Thymoglobuline(サイモグロブリン点滴静注用25mg,Anti-human Thymocyte Immunoglobulin, Rabbit)サイモグロブリン点滴静注用25mg
作成又は改訂年月
*2014年9月改訂(第8版)
*2012年10月改訂
日本標準商品分類番号
876399
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
2014年9月
-
国際誕生年月
1984年4月
薬効分類名
免疫抑制剤
承認等
販売名
-
サイモグロブリン点滴静注用25mg

販売名コード
6399423F1026
承認・許可番号
承認番号
-
22000AMY00004000
-
商標名
-
Thymoglobuline

薬価基準収載年月
2008年9月
販売開始年月
2008年11月
貯法・使用期限等
貯法
凍結を避け、2~8℃で遮光保存
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使用期限
外箱及びラベルに表示
規制区分
生物由来製品
-
劇薬
-
処方箋医薬品注)
-
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成・性状
有効成分:1バイアル中の分量
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン:25mg
備考:ウサギ血液由来
-
添加物:1バイアル中の分量
グリシン:50mg
D-マンニトール:50mg
ポリソルベート80:2.5mg
塩化ナトリウム:10mg
pH調節剤2成分
性状
白色ないし乳白色の凍結乾燥製剤である。本剤を日局注射用水で溶解したとき、無色ないし淡黄色の澄明又はわずかに混濁した液となる。
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pH(日局注射用水5mLで溶解後)
-
6.5~7.2
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浸透圧比(日局注射用水5mLで溶解後)
-
約0.9(生理食塩液に対する比)
-
本剤は製造工程でヒトの胸腺細胞及び赤血球を使用している。
一般的名称
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン
警告
**本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、再生不良性貧血、造血幹細胞移植又は臓器移植に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
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禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の試験投与でショック状態等の過敏症が認められた患者[〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照]
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1.
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重症感染症(肺炎、敗血症等)を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。]
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2.
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妊婦[「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
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3.
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弱毒生ワクチンを投与中の患者[「3.相互作用(1)」の項参照]
-
4.
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原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
本剤又は他のウサギ血清製剤の投与歴のある患者[ショックを起こすおそれがある。]
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1.
-
ウイルス感染症の患者[本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。]
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2.
-
細菌感染症の患者[本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。]
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3.
-
真菌感染症の患者[本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。]
-
4.
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効能又は効果
○中等症以上の再生不良性貧血
-
○造血幹細胞移植の前治療
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○造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
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**○下記の臓器移植後の急性拒絶反応の治療
効能又は効果に関連する使用上の注意
本剤は下記の重症度基準による中等症以上の再生不良性貧血患者に使用すること。
(厚生労働省特定疾患特発性造血障害調査研究班基準(平成16年度修正))1)
好中球200/μL未満に加えて、以下の1項目以上を満たす
網赤血球 20,000/μL未満
血小板 20,000/μL未満
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以下の2項目以上を満たす
網赤血球 20,000/μL未満
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好中球 500/μL未満
-
血小板 20,000/μL未満
-
以下の2項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする
網赤血球 60,000/μL未満
好中球 1,000/μL未満
血小板 50,000/μL未満
注)定期的な赤血球輸血とは毎月2単位以上の輸血が必要なときを指す。
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以下の2項目以上を満たす
網赤血球 60,000/μL未満
好中球 1,000/μL未満
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血小板 50,000/μL未満
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それ以外のもの
-
軽症
-
ステロイド療法によっても十分な効果が得られない場合にのみ適用を考慮すること。
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○造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の場合
-
本剤は、原則としてステロイド療法で十分な治療効果が得られない場合に使用すること。
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**○臓器移植後の急性拒絶反応の治療の場合
用法及び用量
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5~3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。
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○中等症以上の再生不良性貧血
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は造血幹細胞移植5日前より4日間とする。
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○造血幹細胞移植の前治療
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5~3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は7~14日間とする。
腎移植の場合
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。
肝移植、肺移植、膵移植及び小腸移植の場合
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5~2.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。
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○造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
心移植の場合
用法及び用量に関連する使用上の注意
アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがあるので、使用に際しては、十分な問診を行うとともに、あらかじめ本剤の試験投与を行うこと。
試験投与は通常、本剤1バイアルを日局注射用水5mLにて溶解後、その0.5mL(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5mg)を100mLの生理食塩液で希釈して、1時間以上かけて点滴静注する。試験投与中は医師が患者の状態を十分に観察し、安全性を確認すること。
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1.
