THEODUR Syrup 2%(Theophylline)テオドールシロップ2%/テオドールドライシロップ20%
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作成又は改訂年月
**2015年4月改訂(第19版) D7
*2012年12月改訂
日本標準商品分類番号
872251
再審査結果公表年月(最新)
2001年12月
薬効分類名称
キサンチン系気管支拡張剤
承認等
販売名
テオドールシロップ2%
販売名コード
2251001Q1039
承認・許可番号
承認番号
21400AMZ00133
商標名
THEODUR Syrup 2%
薬価基準収載年月
2002年7月
販売開始年月
1993年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱又は容器に表示
規制区分
劇薬
処方箋医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分〔シロップ2%(1mL中)〕
日局 テオフィリン20mg
添加物
*D-ソルビトール,グリセリン,キサンタンガム,酸化チタン,ラウリル硫酸ナトリウム,シリコーン樹脂,ソルビタン脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,カルメロースナトリウム,クエン酸水和物,安息香酸ナトリウム,バニリン,エタノール,プロピレングリコール,香料,その他1成分
性状
性状・剤形
白色粘性の懸濁液
特異な芳香があり,味は甘い
徐放性懸濁シロップ剤
販売名
テオドールドライシロップ20%
販売名コード
2251001R1026
承認・許可番号
承認番号
20700AMZ00423
商標名
THEODUR Dry syrup 20%
薬価基準収載年月
1995年6月
販売開始年月
1995年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱又は容器に表示
規制区分
劇薬注2)
注2)0.4g分包品を除く
処方箋医薬品注1)
注1)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分〔ドライシロップ20%(1g中)〕
日局 テオフィリン200mg
添加物
*ラウリル硫酸ナトリウム,セルロース・カルメロースナトリウム,D-マンニトール,二酸化ケイ素,酸化チタン,ヒドロキシプロピルセルロース,サッカリンナトリウム水和物,タルク,トウモロコシデンプン,バニリン,グリセリン,プロピレングリコール,グリセリン脂肪酸エステル,メタリン酸ナトリウム,ポリリン酸ナトリウム,デキストリン,香料,その他1成分
性状
性状・剤形
白色の粉末状又は粒状
特異な芳香があり,味は甘い
徐放性ドライシロップ剤
一般的名称
テオフィリン徐放性製剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤又は他のキサンチン系薬剤に対し重篤な副作用の既往歴のある患者
効能又は効果
気管支喘息,喘息性(様)気管支炎
効能又は効果に関連する使用上の注意
喘息性(様)気管支炎
発熱を伴うことが多く,他の治療薬による治療の優先を考慮すること(テオフィリン投与中に発現した痙攣の報告は,発熱した乳幼児に多い).
用法及び用量
テオドールシロップ2%
通常,小児にテオフィリンとして,1回4~8mg/kg(本剤0.2~0.4mL/kg)を,1日2回,朝及び就寝前に経口投与する.
なお,開始用量は年齢,症状,合併症等を考慮のうえ決定し,臨床症状等を確認しながら適宜増減する.
テオドールドライシロップ20%
通常,小児にテオフィリンとして,1回4~8mg/kg(本剤20~40mg/kg)を,1日2回,朝及び就寝前に経口投与する.
なお,開始用量は年齢,症状,合併症等を考慮のうえ決定し,臨床症状等を確認しながら適宜増減する.
本剤は通常,用時,水に懸濁して投与するが,顆粒のまま投与することもできる.
用法及び用量に関連する使用上の注意
*本剤投与中は,臨床症状等の観察や血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること.
なお,小児の気管支喘息に投与する場合の投与量,投与方法等については,学会のガイドライン※等,最新の情報を参考に投与すること.
※日本小児アレルギー学会:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン20121)
1. テオフィリン1回投与量の目安(通常の用法は,1日2回投与とされている)
2. 注意すべき投与対象等
2歳以上の重症持続型の患児を除き,他剤で効果不十分な場合などに,患児の状態(発熱,痙攣等)等を十分に観察するなど適用を慎重に検討し投与する.なお,2歳未満の熱性痙攣やてんかんなどのけいれん性疾患のある児には原則として推奨されない.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
てんかんの患者〔中枢刺激作用によって発作を起こすことがある.〕
2.
