IMIGRAN Kit Subcutaneous Injection(Sumatriptan Succinate)舒马普坦イミグランキット皮下注3mg
作成又は改訂年月
* 2016年9月改訂 (第5版)(下線:改訂箇所)
2015年1月改訂 (第4版)
日本標準商品分類番号
87216
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
1991年4月
薬効分類名
5-HT1B/1D受容体作動型片頭痛治療剤
承認等
販売名
-
イミグランキット皮下注3mg
販売名コード
2160402G1026
承認・許可番号
承認番号
-
21900AMX01749
-
商標名
-
IMIGRAN Kit Subcutaneous Injection 3mg
薬価基準収載年月
2007年12月
販売開始年月
2008年2月
貯法・使用期限等
-
貯法
-
室温保存、遮光
(本剤はカートリッジパックによって遮光されている。)
-
使用期限
-
包装に表示
規制区分
-
劇薬
-
処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
本剤はスマトリプタンコハク酸塩注射液をシリンジに充填したキット製剤である。
-
容量(1シリンジ中)
-
0.5mL
-
成分
-
スマトリプタンコハク酸塩含量(スマトリプタンとして) 4.2mg(3.0mg)
-
添加物
-
塩化ナトリウム
性状
性状
-
無色~淡黄色澄明の液
-
pH
-
4.2~5.3
-
浸透圧比
-
約1(生理食塩液に対する比)
一般的名称
スマトリプタンコハク酸塩
Sumatriptan Succinate
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
1.
-
心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]
-
2.
-
脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]
-
3.
-
末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]
-
4.
-
コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]
-
5.
-
重篤な肝機能障害を有する患者[本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある]
-
6.
-
エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
-
7.
-
モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者[「相互作用」の項参照]
-
8.
|
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
片頭痛、群発頭痛
効能又は効果に関連する使用上の注意
本剤は国際頭痛学会による片頭痛、群発頭痛診断基準(「参考」の項参照)により「前兆のない片頭痛」、「前兆のある片頭痛」あるいは群発頭痛と確定診断が行われた場合にのみ投与すること。特に次のような患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
今までに片頭痛又は群発頭痛と診断が確定したことのない患者
-
(1)
-
片頭痛又は群発頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛又は群発頭痛に通常見られる症状や経過とは異なった頭痛及び随伴症状のある患者
-
(2)
-
家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
-
2.
用法及び用量
片頭痛及び群発頭痛発作の頭痛発現時に、通常、成人にはスマトリプタンとして1回3mgを皮下投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、1回3mg、1日6mgを超えないこと。
1回の頭痛発作において、初回投与で頭痛が軽減した場合には、24時間以内に起こった次の発作に対して追加投与することができるが、2回の投与の間には少なくとも1時間の間隔をおくこと。
-
片頭痛
-
1日2回の発作に投与することができるが、2回の投与の間には少なくとも1時間の間隔をおくこと。
-
群発頭痛
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤は頭痛発現時にのみ使用し、予防的には使用しないこと。
-
1.
-
本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしないこと。このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認すること。
-
2.
-
本剤は皮下注射のみに使用し、静脈内投与はしないこと。[静脈内投与により血管攣縮をおこす可能性がある]
-
3.
-
スマトリプタン製剤を組み合わせて使用する場合には少なくとも以下の間隔をあけて投与すること。
-
注射液投与後に錠剤あるいは点鼻液を追加投与する場合には1時間以上
-
(1)
-
錠剤投与後に注射液を追加投与する場合には2時間以上
-
(2)
-
点鼻液投与後に注射液を追加投与する場合には2時間以上
-
(3)
使用上の注意
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
虚血性心疾患の可能性のある患者(例えば、虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者、閉経後の女性、40歳以上の男性、冠動脈疾患の危険因子を有する患者)[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある]
-
1.
-
てんかん様発作の既往歴のある患者あるいはてんかん様発作発現を来す危険因子のある患者(脳炎等の脳疾患のある患者、痙攣の閾値を低下させる薬剤を使用している患者等)[てんかん様発作が発現したとの報告がある(「相互作用」の項参照)]
-
2.
-
肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある]
-
3.
-
腎機能障害のある患者[本剤は腎臓を介して排泄されるので、重篤な腎機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある]
-
4.
-
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
-
5.
-
スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者[本剤はスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症(皮膚の過敏症からアナフィラキシーまで)があらわれる可能性がある]
-
6.
