Levofolinate calcium(Levofolinate calcium) アイソボリン点滴静注用25mg/アイソボリン点滴静注用100mg
ダウンロード
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作成又は改訂年月
** 2015年11月改訂(第14版)
* 2013年12月改訂
日本標準商品分類番号
873929
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2014年6月(25mg)
効能又は効果追加承認年月(最新)
*2013年12月
国際誕生年月
1952年6月
薬効分類名
活性型葉酸製剤
承認等
販売名
アイソボリン点滴静注用25mg
販売名コード
3929407D1160
承認・許可番号
承認番号
22000AMX00879
商標名
ISOVORIN INJECTION 25mg
薬価基準収載年月
2008年6月
販売開始年月
2008年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
最終年月を外箱等に記載
規制区分
処方箋医薬品注)
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
1バイアル中:
有効成分
レボホリナートカルシウム 27.0mg(レボホリナートとして 25.0mg)
添加物
D-マンニトール 25.0mg
pH調節剤
性状
本剤は帯微黄白色~淡黄白色の粉末又は塊である。
pH
6.8~8.2(レボホリナート10mg/mL注射用水)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.2(5mg/mL注射用水)
約1(5mg/mL生理食塩液)
約1(0.5mg/mL生理食塩液)
販売名
アイソボリン点滴静注用100mg
販売名コード
3929407D2108
承認・許可番号
承認番号
22000AMX00802
商標名
ISOVORIN INJECTION 100mg
薬価基準収載年月
2008年6月
販売開始年月
2008年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
最終年月を外箱等に記載
規制区分
処方箋医薬品注)
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
1バイアル中:
有効成分
レボホリナートカルシウム 108.0mg(レボホリナートとして 100.0mg)
添加物
D-マンニトール 100.0mg
pH調節剤
性状
本剤は帯微黄白色~淡黄白色の粉末又は塊である。
pH
6.8~8.2(レボホリナート10mg/mL注射用水)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.2(5mg/mL注射用水)
約1(5mg/mL生理食塩液)
約1(0.5mg/mL生理食塩液)
一般的名称
レボホリナートカルシウム注射剤
警告
1.
レボホリナート・フルオロウラシル療法及び持続静注併用療法はフルオロウラシルの細胞毒性を増強する療法であり、本療法に関連したと考えられる死亡例が認められている。本療法は高度の危険性を伴うので、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、「禁忌」、「慎重投与」の項を参照して適応患者の選択を慎重に行い、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。
適応患者の選択にあたっては、両剤の添付文書を参照して十分注意すること。
また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから施行すること。
2.
本療法は重篤な骨髄抑制、激しい下痢等が起こることがあり、その結果、致命的な経過をたどることがあるので、定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。
3.
本療法以外の他の化学療法又は放射線照射との併用、前化学療法を受けていた患者に対する安全性は確立していない。重篤な骨髄抑制等の副作用の発現が増強するおそれがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。
4.
本剤の成分又はフルオロウラシルに対し重篤な過敏症の既往歴のある患者には本療法を施行しないこと。
5.
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、本療法との併用を行わないこと[「相互作用」の項参照]。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制の増悪により重症感染症を併発し、致命的となることがある。]
2.
下痢のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし致命的となることがある。]
3.
重篤な感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪し、致命的となることがある。]
4.
多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]
5.
重篤な心疾患又はその既往歴のある患者[症状の増悪又は再発により、致命的となることがある。]
6.
全身状態が悪化している患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]
7.
本剤の成分又はフルオロウラシルに対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
8.
