Zyrtec Dry syrup(Cetirizine Hydrochloride)盐酸西替利嗪干糖浆剂,ジルテックドライシロップ1.25%
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作成又は改訂年月
2013年6月改訂(第23版、「処方せん医薬品」指定の解除)
*2012年5月改訂
日本標準商品分類番号
87449
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
用法・用量追加
2009年4月
国際誕生年月
1986年11月
薬効分類名
持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤
承認等
販売名
ジルテックドライシロップ1.25%
販売名コード
4490020R1027
承認・許可番号
承認番号
21700AMZ00754
欧文商標名
Zyrtec
薬価基準収載年月
2006年7月
販売開始年月
2006年7月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外装に記載
組成
日本薬局方 セチリジン塩酸塩含量
1g中12.5mg
添加物
β-シクロデキストリン、アセスルファムカリウム、クエン酸ナトリウム水和物、乳糖水和物、D-マンニトール、香料
性状
剤形
ドライシロップ剤
色
白色~微灰白色
一般的名称
セチリジン塩酸塩
Cetirizine Hydrochloride
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分又はピペラジン誘導体(レボセチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。]
効能・効果
〔成人〕
アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症
〔小児〕
アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
用法・用量
〔成人〕
通常、成人には1回0.8g(セチリジン塩酸塩として10mg)を1日1回、就寝前に用時溶解して経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日1.6g(セチリジン塩酸塩として20mg)とする。
〔小児〕
通常、2歳以上7歳未満の小児には1回0.2g(セチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。
通常、7歳以上15歳未満の小児には1回0.4g(セチリジン塩酸塩として5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。
用法・用量に関連する使用上の注意
腎障害患者では、血中濃度半減期の延長が認められ、血中濃度が増大するため、クレアチニンクリアランスに応じて、下表のとおり投与量の調節が必要である(「薬物動態」の項参照)。
なお、クレアチニンクリアランスが10mL/min未満の患者への投与は禁忌である。
成人患者の腎機能に対応する用法・用量の目安(外国人データ)
クレアチニンクリアランス(mL/min):≧80
推奨用量:10mgを1日1回
クレアチニンクリアランス(mL/min):50~79
推奨用量:10mgを1日1回
クレアチニンクリアランス(mL/min):30~49
推奨用量:5mgを1日1回
クレアチニンクリアランス(mL/min):10~29
推奨用量:5mgを2日に1回
腎障害を有する小児患者では、各患者の腎クリアランスと体重を考慮して、個別に用量を調整すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
腎障害のある患者〔高い血中濃度が持続するおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)〕
2.
肝障害のある患者〔高い血中濃度が持続するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)〕
3.
高齢者〔高い血中濃度が持続するおそれがある。(「高齢者への投与」及び「薬物動態」の項参照)〕
4.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣を発現するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
2.
本剤を季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
3.
本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
テオフィリン
臨床症状・措置方法
併用により、テオフィリンの薬物動態に変化はないが、本剤の曝露量の増加が報告されている。
機序・危険因子
機序は明らかではないが、本剤のクリアランスが16%減少する。
2. 薬剤名等
リトナビル
臨床症状・措置方法
併用により、本剤の曝露量の増加(40%)及びリトナビルの曝露量のわずかな変化(-11%)が報告されている。
機序・危険因子
リトナビルにより本剤の腎排泄が阻害される可能性が考えられる。
3. 薬剤名等
中枢神経抑制剤
アルコール
臨床症状・措置方法
中枢神経系に影響を与える可能性があるため、中枢神経抑制剤あるいはアルコールと併用する際は注意すること。
機序・危険因子
中枢神経抑制作用が増強される可能性がある。
4. 薬剤名等
ピルシカイニド塩酸塩水和物
臨床症状・措置方法
併用により両剤の血中濃度が上昇し、ピルシカイニド塩酸塩水和物の副作用が発現したとの報告がある。
機序・危険因子
機序は明らかではない。
副作用