甲状腺機能亢進症の患者〔甲状腺機能亢進に伴う代謝亢進,カテコールアミンの作用を増強することがある.〕
3.
急性腎炎の患者〔腎臓に対する負荷を高め,尿蛋白が増加するおそれがある.〕
4.
うっ血性心不全の患者〔テオフィリンクリアランスが低下し,テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので,血中濃度測定等の結果により減量すること.〕
5.
肝障害のある患者〔テオフィリンクリアランスが低下し,テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので,血中濃度測定等の結果により減量すること.〕
6.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人,産婦,授乳婦(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
7.
小児
(1)
小児,特に乳幼児は成人に比べて痙攣を惹起しやすく,また,テオフィリンクリアランスが変動しやすいのでテオフィリン血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること.なお,次の小児にはより慎重に投与すること.
1)
てんかん及び痙攣の既往歴のある小児〔痙攣を誘発することがある.〕
2)
発熱している小児〔テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある.〕
3)
6ヵ月未満の乳児〔乳児期にはテオフィリンクリアランスが一定していない.6ヵ月未満の乳児ではテオフィリンクリアランスが低く,テオフィリン血中濃度が上昇することがある.〕
(2)
低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない.(使用経験がない.)
重要な基本的注意
1.
テオフィリンによる副作用の発現は,テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから,血中濃度のモニタリングを適切に行い,患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい.
2.
副作用が発現した場合には減量又は投与を中止し,テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい.
3.
小児,特に乳幼児に投与する場合には,保護者等に対し,発熱時には一時減量あるいは中止するなどの対応を,あらかじめ指導しておくことが望ましい.
4.
小児では一般に自覚症状を訴える能力が劣るので,本剤の投与に際しては,保護者等に対し,患児の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するなどの適切な対応をするように注意を与えること.
相互作用
相互作用の概略
本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP1A2で代謝される.(「薬物動態」の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
他のキサンチン系薬剤(アミノフィリン,コリンテオフィリン,ジプロフィリン,カフェイン等),中枢神経興奮薬(エフェドリン塩酸塩,マオウ等)
臨床症状・措置方法
過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある.(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
併用により中枢神経刺激作用が増強される.
2. 薬剤名等
交感神経刺激剤(β刺激剤)(イソプレナリン塩酸塩,クレンブテロール塩酸塩,ツロブテロール塩酸塩,テルブタリン硫酸塩,プロカテロール塩酸塩水和物等)
臨床症状・措置方法
低カリウム血症,心・血管症状(頻脈,不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある.
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
心刺激作用をともに有しており,β刺激剤の作用を増強するためと考えられる.
低カリウム血症の増強についての機序は不明である.
3. 薬剤名等
ハロタン
臨床症状・措置方法
不整脈等の副作用が増強することがある.また,連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある.
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる.
4. 薬剤名等
ケタミン塩酸塩
臨床症状・措置方法
痙攣があらわれることがある.
痙攣の発現に注意し,異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与など適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
痙攣閾値が低下するためと考えられる.
5. 薬剤名等
*シメチジン,メキシレチン塩酸塩,プロパフェノン塩酸塩,アミオダロン塩酸塩,エノキサシン,ピペミド酸三水和物,塩酸シプロフロキサシン,ノルフロキサシン,トスフロキサシントシル酸塩水和物,パズフロキサシンメシル酸塩,プルリフロキサシン,エリスロマイシン,クラリスロマイシン,ロキシスロマイシン,チアベンダゾール,チクロピジン塩酸塩,ベラパミル塩酸塩,ジルチアゼム塩酸塩,フルボキサミンマレイン酸塩,フルコナゾール,ジスルフィラム,デフェラシロクス
臨床症状・措置方法
テオフィリンの中毒症状があらわれることがある.(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
肝薬物代謝酵素が阻害され,テオフィリンクリアランスが低下するため,テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる.
6. 薬剤名等
アシクロビル,バラシクロビル塩酸塩,インターフェロン,イプリフラボン,シクロスポリン,アロプリノール
臨床症状・措置方法
テオフィリンの中毒症状があらわれることがある.(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
テオフィリン血中濃度の上昇によると考えられる.
7. 薬剤名等
ザフィルルカスト
臨床症状・措置方法
テオフィリンの中毒症状があらわれることがある.(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
またザフィルルカストの血中濃度を低下させることがある.
