(0.5%)、徐脈20件(0.4%)、下痢16件(0.3%)等であった。(副作用調査終了時)
重大な副作用
1. ジギタリス中毒
(頻度不明)
高度の徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍等の不整脈があらわれることがある。また、さらに重篤な房室ブロック、心室性頻拍症あるいは心室細動に移行することがある。初期症状として消化器、眼、精神神経系症状[「その他の副作用」の項参照]があらわれることが多いが、それらの症状に先行して不整脈が出現することもある。このような症状があらわれた場合には、減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。[処置法は「過量投与」の項参照。]
2. *非閉塞性腸間膜虚血
(頻度不明)
非閉塞性腸間膜虚血があらわれることがあり、腸管壊死に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、激しい腹痛、血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 消化器
0.1%以上
悪心・嘔吐(0.8%)、食欲不振(0.6%)、下痢
2. 消化器
0.1%未満
下腹部不快感、腹部膨満感、腹痛
3. 循環器
頻度不明
頻脈
4. 循環器
0.1%以上
不整脈(0.5%)、動悸
5. 眼
頻度不明
光がないのにちらちらみえる、黄視、緑視、複視
6. 眼
0.1%未満
霧視、羞明
7. 精神神経系
頻度不明
失見当識、錯乱、譫妄
8. 精神神経系
0.1%以上
頭痛
9. 精神神経系
0.1%未満
めまい
10. 肝臓
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇
11. 血液
頻度不明
血小板数減少
12. 過敏症注3)
頻度不明
蕁麻疹、紫斑、浮腫
13. 過敏症注3)
0.1%未満
発疹
14. その他
頻度不明
筋力低下
15. その他
0.1%未満
女性型乳房
注3)投与を中止し適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者へ投与する場合には少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。[ジギタリス中毒があらわれやすい。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
小児等へ投与する場合には少量から投与を開始し、血中濃度や心電図等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。[ジギタリス中毒があらわれやすい。]
過量投与
徴候・症状
ジギタリス中毒が起こることがある(「副作用」の項参照)。
処置法
(1) 薬物排泄
胃内のメチルジゴキシンの吸収を防止するために活性炭が有効と報告されている。
(2) 心電図
直ちに心電図による監視を行い、上記のジギタリス中毒特有の不整脈の発現に注意する。
(3) 重篤な不整脈の治療法
徐脈性不整脈及びブロックにはアトロピン等が用いられる。
重篤な頻脈性不整脈が頻発するときは塩化カリウム、リドカイン、プロプラノロール等が用いられる。
(4) *血清電解質
1)
特に低カリウム血症に注意し、異常があれば補正する。
2)
高カリウム血症には、炭酸水素ナトリウム、グルコース・インスリン療法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
(5) 腎機能
メチルジゴキシンは主として腎から排泄されるので腎機能を正常に保つ(【薬物動態】の項参照)。血液透析は一般に無効であるとされている。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
<日本人における成績>
(1) 血中濃度1)
健康成人男子4例にメチルジゴキシン及びジゴキシンとして各0.25mgを単回経口投与後、各投与群における血中ジゴキシン濃度の推移をradioimmunoassay法で測定した結果、メチルジゴキシンの吸収は速やかで、血中濃度はジゴキシン投与群の約2倍の高値を示した。
図 メチルジゴキシン及びジゴキシン単回投与後の血中ジゴキシン濃度
(表1)
また、メチルジゴキシン0.1mg/日で維持療法中の患者(16例、23回)とジゴキシン0.25mg/日で維持療法中の患者(25例、33回)の血中ジゴキシン濃度を比較した。メチルジゴキシン0.1mg/日維持群の血中ジゴキシン濃度は最高2.0ng/mL、最低0.3ng/mLで平均1.20±0.11ng/mLであり、ジゴキシン0.25mg/日維持群のそれは、最高2.5ng/mL、最低0.5ng/mL、平均1.38±0.12ng/mLであった。
(2) 代謝・排泄2-6)
本剤は消化管から吸収され、主として脱メチル化によりジゴキシンに代謝される。その他の代謝物はdigoxigenin、digoxigenin-bis-digitoxiside及びdigoxigenin-mono-digitoxisideである。主な代謝酵素は肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3Aが考えられている。腎排泄を主経路とし、糸球体濾過とP糖蛋白質を介する尿細管分泌により尿中に排泄される。
<外国人における成績(参考)>
排泄7,8)
心肺疾患のない成人各5例に 12α-3H-methyldigoxin 0.2mgを単回経口投与及び単回静脈内投与後、7日目までの尿、糞中排泄量を測定した結果、経口投与では7日間に尿中に52.9%、糞中に31.5%が排泄され、静脈内投与では尿中に59.7%、糞中に32.5%が排出された。経口投与時と静脈内投与時の排泄パターンがほとんど一致したことから、腸管からほぼ100%吸収されることが示唆された。また、健康成人3例に3H-β-methyldigoxin 0.3あるいは0.6mgを単回経口投与した場合、144時間までの蓄積尿中の未変化体は40.6%、ジゴキシンは45.2%であった。
薬物動態の表
表1