1. ショック
(頻度不明)
ショック症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧降下、脈拍の異常、呼吸抑制等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、対症療法を行うこと(デキストラン40注射液でみられる副作用:第一次再評価結果その16、1979年)。
2. 急性腎不全
(頻度不明)
急性腎不全があらわれることがあるので、乏尿などの異常が認められた場合には投与を中止し、持続的血液濾過透析法、血漿交換、血液透析等の適切な処置を行うこと。(デキストラン40注射液でみられる副作用:第一次再評価結果その13、1977年)。
3. 過敏症
(頻度不明)
アナフィラキシー等の過敏症状があらわれた場合には投与を中止し、対症療法を行うこと(自主改訂、1993年)。
その他の副作用
血液(大量投与又は連用)
頻度不明
〔出血時間延長又は出血傾向〕
胃腸
頻度不明
〔悪心・嘔吐等〕
皮膚
頻度不明
〔じん麻疹〕
大量・急速投与
頻度不明
〈脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫〉
〔〕:デキストラン40注射液でみられる副作用(第一次再評価結果その13、1977年)
〈〉:乳酸リンゲル液でみられる副作用(第一次再評価結果その14、1978年)
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
臨床検査結果に及ぼす影響
血液型判定又は交叉試験を妨害することがあるので、これらの試験を行う必要がある場合には、本剤の投与前に実施することが望ましい。
適用上の注意
1. 投与経路:
皮下投与しないこと。
2. 調製時:
(1)
本剤はカルシウム塩を含有するため、クエン酸加血液と混合すると凝血を起こすおそれがあるので注意すること。
(2)
リン酸イオン及び炭酸イオンと沈殿を生じるので、リン酸塩又は炭酸塩を含む製剤と配合しないこと。
3. 投与前:
(1)
保存中の温度変化による局部的濃縮のため、まれに不溶性デキストランを析出することがある(鱗片状又は凝縮物)。
このような場合には使用しないこと。
(2)
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
(3)
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
(4)
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
薬物動態
血中濃度
健常人に本剤を静注(250mL/60分)した場合のデキストラン40の血中濃度は、点滴終了時に最高値312.3mg/dLに達したのち漸減し、24時間後には28.7mg/dLまで減少した。また、血中半減期は投与終了後約3時間であった1)。
臨床成績
外科手術患者97症例の術中及び術後に本剤を投与し、また、必要に応じて輸血を併用した。その結果、安定した血圧及び脈拍が得られ、血液性状、血清電解質バランス、酸塩基平衡の変動は、いずれも軽微で正常範囲内であった2~4)。
薬効薬理
1. 血漿増量作用
成犬を用い、脱血及び等量の本剤注入操作を繰返して血液希釈を行った実験で、循環血漿量及び細胞外液量の増加が認められた5)。
2. 酸塩基平衡、電解質バランスの維持
脱血成犬において、本剤は10%デキストラン40加5%ブドウ糖液に対し、酸塩基平衡障害及び血清電解質濃度の減少を著明に抑制した6)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
デキストラン40
分子量
約40,000(平均分子量)
構造式
性状
白色の無晶性の粉末で、におい及び味はない。エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。水に徐々に溶解する。吸湿性である。
取扱い上の注意
1.
保存中の温度変化による局部的濃縮のため、まれに不溶性デキストランを析出することがある(鱗片状又は凝縮物)。
2.
不溶性デキストランの析出を認めた場合、これを使用しないこと。
3.
このような事例の発生を防止するため、下記の「貯法」の項を参照して保存すること。
4.
注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと。斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある。
5.
ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
6.
包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
7.
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
貯法(保存条件)
室温保存。ただし、不溶性デキストランの析出を防止するため、次の点に留意する。
(1)
温度変化の少ない場所で保存すること。
例えばクーラーの吹き出し口付近等、温度変化の著しい場所での保存は避けること。
(2)
不溶性デキストランの析出は、ゴム栓とソフトバッグ容器内壁との接触溝付近で発生しやすいため7)、横積み状態での保存に努めること。
(3)
温度変化の影響を少なくするため、ソフトバッグを包んでいる外袋は開封しないことが望ましい。
包装
250mL 20袋 ソフトバッグ入り
500mL 20 袋 ソフトバッグ入り
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
小田博宗,他:新薬と臨床 1978;27(10):1853-1857
2)
後藤幸生,他:臨床泌尿器科 1969;23(1):17-22
3)
岡本喜雄,他:麻酔 1969;18:64-68
4)
武藤輝一,他:診断と治療 1968;56(7):1250-1257
5)
杉本 比,他:麻酔 1969;18(11):1079-1090
6)
上山英明,他:麻酔 1968;17(10):986-987
7)
中島徳保,他:薬学雑誌 1975;95(6):749-752
文献請求先
*株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
*〒101‐0048 東京都千代田区神田司町2‐2
*TEL:0120-719-814
*FAX:03‐5