CAPTORIL-R CAPSULES(Captopril)卡托普利-R胶囊,カプトリル-Rカプセル18.75mg
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作成又は改訂年月
**2014年6月改訂 (第16版)
*2013年3月改訂
日本標準商品分類番号
872144
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1994年3月
薬効分類名
レニン・アンジオテンシン系降圧剤
持効性製剤
承認等
販売名
カプトリル-Rカプセル18.75mg
販売名コード
2144001N1059
承認・許可番号
承認番号
22000AMX02282
商標名
CAPTORIL-R CAPSULES
薬価基準収載年月
2008年12月
販売開始年月
2008年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温(30℃以下)保存
高温(40℃以上)で保存すると放出速度が早くなる。
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
処方箋医薬品※
※注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
1カプセル中に次の成分を含有
有効成分
カプトプリル(日局) 18.75mg
添加物
アスコルビン酸、ステアリルアルコール、トリオレイン酸ソルビタン、ダイズ油、乳糖水和物、ゼラチン、濃グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、酸化チタン、三二酸化鉄、ラウリル硫酸ナトリウム
性状
剤形
硬カプセル剤(3号)
色
白色(赤褐色帯状のシール有)
外形
長径(mm)
15.8
短径(mm)
5.8
重さ(mg)
340
識別コード
SANKYO
271
一般的名称
カプトプリル持効性カプセル
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[高度の呼吸困難を伴う血管浮腫を発現するおそれがある。]
3.
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の患者(「相互作用」の項参照)
4.
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた血液透析施行中の患者(「相互作用」の項参照)
5.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
6.
*アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている(「重要な基本的注意」の項参照)。]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
本態性高血圧症、腎性高血圧症
通常、成人1回1~2カプセル、1日2回(カプトプリルとして37.5~75mg)経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、重症本態性高血圧症及び腎性高血圧症の患者では1回1カプセル、1日1~2回(カプトプリルとして18.75~37.5mg)から投与を開始することが望ましい。
用法及び用量に関連する使用上の注意
重篤な腎障害のある患者では、血清クレアチニン値が3mg/dLを超える場合には、投与量を減らすか、又は投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。[過度の血圧低下及び血液障害が起こるおそれがある。](「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
2.
高カリウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)
3.
重篤な腎障害のある患者(「用法及び用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)
4.
造血障害のある患者[好中球減少症、無顆粒球症等の副作用が発現することがある。]
5.
全身性エリテマトーデス(SLE)などの免疫異常のある患者[好中球減少症、無顆粒球症等の副作用が発現することがある。]
6.
重篤な肝障害のある患者[黄疸等の副作用が発現することがある。]
7.
消化性潰瘍又はその既往歴のある患者[副作用として消化器症状が発現することがある。]
8.
脳血管障害のある患者[過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。]
9.
光線過敏症の既往歴のある患者[副作用として発疹等の皮膚症状が発現することがある。]
10.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
2.
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
3.
本剤の投与によって次の患者では、初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。
(1)
重症の高血圧症患者
(2)
血液透析中の患者
(3)
利尿降圧剤投与中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)
(4)
厳重な減塩療法中の患者
4.
*アリスキレンフマル酸塩を併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
5.
(1)
腎疾患の既往歴のある患者、腎障害のある患者では、本剤の投与により蛋白尿があらわれやすいので、腎機能、尿所見に留意し、定期的に検査を行うこと。
(2)
持続的な蛋白尿の増加傾向が認められる場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
6.
腎障害のある患者に投与する場合には低用量より開始するなど特に注意すること。
7.
(1)
腎障害のある患者、重篤な自己免疫疾患(特に全身性エリテマトーデス)又は免疫抑制剤の投与を受けている患者では、好中球減少、無顆粒球症があらわれやすいので、血液像に留意して、定期的に検査を行うこと。
(2)
白血球数の急激な減少あるいは4,000/mm3未満となった場合には、白血球分画を含む経過観察を十分に行い、3,000/mm3未満を示す場合には投与を中止すること。
8.
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
9.
血圧低下に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者で高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に注意させること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行
リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ
臨床症状・措置方法
ショックを起こすことがある。
機序・危険因子
陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートによりブラジキニンの産生が刺激される。さらに本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇し、ショックを誘発すると考えられている。
2.