-
コントロールされている高血圧症患者[一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇が少数の患者でみられたとの報告がある]
-
7.
-
脳血管障害の可能性のある患者[脳血管障害があらわれるおそれがある]
-
8.
重要な基本的注意
-
本剤の自己投与の適用にあたっては、患者自らが適切に使用可能と医師が判断した患者に対してのみ交付すること。
-
1.
-
患者に本剤を交付する際には、使用方法等の患者教育を十分に行い、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明すること。また自己注射後何らかの異常があればすぐに医師の指示を仰ぐよう患者を指導すること。
-
2.
-
本剤投与後、胸痛、胸部圧迫感等の一過性の症状(強度で咽喉頭部に及ぶ場合がある)があらわれることがある。このような症状が虚血性心疾患によると思われる場合には、以後の投与を中止し、虚血性心疾患の有無を調べるための適切な検査を行うこと。
-
3.
-
心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがある。このような場合は以後の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
4.
-
片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
-
5.
-
*本剤の注射針カバーは天然ゴムラテックスを含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、投与に際し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
6.
相互作用
本剤は、主としてモノアミンオキシダーゼ(MAO)で代謝される(「薬物動態」の項参照)。
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
-
薬剤名等
-
エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン))
エルゴタミン誘導体含有製剤(ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩(ジヒデルゴット)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリンF)、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギン))
-
臨床症状・措置方法
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与すること。
-
機序・危険因子
-
5-HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる。
-
2.
-
薬剤名等
-
5-HT1B/1D受容体作動薬(ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)、リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)、ナラトリプタン塩酸塩(アマージ))
-
臨床症状・措置方法
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後に他の5-HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しないこと。
-
機序・危険因子
-
併用により相互に作用を増強させる。
-
3.
-
薬剤名等
-
MAO阻害剤
-
臨床症状・措置方法
本剤の消失半減期(t1/2)が延長し、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増加するおそれがあるので、MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止2週間以内の患者には本剤を投与しないこと。
-
機序・危険因子
MAO阻害剤により本剤の代謝が阻害され、本剤の作用が増強される可能性が考えられる。
|
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、セルトラリン塩酸塩)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)
-
臨床症状・措置方法
-
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)があらわれることがある。
-
機序・危険因子
-
セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させる。よって本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる。
-
2. 薬剤名等
痙攣の閾値を低下させる薬剤
-
臨床症状・措置方法
-
てんかん様発作がおこることがある(「慎重投与」の項参照)。
-
機序・危険因子
-
痙攣の閾値を低下させる可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
イミグランキット皮下注3mgの承認時までの調査症例66例中、11例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、倦怠感3例(4.5%)、圧迫感3例(4.5%)、脱力感2例(3.0%)、悪心2例(3.0%)、眠気2例(3.0%)であった(イミグランキット皮下注3mg承認時)。
イミグラン注3の承認時までの調査症例141例中、21例(14.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、熱感5例(3.5%)、倦怠感3例(2.1%)、痛み2例(1.4%)、圧迫感2例(1.4%)、一過性の血圧上昇2例(1.4%)、めまい2例(1.4%)であった(イミグラン注3承認時)。
イミグラン注3の使用成績調査2133例中、150例(7.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、悪心・嘔吐35例(1.6%)、痛み27例(1.3%)であった(イミグラン注3再審査終了時)。
-
重大な副作用
*アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
-
1.
-
不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状(1%未満)をおこすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
-
2.
-
てんかん様発作(頻度不明注1))をおこすことがまれにあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
-
3.
