剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
2.
薬剤名等
*グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト(アデムパス))
臨床症状・措置方法
併用により、降圧作用を増強することがある。
機序・危険因子
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
降圧作用及び血管拡張作用を有する薬剤(Ca拮抗剤、ACE阻害剤、β遮断剤、利尿剤、降圧剤、三環系抗うつ剤、メジャートランキライザー)
臨床症状・措置方法
血圧低下を増強するおそれがある。
機序・危険因子
血圧低下作用を相加的に増強する。
2. 薬剤名等
他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
臨床症状・措置方法
頭痛、血圧低下等の副作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
血管拡張作用を増強する。
3. 薬剤名等
非ステロイド性抗炎症剤(アスピリン等)
臨床症状・措置方法
本剤の作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
プロスタグランジンI2等の合成が阻害され、血管拡張作用を減弱する可能性がある。
4. 薬剤名等
アルコール性飲料
臨床症状・措置方法
血圧低下作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
血圧低下作用を相加的に増強する。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。剤形サイズ変更前製剤(メディトランスニトロ)承認時における副作用の概要は以下のとおりである。
総症例363例中、副作用が報告されたものは、95例(26.17%)であった。主な症状は貼付部位の発赤49件(13.50%)、貼付部位のそう痒感31件(8.54%)、貼付部位の発疹10件(2.75%)、頭痛39件(10.74%)等であった。
その他の副作用
1. 循環器
0.1~5%未満
血圧低下、めまい
2. 循環器
頻度不明
心拍出量低下、顔面潮紅、熱感、動悸
3. 精神神経系
5%以上
頭痛
4. 精神神経系
0.1~5%未満
頭重
5. 消化器
0.1~5%未満
嘔気
6. 消化器
頻度不明
嘔吐
7. 皮膚(貼付部位)
5%以上
発赤、そう痒感
8. 皮膚(貼付部位)
0.1~5%未満
発疹
高齢者への投与
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般的に肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続し、頭痛、頭重、血圧低下等が発現するおそれがあるので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]1)
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
貼付部位
(1)
皮膚の損傷又は湿疹・皮膚炎等がみられる部位には貼付しないこと。
(2)
貼付部位に、発汗、湿潤、汚染等がみられるときには清潔なタオル等でよくふき取ってから本剤を貼付すること。
(3)
皮膚刺激を避けるため、毎回貼付部位を変えることが望ましい。
(4)
自動体外式除細動器(AED)の妨げにならないように貼付部位を考慮するなど、患者、その家族等に指導することが望ましい。
その他の注意
1.
本剤使用中に本剤又は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し耐薬性を生じ、作用が減弱するおそれがある。なお、労作狭心症に対するコントロールされた外国の臨床試験成績によると、休薬時間を置くことにより、耐薬性が軽減できたとの報告がある。
2.
肺疾患、虚血性心疾患、脳虚血の患者で低酸素血症がある場合には、本剤の投与により低酸素状態が悪化するおそれがある。
3.
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤の投与によって、メトヘモグロビン血症があらわれたとの報告がある。
薬物動態
吸収、代謝2)
健常成人男子20名の胸部に本剤1枚を24時間貼付した場合、ニトログリセリンの最高血漿中濃度(Cmax)は0.441ng/mL、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は3.6時間であった。24時間後の血漿中濃度は0.163ng/mLであり、はく離30分後(24.5時間後)には測定限界(0.05ng/mL)以下であった。
●薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC0→24(ng・hr/mL)
0.441±0.253 3.6±0.8 5.220±2.524
Mean±S.D.
臨床成績
臨床効果3)~9)
本剤の狭心症患者160例を対象とした臨床試験における有効率は63.1%(101例/160例)であり、発作回数、速効性硝酸薬消費量、自覚的運動能力、心電図所見等に改善が認められた。
また、運動耐容能を指標とした試験において、本剤による運動耐容時間の延長及び心電図ST偏位の改善が認められた。
更に二重盲検比較試験において本剤の有用性が認められた。
[剤形サイズ変更前製剤(メディトランスニトロ)承認時]
薬効薬理
1. GTN(ニトログリセリン)の心臓、血管系に対する作用10)
健常成人男子で、GTNの心臓、血管系に対する作用を、Mモード心エコー図及び下大静脈内腔の変化を超音波断層法により検討した。静脈還流量を示す下大静脈Indexは、静脈のコンプライアンスの増大による血液の末梢への再配分が示され、下大静脈内腔は縮小を示した。
また、左房径、左室拡張終期径等が縮小し、前負荷軽減作用が認められた。これら血行動態諸指標は血漿中GTN濃度とよく相関した。
2. 脈圧低下作用