薬剤名等
*アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた透析
臨床症状・措置方法
アナフィラキシーを発現することがある。
機序・危険因子
陰性に荷電したAN69によりブラジキニンの産生が刺激される。さらに本剤が、ブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇し、アナフィラキシーを誘発すると考えられている。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン、トリアムテレン等
カリウム補給剤
塩化カリウム等
臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意すること。
機序・危険因子
機序:本剤はアンジオテンシンII産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させる。
危険因子:腎障害のある患者
2. 薬剤名等
利尿降圧剤
トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等
臨床症状・措置方法
本剤初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、投与は少量より開始すること。
機序・危険因子
利尿降圧剤によるナトリウム排泄によって、レニン-アンジオテンシン系が亢進されているため、本剤によりアンジオテンシンIIの産生が抑制されると、降圧作用が増強されると考えられている。
3. 薬剤名等
アロプリノール
臨床症状・措置方法
過敏症状(Stevens-Johnson症候群、関節痛等)が発現したとの報告がある。患者の状態を注意深く観察し、発熱を伴う発疹等の過敏症状が発現した場合には直ちに両剤の投与を中止すること。
機序・危険因子
機序不明。
危険因子:腎障害のある患者
4. 薬剤名等
リチウム製剤
炭酸リチウム
臨床症状・措置方法
併用によりリチウム中毒を起こすことが報告されているので、血中のリチウム濃度に注意すること。
機序・危険因子
明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、本剤がナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。
5. 薬剤名等
アドレナリン作動性ニューロン遮断薬
グアネチジン硫酸塩
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
両剤の降圧作用による。
6. 薬剤名等
ニトログリセリン
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
両剤の降圧作用による。
7. 薬剤名等
*アリスキレンフマル酸塩
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
機序・危険因子
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
8. 薬剤名等
**アンジオテンシンII受容体拮抗剤
臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
機序・危険因子
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
9. 薬剤名等
*非ステロイド性消炎鎮痛剤
臨床症状・措置方法
降圧作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
10. 薬剤名等
*非ステロイド性消炎鎮痛剤
臨床症状・措置方法
腎機能を悪化させるおそれがある。
機序・危険因子
プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
11. 薬剤名等
カリジノゲナーゼ製剤
臨床症状・措置方法
本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。
機序・危険因子
血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
(本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)
総症例3,848例中副作用が報告されたのは168例(4.37%)であった。その主なものは、咳嗽(1.64%)、発疹(0.16%)、そう痒(0.16%)等であった。〔再審査終了時〕
重大な副作用
1. 血管浮腫
頻度不明
呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがある。このような場合には、気管の閉塞を起こしやすくなるので、直ちに投与を中止し、アドレナリンの皮下注射、気道確保など適切な処置を行うこと。また、腹痛を伴う腸管の血管浮腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
2. 汎血球減少、無顆粒球症
頻度不明
汎血球減少、無顆粒球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
3. 急性腎不全、ネフローゼ症候群
頻度不明
急性腎不全、ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
4. 高カリウム血症
頻度不明
重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
5. 天疱瘡様症状
頻度不明
天疱瘡様症状があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
6. 狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心停止
頻度不明
狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心停止があらわれたとの報告がある。
7. *アナフィラキシー
頻度不明
アナフィラキシーがあらわれたとの報告がある。
8. 皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎
頻度不明
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎があらわれたとの報告がある。
9. 錯乱
頻度不明
錯乱があらわれたとの報告がある。
10. 膵炎
頻度不明
膵炎があらわれたとの報告がある。
その他の副作用
1. 血液注1)
0.1%未満
白血球減少
2. 血液注1)
頻度不明
貧血、好酸球増多、血小板減少
3. 腎臓
0.1~2%未満
BUN上昇、血清クレアチニン上昇
4. 腎臓
頻度不明
蛋白尿
5. 皮膚注2)
0.1~2%未満
発疹注3)、そう痒
6. 皮膚注2)
0.1%未満
蕁麻疹
7. 皮膚注2)
頻度不明
光線過敏症
8. 味覚注4)
0.1%未満
味覚の異常
9. 精神神経系
0.1%未満
頭痛、めまい、頭重感、眠気
10. 消化器
0.1%未満
悪心・嘔吐、胃部不快感、下痢
11. 消化器
頻度不明
食欲不振、腹痛
12. 肝臓注2)
0.1~2%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、ALP上昇
13. 肝臓注2)
0.1%未満
LDH上昇
14. 肝臓注2)
頻度不明
黄疸、肝障害
15. 循環器
0.1%未満
起立性低血圧、動悸、息切れ
16. 循環器
頻度不明
胸痛、胸部不快感、レイノー様症状
17. その他
0.1~2%未満
咳嗽
18. その他
0.1%未満
血清カリウム値の上昇、四肢のしびれ感、顔面潮紅
19. その他
頻度不明
脱力感、発熱、筋肉痛、口渇、口内炎、歯痛の増強、知覚異常、嗄声、クームス試験の陽性例、抗核抗体の陽性例、低血糖
その他の副作用の注意
注1)投与を中止すること。
注2)投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注3)発熱、好酸球増多を伴う発疹を含む。
注4)減量又は投与を中止すること(通常、味覚の異常は可逆的である)
高齢者への投与
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。[妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。]
2.