その他の副作用
頻度不明注1)
蕁麻疹、発疹等の皮膚症状
-
1. 過敏症注2)
-
1%未満
-
呼吸困難
-
2. 呼吸器
-
1%未満
-
頻脈、徐脈、一過性の血圧上昇、低血圧、動悸、レイノー現象
-
3. 循環器
-
1%以上
-
悪心、嘔吐
-
4. 消化器
-
頻度不明注1)
-
虚血性大腸炎
-
5. *消化器
-
1%未満
-
ちらつき、視野狭窄
-
6. 眼
-
頻度不明注1)
-
複視、眼振、暗点、一過性の視力低下
-
7. 眼
-
1%未満
-
めまい、眠気、感覚障害(錯感覚、しびれなどの感覚鈍麻等)
-
8. 精神神経系
-
頻度不明注1)
-
振戦、ジストニア
-
9. 精神神経系
-
1%未満
-
肝機能障害
-
10. 肝臓
-
1%未満
-
痛み、腫脹
-
11. 注射部位
-
頻度不明注1)
-
灼熱感、紅斑、挫傷、出血
-
12. 注射部位
-
1%以上
-
痛み注3)、熱感注3)
-
13. その他
-
1%未満
-
圧迫感注3)、ひっ迫感注3)、倦怠感、脱力感、潮紅
-
14. その他
-
頻度不明注1)
-
重感注3)、冷感注3)
-
15. その他
発現頻度はイミグランキット皮下注3mg及びイミグラン注3の承認時までの臨床試験並びにイミグラン注3の使用成績調査の結果をあわせて算出した。
注1)自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
注2)このような場合には投与を中止すること。
注3)これらの症状は通常一過性であるが、ときに激しい場合があり、胸部、咽喉頭部を含む身体各部でおこる可能性がある(「重要な基本的注意」の項参照)。また、痛みは頭痛、筋肉痛、関節痛、背部痛、頚部痛等を含む。
高齢者への投与
本剤は主として肝臓で代謝され、腎臓で排泄されるが、高齢者では肝機能あるいは腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので慎重に投与すること(「慎重投与」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
-
1.
-
授乳中の婦人には本剤投与後12時間は授乳を避けさせること[皮下投与後にヒト母乳中へ移行することが認められている1)]。
-
2.
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
-
過量投与
本剤の消失半減期は約2時間であり、過量投与時には、少なくとも10時間、あるいは症状・徴候が持続する限り患者をモニターすること。本剤に特異的な解毒薬はないので、重症中毒の場合、気道の確保・維持、適度の酸素負荷・換気、循環器系のモニタリング、対症療法を含む集中治療が望ましい。なお、血液透析・腹膜透析の効果は不明である。
-
適用上の注意
-
患者には本剤に添付の使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
-
1.
-
必ず専用のペン型注入器(イミグランキット皮下注3mg用注入器)を用いること。
-
2.
-
カートリッジパック上部の封緘シールがはがれている場合、そのシリンジは使用しないこと。
-
3.
-
本剤は滅菌済みであるため、カートリッジパックから取り出した後は、速やかに使用すること。
-
4.
-
使用済みの本剤を誤って再使用することのないよう注意すること。
-
5.
薬物動態
健康成人男性にイミグラン注3(以下、アンプル製剤)又はイミグランキット皮下注3mg(以下、キット製剤)を用いて3mgを単回皮下投与した時の血漿中スマトリプタン濃度は下記のとおりである。両製剤は生物学的に同等であった。(表1、表2参照)

図-1 健康成人男性における単回投与時の血漿中濃度
(平均値±標準偏差)
-
1. 血中濃度
-
本剤は、主にモノアミンオキシダーゼAにより代謝されると考えられる。
健康成人男性に3mgを単回皮下投与した時の投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率は約27%であった。
また、健康成人男性に6mgを皮下投与した時の投与後24時間までの未変化体及び代謝物の尿中排泄率は、未変化体約28%、インドール酢酸体約37%、インドール酢酸体のグルクロン酸抱合体約11%であった。
-
2. 代謝・排泄2)
-
モノアミンオキシダーゼA阻害薬(モクロベミド)を予め経口投与することにより、本剤のAUCは約1.8倍増加し、消失半減期は約1.4倍延長した。
β遮断薬(プロプラノロール)、Ca拮抗薬(フルナリジン)あるいはアルコールとの併用投与において、本剤の薬物動態に変化は認められなかった。
-
3. 相互作用(外国人のデータ)3),4)
-
血漿蛋白結合率:約34%(in vitro)
-
4. その他の薬物速度論的パラメータ
表1
製剤 |
投与量 |
Cmax
(ng/mL) |
AUC0-8
(ng・hr/mL) |
Tmax