副作用等発現状況の概要
〔成人〕
ジルテック錠の承認時までの成人を対象とした調査1,396例中189例(13.5%)に副作用又は臨床検査値の異常変動が認められた。副作用は1,396例中140例(10.0%)にみられ、主なものは眠気84例(6.0%)、けん怠感12例(0.9%)、口渇9例(0.6%)、嘔気7例(0.5%)であった。また、主な臨床検査値の異常変動はAST(GOT)上昇1.4%(17/1,182例)、ALT(GPT)上昇1.5%(18/1,181例)、好酸球増多0.8%(9/1,114例)、総ビリルビン上昇0.5%(6/1,133例)であった。
ジルテック錠の成人を対象とした市販後の使用成績調査5,759例(小児163例を含む)中207例(3.6%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は眠気149件(2.6%)、けん怠感9件(0.2%)、口渇9件(0.2%)、浮動性めまい8件(0.1%)、頭痛6件(0.1%)等であった。(ジルテック錠再審査終了時)
〔小児〕
承認時までの小児を対象とした臨床試験602例中25例(4.2%)に臨床検査値異常変動を含む副作用が認められた。主なものはALT(GPT)上昇8例(1.3%)、眠気6例(1.0%)であった。
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明注))
ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、血圧低下、蕁麻疹、発赤等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 痙攣(0.1%未満)
異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 肝機能障害、黄疸(頻度不明注))
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等の肝機能障害(初期症状:全身けん怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 血小板減少(頻度不明注))
血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 精神神経系
0.1~5%未満
眠気、けん怠感
2. 精神神経系
0.1%未満
頭痛、頭重感、ふらふら感、しびれ感、めまい、浮遊感
3. *精神神経系
頻度不明注)
不眠、振戦、抑うつ、激越、攻撃性、無力症、錯感覚、幻覚、不随意運動、意識消失、健忘、自殺念慮
4. 消化器
0.1~5%未満
口渇、嘔気、食欲不振
5. 消化器
0.1%未満
胃不快感、下痢、消化不良、腹痛、腹部不快感、胃痛、口唇炎、便秘、口唇乾燥感、嘔吐、味覚異常、口内炎
6. *消化器
頻度不明注)
腹部膨満感、食欲亢進
7. 循環器
0.1%未満
動悸、血圧上昇、不整脈(房室ブロック、期外収縮、頻脈、発作性上室性頻拍、心房細動)
8. 血液
0.1~5%未満
好酸球増多
9. 血液
0.1%未満
好中球減少、リンパ球増多、白血球増多、白血球減少、単球増多、血小板増加、血小板減少
10. 過敏症
0.1%未満
発疹、蕁麻疹、浮腫、かぶれ、そう痒感、血管浮腫
11. 過敏症
頻度不明注)
多形紅斑
12. 眼
0.1%未満
結膜充血、霧視
13. 眼
頻度不明注)
眼球回転発作
14. 肝臓
0.1~5%未満
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、総ビリルビン上昇
15. 肝臓
0.1%未満
Al-P上昇
16. 腎臓・泌尿器
0.1%未満
尿蛋白、BUN上昇、尿糖、ウロビリノーゲンの異常、頻尿、血尿
17. *腎臓・泌尿器
頻度不明注)
排尿困難、遺尿、尿閉
18. その他
0.1%未満
耳鳴、月経異常、胸痛、ほてり、息苦しさ
19. その他
頻度不明注)
関節痛、手足のこわばり、嗅覚異常、鼻出血、脱毛、咳嗽、体重増加、筋肉痛
上記のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
注)市販後の自発報告等又は外国での報告のため頻度不明。
高齢者への投与
本剤は、主として腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、低用量(例えば5mg)から投与を開始するなど慎重に投与し、異常が認められた場合は減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている。〕
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。〔ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験が少ない)。
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤は、アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3~5日前より本剤の投与を中止することが望ましい。
過量投与
徴候、症状
本剤の過量投与により錯乱、散瞳、落ち着きのなさ、鎮静、傾眠、昏迷、尿閉があらわれることがある。
処置
必要に応じ対症療法を行うこと。本剤の特異的な解毒剤はなく、また本剤は透析で除去されない。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 血漿中濃度の推移
〔成人〕
健康成人にセチリジン塩酸塩錠10mgを単回経口投与した場合、速やかに吸収され、投与約1.4時間後に最高血漿中濃度(Cmax)214.5ng/mLに達し、血漿中濃度消失半減期は約7時間であった。また、20mgを単回経口投与した場合、投与量の増加に伴ってCmaxの上昇、AUCの増大が認められた。健康成人に1日1回20mgを7日間連続経口投与した場合、蓄積性は認められなかった1)。