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者[「相互作用」の項参照]
効能又は効果
1. レボホリナート・フルオロウラシル療法
胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
2. *レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
結腸・直腸癌及び治癒切除不能な膵癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
用法及び用量
1. レボホリナート・フルオロウラシル療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射開始1時間後にフルオロウラシルとして1回600mg/m2(体表面積)を3分以内で緩徐に静脈内注射する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
2. *結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
(1)
通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして600mg/m2(体表面積)を22時間かけて持続静脈内注射する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
(2)
通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m2(体表面積)を24時間かけて持続静脈内注射する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
(3)
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして2400~3000mg/m2(体表面積)を46時間かけて持続静脈内注射する。これを2週間ごとに繰り返す。
3. *治癒切除不能な膵癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして2400mg/m2(体表面積)を46時間かけて持続静脈内注射する。これを2週間ごとに繰り返す。
用法及び用量に関連する使用上の注意
*下痢、重篤な口内炎、重篤な白血球減少又は血小板減少のみられた患者では、それらの所見が回復するまで本療法を延期する。本療法を再開する場合には、フルオロウラシルの減量や投与間隔の延長等を考慮する。[「重要な基本的注意」の項参照]
*(注射液の調製法)
レボホリナートを投与する際には、25mg製剤の場合は3~5mL、100mg製剤の場合は10~15mLの5%ブドウ糖液、生理食塩液又は電解質維持液等の溶解液を用いてレボホリナートの各バイアル内容物を溶解・採取した後、同一の溶解液を用いて全量を200~500mL(レボホリナートとして約0.75mg/mL)とし点滴静脈内注射する。[「適用上の注意」の項参照]
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制の増悪により重症感染症が併発することがある。]
2.
感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪することがある。]
3.
心疾患又はその既往歴のある患者[症状を増悪又は再発させることがある。]
4.
肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
5.
腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
6.
高度に進行した肝転移のある患者[血小板減少があらわれることがある。]
7.
消化管潰瘍又は出血のある患者[症状を増悪させることがある。]
8.
水痘患者[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
9.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
10.
他の化学療法、放射線治療を受けている患者[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
11.
前化学療法を受けていた患者[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
本療法の施行に際しては、白血球、血小板の変動に十分注意し、投与当日の白血球数あるいは血小板数等の検査により重篤な骨髄抑制が認められた場合には、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
2.
下痢のある患者は回復するまで投与を延期すること。
3.
国内では、本療法による手術後の補助化学療法については有効性、安全性は確立していない。
4.
骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
5.
重篤な腸炎により脱水症状があらわれることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、脱水症状があらわれた場合には補液等の適切な処置を行うこと。
6.
感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
7.
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本療法を施行する場合は、少なくとも7日以上の間隔をあけること。[「相互作用」の項参照]
8.
高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
9.
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
(ティーエスワン)
臨床症状・措置方法
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本療法を施行しないこと。
機序・危険因子
ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
フェニトイン
臨床症状・措置方法
構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがある。
機序・危険因子
機序は不明であるがフルオロウラシルがフェニトインの血中濃度を上昇させる。
2. 薬剤名等
ワルファリンカリウム
臨床症状・措置方法
フルオロウラシルがワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意すること。
機序・危険因子
機序は不明である。
3. 薬剤名等
他の化学療法、放射線治療
臨床症状・措置方法
血液障害、消化管障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
副作用が相互に増強される。
4. 薬剤名等
葉酸代謝拮抗剤
(スルファメトキサゾール・トリメトプリム等)
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用が減弱することがある。
機序・危険因子
ホリナートによって葉酸代謝拮抗作用が減弱するためと考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