機序・危険因子
肝薬物代謝酵素が阻害され,テオフィリンクリアランスが低下するため,テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる.
ザフィルルカストの血中濃度低下についての機序は不明である.
8. 薬剤名等
リファンピシン,フェノバルビタール,ランソプラゾール,リトナビル
臨床症状・措置方法
テオフィリンの効果が減弱することがある.
テオフィリン血中濃度が低下することがあるので,適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため,テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる.
9. 薬剤名等
フェニトイン,カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
テオフィリン及び相手薬の効果が減弱することがある.
テオフィリン血中濃度が低下することがあるので,適切な処置を行うこと.
また,相手薬の効果減弱や血中濃度の低下に注意すること.
機序・危険因子
肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため,テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる.
10. 薬剤名等
ジピリダモール
臨床症状・措置方法
ジピリダモールの作用を減弱させることがある.
機序・危険因子
アデノシン拮抗作用による.
11. 薬剤名等
ラマトロバン
臨床症状・措置方法
ラマトロバンの血中濃度が上昇することがある.
機序・危険因子
ラマトロバンの血中濃度上昇についての機序は不明である.
12. 薬剤名等
リルゾール
臨床症状・措置方法
リルゾールの作用を増強(副作用発現)するおそれがある.
機序・危険因子
in vitro試験でリルゾールの代謝を阻害することが示唆されている.
13. 薬剤名等
タバコ
臨床症状・措置方法
禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある.(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し,異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され,テオフィリンクリアランスが上昇し,テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる.また,禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる.
14. 薬剤名等
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので,本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること.
機序・危険因子
セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し,クリアランスを上昇させるためと考えられている.
副作用
副作用等発現状況の概要
総症例6,135例中,65例(1.06%)に副作用が認められ,主な副作用は悪心・嘔気25件(0.41%),嘔吐23件(0.37%),食欲不振8件(0.13%)であった.(再審査終了時)
重大な副作用
1. 痙攣(0.1%未満),意識障害(頻度不明)
痙攣又はせん妄,昏睡等の意識障害があらわれることがあるので,抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと.
2. 急性脳症(頻度不明)
痙攣,意識障害等に引き続き急性脳症に至ることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと.
3. 横紋筋融解症(頻度不明)
横紋筋融解症があらわれることがあるので,脱力感,筋肉痛,CK(CPK)上昇等に注意し,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うとともに横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること.
4. 消化管出血(頻度不明)
潰瘍等による消化管出血(吐血,下血等)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
5. 赤芽球癆(頻度不明)
赤芽球癆があらわれることがあるので,貧血があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
6. アナフィラキシーショック(頻度不明)
アナフィラキシーショック(蕁麻疹,蒼白,発汗,血圧低下,呼吸困難等)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
7. 肝機能障害,黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等),黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
8. 頻呼吸,高血糖症(いずれも頻度不明)
頻呼吸,高血糖症があらわれることがある.
その他の副作用
1. 過敏症
0.1%未満
発疹,蕁麻疹
2. 過敏症
頻度不明
そう痒感,固定薬疹,紅斑(多形滲出性紅斑等)
3. 精神神経系
0.1~5%未満
神経過敏(興奮,不機嫌,いらいら感),不眠
4. 精神神経系
0.1%未満
頭痛,振戦
5. 精神神経系
頻度不明
不安,めまい,しびれ,耳鳴,不随意運動,筋緊張亢進
6. 循環器
頻度不明
動悸,顔面潮紅,頻脈,顔面蒼白,不整脈(心室性期外収縮等)
7. 消化器
0.1~5%未満
悪心,嘔吐,食欲不振,下痢
8. 消化器
0.1%未満
腹痛
9. 消化器
頻度不明
腹部膨満感,消化不良(胸やけ等),しゃっくり
10. 泌尿器
頻度不明
蛋白尿,頻尿
11. 代謝異常
0.1%未満
血清尿酸値上昇
12. 代謝異常
頻度不明
CK(CPK)上昇
13. 肝臓
0.1%未満
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇
14. 肝臓
頻度不明
Al-P,LDH,γ-GTPの上昇
15. 血液
頻度不明
貧血,好酸球増多
16. その他
0.1~5%未満
発汗
17. その他
0.1%未満
鼻出血
18. その他
頻度不明
むくみ,けん怠感,関節痛,四肢痛,胸痛,低カリウム血症,しびれ(口,舌周囲)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること.〔動物実験(マウス,ラット,ウサギ)で催奇形作用等の生殖毒性が報告されている.また,ヒトで胎盤を通過して胎児に移行し,新生児に嘔吐,神経過敏等の症状があらわれることがある.〕
2.