成人におけるセチリジン塩酸塩錠単回投与時の血漿中濃度の推移
(表1)
また、健康成人にセチリジン塩酸塩ドライシロップ0.8gを単回経口投与した場合、速やかに吸収され、投与約0.82時間後に最高血漿中濃度(Cmax)413.6ng/mLに達し、血漿中濃度消失半減期は約8時間であった2)。
成人におけるセチリジン塩酸塩錠・ドライシロップ単回投与時の血漿中濃度の推移
(表2)
〔小児〕
日本人の通年性アレルギー性鼻炎患児又は皮膚疾患患児を対象とした臨床試験5試験、570例から得られた血清中濃度値994点を用い、母集団薬物動態解析(非線形混合効果モデル法、NONMEM)を行った。その結果、体重が共変量として認められ、2~6歳の小児(本年齢層における体重の中央値:18.0kg)の全身クリアランス(CL/F)は1.64L/hr、分布容積(V/F)は11.9L、7~14歳の小児(同:31.0kg)のCL/Fは2.11L/hr、V/Fは17.7Lと推定された。また、2.5mg1日2回投与時の定常状態時最低血清中濃度(Css min)及び最高血清中濃度(Css max)は、それぞれ58±25ng/mL及び214±50ng/mL(平均±標準偏差※、以下同様)と推定され、5mg1日2回投与時のCss min及びCss maxは、それぞれ100±40ng/mL及び308±74ng/mLと推定された3)。
※)1000例の血清中濃度推移をシミュレーションしたときの推定値
(2) 血漿蛋白結合率
14C標識-セチリジン0.1、1及び10μg/mL濃度のin vitroにおけるヒト血漿蛋白との結合率は、平均92%(90.7~92.5%)であった(平衡透析法)4)。
2. 代謝・排泄
健康成人にセチリジン塩酸塩10mg又は20mgを単回経口投与した場合、24時間後までに投与量の約50%が未変化体として尿中に排泄された。健康成人に1日1回20mgを7日間連続経口投与した場合、血漿中に酸化的脱アルキル体がわずかに認められた。また、未変化体の1日投与量に対する尿中排泄率は、1日目は24時間後までに約58%、7日目は約70%であった1)。
3. 腎障害患者での体内動態(参考:外国人データ)
腎障害患者(クレアチニンクリアランス:7~60mL/min)にセチリジン塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、腎機能正常者に比べ血清中濃度は持続し、血清中濃度消失半減期の延長が認められた5)。
(表3)
また、血液透析患者(クレアチニンクリアランス:≦7mL/min、n=5)にセチリジン塩酸塩10mgを透析開始3時間前に経口投与した場合、血清中濃度消失半減期は平均19.3時間で延長が認められた6)。
4. 肝障害患者での体内動態(参考:外国人データ)
原発性胆汁性肝硬変患者にセチリジン塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、肝機能正常成人5)に比べ、血清中濃度消失半減期の延長、Cmaxの上昇、AUCの増大が認められた7)。これらの成績から、高度の肝障害患者では、低用量(例えば通常用量の半量)から投与を開始するなど慎重に投与すること。
(表4)
5. 高齢者での体内動態(参考:外国人データ)
高齢者(年齢:平均77歳、クレアチニンクリアランス:平均53mL/min)にセチリジン塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、成人(年齢:平均53歳、クレアチニンクリアランス:平均87mL/min)に比べ、血清中濃度消失半減期の延長とCmaxの上昇が認められ、これらの薬物動態パラメータの変化は、腎機能の低下によるものと考えられた5)。
(表5)
薬物動態の表
表1 成人におけるセチリジン塩酸塩錠単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量 |
Tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
T1/2
(hr) |
AUC
(mg・hr/L) |
10mg |
1.44±0.50 |
214.5±35.3 |
6.73±2.30 |
2.0±0.3 |
20mg |
1.50±0.38 |
438.1±111.8 |
6.79±1.85 |
3.9±0.9 |
(平均値±標準偏差、n=8)
表2 成人におけるセチリジン塩酸塩錠・ドライシロップ単回投与時の薬物動態パラメータ
投与量 |
Tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
T1/2
(hr) |
AUC
(mg・hr/L) |
10mg錠 |
1.13±0.52 |
440.9±144.7 |
8.36±1.63 |
3.0±0.8 |
ドライシロップ0.8g |
0.82±0.39 |
413.6±130.5 |
8.03±1.45 |
2.8±0.8 |
(平均値±標準偏差、n=24)
表3 腎障害患者におけるセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
クレアチニンクリアランス
(mL/min) |
Tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
T1/2
(hr) |
AUC
(mg・hr/L) |
>90 |
0.9±0.2 |
313±45 |
7.4±3.0 |
2.7±0.4 |
31~60 |
1.1±0.2 |
356±64 |
19.2±3.3 |
6.9±1.8 |
7~30 |
2.2±1.1 |
