ビル,ジダノシン及びテノホビルによりin vivoで出現したK65R変異を有するHIV-1株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。テノホビルにより出現したK65R変異を持つHIV-1株は,アバカビル又はジダノシンが投与された患者においても出現することがある。K65R変異を持つHIV-1株は,エムトリシタビン及びラミブジンに対する感受性も低下したため,K65R変異ウイルスを有する患者では,これらの核酸系逆転写酵素阻害薬に対し交差耐性を示す可能性がある。平均3ヵ所のジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1臨床分離株(20例)では,テノホビルに対する感受性が低下し,FC値は3.1倍に上昇した45)。ジドブジン耐性関連変異がなく,L74V変異ウイルスを有する患者(8例)では,テノホビルの治療効果が低下した。Y115F変異(3例),Q151M変異(2例)又はT69挿入変異(4例)を持つ患者のデータは限られているが,全例でテノホビルの感受性が低下していた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エルビテグラビル Elvitegravir
化学名
6-[(3-Chloro-2-fluorophenyl)methyl]-1-[(2S)-1-hydroxy-3-methylbutan-2-yl]-7-methoxy-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid
分子式
C23H23ClFNO5
分子量
447.88
化学構造式
性 状
白色~微黄色の粉末であり,ジメチルスルホキシド,N,N-ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランに溶けやすく,アセトニトリル,メタノール又はエタノール(95)にやや溶けにくく,2-プロパノールに溶けにくく,水にほとんど溶けない。
融 点
約163℃
分配係数
LogD=4.5(pH6.8)
一般名
コビシスタット Cobicistat
化学名
1,3-Thiazol-5-ylmethyl {(2R,5R)-5-[(2S)-2-(3-methyl-3-{[2-(1-methylethyl)-1,3-thiazol-4-yl]methyl}ureido)-4-(morpholin-4-yl)butanamido]-1,6-diphenylhexan-2-yl}carbamate
分子式
C40H53N7O5S2
分子量
776.02
化学構造式
性 状
白色~微黄色の固体であり,アセトニトリル,ジクロロメタン,ジメチルスルホキシド又はメタノールに溶けやすく,水又はヘプタンにほとんど溶けない。
融 点
ガラス転移温度35℃,約200℃(分解)
分配係数
4.3(1-オクタノール/pH8.5のリン酸塩緩衝液)
一般名
エムトリシタビン Emtricitabine
化学名
4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
分子式
C8H10FN3O3S
分子量
247.25
化学構造式
性 状
白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
融 点
約155℃
分配係数
-0.43(オクタノール/水)
一般名
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 Tenofovir Disoproxil Fumarate
化学名
Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl) {[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl} phosphonate monofumarate
分子式
C19H30N5O10P・C4H4O4
分子量
635.51
化学構造式
性 状
白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融 点
114~118℃
分配係数
1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
承認条件
1.
本剤の使用に当たっては,患者に対して本剤に関して更なる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること等を十分に説明し,インフォームドコンセントを得るよう,医師に要請すること。
2.
海外において現在実施中又は計画中の臨床試験については,終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
3.
再審査期間が終了するまでの間,原則として国内の全投与症例を対象とした製造販売後調査を実施し,本剤の使用実態に関する情報(患者背景,有効性・安全性(他剤併用時の有効性・安全性を含む)及び薬物相互作用のデータ等)を収集して定期的に報告するとともに,調査の結果を再審査申請時に申請書添付資料として提出すること。
包装
スタリビルド配合錠:30錠/瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Ramanathan S. et al.:Clin Pharmacokinet. 50(4):229-244, 2011
2)
コビシスタットの薬物動態に関する検討(社内資料 216-2025)
3)
コビシスタットの薬物動態に関する検討(社内資料 216-2072)
4)
エムトリシタビンの薬物動態に関する検討(社内資料 FTC-101)
5)
テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 901,701試験)
6)
テノホビルの薬物動態に関する検討(社内資料 V990172-104)
7)
マグネシウム/アルミニウム含有制酸剤との相互作用の検討(社内資料 183-0119)
8)
エチニルエストラジオールとの相互作用の検討(社内資料 236-0106)
9)
ジゴキシン,デシプラミンとの相互作用の検討(社内資料 216-0112)
10)
リファブチン,ロスバスタチンとの相互作用の検討(社内資料 216-0123)
11)
Benaboud S. et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 55(3):1315-1317, 2011
12)
Shiomi M. et al.:J Clin Pharmacol. 54(6):640-64