用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること.
2.
一般感染症において,小児の1日投与量は成人の標準用量(1日400mg)を上限とすること.
3.
免疫不全など合併症を有さない軽症ないし中等症のレジオネラ肺炎に対し,1日400mg分2投与することにより,通常2~5日で症状は改善に向う.症状が軽快しても投与は2~3週間継続することが望ましい.また,レジオネラ肺炎は再発の頻度が高い感染症であるため,特に免疫低下の状態にある患者などでは,治療終了後,更に2~3週間投与を継続し症状を観察する必要がある.なお,投与期間中に症状が悪化した場合には,速やかにレジオネラに有効な注射剤(キノロン系薬剤など)への変更が必要である.
4.
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の治療に用いる場合,国内外の最新のガイドライン1)等を参考に併用療法を行うこと.
5.
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性MAC症の治療に用いる場合,臨床的又は細菌学的な改善が認められた後も継続投与すべきである.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
他のマクロライド系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者
2.
肝機能障害のある患者[肝機能障害を悪化させることがある.](「副作用」の項参照)
3.
腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある.](「相互作用」の項参照)
4.
**心疾患のある患者,低カリウム血症のある患者
[QT延長,心室頻拍(Torsades de pointesを含む),心室細動を起こすことがある.](「副作用」の項参照)
5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
相互作用
本剤は,肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4阻害作用を有することから,CYP3A4で代謝される薬剤と併用したとき,併用薬剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する可能性がある.
また,本剤は,P-糖蛋白質に対する阻害作用を有することから,P-糖蛋白質を介して排出される薬剤と併用したとき,併用薬剤の排出が阻害され血中濃度が上昇する可能性がある.
一方,本剤はCYP3A4によって代謝されることから,CYP3A4を阻害する薬剤と併用したとき,本剤の代謝が阻害され未変化体の血中濃度が上昇する可能性があり,また,CYP3A4を誘導する薬剤と併用したとき,本剤の代謝が促進され未変化体の血中濃度が低下する可能性がある.
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
ピモジド
オーラップ
臨床症状・措置方法
QT延長,心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害され,それらの血中濃度が上昇する可能性がある.
薬剤名等
エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩)含有製剤
クリアミン
ジヒデルゴット
臨床症状・措置方法
血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害され,それらの血中濃度が上昇する可能性がある.
薬剤名等
タダラフィル
アドシルカ
臨床症状・措置方法
上記薬剤のクリアランスが高度に減少し,その作用が増強するおそれがある.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害され,それらの血中濃度が上昇する可能性がある.
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
嘔気,嘔吐,不整脈等が報告されているので,ジゴキシンの血中濃度の推移,自覚症状,心電図等に注意し,異常が認められた場合には,投与量を調節する等の適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
本剤の腸内細菌叢に対する影響により,ジゴキシンの不活化が抑制されるか,もしくはP-糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより,その血中濃度が上昇する.
薬剤名等
スルホニル尿素系血糖降下剤
グリベンクラミド等
臨床症状・措置方法
低血糖(意識障害に至ることがある)が報告されているので,異常が認められた場合には,投与を中止し,ブドウ糖の投与等の適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
機序は明確ではないが,本剤との併用により,上記薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある.
薬剤名等
カルバマゼピン
テオフィリン
アミノフィリン水和物
コリンテオフィリン
シクロスポリン
タクロリムス水和物
臨床症状・措置方法
上記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので,上記薬剤の血中濃度の推移等に注意し,異常が認められた場合には,投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害される.
薬剤名等
アトルバスタチンカルシウム水和物
シンバスタチン
ロバスタチン(国内未承認)
臨床症状・措置方法
上記薬剤の血中濃度上昇に伴う横紋筋融解症が報告されているので,異常が認められた場合には,投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと.腎機能障害のある患者には特に注意すること.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害される.
薬剤名等
コルヒチン
臨床症状・措置方法
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少,肝機能障害,筋肉痛,腹痛,嘔吐,下痢,発熱等)が報告されているので,異常が認められた場合には,投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと.
なお,肝臓又は腎臓に障害のある患者で,コルヒチンを投与中の患者には,本剤を併用しないこと.
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により,上記薬剤の代謝が阻害される.
薬剤名等
ベンゾジアゼピン系薬剤(CYP3A4で代謝される薬剤)
トリアゾラ