-
本剤又は他のウサギ血清製剤の投与歴のある患者に本剤をやむを得ず再投与する際には、投与に先立って、本剤に対する抗体の有無を確認する等、必要な処置を講じた上で、医師の十分な観察のもと投与すること。
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2.
-
**臓器移植後の急性拒絶反応の治療に本剤を投与する際には、血小板を含む全血算値に十分注意し、以下に示す減量基準等を参考に、適切な処置を行うこと。
血小板数が50,000~75,000/mm3又は白血球数が2,000~3,000/mm3の場合、本剤の減量を考慮すること。
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(1)
-
持続的で重度の血小板減少症(<50,000/mm3)又は白血球減少症(<2,000/mm3)が認められた場合、本剤の投与中止を考慮すること。
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(2)
-
**心移植後の急性拒絶反応の治療において、1.5mg/kgよりも高用量を投与する期間は、過度の免疫抑制状態の持続を避けるため、5日間までを目安にすること。
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4.
使用上の注意
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
薬物過敏症の既往歴のある患者
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1.
-
アレルギー素因のある患者
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2.
-
肝障害のある患者[肝機能を悪化させるおそれがある。]
-
3.
-
腎障害のある患者[腎機能を悪化させるおそれがある。]
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4.
-
心疾患のある患者[心機能を悪化させるおそれがある。]
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5.
**重要な基本的注意
ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、投与前にショック症状発現時の救急処置対策を考慮しておくこと。投与中は注意して使用し、医師が経過を十分に観察すること。ショック症状があらわれた場合には、速やかに投与を中止し、適切な救急処置を行うこと。[「(1)重大な副作用1)」の項参照]
-
1.
-
本剤の投与前に感染症が認められた場合、感染症の治療を優先し、患者の状態が安定した後、本剤を投与すること。また、投与中並びに投与後に重篤な感染症(ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症等)が発症する場合があるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、適切な治療を行うこと。[「(1)重大な副作用3)~6)」の項参照]
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2.
-
間質性肺炎を起こすことがあるので、咳嗽、呼吸困難、低酸素症等の呼吸器症状に注意すること。[「(1)重大な副作用7)」の項参照]
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3.
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本剤投与の初期に発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等があらわれることがあるので、その旨を患者にあらかじめ説明しておくこと。また、重度のinfusion associated reaction(サイトカイン放出症候群を含む)があらわれ、重篤な心障害や肺障害(心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるので、投与中は患者を厳密に観察すること。これらの症状を軽減させるため、あらかじめ副腎皮質ホルモン剤等を投与することが望ましい。また、解熱剤、抗ヒスタミン剤の併用も本剤の投与初期に頻発するこれらの症状を軽減する。[「(1)重大な副作用2)」の項参照]
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4.
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本剤投与時に交差反応性抗体に起因する血小板減少があらわれ、出血傾向が増悪するおそれがあるので、定期的に血小板数を測定し、患者の状態を十分に観察すること。[「(1)重大な副作用8), 9)」の項参照]
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5.
-
本剤投与に先立って、本剤又は他のウサギ血清製剤の治療歴の有無を必ず確認すること。また、本剤の投与後には、患者にウサギ血清製剤を投与した旨を十分認識させるために、本剤の医薬品名を記載した用紙に、使用量、使用期間、病院名、担当医師名を記入し、治療終了後に治療歴として保管するとともに同様の記録を患者に渡すこと。
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6.
-
免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。[「(1)重大な副作用3)」の項参照]
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7.
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**臓器移植後の急性拒絶反応の治療の場合、原則として、急性拒絶反応の確定診断後に本剤を投与すること。
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8.