(hr) |
t1/2
(hr) |
アンプル製剤 |
3mg |
56.9±11.6 |
52.2±5.6 |
0.23±0.06 |
1.78±0.27 |
キット製剤 |
3mg |
64.7±13.0 |
52.8±5.4 |
0.18±0.04 |
1.71±0.26 |
表2
|
Cmax |
AUC0-8 |
幾何平均値の比(キット製剤/アンプル製剤) |
1.138 |
1.010 |
幾何平均値の比の90%信頼区間 |
1.052-1.231 |
0.985-1.036 |
-
(平均値±標準偏差、n=24)
臨床成績
片頭痛及び群発頭痛患者を対象に本キット製剤を自己注射した時の成績は以下のとおりであった。
(表3参照)
-
(1) 頭痛改善度及び適正自己注射率
-
(表4参照)
-
(2) 患者評価によるキット製剤の使用感
-
(表5参照)

図-2 頭痛改善度の経時的推移
-
(3) 頭痛改善度の経時的推移
2種の二重盲検比較試験を含む臨床試験において、効果判定が行われ、かつ承認用量が投与された108例の臨床成績(頭痛改善度)の概要は以下のとおりである5)~12)。
また、片頭痛及び群発頭痛患者を対象としたプラセボとの二重盲検比較試験により、イミグラン注3の有用性が認められている。(表6参照)
-
2. イミグラン注3での成績
表3
対象疾患名 |
有効率※ |
適正自己注射率※※ |
片頭痛 |
93.9%(31/33) |
100%(33/33) |
群発頭痛 |
93.9%(31/33) |
100%(33/33) |
表4
対象疾患名 |
「本キット製剤は使いやすかったですか?」
はい |
「本キット製剤は使いやすかったですか?」
いいえ |
「次回も本キット製剤を使いたいですか?」
はい |
「次回も本キット製剤を使いたいですか?」
いいえ |
「あなたの頭痛の治療に本キット製剤は必要だと思いますか?」
はい |
「あなたの頭痛の治療に本キット製剤は必要だと思いますか?」
いいえ |
片頭痛 |
97.0%
(32/33) |
3.0%
(1/33) |
93.9%
(31/33) |
6.1%
(2/33) |
93.9%
(31/33) |
6.1%
(2/33) |
群発頭痛 |
100.0%
(33/33) |
0 |
93.9%
(31/33) |
6.1%
(2/33) |
87.9%
(29/33) |
12.1%
(4/33) |
表5
対象疾患名 |
有効率※
投与後10分 |
有効率※
投与後20分 |
有効率※
投与後30分 |
有効率※
投与後60分 |
片頭痛 |
30.3%
(10/33) |
51.5%
(17/33) |
75.8%
(25/33) |
93.9%
(31/33) |
群発頭痛 |
63.6%
(21/33) |
78.8%
(26/33) |
93.9%
(31/33) |
/ |
表6
対象疾患名 |
オープン試験における有効率※ |
二重盲検比較試験における有効率※※ |
片頭痛 |
82.5%(33/40) |
78.9%(15/19) |
群発頭痛 |
85.3%(29/34) |
73.3%(11/15) |
-
※:「有効」と判定された症例の割合
※※:患者が指示どおり本キット製剤を使用できたと医師が判断した症例の割合
※:「有効」と判定された症例の割合
※:「中等度改善」以上
※※:「有効」
薬効薬理
本薬は、レセプターバインディング試験において5-HT1B、5-HT1D受容体に対して選択的に高い親和性を示したが、5-HT2、5-HT3や他の受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった。また、5-HT1受容体を有する摘出イヌ伏在静脈に対して濃度依存的な収縮作用を示し、その収縮は、5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制されたが、5-HT2、5-HT3受容体や他の受容体の拮抗薬によってはほとんど影響されなかった。
-
1. 5-HT1受容体に対する作用13),14)
-
イヌ及びヒトの摘出脳底動脈、ヒト摘出中硬膜動脈、ヒト側頭動脈、ヒト大脳動脈及びヒト摘出硬膜内の動脈を濃度依存的(1pM~100μM)に収縮させた。これらの収縮は、5-HT1B/1D受容体の選択的拮抗薬であるGR55562やこれより選択性の劣る5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制された。一方、イヌ冠動脈や大腿動脈などの末梢血管に対してはほとんど作用を示さなかった。ヒト摘出冠動脈に対しては、TXA2類似薬であるU-46619の0.1μMに対して最大約10%程の弱い収縮作用を示した。
-
2. 各種摘出血管に対する作用15)~20)
-
