HERBESSER Tablets(Diltiazem Hydrochloride)盐酸地尔硫,ヘルベッサー錠30/ヘルベッサー錠60
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作成又は改訂年月
**2016年2月改訂(第14版) D5
*2015年4月改訂
日本標準商品分類番号
872171
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
1990年12月
薬効分類名
Ca拮抗剤
承認等
販売名
ヘルベッサー錠30
販売名コード
2171006F1224
承認・許可番号
承認番号
21700AMZ00195
商標名
HERBESSER Tablets30
薬価基準収載年月
2005年6月
販売開始年月
1974年2月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示
規制区分
処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
成分・含量(1錠中)
日局 ジルチアゼム塩酸塩 30mg
添加物
硬化油、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、マクロゴール6000
性状
剤形
素錠(徐放性)
色調
白色
外形
サイズ(mm)
直径:8.0
サイズ(mm)
厚さ:3.5
重さ(g)
0.19
識別コード
TA120
販売名
ヘルベッサー錠60
販売名コード
2171006F2026
承認・許可番号
承認番号
16100AMZ03468
商標名
HERBESSER Tablets60
薬価基準収載年月
1987年10月
販売開始年月
1987年10月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示
規制区分
処方箋医薬品
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
成分・含量(1錠中)
日局 ジルチアゼム塩酸塩 60mg
添加物
硬化油、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、マクロゴール6000
性状
剤形
素錠(徐放性)
色調
白色
外形
サイズ(mm)
直径:8.0
サイズ(mm)
厚さ:3.5
重さ(g)
0.185
識別コード
TA125
一般的名称
ジルチアゼム塩酸塩製剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤なうっ血性心不全の患者〔心不全症状を悪化させるおそれがある。〕
2.
2度以上の房室ブロック、洞不全症候群(持続性の洞性徐脈(50拍/分未満)、洞停止、洞房ブロック等)のある患者〔本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度にあらわれるおそれがある。〕
3.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
効能又は効果
○狭心症、異型狭心症
○本態性高血圧症(軽症~中等症)
用法及び用量
○狭心症、異型狭心症
通常、成人にはジルチアゼム塩酸塩として1回30mgを1日3回経口投与する。効果不十分な場合には、1回60mgを1日3回まで増量することができる。
○本態性高血圧症(軽症~中等症)
通常、成人にはジルチアゼム塩酸塩として1回30~60mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
うっ血性心不全の患者〔心不全症状を悪化させるおそれがある。〕
2.
高度の徐脈(50拍/分未満)又は1度の房室ブロックのある患者〔本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度にあらわれるおそれがある。〕
3.
過度に血圧の低い患者〔血圧を更に低下させるおそれがある。〕
4.
重篤な肝・腎機能障害のある患者〔薬物の代謝、排泄が遅延し、作用が増強するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。
また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
2.
降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
3.
他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)でテルフェナジンとの併用によりQT延長、心室性不整脈を起こしたとの報告がある。
相互作用
相互作用の概略
本剤は主として代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝される。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
降圧作用を有する薬剤(降圧剤、硝酸剤等)
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
定期的に血圧を測定し、用量を調節する。
機序・危険因子
相加的に作用(降圧作用)を増強させると考えられる。
2. 薬剤名等
β遮断剤(ビソプロロールフマル酸塩、プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)
臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等があらわれることがある。
定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させると考えられる。特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する。
3. 薬剤名等
ラウオルフィア製剤(レセルピン等)
臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等があらわれることがある。
定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させると考えられる。特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する。
4. 薬剤名等
ジギタリス製剤(ジゴキシン、メチルジゴキシン)
臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロック等があらわれることがある。また、これらの不整脈を含めジギタリス製剤の血中濃度上昇による中毒症状(悪心・嘔吐、頭痛、めまい、視覚異常等)があらわれることがある。
定期的にジギタリス中毒の有無の観察、心電図検査を行い、必要に応じてジギタリス製剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる。特にβ遮断剤との3剤併用時には注意を要する。
また、本剤はジギタリス製剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
5. 薬剤名等
抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩、メキシレチン塩酸塩等)
臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロック、洞停止等があらわれることがある。
定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる。
6. 薬剤名等
フィンゴリモド塩酸塩
臨床症状・措置方法
フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。
機序・危険因子
共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。
7. 薬剤名等
アプリンジン塩酸塩
臨床症状・措置方法
両剤の血中濃度上昇による症状(徐脈、房室ブロック、洞停止、振戦、めまい、ふらつき等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
共通の代謝酵素(チトクロームP450)に影響を及ぼし合い、両剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
8. 薬剤名等
ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(ニフェジピン、アムロジピンベシル酸塩等)
臨床症状・措置方法
ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の血中濃度上昇による症状(降圧作用の増強等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
9. 薬剤名等
シンバスタチン
臨床症状・措置方法
シンバスタチンの血中濃度上昇による横紋筋融解症やミオパシーが発現することがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素 (チトクロームP450) を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
10. 薬剤名等
トリアゾラム
臨床症状・措置方法
トリアゾラムの血中濃度上昇による症状(睡眠時間の延長等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
11. 薬剤名等
ミダゾラム
臨床症状・措置方法
ミダゾラムの血中濃度上昇による症状(鎮静・睡眠作用の増強等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
12. 薬剤名等
カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
カルバマゼピンの血中濃度上昇による症状(眠気、悪心・嘔吐、眩暈等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
13. 薬剤名等
セレギリン塩酸塩
臨床症状・措置方法
セレギリン塩酸塩の作用、毒性が増強することがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
14. 薬剤名等
テオフィリン
臨床症状・措置方法
テオフィリンの血中濃度上昇による症状(悪心・嘔吐、頭痛、不眠等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
15. 薬剤名等
シロスタゾール
臨床症状・措置方法
シロスタゾールの作用が増強することがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
16. 薬剤名等
**アピキサバン
臨床症状・措置方法
アピキサバンの作用が増強することがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
17. 薬剤名等
ビノレルビン酒石酸塩
臨床症状・措置方法
ビノレルビン酒石酸塩の作用が増強することがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
18. 薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
シクロスポリンの血中濃度上昇による症状(腎障害等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、また、シクロスポリンの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
19. 薬剤名等
タクロリムス水和物
臨床症状・措置方法
タクロリムスの血中濃度上昇による症状(腎障害等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、また、タクロリムスの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
20. 薬剤名等
フェニトイン
臨床症状・措置方法
フェニトインの血中濃度上昇による症状(運動失調、めまい、眼振等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
また、本剤の作用が低下することがある。
機序・危険因子
フェニトインの代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、フェニトインの血中濃度を上昇させると考えられる。また、フェニトインが本剤の代謝を促進することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる。
21. 薬剤名等
シメチジン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度上昇による症状(降圧作用の増強、徐脈等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤が本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
22. 薬剤名等
HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、サキナビルメシル酸塩等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度上昇による症状(降圧作用の増強、徐脈等)があらわれることがある。
定期的に臨床症状を観察し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
これらの薬剤が本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
23. 薬剤名等
リファンピシン
臨床症状・措置方法
本剤の作用が低下することがある。
定期的に臨床症状を観察し、また、可能であれば本剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、他剤への変更あるいは本剤を増量するなどの適切な処置を行う。
機序・危険因子
リファンピシンが本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を誘導することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる。
24. 薬剤名等
麻酔剤(イソフルラン、エンフルラン、ハロタン等)
臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロック、洞停止等があらわれることがある。
心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる。
25. 薬剤名等
筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物等)
臨床症状・措置方法
筋弛緩剤の作用が増強することがある。
筋弛緩作用に注意し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する。
機序・危険因子
本剤が神経筋接合部において、シナプス前からのアセチルコリン放出を抑制させると考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
総症例9,630例中、副作用が報告されたものは442例(4.6%)で、主な副作用は消化器1.4%(胃部不快感0.2%、便秘0.2%、腹痛0.1%等)、循環器1.4%(めまい0.5%、徐脈0.4%、顔面潮紅0.2%、房室ブロック0.2%等)、過敏症1.2%及び頭痛0.2%等であった。(承認時~1990年12月迄の集計)
重大な副作用
(まれに:0.1%未満、副詞なし:自発報告につき頻度不明)
(1)
まれに完全房室ブロック、高度徐脈(初期症状:徐脈、めまい、ふらつき等)等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や必要に応じて心臓ペーシング等の適切な処置を行うこと。
(2)
うっ血性心不全があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、強心剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(3)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、紅斑、水疱、膿疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(4)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 循環器
0.1~5%未満
徐脈、房室ブロック、顔面潮紅、めまい
2. 循環器
0.1%未満
洞停止、血圧低下、動悸、胸痛、浮腫
3. 循環器
頻度不明
洞房ブロック
4. 精神神経系
0.1~5%未満
倦怠感、頭痛、頭重感
5. 精神神経系
0.1%未満
こむらがえり、脱力感、眠気、不眠
6. 精神神経系
頻度不明
パーキンソン様症状
7. 肝臓
0.1~5%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇
8. 肝臓
0.1%未満
黄疸
9. 肝臓
頻度不明
Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、肝腫大
10. 過敏症
0.1~5%未満
発疹
11. 過敏症
0.1%未満
そう痒、多形性紅斑様皮疹、蕁麻疹
12. 過敏症
頻度不明
光線過敏症、膿疱
13. 消化器
0.1~5%未満
胃部不快感、便秘、腹痛、胸やけ、食欲不振、嘔気
14. 消化器
0.1%未満
軟便、下痢、口渇
15. 血液
頻度不明
血小板減少、白血球減少
16. その他
頻度不明
歯肉肥厚、女性化乳房、しびれ
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では過度の降圧は好ましくないとされていることから、高齢者に使用する場合は、低用量から投与を開始するなど患者の状態を十分観察しながら慎重に投与することが望ましい。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔動物実験で催奇形作用(マウス:骨格異常、外形異常)及び胎児毒性(マウス、ラット:致死)が報告されている。〕
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔母乳中へ移行することが報告されている。〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。
過量投与
症状
過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧等があらわれることがある。しかし、このような症状は副作用としても報告されている。
処置
過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、必要に応じて胃洗浄等により薬剤の除去を行うとともに、下記等の適切な処置を行うこと。
(1) 徐脈、完全房室ブロック
アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングを適用すること。
(2) 心不全、低血圧
強心剤、昇圧剤、輸液等の投与や補助循環を適用すること。
適用上の注意
1.