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
-
弱毒生ワクチン
おたふくかぜ、麻疹、風疹及びこれらの混合ワクチン等
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臨床症状・措置方法
-
本剤投与後、弱毒生ワクチンを接種する場合には、発病するおそれがある。
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機序・危険因子
-
本剤の免疫抑制作用による。
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併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
他の免疫抑制剤
シクロスポリン等
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臨床症状・措置方法
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過度の免疫抑制による感染症あるいはリンパ増殖性疾患を惹起する危険性があるので、併用する場合には慎重に投与すること。
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機序・危険因子
-
相加的に免疫抑制作用が増強される可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
**国内における再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療及び造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に対する臨床試験での安全性評価対象症例160例中159例(99.4%)に3,443件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発熱145例(90.6%)、熱感120例(75.0%)、白血球減少120例(75.0%)、CRP増加113例(70.6%)、好中球減少87例(54.4%)等であった。(承認時)
外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目的とした二重盲検比較試験において、安全性評価対象症例のうち本剤が投与された82例中82例(100%)に940件の副作用(関連性がunlikelyのものを含む)が認められた。主な副作用は、悪寒40例(48.8%)、疼痛38例(46.3%)、白血球減少32例(39.0%)、腹痛31例(37.8%)、高血圧30例(36.6%)、末梢性浮腫28例(34.1%)、無力症、血小板減少症、高カリウム血症各22例(26.8%)、発熱20例(24.4%)、貧血19例(23.2%)等であった。(腎移植適応追加時)
肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後の急性拒絶反応の治療における副作用発現頻度が明確となる臨床試験は実施していない。
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重大な副作用
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので観察を十分に行い、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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1. ショック(頻度不明注))、アナフィラキシー(0.4%)
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重度のinfusion associated reaction(サイトカイン放出症候群を含む)があらわれ、重篤な心障害や肺障害(心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるので、発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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2. 重度のinfusion associated reaction(サイトカイン放出症候群を含む)(頻度不明注))
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ウイルス(アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス等)、細菌、真菌(アスペルギルス等)等による重篤な感染症があらわれることがある。また、免疫抑制剤を投与されたB型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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3. 感染症(肺炎、敗血症等)(11.2%)
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発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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4. 発熱性好中球減少症(頻度不明注))
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進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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5. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明注))
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BKウイルス腎症があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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6. BKウイルス腎症(頻度不明注))
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間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線検査異常等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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7. 間質性肺炎(2.1%)
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血小板減少、白血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
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8. **血小板減少(31.0%)、白血球減少(頻度不明注))
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脳出血(1.7%)、下血、胃腸出血(いずれも1.2%)、くも膜下出血、肺出血、肺胞出血(いずれも0.4%)等の出血があらわれることがあるので、臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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9. 出血傾向
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AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行う等、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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10. 重篤な肝障害(6.2%)
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リンパ増殖性疾患があらわれることがあるので、発熱、リンパ節腫大等が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
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11. リンパ増殖性疾患(1.2%)
注)国内における承認時までの臨床試験及び外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目的とした二重盲検比較試験で認められなかった副作用は頻度不明とした。
重大な副作用(類薬)
静注用人免疫グロブリンの投与により、急性腎不全があらわれることが報告されているので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者においては、投与量及び投与速度を出来るだけ低くすることが望ましい。
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急性腎不全
その他の副作用
10~40%未満
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発疹、そう痒症
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過敏症注1)
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10%未満
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筋痛、紅斑、血清病注3)
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過敏症注1)
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40%以上
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発熱、熱感
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発熱及びインフルエンザ様症状注2)
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10~40%未満
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頭痛、関節痛、悪寒
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発熱及びインフルエンザ様症状注2)
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10%未満
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胸痛
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発熱及びインフルエンザ様症状注2)
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10~40%未満
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好中球減少、リンパ球減少、血清総蛋白減少、赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、高カリウム血症
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血液
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10%未満
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感覚減退、筋硬直、めまい
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精神神経系
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10~40%未満
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悪心、嘔吐、下痢、腹痛
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消化器
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10~40%未満
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AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、LDH増加
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肝臓
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10%未満
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Al-P増加、ビリルビン増加
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肝臓
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10~40%未満
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動悸、血圧上昇
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循環器
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10%未満
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血圧低下、頻脈
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循環器
-
10%未満
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静脈炎
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血管
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40%以上
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CRP増加
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その他
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10~40%未満
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脱力、疼痛、末梢性浮腫
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その他
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10%未満
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耳鳴、呼吸困難、無力症、倦怠感、投与部位反応(疼痛、腫脹、紅斑)
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その他
注1)副腎皮質ホルモン剤等の併用で軽減される。
注2)副腎皮質ホルモン剤、解熱剤及び抗ヒスタミン剤等の併用で軽減される。
注3) 発熱、発疹、関節痛、筋肉痛などの症状を伴う。なお、これらの症状は自然に消退する場合があるが、副腎皮質ホルモン剤の投与で速やかに軽減される。
発現頻度は、国内における承認時までの臨床試験及び外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目的とした二重盲検比較試験の結果をあわせて算出した。
高齢者への投与
高齢者では一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
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妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
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1.