**国内第II相臨床試験においてレボホリナート・フルオロウラシル療法の副作用集計対象となった336例中、297例(88.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢160例(47.6%)、食欲不振160例(47.6%)、悪心・嘔吐155例(46.1%)、口内炎69例(20.5%)、発熱64例(19.0%)であった。このうちグレード3注1)以上の副作用は、下痢47例(14.0%)、食欲不振45例(13.4%)、悪心・嘔吐27例(8.0%)、発熱5例(1.5%)、口内炎3例(0.9%)であった。また、主な臨床検査値の変動は白血球減少204例/336例(60.7%)、血色素減少136例/336例(40.5%)、総蛋白低下48例/332例(14.5%)、血小板減少46例/336例(13.7%)であった。このうちグレード3注1)以上の臨床検査値異常例は、白血球減少59例(17.6%)、血色素減少30例(8.9%)、血小板減少8例(2.4%)であった1)。(承認時の集計)
市販後の使用成績調査においてレボホリナート・フルオロウラシル療法の副作用集計対象となった3236例中、1624例(50.2%)に副作用が認められ、副作用発現件数は延べ3473件であった。主な副作用は、骨髄抑制701件(21.7%)、下痢610件(18.9%)、悪心330件(10.2%)、食欲不振188件(5.8%)、嘔吐142件(4.4%)であった。また、主な臨床検査値の変動は血小板数減少48件(1.5%)、白血球数減少44件(1.4%)、好中球数減少37件(1.1%)、C-反応性蛋白増加34件(1.1%)であった。(再審査終了時)
重大な副作用
1. 激しい下痢(5%以上)
激しい下痢があらわれ、脱水症状にまで至ることがあるので、観察を十分に行い、下痢があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。
2. **重篤な腸炎(0.1~5%未満注2))
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. **骨髄抑制(5%以上注2))
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等の骨髄抑制があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
4. **ショック(0.1%未満注2))、アナフィラキシー(頻度不明注3))
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. **白質脳症、精神・神経障害(いずれも0.1~5%未満注2))
白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
6. うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症(いずれも頻度不明注3))
うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
7. **肝機能障害(0.1~5%未満注2))、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
8. **急性腎不全(0.1~5%未満注2))
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
9. **間質性肺炎(0.1%未満注2))
間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
10. **消化管潰瘍(0.1~5%未満注2))、重篤な口内炎(0.1~5%未満)
消化管潰瘍、重篤な口内炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11. **手足症候群(0.1~5%未満注2))
手足症候群(手掌、足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
12. **播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.1~5%未満注2))
播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと。症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
13. 嗅覚脱失(頻度不明注3))
嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
14. 高アンモニア血症(頻度不明注3))
意識障害を伴う高アンモニア血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
15. 急性膵炎(頻度不明注3))
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
16. **劇症肝炎、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、溶血性貧血(いずれも頻度不明注3))
フルオロウラシルの類似化合物(テガフール等)で劇症肝炎、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、溶血性貧血があらわれることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
下記のような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
1. 消化器注4)(5%以上)
食欲不振、悪心・嘔吐
2. 消化器注4)(0.1~5%未満)
味覚異常、腹痛、心窩部痛、口渇、便秘、歯肉炎、口唇炎・口角炎注2)、舌炎注2)、腹部膨満感注2)
3. **消化器注4)(0.1%未満)
下血注2)
4. 消化器注4)(頻度不明注3))
胸やけ
5. 肝臓(5%以上)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、ビリルビン上昇
6. 肝臓(0.1~5%未満)
Al-P上昇、LDH上昇
7. 腎臓(0.1~5%未満)
BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿、血尿注2)
8. 腎臓(頻度不明注3))
クレアチニンクリアランス低下
9. 精神神経系(0.1~5%未満)
しびれ、めまい注2)、末梢神経障害注2)
10. 皮膚(5%以上)
色素沈着、脱毛
11. 皮膚(0.1~5%未満)
落屑、紅斑、表皮剥離、角化、そう痒感注2)、爪の異常注2)
12. **皮膚(0.1%未満)
浮腫注2)、紅潮注2)、光線過敏症注2)、糜爛注2)
13. 皮膚(頻度不明注3))
水疱
14. 過敏症注5)(0.1~5%未満)
発疹
15. 循環器(0.1~5%未満)
胸痛注2)
16. **循環器(0.1%未満)
心電図異常(ST上昇、T逆転、不整脈等)注2)
17. 循環器(頻度不明注3))
胸内苦悶
18. 眼(0.1~5%未満)
流涙、眼充血、眼脂
19. **眼(0.1%未満)
結膜炎注2)
20. その他(5%以上)
発熱、低蛋白血症、低アルブミン血症
21. その他(0.1~5%未満)
倦怠感、糖尿、頭重感、呼吸困難、顔面浮腫、手指の腫脹、鼻出血、筋肉痛、電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、低クロール血症、高クロール血症、低カルシウム血症)、頭痛注2)、白血球増多注2)、CRP上昇注2)、好酸球増多注2)
22. その他(頻度不明注3))
耐糖能異常
注1:日本癌治療学会「副作用の記載様式」1986年
**注2:使用成績調査より頻度を算出
**注3:承認時臨床試験もしくは使用成績調査で発現していないため頻度不明。
注4:潰瘍又は出血等が疑われる場合には投与を中止すること。
注5:投与を中止すること。
高齢者への投与
高齢者では生理機能が低下していることが多く、特に骨髄抑制、消化器障害(激しい下痢、重篤な口内炎等)、皮膚障害、精神神経系の副作用があらわれやすいので、用量並びに投与間隔に留意するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[フルオロウラシルの動物実験(ラット、マウス)で多指症、口蓋裂等の催奇形作用が報告されている。]
2.
