人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
1.
因果関係は明らかではないが、本剤による治療中に心筋梗塞、心不全や不整脈(心房細動等)がみられたとの報告がある。
2.
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者の透析排液が白濁することが報告されているので、腹膜炎等との鑑別に留意すること。
薬物動態
1. 吸収
(1)
健康な成人男子6例にカルブロック錠8mgを1日1回7日間連続経口投与したところ、最高血漿中濃度に到達する時間は2~3時間であり、半減期は19~23時間であった。投与後24時間の血漿中濃度は、投与2日目からほぼ一定の値を示し、速やかに定常状態に達した1)。空腹時投与のCmax及びAUC0-∞は食後投与と比較してそれぞれ38%及び69%であった2)。
薬物動態の表1参照
(2)
軽症・中等症本態性高血圧症患者6例にカルブロック錠8mgを朝食後単回経口投与したところ、最高血漿中濃度に達する時間は3.7時間、Cmaxは9.4ng/mL、半減期(一相性)は6.1時間、AUC0-24は66.5ng・hr/mLであった。血漿中濃度は健康な成人と同様のレベルと考えられた3)。
2. イトラコナゾールとの相互作用4)
健康な成人男子8例(20~29歳)にカルブロック錠8mg及びイトラコナゾール50mgを併用投与したところ、血漿中アゼルニジピンのCmax及びAUCは単独投与に比較してそれぞれ1.6倍(0.8~3.1倍)、2.8倍(1.7~5.4倍)に増加した。
薬物動態の表2参照
3. ジゴキシンとの相互作用
健康な成人男子16例(22~41歳)にカルブロック錠8mg及びジゴキシン0.25mgを併用投与したところ、血漿中ジゴキシンのCmax及びAUCは単独投与に比較してそれぞれ1.5倍(0.8~3.1倍)、1.3倍(0.6~2.3倍)に増加した。
薬物動態の表3参照
4. HMG-CoA還元酵素阻害剤との相互作用5)
健康な成人男子8例(22~34歳)にカルブロック錠8mg及びシンバスタチン10mgを併用投与したところ、単独投与に比較して血漿中アゼルニジピン濃度はほとんど変化しなかったが、血漿中シンバスタチン濃度はCmax及びAUCがそれぞれ1.9倍(1.4~3.5倍)、2.0倍(1.6~3.3倍)に増加した。
薬物動態の表4参照
なお、カルブロック錠8mgとアトルバスタチン10mg又はプラバスタチン10mgの併用投与では、血漿中アゼルニジピン濃度にほとんど変化はなく、血漿中アトルバスタチン濃度はCmax及びAUCがそれぞれ1.0倍(0.4~2.0倍)、1.0倍(0.5~1.4倍)、血漿中プラバスタチン濃度は同じく0.9倍(0.4~1.9倍)、1.0倍(0.3~2.3倍)であった。
5. グレープフルーツジュースとの相互作用6)
健康な成人男子8例(23~40歳)にカルブロック錠8mgをグレープフルーツジュースとともに単回経口投与したところ、水で服用した場合に比較してCmax及びAUCはそれぞれ2.5倍(1.6~3.2倍)、3.3倍(2.3~4.3倍)に増加した。
薬物動態の表5参照
6. 血漿蛋白結合率7)
本剤のin vitro の血漿蛋白結合率は90~91%で、主にリポ蛋白に非特異的に結合する。
7. 代謝
主な代謝部位は小腸及び肝臓であり、CYP3A4によりジヒドロピリジン環が酸化される8)。
8. 排泄9)
外国人のデータでは、健康な成人男子4例に14C-アゼルニジピン4mgを単回経口投与したところ、投与後7日までの尿及び糞中への総投与放射能排泄率は、尿中が26%、糞中が63%であった。
9. 肝機能障害患者の薬物動態10)
外国人のデータでは、軽度・中等度の肝機能障害患者及び健康人各8例にカルブロック錠8mgを単回経口投与したところ、ほぼ同様の血漿中濃度推移を示した。
薬物動態の表6参照
10. 腎機能低下高血圧症患者の薬物動態11)
腎機能低下を伴う高血圧症患者6例(血清クレアチニン1.5~5.3mg/dL)にカルブロック錠8mgを1日1回朝食後7日間連続経口投与したところ、投与1日目及び投与7日目の最高血漿中濃度は8.6ng/mL及び17.1ng/mL、AUC0-24は67.3ng・hr/mL及び154.5ng・hr/mLと、7日目で有意に大きな値を示したが、投与24時間後の血漿中濃度は6日目以降ほぼ一定の値を示し定常状態に達した。
薬物動態の表7参照
11. 高齢者の薬物動態12)
高齢高血圧症患者(65~84歳)5例にカルブロック錠8mgを1日1回朝食後7日間連続経口投与したところ、投与1日目及び投与7日目の最高血漿中濃度到達時間はそれぞれ4.4時間及び3.2時間、半減期はそれぞれ6.4時間及び8.6時間、AUC0-24はそれぞれ107.0ng・hr/mL及び242.8ng・hr/mLであり、最高血漿中濃度、半減期及びAUC0-24は7日目に有意に大きな値を示したが、投与24時間後の血漿中濃度は7日目までにほぼ一定の値を示し定常状態に達した。
薬物動態の表8参照
薬物動態の表1 カルブロック錠8mgを1日1回7日間連続経口投与(食後投与)した場合の血漿中未変化体濃度
投与量 投与日数 Cmax
(ng/mL) Tmax
(hr) t1/2α
(hr) t1/2β
(hr) AUC0-24
(ng・hr/mL)
8mg 1日目 11.8±1.4 3.2±0.3 1.3±0.2 23.1±8.1 59.7±6.9
8mg 7日目 14.7±1.6 2.2±0.3 1.0±0.1 19.2±2.2 81.6±13.