4.23)cm3であったのに対し、6ヵ月時点は中央値0.93(範囲:0.31~7.98)cm3であり、中央値で0.80(範囲:0.06~6.25)cm3の有意な縮小が認められた(片側Wilcoxon signed rank検定 p<0.001)。
(2) **結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象とした第III相海外臨床試験(世界10ヵ国で実施された二重盲検比較試験)16)(参考)
結節性硬化症に伴う長径1cm以上の上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象に、プラセボを対照群として臨床試験錠1mg注4)(開始用量4.5mg/m2/日注5)、トラフ濃度を測定し5~15ng/mLを目標に投与量を調節)を食直後に連日経口投与を行った(投与量範囲1~22mg/日)。
合計117例がエベロリムス群(78例)又はプラセボ群(39例)に無作為割付けされた。年齢の中央値は9.5(範囲:0.8~26.6)歳であった。主要評価項目である上衣下巨細胞性星細胞腫に対する奏効率は、エベロリムス群34.6%、プラセボ群0%であり、プラセボ群と比較してエベロリムス群で有意に高かった(無作為化時の酵素誘導作用性抗てんかん薬使用の有無により層別化したCochran-Mantel-Haenszelの正確検定 p<0.0001)。
注4)臨床試験錠1mgとアフィニトール錠の薬物動態に関しては【薬物動態】の項参照
注5)本剤の承認された開始用量は、3.0mg/m2である。【用法及び用量】の項参照
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用
In vitro試験において、エベロリムスはヒト及びげっ歯類由来腫瘍細胞株の増殖を抑制した。17~22)また、in vivo試験において、エベロリムスはヒト腫瘍細胞株を異種移植したマウス23~35)、同系腫瘍移植マウス36)及び同系腫瘍移植ラット37,38)の腫瘍増殖を抑制した。
2. 血管新生阻害作用
In vitro試験において、エベロリムスは血管内皮増殖因子(VEGF)及び塩基性線維芽細胞増殖因子によるヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖を阻害した。39)また、エベロリムスは腫瘍細胞からのVEGF産生を阻害した。36)In vivo試験において、エベロリムスはマウスに皮下移植したVEGF含有チャンバー内の血管新生を阻害した。40)B16/BL6メラノーマ細胞を同所性移植したマウスにおいて、エベロリムスは移植部位及び転移部位の腫瘍血管密度を減少させた。36)
3. TSC遺伝子欠損マウスに対する作用
エベロリムスは、結節性硬化症の原因遺伝子と考えられているTuberous sclerosis(TSC)遺伝子のうち、TSC1遺伝子を神経細胞で欠損させたマウスの生存日数を延長し、脳内のリン酸化S6を低下させた。41)また、エベロリムスは、TSC2遺伝子をヘテロで欠損させたマウスでみられる腎腫瘍形成を抑制した。42)
4. 作用機序
エベロリムスは、細胞内イムノフィリンであるFKBP(FK506 binding protein)12に結合した。43)エベロリムスとFKBP12の複合体がセリン・スレオニンキナーゼであるmTORを選択的に阻害すると考えられている。mTORは、p70S6キナーゼ及び4E-BP1をリン酸化することによって蛋白質合成を調節し、細胞の成長、増殖及び生存に関与する。
エベロリムスを投与された担癌マウス44)及び担癌ラット37)の腫瘍においてp70S6キナーゼが阻害され、エベロリムスを投与された担癌ラットの腫瘍において4E-BP1のリン酸化が阻害された。37)
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
エベロリムス(Everolimus)
化学名
(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-Dihydroxy-12-{(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-(2-hydroxyethoxy)-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethyl}-19,30-dimethoxy-15,17,21,23,29,35-hexamethyl-11,36-dioxa-4-azatricyclo[30.3.1.04,9]hexatriaconta-16,24,26,28-tetraene-2,3,10,14,20-pentaone
分子式
C53H83NO14
分子量
958.22
性状
白色~淡黄色の粉末で、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
承認条件
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
腎細胞癌の診断、化学療法に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
膵神経内分泌腫瘍
1.
製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
2.
膵神経内分泌腫瘍の診断、化学療法に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
手術不能又は再発乳癌
乳癌の診断、化学療法に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫及び結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫
結節性硬化症の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
包装
アフィニトール錠2.5mg 30錠(両面アルミニウムPTP)
アフィニトール錠5mg 30錠(両面アルミニウムPTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Okamoto,I.et al.:Jpn.J.Clin.Oncol.40(1),17,2010 〔CERJ00122〕
2)
社内資料:国際共同臨床試験の結果(M2302試験) 〔CERU00063〕
3)
社内資