麻酔したイヌに皮下投与(0.01~1mg/kg)すると、血圧、心拍数にはほとんど影響を及ぼさずに、用量依存的な頚動脈血管抵抗の上昇が認められた。静脈内投与(0.1~1000μg/kg)によっても同様な頚動脈血管抵抗の上昇が認められたが、大動脈、冠動脈、腎動脈、上腸間膜動脈等に対しては、ほとんど作用を示さないか、示してもわずかであった。また、頚動脈血管抵抗上昇作用は、5-HT1受容体拮抗薬で抑制された。同様の結果が、ネコでも得られている。
-
3. 麻酔動物の血管床に対する作用21)
-
片頭痛発作時の成人患者に3mg又は6mgを皮下投与すると、臨床症状の改善と相関して、内頚動脈と中大脳動脈の血流速度が用量依存的に増加することが報告されている(外国人のデータ)。
-
4. 脳循環に対する作用22)
スマトリプタンは5-HT1受容体、特に5-HT1B、5-HT1D受容体に作用して、頭痛発作時に過度に拡張した頭蓋内外の血管を収縮させることにより片頭痛を改善すると考えられる。
また、三叉神経に作用して、神経末端からのCGRP(calcitonin gene-related peptide)など起炎性ペプチドの放出を抑制することも、片頭痛の緩解に寄与していると考えられる。
-
5. 作用機序15)~18),21)~23)
有効成分に関する理化学的知見
スマトリプタンコハク酸塩(Sumatriptan Succinate)
-
一般名
-
3-[2-(Dimethylamino)ethyl]-N-methylindole-5-methanesulfonamide monosuccinate
-
化学名
-
C14H21N3O2S・C4H6O4
-
分子式
-
413.49
-
分子量
-

-
構造式
-
白色~帯黄白色の粉末である。水、ジメチルスルホキシド又はホルムアミドに溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
-
性状
-
約166℃
-
融点
-
-0.86(pH7.41、1-オクタノール/水系)
1.04(pH10.7、1-オクタノール/水系)
-
分配係数(logP)
取扱い上の注意
本剤には注射針がついているため、誤刺や感染防止に留意し、安全な方法で廃棄すること。
包装
イミグランキット皮下注3mg(0.5mL): 2シリンジ
主要文献及び文献請求先
主要文献
-
1)
-
Wojnar-Horton RE,et al.:Br J Clin Pharmacol,41,217-221(1996)
-
2)
-
海老原昭夫ほか:臨床医薬,9,767-776(1993)
-
3)
-
Scott AK,et al.:Br J Clin Pharmacol,32,581-584(1991)
-
4)
-
Van Hecken AM,et al.:Br J Clin Pharmacol,34,82-84(1992)
-
5)
-
田崎義昭ほか:臨床医薬,9,1077-1093(1993)
-
6)
-
田崎義昭ほか:臨床医薬,9,1095-1106(1993)
-
7)
-
檀健二郎ほか:臨床成人病,24,123-130(1994)
-
8)
-
田崎義昭ほか:臨床医薬,9,1897-1909(1993)
-
9)
-
檀健二郎ほか:臨床成人病,24,251-257(1994)
-
10)
-
田崎義昭ほか:臨床医薬,9,1911-1923(1993)
-
11)
-
坂井文彦ほか:臨床医薬,16,283-300(2000)
-
12)
-
坂井文彦ほか:臨床医薬,16,301-323(2000)
-
13)
-
後藤好史ほか:基礎と臨床,27,3593-3607(1993)
-
14)
-
McCarthy BG,et al.:Headache,29,420-422(1989)
-
15)
-
Connor HE,et al.:Br J Pharmacol,96,379-387(1989)
-
16)
-
Parsons AA,et al.:Br J Pharmacol,96,434-449(1989)
-
17)
-
Humphrey PPA,et al.:Serotonin:Molecular Biology,Receptors and Functional Effects.Basel,Birkhauser Verlag,421-429(1991)
-
18)
-
Jansen I,et al.:Cephalalgia,12,202-205(1992)
-
19)
-
Humphrey PPA,et al.:Br J Pharmacol,94,1123-1132(1988)
-
20)
-
Connor HE,et al.:Eur J Pharmacol,161,91-94(1989)
-
21)
-
後藤好史ほか:基礎と臨床,27,3609-3630(1993)
-
22)
-
Caekebeke JFV,et al.:Neurology,42,1522-1526(1992)
-
23)
-
Goadsby PJ,et al.:Ann Neurol,33,48-56(1993)
文献請求先
