出されなかった。9) (外国人のデータ)
6. 肝機能障害
成人において、エベロリムスの血中濃度は肝機能障害により上昇し、軽度(Child-Pugh分類クラスA)、中等度(Child-Pugh分類クラスB)及び重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害を有する被験者に本剤10mgを単回経口投与したときのAUC0-infは、肝機能の正常な被験者のそれぞれ 1.6倍、3.3倍、3.6倍であった。10) (外国人のデータ)
小児において、エベロリムスの薬物動態に対する肝機能障害の影響は検討されていない。
7. 腎機能障害
固形癌患者のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、クレアチニンクリアランス(25~178mL/min)は本剤の見かけの全身クリアランス(CL/F)に対して有意な影響を及ぼさないことが示唆された。11) (外国人のデータ)
8. 高齢者での薬物動態
固形癌患者のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、年齢(27~85歳)は本剤のCL/Fに対して有意な影響を及ぼさないことが示唆された。11) (外国人のデータ)
9. 小児での薬物動態
小児の結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者(3~17歳)に本剤を投与したとき、体表面積あたりの投与量(1.5~14.6mg/m2)とトラフ濃度(0.5~20.8ng/mL)の間に用量比例関係が認められたことから、小児におけるクリアランスは体表面積に比例して増加することが示唆された。12) (外国人のデータ)
臨床成績
1. 転移性腎細胞癌患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(日本を含めた世界10ヵ国で実施された二重盲検比較試験)13)
スニチニブ又はソラフェニブによる前治療で進行した転移性の腎細胞癌患者を対象に至適支持療法の併用下でプラセボを対照群として本剤10mgを空腹時に連日経口投与を行った。
合計410例(日本人患者24例を含む。組織分類は淡明細胞癌が95.9%)がエベロリムス群(272例)又はプラセボ群(138例)に無作為割付けされた。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS;中央値)は、エベロリムス群4.01ヵ月、プラセボ群1.87ヵ月であり、プラセボ群と比較しエベロリムス群で有意なPFSの延長が認められた(ハザード比 0.30、95%信頼区間 0.22~0.40;MSKCCリスク分類を層とした層別ログランク検定 p<0.001)。
(第2回中間解析時のデータ:2007年10月カットオフ)
独立中央画像評価機関の判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
2. 膵神経内分泌腫瘍患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(日本を含めた世界18ヵ国で実施された二重盲検比較試験)14)
切除不能または転移性の膵神経内分泌腫瘍患者(低分化型を除く)を対象に至適支持療法の併用下でプラセボを対照群として本剤10mgを空腹時もしくは食後のいずれか同一条件で連日経口投与を行った。
合計410例(日本人患者40例を含む)がエベロリムス群(207例)又はプラセボ群(203例)に無作為割付けされた。主要評価項目である治験責任医師の判定に基づくPFSは、エベロリムス群11.04ヵ月、プラセボ群4.60ヵ月であり、プラセボ群と比較しエベロリムス群で有意なPFSの延長が認められた(ハザード比 0.35、95%信頼区間 0.27~0.45;前治療の有無及びWHO Performance Statusを層とした層別ログランク検定 p<0.001)。 (最終主要解析時データ:2010年2月カットオフ)
治験責任医師の判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
3. 局所進行又は転移性の閉経後乳癌患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(日本を含めた世界24ヵ国で実施された二重盲検比較試験)15)
ER陽性かつHER2陰性でレトロゾール又はアナストロゾールに抵抗性の局所進行性又は転移性の閉経後乳癌患者を対象に、エキセメスタンの併用下でプラセボを対照群として本剤10mgを食後に連日経口投与を行った。
合計724例(日本人106例を含む)がエベロリムス群(485例)又はプラセボ群(239例)に無作為割付けされた。主要評価項目である治験責任医師の判定に基づくPFSは、エベロリムス群6.93ヵ月、プラセボ群2.83ヵ月であり、プラセボ群と比較しエベロリムス群で有意なPFSの延長が認められた(ハザード比 0.43、95%信頼区間 0.35~0.54;内分泌療法に対する感受性の有無及び内臓転移の有無を層別因子とした層別ログランク検定 p<0.0001)。
(中間解析時のデータ:2011年2月カットオフ)
治験責任医師の判定に基づく無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
副次評価項目である全生存期間(OS;中央値)は、エベロリムス群30.98ヵ月、プラセボ群26.55ヵ月であった(ハザード比 0.89、95%信頼区間0.73~1.10;内分泌療法に対する感受性の有無及び内臓転移の有無を層別因子とした層別ログランク検定 p=0.1426)。
(OSの最終解析時のデータ:2013年10月カットオフ)
4. 結節性硬化症又は孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う腎血管筋脂肪腫注3)患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(日本を含めた世界11ヵ国で実施された二重盲検比較試験)2)
結節性硬化症又は孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う長径3cm以上の腎血管筋脂肪腫患者を対象に、プラセボを対照群として本剤10mgを食直後に連日経口投与を行った。
合計118例(日本人患者10例を含む)がエベロリムス群(79例)又はプラセボ群(39例)に無作為割付けされた。年齢の中央値は31.0(範囲:18.0~61.0)歳であった。主要評価項目である腎血管筋脂肪腫に対する奏効率は、エベロリムス群41.8%、プラセボ群0%であり、プラセボ群と比較してエベロリムス群で有意に高かった(無作為化時の酵素誘導作用性抗てんかん薬使用の有無により層別化したCochran-Mantel-Haenszelの正確検定 p<0.0001)。
注3)孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う腎血管筋脂肪腫は未承認
5. 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象とした臨床試験
(1) 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象とした第II相海外臨床試験(海外で実施された医師主導単群試験)12)
結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象に、本剤(開始用量3.0mg/m2の1日1回又は隔日投与、トラフ濃度を測定し5~15ng/mLを目標に投与量を調節)を同一時刻に経口投与した(投与量範囲1.25~17.5mg/日)。
合計28例にエベロリムスが投与された。年齢の中央値は11.0(範囲:3~34)歳であった。主要評価項目の上衣下巨細胞性星細胞腫の最大病変の体積変化は、ベースライン時は中央値1.74(範囲:0.49~1