。
3. 肝機能障害、黄疸
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を減量又は休薬するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症注)
頻度不明
発疹、そう痒症、紅斑、蕁麻疹、皮膚炎、発熱
2. 肝臓
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等
3. 消化器
頻度不明
悪心・嘔吐、下痢
4. 皮膚
頻度不明
脱毛
5. その他
頻度不明
抗甲状腺作用
その他の副作用の注意
注)このような場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
本剤は、血漿アルブミンとの結合率が高く(「薬物動態」の項参照)、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬物の血中濃度が高くなるおそれがある。用量に留意し慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
〔本剤は胎盤を通過し、点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系の異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告がある。また、分娩時に母体の異常出血があらわれることがある。〕
2.
本剤投与中の授乳婦には授乳を避けさせること。
〔ヒト母乳中に移行し、新生児に予期しない出血があらわれることがある。〕
小児等への投与
新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
過量投与
本剤過量投与による出血には、ビタミンK製剤の静脈内投与が奏効し、一般的には数時間以内で回復する。1)
その他
本剤使用に当って
(1) 患者への注意
使用上の注意記載内容の他、次の事項について患者へ必要と考えられるアドバイスを行うこと。
1)
必ず指示された通りに服用すること(服用を忘れた時の対応の仕方も併せて)。
2)
定期的に診察を受け、凝血能検査(トロンボテスト等)を必ずしてもらうこと。
3)
手術や抜歯をする時は、事前に主治医に相談すること。
4)
創傷を受けやすい仕事に従事しないこと。
5)
納豆、クロレラ食品及び青汁は本剤の抗凝血作用を減弱させるので避けることが望ましい。2)3)4)
(2)
他院や他科に受診の際は、本剤の服用を医師、歯科医師、又は薬剤師に知らせること。
(3)
患者用説明書(見本添付)、患者携帯用の抗凝血薬療法手帳を用意してあるので、必要に応じ、適宜これを用いることができる。
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人男子(CYP2C9*1/*3及び*3/*3遺伝子型を示さない者)にワーファリン顆粒0.2%0.5g又はワーファリン錠1mg(いずれもワルファリンカリウムとして1mg)を絶食下単回経口投与した際の平均血漿中ワルファリン濃度を図に示す。
また、ワルファリンの薬物動態パラメータを表に示す。
いずれの製剤を投与した際も、投与後0.25時間で最高血漿中濃度に到達し、102~106時間の半減期で消失する類似した血漿中濃度推移を示した。
ワーファリン顆粒0.2%及び錠1mg単回経口投与時の平均ワルファリン血漿中濃度推移
2. 吸収・分布・代謝・排泄
(外国人のデータ)
本薬は、経口投与後、上部消化管より極めて良く吸収され、血漿中ではアルブミンと97%が結合して存在する。5)
尿中への未変化体の排泄率は、ごく微量であり、代謝は、アセトニル基の還元によるワルファリンアルコールへの変換と6-あるいは7-ヒドロキシワルファリンが主である。6)7)
本薬の代謝に関与する主な肝薬物代謝酵素CYPの分子種はCYP2C9(光学異性体のS体)であり、CYP1A2、CYP3A4(光学異性体のR体)も関与することが報告されている。8)
薬物動態の表
ワーファリン顆粒0.2%及び錠1mg単回経口投与時の薬物動態パラメータ
製剤 例数 Cmax
(ng/mL) tmax
(hr) AUC0-144
(ng・hr/mL) t1/2
(hr)
顆粒0.2% 24 163±27 0.25(0.25-0.50) 3497±476 102±32
錠1mg 24 157±27 0.25(0.25-2.00) 3366±499 106±52
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値-最大値)
臨床成績
臨床効果
(1) 静脈血栓に対する効果
網膜静脈血栓症の視力の改善に有効であった。9)
(外国人のデータ)
血栓性静脈炎、心筋梗塞、冠不全及び肺梗塞の患者の症候の消失に有効であった。10)
(2) 心筋梗塞における冠状動脈閉塞に対する効果
(外国人のデータ)
急性心筋梗塞入院患者92例を対象に、心筋梗塞後の腓静脈血栓症の予防効果について検討した。その結果トロンボテスト値5~15%に維持した投与群は、静脈血栓症検出3例(6.5%)で、非投与群の10例(22%)に比較して有意(p<0.05)な抗血栓効果を認めた。11)
また、近年の長期抗凝血薬療法の無作為臨床試験成績として、心筋梗塞患者1,214例を対象とし、プラセボ投与群に比べ全死亡率、再梗塞、脳血管障害の各々の減少率は、24%(p=0.027)、34%(p=0.0007)、55%(p=0.0015)であったとの報告がある。12)
(3) 非弁膜症性心房細動における脳塞栓症等の全身性塞栓症の予防に対する効果
(外国人のデータ)
5つの大規模無作為臨床試験での塞栓症の年間発症率は、対照群が3.0~7.4%であったのに対し、本薬投与群で0.4~2.5%であり、その減少率は42~86%であった。13)14)15)16)17)
本剤低用量と抗血小板剤の併用群と、本剤の通常用量群との脳梗塞、全身性塞栓の年間発現率を比較した。年間発現率は併用群では7.9%、通常用量群では1.9%であった。18)
(4) 人工弁置換術後の抗凝血薬療法に対する成績
1,000例を超える人工弁置換術後の抗凝血薬療法の報告で血栓塞栓症の年間発症率は1.4%との成績が報告されている。19)
薬効薬理
1. 抗凝血作用
本薬は、ウサギに2mg/kgを経口投与した後6~18時間にわたってプロトロンビン時間の延長が認められた。20)
2. 血栓形成