4. 消化器
頻度不明
食欲不振、下痢、悪心・嘔吐、口渇、膵炎注3)(血清アミラーゼ値上昇)
5. 肝 臓注1)
頻度不明
黄疸、肝機能異常、胆汁うっ滞
6. 腎 臓注4)
頻度不明
BUN上昇、クレアチニン上昇
7. 精神神経系
頻度不明
めまい、頭痛、知覚異常、聴覚障害
8. その他
頻度不明
脱力感、けん怠感、起立性低血圧、筋痙攣、味覚異常、血管炎、発熱
その他の副作用の注意
注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2)異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
注3)膵炎があらわれるとの報告があるので、血清アミラーゼ値の上昇に注意すること。
注4)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1)
高齢者では急激な利尿は血漿量の減少をきたし、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
(2)
特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮をきたし、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
(3)
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。[脳梗塞等が起こるおそれがある。]
(4)
高齢者では低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊娠初期又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠初期の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
本剤投与中は授乳を避けさせること。[母乳中に移行する。]
小児等への投与
1. 低出生体重児
生後数週間以内の呼吸窮迫症の低出生体重児では、動脈管開存のリスクが増加する可能性がある。
動脈管開存及び硝子膜症のため浮腫を生じた重度の低出生体重児に投与したところ腎石灰化症があらわれたとの報告があるので慎重に投与すること。
2. 乳児
乳児では電解質バランスがくずれやすいため、慎重に投与すること。
過量投与
徴候、症状
電解質及び体液喪失により血圧低下、心電図異常、血栓症、急性腎不全、譫妄状態等を起こす可能性がある。
処 置
患者の状態を観察しながら水分及び電解質の補充を行う。
本剤は血液透析によって除去できない。
適用上の注意
1. 静脈注射時
緩徐に投与すること。特に、大量静脈注射の必要がある場合には、毎分4mg以下となるよう投与速度を調節すること。[大量を急速に静脈注射した場合に難聴があらわれやすい。]
2. 筋肉内注射時
(1)
筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。
同一部位への反復注射は行わないこと。
特に新生児、低出生体重児、乳児、小児には注意すること。
(2)
神経走行部位を避けること。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
(4)
注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
3. 投与時
本品はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
その他の注意
ヨード造影剤による造影剤腎症の発症リスクの高い患者に本剤を投与した時、造影剤投与前に輸液のみ行った群に比べ、造影剤投与後の腎機能悪化の割合が高かったとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度1)(外国人データ)
健康成人にフロセミド40mgを静脈内投与した場合、約0.5時間の半減期で血中より消失する。10日間にわたる完全なbalance studyの結果、5日以内に100%の回収率を得、投与された量の12%が糞便中から検出された。
2. 代謝・排泄2)(外国人データ)
フロセミドは化学的に安定な物質であり、主に未変化体として排泄されるが、一部代謝され、その主なものは、グルクロン酸抱合体である。
3. 蛋白結合率3)(外国人データ)
蛋白結合率は、本剤の血中濃度、血清アルブミン濃度(血清総蛋白)に左右される。健康成人での蛋白結合率は91~99%で、主にアルブミンと結合する。
薬効薬理
1. 利尿作用
(1)
本剤の利尿効果は静脈内投与後数分以内に発現し、約3時間持続する4)。
(2)
本剤は腎血流量、糸球体ろ過値を上昇させる作用を持ち5)、腎機能が低下(慢性腎不全患者)している場合(GFRが20mL/min以下)でも利尿効果が期待できる6)。
(3)
本剤の利尿効果をラットの尿中Na排泄量でみると、その最大Na排泄量はチアジド系薬剤の約3倍を示し、最小有効量10mg/kgから最大有効量100mg/kgと幅広い薬用量を持つ7)。
2. 降圧作用8)
本剤の降圧効果は、高血圧患者に投与した場合徐々に発現し、その作用機序は、利尿による循環血漿量の減少、血管壁のナトリウム含量の減少によると考えられている。
3. 作用機序9)
本剤の利尿作用は、イヌを用いた実験で腎尿細管全域(近位、遠位尿細管及びヘンレ係蹄)におけるNa、Clの再吸収抑制作用に基づくことが認められている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
フロセミド(Furosemide)
化学名
4‐Chloro‐2‐[(furan‐2‐ylmethyl)amino]‐5‐sulfamoylbenzoic acid
分子式
C12H11ClN2O5S
分子量
330.74
構造式
性 状
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品は、N,N‐ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリル又は酢酸(100)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
本品は光によって徐々に着色する。
融 点
約205℃(分解)
取扱い上の注意
低温(8℃以下)で保存する時結晶を析出することがあるが、この場合には室温で溶解してから使用すること。品質には何ら影響はない。
包装
10アンプル
50アンプル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Rupp, W.:Scot. Med. J., 19(Suppl.1), 5, 1974