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授乳中の婦人には、授乳を中止させること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
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2.
小児等への投与
小児に投与する場合は、慎重に投与すること。
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1.
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低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する有効性・安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
-
2. **中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
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低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する有効性・安全性は確立していない。[肺及び膵移植に対する使用経験がなく、腎、肝、心及び小腸移植に対する使用経験が少ない。]
-
3. **臓器移植後の急性拒絶反応の治療
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤はウサギ抗体を用いたイムノアッセイなどの検査結果に影響を及ぼす可能性がある。
過量投与
本剤の過量投与により、白血球減少、血小板減少が発現することがあるので、用法及び用量に定められている投与量を超えて投与しないこと。本剤の過量投与が疑われた場合は、輸血、血液造血因子、抗感染症薬の投与等の支持療法を行うこと。また、必要に応じ無菌管理を考慮し、血液学的検査を頻回に行い、患者の状態を十分に観察すること。
-
適用上の注意
本剤に日局注射用水5mLを加える。粉末が完全に溶解するまで、できるだけ泡を立てないよう静かに円を描くように回して溶解する。急激な振盪溶解を避けること。
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1)
-
本剤は蛋白製剤であるため、その溶液はわずかに混濁することがあるが、本剤の薬効には影響を及ぼさない。なお、これ以外の外観上の異常を認めた場合には使用しないこと。
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2)
-
本剤には防腐剤が含まれていないので、溶解後は速やかに使用すること。
-
3)
-
中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に本剤を投与するにあたっては、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈すること。
-
1)
-
**臓器移植後の急性拒絶反応の治療に本剤を投与するにあたっては、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈すること。
-
2)
-
生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外の製剤との配合は避けること。
-
3)
-
1回の投与は6時間以上かけて注入するよう流速を設定すること。
-
(1)
-
点滴静注する際には、点滴セットにインラインフィルター(ポアサイズ0.2ミクロン)を使用すること。
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(2)
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注入後に残った残液は廃棄すること。
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(3)
その他の注意
2週間反復静脈内投与試験(サル)において赤血球パラメータ(赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビン)の減少がみられた。
-
1.
-
海外市販後の自発報告において本剤投与後の核酸増幅検査でB型肝炎ウイルスが陽性であった症例が1例報告されている。
-
2.
薬物動態
中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした国内第II相臨床試験において、サイモグロブリン2.5mg/kg/日及び3.75mg/kg/日を、5日間、12時間以上かけて点滴静注したときの薬物動態を検討した結果は以下のとおりであった。各投与量におけるCmaxは、投与量の増加に伴った上昇が認められた。血中サイモグロブリン濃度は、投与期間中徐々に上昇し、最終投与終了後から緩やかに消失した。また、サイモグロブリン投与後、両投与群の11症例において14日目以降から抗体の出現が認められた。2)
-
薬物動態の表
再生不良性貧血患者における薬物動態学的パラメータ
投与群 |
Cmax(μg/mL) |
T1/2(day) |
2.5mg/kg/日群(n=6):平均 |
119.0 |
8.1注) |
2.5mg/kg/日群(n=6):最小-最大 |
46.7-234.0 |
3.9-14.3注) |
3.75mg/kg/日群(n=9):平均 |
173.5 |
7.8 |
3.75mg/kg/日群(n=9):最小-最大 |
52.0-500.0 |
2.0-16.0 |
-
注)n=4
臨床成績
中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:41例)における有効性解析対象は28例であり、6ヵ月目の有効率(「著効」+「有効」/症例数)は、2.5mg/kg/日群が13.3%(2/15例)、3.75mg/kg/日群が23.1%(3/13例)であり、全体では17.9%(5/28例)であった。
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1. 中等症以上の再生不良性貧血
骨髄移植患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:再登録2例を含む107例)における急性GVHD抑制の有効性解析対象は71例、生着の有効性解析対象は70例であった。急性GVHDの抑制効果は、グレードII以上の急性GVHD発症率は2.5mg/kg/日投与で18.3%(13/71例)であった。グレードIII以上の急性GVHD発症率は2.5mg/kg/日投与で9.9%(7/71例)であった。生着率は2.5mg/kg/日投与で81.4%(57/70例)であった。
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2. 造血幹細胞移植の前治療