妊娠中に本剤を投与された重症高血圧症の患者で、羊水過少症、また、その新生児に低血圧・腎不全等があらわれたとの報告がある。
3.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[ヒト母乳中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
臨床検査結果に及ぼす影響
尿中ケトン(アセトン)が偽陽性を呈することがある。
過量投与
1.
症例:
33歳の女性に対し、カプトプリル(推量500~750mg)、アルプラゾラム10mgを投与。投与6時間後のカプトプリル血漿中濃度は5,952μg/L。患者は、薬剤投与5時間後に入院し、その時低血圧になっていた(収縮期血圧80mmHg)。それから輸液とドパミンを30分以内、10μg/kg/minで点滴静注したところ血圧上昇。さらに、入院後18.5時間目と24.5時間目に2回低血圧を発現したが、ドパミンにて上昇。その後入院期間中の血圧は正常になり、初期の嗜眠や全身脱力感の消失後は、他の症状の発現はなかった1)。
2.
処置:
低血圧-生理食塩液の点滴静注による体液量増加が、血圧の回復のために採るべき処置である。カプトプリルは、血液透析により成人の循環系から除去されるが、新生児又は小児に対しては、有効性のデータは不十分である。
腹膜透析はカプトプリルを除去するのに有効ではない2)。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
カプトリル錠(非持効性製剤)投与中に高度の蛋白尿が認められた患者について腎生検を行ったところ、膜性腎症がみられたとの報告がある。
2.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1)
健康成人8例にカプトリル-R(持効性製剤)を1回25mg食後30分に経口投与(交叉法)した場合、カプトリル-R(25mg/カプセル)はカプトリル錠(25mg/錠)に比べ投与後4時間以降の濃度は有意に高く、投与後8時間でも遊離カプトプリルの存在を確認できた。
また、生物学的半減期は2.13時間、平均体内滞留時間は3.59時間といずれもカプトリル錠の2~3.5倍の値を示している。(血中濃度の表参照)
これらの実験より得られた薬物速度論的パラメータを用い、さらに線形性が成立するという仮定の下にカプトリル-Rとカプトリル錠との多回投与時の血漿中濃度をシミュレートした結果は図のとおりである3)。
カプトリル-Rとカプトリル錠との多回投与時の血漿中濃度シミュレーション
(2)
本態性高血圧症患者(WHO病期分類I~II期)10例にカプトリル-R、1カプセル(18.75mg)を朝食後30分に1回投与した結果、急性降圧効果は8~12時間持続することが示され、また血漿中遊離カプトプリル濃度、血漿ACE阻害活性でも持効性が認められ、製剤の持効化に伴うBioavailabilityの低下はなかった4)5)。
2. 排泄
健康成人8例にカプトリル-Rを1回25mg食後30分に経口投与(交叉法)した場合、24時間までの尿中排泄率は遊離カプトプリルでは25.7%、トータルカプトプリルでは42.5%であり、カプトリル錠とほぼ同等である3)。
3. 腎障害患者への適用
腎障害患者に14C-カプトプリルを1回100mg経口投与し、総放射能の血中半減期を求め、腎障害患者におけるカプトプリルの用法・用量について検討した(外国人)。その結果に基づく腎障害患者の投与量・投与間隔の例を次表に示す。
(1) 投与間隔による調節
投与間隔による調節の表参照
(2) 投与量による調節
投与量による調節の表参照
薬物動態の表
血中濃度
パラメータ |
カプトリル-R |
カプトリル錠 |
Cmax(ng/mL) |
73.7 |
121.0 |
Tmax(hr) |
1.25 |
1.13 |
t1/2(hr) |
2.13 |
0.62 |
〔AUC〕∞0(ng・hr/mL) |
238.5 |
250.5 |
MRT(hr) |
3.59 |
1.75 |
MRT:Mean residence time
投与間隔による調節
Ccr(mL/min) |
>75 |
75~35 |
34~20 |
19~8 |
7~5 |
投与間隔(hr) |
8 |
12~24 |
24~48 |
48~72 |
72~108 |
投与量による調節
Ccr(mL/min) |
投与間隔(hr) |
投与量(mg) |
30 |
24 |
100 |
25 |
24 |
90 |
20 |
24 |
80 |
15 |
24 |
70 |
10 |
24 |
55 |
5 |
24 |
35 |
臨床成績
1. 一般臨床試験6)
カプトリル-Rの一般臨床試験は27施設、総症例55例の本態性高血圧症患者を対象に実施され、そのうち判定不能2例を除く53例について効果判定が行われ、69.8%(37/53)の有効率が得られた。
2. 二重盲検比較試験7)
本態性高血圧症患者を対象に、カプトリル-R(37.5~75mg、1日2回分服)の有用性をカプトリル錠(37.5~75mg、1日3回分服)を対照薬として二重盲検群間比較法により検討した結果、カプトリル-Rは1日2回の服用にてカプトリル錠と同等の降圧効果及び安全性が認められた。
3. 長期投与試験8)
本態性高血圧症患者65例を対象に症例登録制下カプトリル-Rの長期投与(12ヵ月以上-22例、6ヵ月以上-39例、6ヵ月未満-4例)を行なった結果、本剤の有効率は83%(54/65)であった。
4.