357±172 |
20.9±4.4 |
10.7±2.4 |
(平均値±標準偏差、n=5)
表4 肝障害患者におけるセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
投与量
(被験者、例数) |
Tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
T1/2
(hr) |
AUC
(mg・hr/L) |
10mg
(肝機能正常成人、n=14) |
1.0±0.5 |
384±103 |
7.4±1.6 |
3.3±0.9 |
10mg
(原発性胆汁性肝硬変患者、n=6) |
1.0±0.4 |
498±118 |
13.8±1.8 |
6.4±1.6 |
(平均値±標準偏差)
表5 高齢者におけるセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
投与量
(被験者、例数) |
Tmax
(hr) |
Cmax
(ng/mL) |
T1/2
(hr) |
AUC
(mg・hr/L) |
10mg
(成人、n=14) |
1.0±0.5 |
384±103 |
7.4±1.6 |
3.3±0.9 |
10mg
(高齢者、n=16) |
0.9±0.3 |
460±59 |
11.8±5.4 |
5.6±1.8 |
(平均値±標準偏差)
臨床成績
1. 臨床効果
(1) 成人
国内延べ178施設で実施されたアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症636例における一般臨床試験及び二重盲検比較試験の概要は次のとおりであった8~11)。
(表6)
また、アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹を対象とした二重盲検比較試験において本剤の有用性が確認されている。
(2) 小児
1) アレルギー性鼻炎
i. 二重盲検比較試験(投与期間2週間、解析対象122例)12)
国内28施設で通年性アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験において、セチリジン塩酸塩ドライシロップ[2歳以上7歳未満:1回0.2g(セチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、7歳以上15歳未満:1回0.4g(セチリジン塩酸塩として5mg)を1日2回]あるいはプラセボを2週間投与した。総合鼻症状スコア(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)の変化量を下表に示した。その結果から、プラセボに対する本薬の優越性が検証された。なお、小児の通年性アレルギー性鼻炎に対するケトチフェンフマル酸塩を対照とする二重盲検比較試験では、有効性について非劣性は示されなかった。
(表7)
ii. 一般臨床試験(投与期間12週間、解析対象36例)13)
国内19施設で通年性アレルギー性鼻炎を対象に実施され、総合鼻症状スコアのベースライン評価期間からの変化量の推移(平均値±標準偏差)は、投与4週時:2.81±2.62、投与8週時:3.66±2.75、投与12週時:3.40±3.01であり、効果は投与終了時まで減弱することなく、安定していた。
2) 蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
i. 二重盲検比較試験(投与期間2週間、解析対象134例)14)
国内29施設でアトピー性皮膚炎を対象とした二重盲検比較試験において、セチリジン塩酸塩ドライシロップ[3歳以上7歳未満:1回0.2g(セチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、7歳以上15歳未満:1回0.4g(セチリジン塩酸塩として5mg)を1日2回]あるいはケトチフェンフマル酸塩ドライシロップ[3歳以上7歳未満:1回0.6g(ケトチフェンとして0.6mg)を1日2回、7歳以上15歳未満:1回1g(ケトチフェンとして1mg)を1日2回]2週間投与した。そう痒の重症度の変化量を下表に示した。その結果から、ケトチフェンフマル酸塩に対する本薬の非劣性が検証された。
(表8)
ii. 一般臨床試験(投与期間12週間、解析対象73例)15)
国内25施設で蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症を対象に実施され、そう痒の重症度の治療期開始日からの変化量の推移(平均値±標準偏差)は、投与4週時:0.83±0.79、投与8週時:0.97±0.90、投与12週時:1.03±0.90であり、効果は投与終了時まで減弱することなく、安定していた。
2. 眠気に対する影響(小児)
国内4つの小児臨床試験の併合解析の結果、セチリジン塩酸塩の眠気の発現率は1.0%(5/480例)と低かった13~16)。小児通年性アレルギー性鼻炎に対するプラセボを対照とした二重盲検比較試験の結果、セチリジン塩酸塩の眠気の発現率は1.0%未満(1/122例)であり、プラセボ(0/117例)と同程度であった12)。
臨床成績の表
表6
疾患名 |
改善率(「中等度改善」以上の症例/総症例) |
アレルギー性鼻炎 |
49.6%(66/133) |
蕁麻疹 |
77.3%(211/273) |
湿疹・皮膚炎 |
65.9%(81/123) |
痒疹 |
57.7%(30/52) |
皮膚そう痒症 |
74.5%(41/55) |
(10mg1日1回投与例について集計)
表7 全治療評価期間における総合鼻症状スコアa)の変化量
群 |
例数 |
ベースライン
評価期間
平均値
(標準偏差) |
全治療
評価期間
平均値
(標準偏差) |
変化量b)
平均値
(標準偏差) |