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
2.
服用時
かまずに服用すること。〔徐放性が損なわれるおそれがある。〕
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人男子にヘルベッサー錠30、2錠(ジルチアゼム塩酸塩として60mg)を経口投与したとき、投与後3~5時間で最高血漿中濃度に達し、以後約4.5時間の半減期で減少する。連続経口投与においては、2日目以降定常状態に達し、90mg/日(分3)長期連用患者の投与後2~4時間における血漿中濃度は約40ng/mLであった。1)
2. 代謝
健康成人男子に経口投与したときの主な代謝経路は、酸化的脱アミノ化、酸化的脱メチル化、脱アセチル化、抱合化である。2)
臨床成績
1. 狭心症、異型狭心症
狭心症に対して、二重盲検比較試験、単純盲検比較試験、一般臨床試験により3~6)、また、異型狭心症に対して、ホルター心電図による検討を含む一般臨床試験により7)、本剤の有用性が認められた。
2. 高血圧症
本態性高血圧症に対して、プラセボ、レセルピン、プロプラノロールを対照薬とする4つの二重盲検比較試験の結果8~11)、本剤の有用性が認められた。
薬効薬理
ジルチアゼム塩酸塩は冠血管及び末梢血管等の血管平滑筋細胞へのCa2+流入を抑制することにより、血管を拡張し、心筋虚血改善作用及び降圧作用を示す。
(1) 心筋虚血に対する作用
1) 心筋の酸素需給バランス改善作用
1.
太い冠血管及び副血行路を拡張し、心筋虚血部への血流を増加させる(イヌ)。12~15)
2.
冠動脈スパズムを抑制する(サル、ヒト)。16,17)
3.
末梢血管拡張に基づく後負荷軽減、及び心拍数減少により、心拍出量を減らさずに心筋酸素消費量を抑制する(イヌ)。18)
2) 心筋保護作用
心筋虚血時、細胞内へのCa2+過剰流入を抑制することにより、心機能・心筋エネルギー代謝を保持し梗塞巣の広がりを縮小する(ラット)。19)
(2) 血圧に対する作用
1)
正常血圧にはほとんど影響せず、高い血圧をゆっくり下げ(ラット、ヒト)20~22)、運動負荷による血圧の上昇を抑制する(ヒト)。23)
2)
脳、腎の血流量を減少させず、血圧を低下させる(イヌ、ヒト)。24~27)
3)
血圧の低下とともに、心筋肥大、血管肥厚を抑制する(ラット)。28)
(3) 心刺激生成及び心伝導系に及ぼす影響
洞結節の自発周期と房室結節内伝導(AH)時間をわずかに延長するが、ヒス-プルキンエ系伝導(HV)時間には影響しない(イヌ、ヒト)。18,29,30)
有効成分に関する理化学的知見
○一般名
ジルチアゼム塩酸塩(Diltiazem Hydrochloride)(JAN)
○化学名
(2S , 3S )-5-[2-(Dimethylamino)ethyl]-2-(4-methoxyphenyl)-4-oxo-2,3,4,5-tetrahydro-1,5-benzothiazepin-3-yl acetate monohydrochloride
○構造式
○分子式
C22H26N2O4S・HCl
○分子量
450.98
○性状
・ 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
・ ギ酸に極めて溶けやすく、水、メタノール又はクロロホルムに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、無水酢酸又はエタノール(99.5)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
・ 旋光度〔α〕20D:+115~+120°(乾燥後,0.2g,水,20mL,100mm)
・ 融点:210~215℃(分解)
包装
ヘルベッサー錠30: 100錠 (10錠×10),
1,000錠 (10錠×100),
2,100錠 (21錠×100),
500錠 (バラ)
*ヘルベッサー錠60: 100錠 (10錠×10),
1,000錠 (10錠×100)
主要文献及び文献請求先
主要文献
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*文献請求先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
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大阪市中央区道修町3-2-10