グラクソ・スミスクライン株式会社
〒151-8566 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15
カスタマー・ケア・センター
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-
製造販売元(輸入)
グラクソ・スミスクライン株式会社
〒151-8566 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15 GSKビル
http://jp.gsk.com
参考
国際頭痛学会による片頭痛の分類注)
1.1 前兆のない片頭痛
1.2 前兆のある片頭痛
1.2.1 典型的前兆に片頭痛を伴うもの
1.2.2 典型的前兆に非片頭痛様の頭痛を伴うもの
1.2.3 典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの
1.2.4 家族性片麻痺性片頭痛
1.2.5 孤発性片麻痺性片頭痛
1.2.6 脳底型片頭痛
1.3 小児周期性症候群(片頭痛に移行することが多いもの)
1.3.1 周期性嘔吐症
1.3.2 腹部片頭痛
1.3.3 小児良性発作性めまい
1.4 網膜片頭痛
1.5 片頭痛の合併症
1.5.1 慢性片頭痛
1.5.2 片頭痛発作重積
1.5.3 遷延性前兆で脳梗塞を伴わないもの
1.5.4 片頭痛性脳梗塞
1.5.5 片頭痛により誘発される痙攣
1.6 片頭痛の疑い
1.6.1 前兆のない片頭痛の疑い
1.6.2 前兆のある片頭痛の疑い
1.6.5 慢性片頭痛の疑い
国際頭痛学会による片頭痛診断基準注)
1.1 前兆のない片頭痛
A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
1. 片側性
2. 拍動性
3. 中等度~重度の頭痛
4. 日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
1. 悪心または嘔吐(あるいはその両方)
2. 光過敏および音過敏
E. その他の疾患によらない
1.2 前兆のある片頭痛
A. Bを満たす頭痛が2回以上ある
B. 片頭痛の前兆がサブフォーム1.2.1~1.2.6のいずれかの診断基準項目BおよびCを満たす
1.2.1 典型的前兆に片頭痛を伴うもの
A. B~Dを満たす頭痛発作が2回以上ある
B. 少なくとも以下の1項目を満たす前兆があるが、運動麻痺(脱力)は伴わない
1. 陽性徴候(例えばきらきらした光・点・線)および・または陰性徴候(視覚消失)を含む完全可逆性の視覚症状
2. 陽性徴候(チクチク感)および・または陰性徴候(感覚鈍麻)を含む完全可逆性の感覚症状
3. 完全可逆性の失語性言語障害
C. 少なくとも以下の2項目を満たす
1. 同名性の視覚症状または片側性の感覚症状(あるいはその両方)
2. 少なくとも1つの前兆は5分以上かけて徐々に進展するかおよび・または異なる複数の前兆が引き続き5分以上かけて進展する
3. それぞれの前兆の持続時間は5分以上60分以内
D. 1.1「前兆のない片頭痛」の診断基準B~Dを満たす頭痛が、前兆の出現中もしくは前兆後60分以内に生じる
E. その他の疾患によらない
1.2.2 典型的前兆に非片頭痛様の頭痛を伴うもの
下記を除き1.2.1と同じ
D. 1.1「前兆のない片頭痛」のB~Dを満たさない頭痛が、前兆の出現中もしくは前兆後60分以内に生じる
C. その他の疾患によらない
1.2.3~1.2.6の診断基準については省略した
国際頭痛学会による群発頭痛診断基準注)
3.1 群発頭痛
A. B~Dを満たす発作が5回以上ある
B. 未治療で一側性の重度~極めて重度の頭痛が、眼窩部、眼窩上部または側頭部のいずれか1つ以上の部位に、15~180分間持続する
C. 頭痛と同側に少なくとも以下の1項目を伴う
1. 結膜充血または流涙(あるいはその両方)
2. 鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
3. 眼瞼浮腫
4. 前頭部および顔面の発汗
5. 縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)
6. 落ち着きがない、あるいは興奮した様子
D. 発作頻度は1回/2日~8回/日である
E. その他の疾患によらない
3.1.1 反復性群発頭痛
A. 3.1「群発頭痛」の診断基準A~Eを満たす発作がある
B. 7~365日間続く群発期が、1ヵ月以上の寛解期をはさんで2回以上ある
3.1.2 慢性群発頭痛
A. 3.1「群発頭痛」の診断基準A~Eを満たす発作がある
B. 1年を超えて発作が繰り返され、寛解期がないか、または寛解期があっても1ヵ月未満である
注)国際頭痛分類 第2版(ICHD-II):日本頭痛学会(新国際分類普及委員会)・厚生労働科学研究(慢性頭痛の診療ガイドラインに関する研究班)共訳より抜粋