イブルチニブは、慢性リンパ性白血病(CLL)患者由来のCLL細胞の増殖を抑制し15)、また、B細胞の遊走及び接着を阻害した16)。
In vivo試験において、イブルチニブは、マウスCLL由来TCL1-192細胞を腹腔内移植した重症複合免疫不全マウスにおいて、末梢血中のTCL1-192細胞の増殖を抑制した15)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イブルチニブ(JAN)、Ibrutinib (JAN)
化学名
1-{(3R)-3-[4-Amino-3-(4-phenoxyphenyl)-1H-pyrazolo[3,4-d]pyrimidin-1-yl]piperidin-1-yl}prop-2-en-1-one
分子式
C25H24N6O2
分子量
440.50
化学構造式
性状
白色の固体
溶解性
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
149~158℃
分配係数
3.97(Log P, 1-オクタノール/pH7緩衝液)
取扱い上の注意
小児の手の