小板において、トロンボキサンA2産生を抑制する26)。
ヒト血小板の血液凝固促進活性を抑制する27)。
(2) In vivo
・ビーグル犬24)及びブタ28)への経口投与で、ADP、コラーゲンによる血小板凝集を抑制する。
・ラットへの連続経口投与で、ADPによる血小板凝集に対する抑制作用は減弱しない。
・慢性動脈閉塞症患者及び脳梗塞患者への経口投与で、ADP、コラーゲン、アラキドン酸、アドレナリンによる血小板凝集を抑制する29,30)。
・ヒトにおける血小板凝集抑制効果は投与後速やかに発現し、反復投与によってもその効果は減弱しない30)。
・本剤の投与中止により、抑制された血小板凝集能は本剤の血漿中濃度の減衰とともに48時間後には投与前値に復し、リバウンド現象(凝集亢進)も認められていない30)。
2. 抗血栓作用
・マウスにADP、コラーゲンを静脈内投与することにより誘発される肺塞栓致死を抑制する24)。
・イヌの大腿動脈にラウリン酸ナトリウムを投与することにより誘発される血栓性後肢循環不全の進展を抑制する31)。
・イヌの大腿動脈を人工血管で置換した際に、その部位に誘発される血栓性閉塞を抑制する32)。
・ブタの頸動脈での電気刺激により誘発される血栓形成を抑制する28)。
・ウサギの内頸動脈にアラキドン酸を注入することにより出現する脳梗塞域を減少させる33)。
・一過性脳虚血発作患者において発作回数の減少が認められている34)。
3. 血管拡張作用
・KCl、プロスタグランジンF2αにより収縮させたイヌ摘出大腿動脈、中大脳動脈及び脳底動脈を弛緩させる。
・麻酔イヌの大腿動脈、椎骨動脈、総頸動脈及び内頸動脈血流量を増加させる35)。
・麻酔イヌ及び麻酔ネコの脳皮質血流量を増加させる35)。
・無麻酔ラットの脳皮質あるいは視床下部の血流量を増加させる。
・慢性動脈閉塞症患者において、足関節部、腓腹部の組織血流量を増加させることがプレチスモグラフィーにより認められている36,37)。更に四肢の皮膚温度の上昇、皮膚血流量の増加がサーモグラフィーにより認められている38)。
・虚血性脳血管障害患者において、脳血流量を増加させることがキセノン吸入法により認められている39)。
4. 血管平滑筋細胞に対する作用
・ヒトの培養血管平滑筋において血管平滑筋細胞の増殖を抑制する40)。
・ラット頸動脈内膜バルーン損傷後の内膜肥厚を抑制する41)。
5. 血管内皮細胞に対する作用
・ヒトの培養内皮細胞からのNO産生を促進する42)。
・ヒトの培養内皮細胞の障害を抑制する43~45)。
・ヒトの培養内皮細胞をホモシステインあるいはリポポリサッカライドにて刺激することによる乳酸脱水素酵素の漏出を抑制する。
6. 作用機序
・本剤はウサギ血小板のセロトニン放出を抑制するが、セロトニン、アデノシンの血小板への取り込みには影響を与えない。また、トロンボキサンA2による血小板凝集を抑制する46)。
・本剤は血小板及び血管平滑筋のPDE3(cGMP-inhibited phosphodiesterase)活性を選択的に阻害することにより47)、抗血小板作用及び血管拡張作用を発揮する。
・本剤のヒト血小板での血小板凝集抑制作用は培養ヒト血管内皮細胞26)又は、プロスタグランジンE125)の存在下で増強する。
・本剤のイヌ血小板での血小板凝集抑制作用はプロスタグランジンI2或いはアデノシンの存在下で増強する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
シロスタゾール〔Cilostazol(JAN)〕
化学名
6-[4-(1-Cyclohexyl-1H-tetrazol-5-yl)butyloxy]-3, 4-dihydroquinolin-2(1H)-one
構造式
分子式
C20H27N5O2
分子量
369.46
融点
158~162℃
性状
白色~微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。本品はメタノール、エタノール(99.5)又はアセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
取扱い上の注意
・自動分包機を使用する場合には欠けることがあるため、カセットのセット位置等に配慮すること。
・本剤は無包装状態で高湿度により影響を受けることが認められたため、無包装又は分包の場合には特に注意すること。
包装
プレタールOD錠50mg:[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、700錠(14錠×50)
プレタールOD錠50mg:[プラスチックボトル]500錠
プレタールOD錠100mg:[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、700錠(14錠×50)
プレタールOD錠100mg:[プラスチックボトル]500錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Packer, M. et al.:New Engl. J. Med., 325, 1468-1475, 1991
2)
Cohn, J. N. et al.:New Engl. J. Med., 339, 1810-1816, 1998
3)
西大條亮一ほか:医薬品研究, 16, 1053-1072, 1985
4)
江崎孝三郎ほか:医薬品研究, 16, 1073-1092, 1985
5)
Akiyama, H. et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res., 35(II), 1124-1132, 1985
6)
永野耕一ほか:医薬品研究, 16, 1268-1284, 1985
7)
永野耕一ほか:医薬品研究, 16, 1305-1324, 1985
8)
Bramer, S. L. et al.:Clin. Pharmacokinet., 37(Suppl.2), 69-77, 1999
9)
※※長谷川節雄ほか:薬理と治療, 40(11), 955-964, 2012
10)
Akiyama, H. et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res., 35(II), 1133-1140, 1985