本剤投与中は授乳を避けさせること.〔ヒト母乳中に移行し,乳児に神経過敏を起こすことがある.〕
小児等への投与
小児には慎重に投与すること.(「慎重投与」の項参照)
過量投与
1.
症状
テオフィリン血中濃度が高値になると,血中濃度の上昇に伴い,消化器症状(特に悪心,嘔吐)や精神神経症状(頭痛,不眠,不安,興奮,痙攣,せん妄,意識障害,昏睡等),心・血管症状(頻脈,心室頻拍,心房細動,血圧低下等),低カリウム血症その他の電解質異常,呼吸促進,横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる.なお,軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある.
2.
処置
過量投与時の処置には,テオフィリンの除去,出現している中毒症状に対する対症療法がある.消化管内に残存するテオフィリンの除去として催吐,胃洗浄,下剤の投与,活性炭の経口投与等があり,血中テオフィリンの除去として輸液による排泄促進,活性炭の経口投与,活性炭を吸着剤とした血液灌流,血液透析等がある.なお,テオフィリン血中濃度が低下しても,組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある.
1)
痙攣,不整脈の発現がない場合
1.
服用後短時間しか経過していないと思われる場合,嘔吐を起こさせることが有効である.服用後1時間以内の患者では特に有効である.
2.
下剤を投与する.ただし,体液,電解質の異常に注意すること.
3.
活性炭を反復投与し,テオフィリン血中濃度をモニターする.
4.
痙攣の発現が予測されるようなら,フェノバルビタール等の投与を考慮する.ただし,フェノバルビタールは呼吸抑制作用を示すことがあるので,使用に際しては注意すること.
2)
痙攣の発現がある場合
1.
気道を確保する.
2.
酸素を供給する.
3.
痙攣治療のためにジアゼパム静注等を行う.痙攣がおさまらない場合には全身麻酔薬投与を考慮する.
4.
バイタルサインをモニターする.血圧の維持及び十分な水分補給を行う.
3)
痙攣後に昏睡が残った場合
1.
気道を確保し,酸素吸入を行う.
2.
大口径の胃洗浄チューブを通じて下剤及び活性炭の投与を行う.
3.
テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し,十分な水分補給を続ける.活性炭を反復経口投与しても血中濃度が下がらない場合には,活性炭による血液灌流,血液透析も考慮する.
4)
不整脈の発現がある場合
1.
不整脈治療としてペーシング,直流除細動,抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う.
2.
バイタルサインをモニターする.血圧の維持及び十分な水分補給を行う.また,電解質異常がある場合はその補正を行う.
適用上の注意
1. 調剤時
(1) シロップ剤
1)
調剤する際には,よく振ること.
2)
他のシロップ剤,水,単シロップ剤と混合しないこと.〔本剤の徐放性が損なわれる.また,発熱時には一時減量あるいは中止する等,投与量の調整が必要となることがある.〕
(2) ドライシロップ剤
1)
他の薬剤と配合しないことが望ましい.〔発熱時には一時減量あるいは中止する等,投与量の調整が必要となることがある.〕
2)
懸濁液剤として調剤しないこと.
2. 薬剤交付時
(1) シロップ剤
粘稠性が高いため,服用時にはよく振って正確に計量するよう指導すること.
(2) ドライシロップ剤
懸濁後は速やかに服用するよう指導すること.
薬物動態
1. 吸収2)
(1)
気管支喘息患児にテオドールドライシロップ20%(テオフィリンとして平均8mg/kg)を単回経口投与した場合の薬物動態パラメータは下表のとおりである.(薬物動態の表参照)
(2)
気管支喘息患児にテオドールドライシロップ20%(テオフィリンとして平均8mg/kg)を12時間ごとに9回投与した際のテオフィリン血中濃度の推移を下図に示す.