骨髄移植後の移植片対宿主病(GVHD)患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:40例)における有効性解析対象は既存療法無効例と考えられた急性GVHD患者24例であり、有効率(「著効」+「有効」/症例数)は2.5mg/kg/日群が61.5%(8/13例)、3.75mg/kg/日群が72.7%(8/11例)であり、全体では66.7%(16/24例)であった。
腎移植後に急性拒絶反応が発生した患者に、免疫抑制剤併用下、本剤1.5mg/kgを1日1回静脈内投与した結果、血清クレアチニン値を指標とした寛解率は87.8%(72/82例)であった。なお、本剤の投与日数(中央値[最小値、最大値])は10日[3日、14日]であった。
(1) 海外臨床試験3)
腎移植後にステロイド抵抗性の急性拒絶反応が発現した患者に、免疫抑制剤併用下、本剤1.5mg/kgを1日1回静脈内投与した結果、投与終了14日後の血清クレアチニン値が投与前値よりも低い患者の割合は85.7%(6/7例)であった。なお、本剤の投与日数(中央値[最小値、最大値])は7日[5日、10日]であった。
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3. 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
(2) 国内臨床研究
薬効薬理
本剤は、 T細胞表面抗原(CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、 CD8、CD25、TCRαβ)並びに白血球表面抗原(CD11a)に対し親和性を示した4,5)。また、ヒトリンパ球細胞傷害性試験において補体存在下リンパ球を溶解させた6)。以上のことから、本剤は、ヒトT細胞表面抗原に結合し、補体依存性の細胞傷害を惹起させることにより、再生不良性貧血並びにGVHDに関与しているT細胞を減少させ、その結果これらの疾患に対して効果を示すと考えられる。
ヒトリンパ球に対する補体依存性の細胞傷害性を検討した結果、本剤約20μg/mLは陰性対照と比較してリンパ球の溶解を25%増加させた。
(1) ヒトリンパ球細胞傷害性試験(in vitro)6)
ヒトリンパ球を用いたE-ロゼット形成阻止作用を検討した結果、本剤約15μg/mLは陰性対照と比較してE-ロゼット形成を50%抑制した。
(2) E-ロゼット形成阻止作用(in vitro)6)
本剤(25mg/匹)は、サルにおける皮膚移植片が拒絶されるまでの日数を延長させ、in vivoでの拒絶反応を抑制した。
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1. 作用機序
(3) サルにおける皮膚移植片生着延長試験(in vivo)6)
有効成分に関する理化学的知見
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン
(Anti-human Thymocyte Immunoglobulin, Rabbit)
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一般名
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ヒトの胸腺細胞を抗原とし、ウサギを免疫して得られた抗血清から分離精製されたポリクローナル抗体で、免疫グロブリンGに属するたん白質
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本 質
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約160,000
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分子量
承認条件
○中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
○腎移植後の急性拒絶反応の治療
国内での使用経験が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
**○肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後の急性拒絶反応の治療
国内での使用経験が極めて限られていることから、製造販売後に本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
サイモグロブリン点滴静注用25mg:1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
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中尾眞二 他:臨床血液,47(1), 27, 2006[THY0001]
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2)
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社内資料(再生不良性貧血患者での薬物動態,2002)[THY-07]
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3)
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Gaber, AO., et al. : Transplantation, 66, 29, 1998[THY0002]
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4)
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社内資料(ヒトT細胞表面抗原親和性,1999)[THY-05]
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5)
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Tsuge, I., et al. : Current Therapeutic Research, 56(7), 671, 1995[THY0003]
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6)
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社内資料(効力薬理試験,2000)[THY-06]
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
*サノフィ株式会社 コールセンター くすり相談室
〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号
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電話番号
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*製造販売
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