(2) 抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象とした臨床試験
236-0115試験31)
リトナビルでブーストしたプロテアーゼ阻害薬(PI/r)及びFTC/TDFから本剤に切り替えた際の本剤の有効性及び安全性を検討するために実施した,PI/r及びFTC/TDF継続投与を対照とした非盲検比較試験の結果を表7に示す(試験開始後48週)。
236-0121試験32)
非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)及びFTC/TDFから本剤に切り替えた際の本剤の有効性及び安全性を検討するために実施した,NNRTI及びFTC/TDF継続投与を対照とした非盲検比較試験の結果を表7に示す(試験開始後48週)。
236-0123試験33)
ラルテグラビルカリウム(RAL)及びFTC/TDFから本剤に切り替えた際の本剤の有効性及び安全性を検討するために実施した非盲検試験の結果を表7に示す(試験開始後48週)。
臨床成績の表
表6 236-0102試験及び236-0103試験の結果(144週評価)
236-0102試験
本剤投与群
(348例) |
236-0102試験
EFV/FTC/TDF
投与群
(352例) |
236-0103試験
本剤投与群
(353例) |
236-0103試験
ATV/r及びFTC/TDF
投与群
(355例) |
ウイルス学的効果
HIV-1 RNA量
<50copies/mL |
279(80.2%) |
265(75.3%) |
274(77.6%) |
265(74.6%) |
差
(95%信頼区間) |
4.9%
(-1.3%~11.1%) |
4.9%
(-1.3%~11.1%) |
3.1%
(-3.2%~9.4%) |
3.1%
(-3.2%~9.4%) |
ウイルス学的失敗例注10) |
26(7.5%) |
34(9.7%) |
28(7.9%) |
26(7.3%) |
例数(%)
注10)試験開始後144週の血漿中HIV-1 RNA量が≧50copies/mLの症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例,有害事象,死亡,治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1 RNA量が≧50copies/mLであった症例
表7 236-0115試験,236-0121試験及び236-0123試験の結果(48週評価)
|
236-0115試験
本剤投与群
(290例) |
236-0115試験
PI/r及びFTC/TDF
継続投与群
(139例) |
236-0121試験
本剤投与群
(290例) |
236-0121試験
NNRTI及びFTC/TDF
継続投与群
(143例) |
236-0123試験
本剤投与群
(48例) |
ウイルス学的効果
HIV-1 RNA量
<50copies/mL |
272(93.8%) |
121(87.1%) |
271(93.4%) |
126(88.1%) |
48(100%) |
差
(95%信頼区間) |
6.7%
(0.4%~13.7%) |
6.7%
(0.4%~13.7%) |
5.3%
(-0.5%~12.0%) |
5.3%
(-0.5%~12.0%) |
- |
ウイルス学的失敗例注11) |
2(0.7%) |
2(1.4%) |
3(1.0%) |
1(0.7%) |
0 |
例数(%)
注11)試験開始後48週の血漿中HIV-1 RNA量が≧50copies/mLの症例,治療効果の欠如及び減弱により早期に中止した症例,有害事象,死亡,治療効果の欠如又は減弱以外の理由で中止した症例のうち,中止時の血漿中HIV-1 RNA量が≧50copies/mLであった症例
薬効薬理
1. 作用機序
エルビテグラビル
エルビテグラビルは,HIV-1インテグラーゼの阻害薬である。インテグラーゼの阻害により,HIV-DNAの宿主DNAへの組み込みを抑え,HIV-1プロウイルスの形成及びウイルス増殖を阻止する。エルビテグラビルは,ヒトトポイソメラーゼI及びIIをいずれも阻害しない34)。
コビシスタット
コビシスタットは,CYP3Aの選択的な阻害薬である2)。
エムトリシタビン
エムトリシタビンは,シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり,細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5'-三リン酸となる35)。エムトリシタビン5'-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5'-三リン酸と競合すること及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後に,DNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する36)。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β,ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγ