中トブラマイシン濃度推移(n=20、平均値+標準偏差)
本剤300mgを単回噴霧吸入投与したときの血清中薬物動態パラメータ
Cmax(μg/mL)
1.04±0.58
Tmax(h)
※1(0.5~2)
AUC0-12h(μg・h/mL)
4.8±2.5
AUCinf(μg・h/mL)
5.3±2.6
T1/2(h)
3.0±0.8
n=20、平均値±標準偏差、※:中央値(最小値~最大値)
2) 反復投与2)
嚢胞性線維症患者に本剤300mg1日2回、4週間反復噴霧吸入投与したのち4週間休薬を1サイクルとし、3回繰り返したとき、初回噴霧吸入投与後1時間の血清中トブラマイシン濃度の平均値(n=257)は0.95μg/mL(範囲:定量下限値(0.18μg/mL)未満~3.62μg/mL)であった。また、最終噴霧吸入投与後1時間の血清中トブラマイシン濃度の平均値(n=222)は1.05μg/mL(範囲:定量下限値未満~3.41μg/mL)であった。 (外国人のデータ)
2. 分布
本剤を噴霧吸入投与したとき、トブラマイシンは多く気道に留まる。2)
トブラマイシンは血清蛋白とほとんど結合しない。4) (外国人のデータ)
3. 代謝1,5)
トブラマイシンは代謝を受けない。
4. 排泄1,6)
体内に吸収されたトブラマイシンは、主に糸球体濾過により未変化体として尿中に排泄される。
臨床成績
外国における臨床試験結果7,8)
プラセボ対照二重盲検比較試験が2試験(試験1、試験2)実施され、緑膿菌が検出された嚢胞性線維症患者520例を対象に、トブラマイシン300mgあるいはプラセボを1日2回吸入28日間継続投与し28日間休薬する投薬サイクルを3サイクル(計24週)行った(組入れ症例数 試験1;トブラマイシン群109例/プラセボ群114例、試験2;トブラマイシン群149例/プラセボ群148例)。トブラマイシン群では、予測正常値に対する努力性呼出1秒量の割合(%FEV1)が3サイクル目の投薬終了時(20週)に投与前値から試験1では12.0%(96例)、試験2では8.7%(135例)と増加を示したのに対し、プラセボ群ではそれぞれ-0.5%(98例)、-2.7%(133例)の変化であり、トブラマイシン吸入による呼吸機能の改善が認められた。
また、3サイクル目の投薬終了時(20週)の喀痰中緑膿菌コロニー形成単位(Log10CFU)は、トブラマイシン群では投与前値から試験1で-0.87(71例)、試験2で-0.62(90例)と減少したのに対し、プラセボ群では試験1では0.30(67例)、試験2では0.37(91例)と増加を示しており、トブラマイシン群でCFUの減少が認められた。
%FEV1のベースラインに対する相対変化率(%)
喀痰中緑膿菌コロニー形成単位のベースラインからの絶対変化量
薬効薬理
1. 薬理作用(抗菌作用)1)
トブラマイシンは、緑膿菌を含むグラム陰性菌に対し幅広いin vitro抗菌活性を示す。
2. 作用機序
細菌の蛋白合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し、その作用は殺菌的である。
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
トブラマイシン(Tobramycin)
化学名
3-Amino-3-deoxy-α-D-glucopyranosyl-(1→6)-[2,6-diamino-2,3,6-trideoxy-α-D-ribo-hexopyranosyl-(1→4)]-2-deoxy-D-streptamine
分子式
C18H37N5O9
分子量
467.51
性状
白色~微黄白色の粉末である。
水に極めて溶けやすく、ホルムアミドに溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくい。吸湿性である。
取扱い上の注意
室温で28日間を超えて保存しないこと。未使用のアンプルは、光を避けるため、必ずアルミ袋に保管すること。
承認条件
日本人での投与経験が極めて限られていることから、再審査期間中は、本剤投与症例全例を登録して安全性及び有効性に関する製造販売後調査を実施すること。その中で、長期投与時の安全性及び有効性について十分に検討すること。
包装
トービイ吸入液300mg 5mL×14本(アルミ袋)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Neu,H.C.:J.Infect.Dis.134(Suppl.),S3,1976 〔TOBS00001〕
2)
Geller,D.E.et al.:Chest 122(1),219,2002 〔TOBF00001〕
3)
Geller,D.E.et al.:Pediatr.Pulmonol.42(4),307,2007 〔TOBM00013〕
4)
Gordon,R.C.et al.:Antimicrob.Agents Chemother.2(3),214,1972 〔TOBS00002〕
5)
石山俊次ほか:Chemotherapy 23(3),1151,1975 〔TOBS00003〕
6)
山作房之輔ほか:Jpn.J.Antibiot.34(11),1429,1981 〔TOBS00004〕
7)
社内資料:外国人嚢胞性線維症患者を対象とした第III相試験(試験1:PC-TNDS-002) 〔TOBU00002〕
8)
社内資料:外国人嚢胞性線維症患者を対象とした第III相試験(試験2:PC-TNDS-003) 〔TOBU00003〕
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
ノバルティス ファーマ株式会社 ノバルティス ダイレクト
〒106-8618 東京都港区西麻布4-17-30
長期投与医薬品に関する情報
本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2013年11月末日までは、投薬期間は1回14日分を限度とされています。
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
ノバルティス ファーマ株式会社
東京都港区西麻布4-17-30