重症高血圧症患者39例及び腎性高血圧症患者30例に対しカプトリル-Rを1回1~2カプセル、1日1~2回投与した結果、重症群では59%(23/39)、腎性群では80%(24/30)の有効率が得られ、本剤の有効性及び安全性が認められた9)。
薬効薬理
カプトプリルはアンジオテンシン変換酵素を抑制して、アンジオテンシンIIの生成を抑えることにより、末梢血管を拡張して、総末梢血管抵抗を下げて降圧作用をあらわすと共に、アルドステロンの分泌を抑え、軽度のナトリウム排泄作用をあらわす。
(1) アンジオテンシン変換酵素抑制作用
カプトプリルはウサギ肺より精製したアンジオテンシン変換酵素を競合的に抑制し10)、また経口投与によりアンジオテンシンIによる血圧上昇を抑制する11)ことが明らかにされている。
(2) 降圧作用
1)
カプトプリルは経口投与により、高血圧自然発症ラット及び腎血管性高血圧ラットの血圧を下降させるが、正常ラットの血圧には影響を及ぼさない12)。
2)
カプトプリルを長期間連続経口投与しても降圧作用に耐薬性を生じていない(ラット)13)。また連続投与後に休薬しても血圧はもとのレベルに戻るだけで、リバウンド現象はみられない(ラット)14)。
3)
カプトプリルは用量に応じた血圧の下降及び心拍出量の増大をもたらし、総末梢抵抗を低下させるが、心拍数には有意の変動はみられていない。また血圧下降時にも臓器血流を減少させることはなく、逆に腎・脳血流を有意に増加する(ラット)13)。
4)
カプトプリルは長期投与により高血圧による心肥大を改善し15)、延命効果をもたらす(ラット)14)16)。
(3) 血圧日内変動に及ぼす影響
本態性高血圧症患者において、カプトリル-R、1カプセルを1日1回投与した場合、投与4時間後に最大降圧効果を示し、10~12時間後まで効果の持続がみられる17)。また、最大、最小血圧とも有意に降圧し、血圧の標準偏差及び日内最大変動幅に及ぼす影響は少ない18)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カプトプリル(Captopril)
化学名
(2S )-1-[(2S )-2-Methyl-3-sulfanylpropanoyl]pyrrolidine-2-carboxylic acid
分子式
C9H15NO3S
分子量
217.29
構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にやや溶けやすい。
分配係数
分配係数の表参照
有効成分に関する理化学的知見の表
分配係数
pH 2.0 3.0 4.0 7.4
分配係数(log Pow) -0.72 -0.77 -1.52 -2.00
Pow=(n-オクタノール相のカプトプリル濃度/水相のカプトプリル濃度)
包装
カプトリル-Rカプセル18.75mg
(PTP)100カプセル 1,000カプセル
(瓶) 500カプセル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Augenstein WL, et al.:JAMA 1988;259(22):3302-3305
2)
Physicians' Desk Reference 49th ed. 1995;710-714
3)
西村憲治ほか:臨床医薬 1986;2(6):819-826
4)
塩之入洋ほか:日本腎臓学会誌 1986;28(1):73-78
5)
塩之入洋ほか:臨床医薬 1986;2(6):827-833
6)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):857-867
7)
金子好宏ほか:臨床医薬 1987;3(1):21-63
8)
蔵本 築ほか:臨床医薬 1986;2(11):1525-1548
9)
阿部圭志ほか:臨床医薬 1988;4(5):815-837
10)
Cushman DW, et al.:Prog Cardiovasc Dis 1978;21(3):176-182
11)
Rubin B, et al.:J Pharmacol Exp Ther 1978;204(2):271-280
12)
Laffan RJ, et al.: J Pharmacol Exp Ther 1978;204(2):281-288
13)
Koike H, et al.:Hypertension 1980;2(3):299-303
14)
Rubin B, et al.:Eur J Pharmacol 1978;51(4):377-388
15)
Antonaccio MJ, et al.:Jpn J Pharmacol 1979;29(2):285-294
16)
Horovitz ZP, et al.:Br J Clin Pharmacol 1979;7(Suppl 2):243S-248S
17)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):835-843
18)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):845-856
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