2. 代謝3,4)
健康成人にテオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を経口投与した場合,テオフィリンは主として肝臓で代謝され,尿中代謝物は1,3-dimethyluric acid,1-methyluric acid及び3-methylxanthineが同定された.
テオフィリンの代謝にはP450の分子種のうちCYP1A2が主たる分子種として,3A4や2E1がマイナーな分子種として関与することが示唆されている.
3. 排泄3)
テオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を投与後48時間に健康成人の尿中に排泄される未変化のテオフィリンは投与量の約8%,代謝物は約80%であった.
4. 生物学的同等性5)
テオドールドライシロップ20%及びテオドールシロップ2%の生物学的同等性試験を12名の健康成人男子を対象として行った結果,両製剤は生物学的に同等であると判断された.
<参考>6)
ラットに14C-theophyllineを経口投与した場合,テオフィリン及びその代謝物が特異的に分布,蓄積する臓器は認められなかった.
薬物動態の表
気管支喘息患児(n=8) |
Cmax(μg/mL) |
7.8±1.7 |
tmax(h) |
4.9±1.6 |
AUC0→12(μg・h/mL) |
64.9±13.5 |
臨床成績
テオフィリンとして8mg/kg/回,1日2回投与した国内臨床試験における改善以上の改善率は次のとおりであった.7~11)
|
改善率(%) |
テオドールシロップ2% |
71.5(103/144) |
テオドールドライシロップ20% |
71.2(47/66) |
一般名
テオフィリン(Theophylline)
化学名
1,3‐Dimethyl‐1H‐purine‐2,6(3H,7H)‐dione
分子式
C7H8N4O2
分子量
180.16
構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である.
N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく,水又はエタノール(99.5)に溶けにくい.0.1mol/L塩酸試液に溶ける.
融点
271~275℃
取扱い上の注意
シロップ剤は5℃以下で固化することがあるので,保管に際しては注意すること.
**包装
テオドールシロップ2%:500mL瓶
テオドールドライシロップ20%:100g(ポリ容器)
テオドールドライシロップ20%:0.4g×200包
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
*濱崎雄平,河野陽一,海老澤元宏,近藤直実監修.日本小児アレルギー学会編:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012,協和企画2012
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杉本日出雄 他:小児科臨床 1994;47(3):557-566
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中島光好 他:薬理と治療 1981;9(1):17-25
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島田典招 他:薬物動態 1995;10(3):413-419
5)
田辺三菱製薬(株):テオドールシロップ及びドライシロップの生物学的同等性に関わる資料(社内資料)
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飯田成宇 他:基礎と臨床 1980;14(12):3767-3770
7)
西間三馨 他:小児科臨床 1991;44(5):1321-1337
8)
西間三馨 他:小児科臨床 1991;44(6):1539-1550
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馬場 実 他:小児科臨床 1994;47(3):567-577
10)
河野陽一 他:小児科臨床 1994;47(3):579-591
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井上寿茂 他:小児科臨床 1994;47(3):593-604
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17)
Sagara,H.et al.:Clin.Exp.Allergy 1996;26(Suppl.2):16-21
**文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話 0120-753-280
製造販売業者等の氏名又は名称及び所在地
**製造販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10
-
薬効薬理
薬効薬理12~17)
テオフィリンは,気管支拡張,肺血管拡張,呼吸中枢刺激,気道の粘液線毛輸送能の促進,横隔膜の収縮力増強,肥満細胞からの化学伝達物質(気管支収縮因子)の遊離抑制等の作用により,気管支喘息等の諸症状を改善する.
また,テオフィリンは,喘息患者の気管支生検において活性化好酸球数,総好酸球数の減少及びCD4陽性細胞数の減少等の抗炎症作用を示す.
In vitroにおいては,ヒト炎症細胞からの活性酸素及びサイトカインの産生に対する抑制作用,ヒト好酸球の接着因子発現の抑制作用,IL-5のヒト好酸球寿命延長に対する抑制作用等が報告されている.
その作用機序は,phosphodiesteraseの作用を阻害して細胞内cyclic 3',5'-AMP濃度を高めることによるとされている.
このほかにも,アデノシン受容体に対する拮抗作用,細胞内カルシウムイオンの分布調節作用,内因性カテコールアミンの遊離促進作用及びプロスタグランジンに対する拮抗作用等が報告されており,いまだ作用機序については不明な点が多い.
有効成分に関する理化学的知見