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 投与経路
本剤は点滴静脈内投与とし、皮下、筋肉内に投与しないこと。
2. 投与時
本剤の静脈内投与により、血管痛、血栓性静脈炎を起こすおそれがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意すること。
3. 調製方法
本剤は防腐剤を含有していないので、調製にあたっては細菌汚染に十分注意し、調製後は24時間以内に使用すること。
その他の注意
1.
フルオロウラシル系薬剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
2.
フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
3.
葉酸の投与により、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血(悪性貧血等)が隠蔽されるとの報告がある。
その他
レボホリナート・フルオロウラシル療法及び持続静注併用療法はフルオロウラシルの細胞毒性を増強するので、本療法施行に際しては、上記に注意すること。
薬物動態
1. 血中濃度2)
健康成人にレボホリナート125mg/m2を2時間点滴静脈内投与した時のレボホリナートの最高血漿中濃度は点滴開始2時間後にみられ、その値は7.5μg/mLである。また、半減期は0.67時間である。
癌患者にレボホリナート125、250mg/m2を2時間点滴静脈内投与した時のレボホリナートの最高血漿中濃度はそれぞれ点滴開始2時間後にみられ、その値は9.7、25.9μg/mLである。また、半減期は0.92、1.17時間である。
2. 代謝2,3)
健康成人及び癌患者にレボホリナートを静脈内投与後の血漿中には、代謝物としてS-methyl tetrahydrofolate(S-5-CH3-THF)が検出されている。S-5-CH3-THFのCmax及びAUCは、2時間点滴静脈内投与及び静脈内投与の両投与でレボホリナートの投与量に依存して増加する。
3. 排泄2)
健康成人にレボホリナート125mg/m2を2時間点滴静脈内投与した時、レボホリナートあるいはS-5-CH3-THFとして尿中に排泄され、それぞれの累積尿中排泄率は投与24時間後で投与量の46.4%、31.8%である。
臨床成績
1. *胃癌及び結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル療法
国内で実施されたレボホリナート・フルオロウラシル療法の臨床試験成績の概要は以下のとおりである。
(表1参照)
2. *治癒切除不能な膵癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
欧州で実施された、化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌を対象とした第II/III相臨床試験4,5)におけるFOLFIRINOX法群(1クールを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、ホリナート400mg/m2 注1)、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、引き続きフルオロウラシル400mg/m2を急速静脈内投与、フルオロウラシル2400mg/m2を46時間かけて持続静注)とゲムシタビン塩酸塩(GEM)単独投与群(GEM1000mg/m2の週1回点滴投与を7週連続し、8週目は休薬する。その後は、週1回点滴投与を3週連続し、4週目は休薬として、これを4週毎に繰り返す)の中間解析時の成績は次表のとおりであった。対象患者はECOG注2)Performance status 0及び1であった。登録において2つの遺伝子多型(UGT1A1*6、UGT1A1*28)に関する基準は設定されなかった。また、登録時の選択基準として、好中球数(1,500/mm3以上)、総ビリルビン値(施設基準値上限の1.5倍以下)等が設定された。
(表2参照)
注1:ホリナート400mg/m2は本剤200mg/m2に相当する。
注2:Eastern Cooperative Oncology Group
国内で実施された、化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌を対象とした第II相臨床試験におけるFOLFIRINOX法(1サイクルを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、本剤200mg/m2、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、引き続きフルオロウラシル400mg/m2を急速静脈内投与、フルオロウラシル2400mg/m2を46時間かけて持続静注)の成績は次表のとおりであった。対象患者はECOG注1)Performance status 0及び1であった。2つの遺伝子多型(UGT1A1*6、UGT1A1*28)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A1*6/*6、UGT1A1*28/*28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A1*6/*28)としてもつ患者は除外された。また、1サイクル目の投与可能条件として、好中球数(2,000/mm3以上)、総ビリルビン値(施設基準値上限以下)等が設定された。
