緩解,乳癌及び褐色細胞腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法,造血幹細胞移植の前治療の場合:低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[「重要な基本的注意」の項参照]
2. 治療抵抗性のリウマチ性疾患の場合:低出生体重児,新生児,乳児又は幼児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児,新生児に対しては使用経験がない。乳児,幼児に対しては使用経験が少ない。(「重要な基本的注意」の項参照)]
適用上の注意
1. 調製方法:本剤は溶解後速やかに使用すること。
2. 筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては,下記の点に注意すること。
(1) 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。同一部位への反復注射は行わないこと。特に低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児には注意すること。
(2) 神経走行部位を避けること。
(3) 注射針を刺入したとき,激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き,部位をかえて注射すること。
(4) 注射部位に疼痛,硬結をみることがある。
薬物動態
1. 血漿中濃度
各種の悪性腫瘍患者8例に注射用シクロホスファミドを静脈内投与したときの血漿中の活性代謝物(4-ヒドロキシシクロホスファミド+アルドホスファミド)の薬物動態パラメータを表1に示す6)。(外国人によるデータ)
表1 活性代謝物の薬物動態パラメータ参照
本剤を造血幹細胞移植の前治療に使用した際のシクロホスファミドの薬物動態パラメータを表2に示す。(外国人によるデータ)
表2 造血幹細胞移植の前治療時におけるシクロホスファミドの薬物動態パラメータ参照
2. 分布
(1) 分布容積:0.763±0.161 L/kg(mean±S.D.)11) (外国人によるデータ)
(2) (参考)
マウスに14C-標識シクロホスファミド500mg/kgを腹腔内投与又は皮下投与した際の組織内濃度は,血液,肝では投与後1時間で最高濃度を示し,腸を除く他の組織では,2時間まで増加し,その後減少した。腸では4時間で最高濃度を示した12)。
3. 代謝
(1) 本剤は,主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され,活性化される。また,CYP2C8,2C9,3A4,2A6も本剤の代謝に関与していることが報告されている。(in vitro)13)
(2) 代謝物14):4-ヒドロキシシクロホスファミド※,アルドホスファミド※,ホスファミドマスタード※,アクロレイン,4-ケトシクロホスファミド,カルボキシホスファミド
(※:活性代謝物)
4. 排泄
(外国人によるデータ)
(1) 各種の悪性腫瘍患者26例に,14C-標識シクロホスファミド6.8~80mg/kg※を静脈内投与した場合,尿中には投与量の約62%が2日以内に,約68%が4日以内に排泄された。また,糞便中には投与量の約1.8%が4日以内に排泄され,呼気中には投与量の約0.9~1.4%が4日以内に排泄された15)。(※:一部承認外の高用量を含む。)
(2) 大部分は不活性代謝物として尿中に排泄され14),活性代謝物の尿中排泄率は12時間で投与量の約1%6),未変化体の尿中排泄率は24時間で投与量の約10%であった16)。
5. その他
血漿蛋白結合率:シクロホスファミド12~24%14)(外国人によるデータ)
薬物動態の表
表1 活性代謝物の薬物動態パラメータ
投与量注1
(mg/kg) |
n |
Cmax
(μg/mL) |
AUC0-12
(μg・hr/mL) |
20 |
8 |
1.31±0.73 |
4.66±1.20 |
注1:活性代謝物測定のために承認外の高用量を投与している。
(測定法:蛍光法)(mean±S.D.)
表2 造血幹細胞移植の前治療時におけるシクロホスファミドの薬物動態パラメータ
半減期(hr) |
P値 |
文献 |
Day1
Day2 |
P値 |
文献 |
7.1
5.5 |
p<0.0005 |
7) |
4.7±1.3
2.8±0.4 |
p<0.02 |
8) |
8.7±4.6
3.6±0.9 |
p=0.00000 |
9) |
6.77±1.27
4.51±0.99 |
p=0.00001 |
10) |
(mean±S.D.)
臨床成績
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1. 自覚的並びに他覚的症状の緩解
再評価結果における自覚的並びに他覚的症状の緩解による有効性評価対象例(本剤の単独投与例)4976例の疾患別有効率は,次のとおりであった。
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2. 造血幹細胞移植の前治療
表3 臨床成績参照
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(1) 急性白血病,慢性骨髄性白血病,骨髄異形成症候群,再生不良性貧血の有効性評価対象66例の患者に対して,他の前治療の併用下で,本剤1日50~60mg/kgを2~4日点滴静注し,その後造血幹細胞移植を実施し,前治療薬剤の評価を実施した。
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(2) 本剤の骨髄抑制効果ありは98.5%(65例/66例),移植骨髄生着あり97.0%(64例/66例),前治療の総合効果は95.5%(63例/66例)で,すぐれた有効性を示した。
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(3) 本剤は白血球数を速やかに減少(300/mm3未満,平均7.5日)させ,その後白血球数1000/mm3以上に比較的早く回復(移植後平均16.5日)させることから,造血幹細胞移植時の前治療の条件に合致するものと考えられた。
臨床成績の表
表3 臨床成績