変化量b)
調整済み平均値c)
(標準誤差) |
セチリジン
塩酸塩 |
122 |
6.66
(1.26) |
4.79
(1.96) |
1.87
(1.79) |
1.85
(0.18) |
プラセボ |
117 |
6.84
(1.52) |
5.51
(2.04) |
1.33
(1.79) |
1.25
(0.18) |
セチリジン塩酸塩
vsプラセボ |
点推定値c)
0.60 |
95%信頼区間c)
[0.15~1.05] |
p値
p=0.0087 |
a)総合鼻症状スコアが10を超える患児は組入れから除外
b)変化量={ベースライン評価期間(治験薬投与開始日の前3日間)-全治療評価期間}
c)ベースライン評価期間スコア及び年齢層を共変量とした共分散分析により算出
表8 全治療評価期間におけるそう痒の重症度の変化量
群 |
例数a) |
ベースライン
評価期間
平均値
(標準偏差) |
全治療
評価期間
平均値
(標準偏差) |
変化量b)
平均値
(標準偏差) |
変化量b)
調整済み平均値c)
(標準誤差) |
セチリジン
塩酸塩 |
134 |
2.41
(0.52) |
1.96
(0.64) |
0.45
(0.67) |
0.43
(0.05) |
ケトチフェン
フマル酸塩 |
126 |
2.40
(0.52) |
1.88
(0.63) |
0.52
(0.62) |
0.51
(0.05) |
セチリジン塩酸塩vs
ケトチフェンフマル酸塩 |
点推定値c)
-0.08 |
95%信頼区間c)
[-0.22~0.06] |
a)変化量が算出可能な被験者数
b)変化量={ベースライン評価期間(治験薬投与開始日の前3日間)-全治療評価期間}
c)ベースライン評価期間のそう痒の重症度及び年齢層を共変量とした共分散分析により算出
薬効薬理
1. ヒスタミンH1受容体拮抗作用
ヒスタミンH1受容体に選択的に結合することにより、ヒスタミンの作用を阻害する。ヒスタミンH2、ドパミン、アセチルコリン、セロトニンの各受容体に対する親和性は低く(ラット、モルモット)17)、中枢神経系におけるヒスタミンH1受容体への影響が少ない(ラット)18)。摘出臓器(ヒト気管支平滑筋)のヒスタミン反応を濃度依存的に抑制した19)。また、ヒスタミン誘発皮膚反応及びヒスタミン誘発鼻症状を抑制し、その作用は速効的かつ持続的であった(ヒト)20)21)。
2. 好酸球に対する作用
好酸球に対しin vitro及びin vivoにおいて遊走抑制を示し、好酸球活性化の指標であるスーパーオキサイド産生を抑制した(ヒト)22)23)。
3. メディエーター遊離抑制作用
ヒト肺切片からのロイコトリエン及びプロスタグランジンD2遊離を抑制した24)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
セチリジン塩酸塩(Cetirizine Hydrochloride)
*化学名
2-(2-{4-[(RS)-(4-Chlorophenyl)(phenyl)methyl]piperazin-1-yl}ethoxy)acetic acid dihydrochloride
構造式
分子式
C21H25ClN2O3・2HCl
分子量
461.81
融点
204~210℃(分解)
性状
白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
分配係数
24.3(pH7、水-オクタノール系)
包装
ジルテックドライシロップ1.25%(1g中12.5mg含有):(バラ)100g
ジルテックドライシロップ1.25%(1g中12.5mg含有):(H.S.)0.4g/40g、0.8g/80g
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
笹 征史ほか:臨床薬理 26, 509(1995)
2)
社内資料:ドライシロップ剤及び錠剤の生物学的同等性試験
3)
社内資料:Retrospective population pharmacokinetic analysis of cetirizine in Japanese children
4)
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5)
Matzke,G.R.,et al.:Ann. Allergy 59, 25(1987)
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8)
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9)
吉田彦太郎ほか:基礎と臨床 28, 2107(1994)
10)
吉田彦太郎ほか:基礎と臨床 28, 2147(1994)
11)
吉田彦太郎ほか:基礎と臨床 28, 2163(1994)
12)
社内資料:小児アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験(2007)
13)
社内資料:小児アレルギー性鼻炎を対象とした長期投与試験
14)
社内資料:小児アトピー性皮膚炎を対象とした二重盲検比較試験
15)
社内資料:小児各種皮膚疾患を対象とした長期投与試験
16)
社内資料:小児アレルギー性鼻炎を対象とした二重盲検比較試験(2005)
17)
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18)
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24)
Fabre,J.M.,et al.:Allergy 50, 362(1995)
文献請求先
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