(表3参照)
注1:Eastern Cooperative Oncology Group
表1
疾患名 |
奏効率(有効以上例/適格例) |
胃癌 |
29.8%(50/168) |
結腸・直腸癌 |
30.2%(54/179) |
*表2
疾患名 |
投与群 |
例数
(ITT) |
生存期間
(主要評価項目)
中央値
(月) |
生存期間
(主要評価項目)
ハザード比
P値注3) |
化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌 |
FOLFIRINOX法 |
127 |
10.5 |
0.62
P<0.001 |
化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌 |
GEM単独投与 |
128 |
6.9 |
0.62
P<0.001 |
*注3:log-rank検定
*表3
疾患名 |
奏効率(有効例/適格例) |
化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌 |
38.9%(14/36) |
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果増強作用
(1) in vitro試験6)
ヒト結腸・直腸癌細胞(COLO201)、ヒト胃癌細胞(TMK-1,KATOIII,MKN28)に対し20μM濃度のレボホリナートを用いたin vitro試験で、フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強作用が認められている。
(2) in vivo試験7,8)
ヒト大腸癌Co-4細胞及びヒト胃癌H-111細胞を移植したヌードマウスに対し、レボホリナート(200mg/kg)とフルオロウラシル(90mg/kg)の併用で腫瘍細胞増殖抑制効果を示す。
2. 作用機序
レボホリナートは、Biochemical Modulationによりフルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。フルオロウラシルは活性代謝物であるフルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)が、チミジル酸合成酵素(thymidylate synthase:TS)と結合し、TS活性を阻害することにより、チミジル酸合成を抑制しDNA合成を阻害する。レボホリナートは細胞内で還元され、5,10メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-CH2-THF)となる。この5,10-CH2-THFはFdUMP、TSと強固な三元複合体(ternary complex)を形成し、TSの解離を遅延させることにより、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
レボホリナートカルシウム(Levofolinate Calcium)
化学名
Monocalcium N-(4-{[(6S)-2-amino-5-formyl-1,4,5,6,7,8-hexahydro-4-oxopteridin-6-yl]methylamino}benzoyl)-L-glutamate
構造式
分子式
C20H21CaN7O7
分子量
511.50
融点
約264℃(分解)
旋光度
[α]20D:-15~-19゜
(脱水物に換算したもの0.250g,0.2mol/Lトリス緩衝液pH8.1,25mL,100mm)
性状
本品は淡黄白色~淡黄褐色の結晶性の粉末で、におい及び味はない。本品は水にやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
包装
アイソボリン点滴静注用25mg:10バイアル
アイソボリン点滴静注用100mg:5バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:副作用集計 [L70010000049]
2)
川田 和仁ほか:薬理と治療 22(9):3889, 1994 [L70010000129]
3)
佐々木 常雄ほか:癌と化学療法 20(4):485, 1993 [L70010000073]
4)
*Conroy, T. et al.:N Engl J Med. 364(19):1817, 2011 [L20110524044]
5)
*社内資料:膵癌FOLFIRINOX法に関する資料 [L20131121004]
6)
Sugimoto Y. et al.:Cancer Chemother Pharmacol 30:417, 1992 [L70010000012]
7)
Kase S. et al.:Surg Today 23(7):615, 1993 [L70010000045]
8)
加瀬 卓ほか:日本外科学会雑誌 94(6):659, 1993 [L70010000118]
文献請求先
「主要文献」に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
ファイザー株式会社 製品情報センター
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製造販売
ファイザー株式会社
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