REGPARA TABLET(Cinacalcet Hydrochloride)盐酸西那卡塞,**レグパラ錠12.5mg/レグパラ錠25mg/レグパラ錠75mg
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作成又は改訂年月
**2015年6月改訂(12.5mg製剤追加、他)〈第8版〉
*2014年11月改訂(薬事法改正に伴う改訂)
日本標準商品分類番号
873999
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
(25mg、75mgのみ)2014年2月
国際誕生年月
2004年3月
薬効分類名
カルシウム受容体作動薬
承認等
販売名
**レグパラ錠12.5mg
販売名コード
3999023F3025
承認・許可番号
承認番号
**22700AMX00169
欧文商標名
REGPARA TABLET 12.5mg
薬価基準収載年月
**2015年5月
販売開始年月
**2015年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
**組成
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩13.78mg (シナカルセトとして12.5mg)
添加物
部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
**性状
色
淡黄赤色
剤型
フィルムコート錠
表面
裏面
側面
直径
6mm
厚さ
3.4mm
総重量
約104mg
識別コード
KR05
販売名
レグパラ錠25mg
販売名コード
3999023F1022
承認・許可番号
承認番号
21900AMX01750
欧文商標名
REGPARA TABLET 25mg
薬価基準収載年月
2007年12月
販売開始年月
2008年1月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
*規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩27.55mg (シナカルセトとして25mg)
添加物
部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄、青色2号アルミニウムレーキ
性状
色
淡緑色~淡黄緑色
剤型
フィルムコート錠
表面
裏面
側面
直径
8mm
厚さ
4mm
総重量
約207mg
識別コード
KR02
販売名
レグパラ錠75mg
販売名コード
3999023F2029
承認・許可番号
承認番号
21900AMX01751
欧文商標名
REGPARA TABLET 75mg
薬価基準収載年月
2007年12月
販売開始年月
2008年1月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
*規制区分
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分
1錠中 シナカルセト塩酸塩82.65mg (シナカルセトとして75mg)
添加物
部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄
性状
色
淡黄色
剤型
フィルムコート錠
表面
裏面
側面
直径
8mm
厚さ
4mm
総重量
約207mg
識別コード
KR03
一般的名称
シナカルセト塩酸塩錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
1.維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
開始用量としては、成人には1日1回シナカルセトとして25mgを経口投与する。以後は、患者の副甲状腺ホルモン (PTH) 及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、経口投与する。ただし、PTHの改善が認められない場合には、1回100mgを上限として経口投与する。増量を行う場合は増量幅を25mgとし、3週間以上の間隔をあけて行うこと。
2. 下記疾患における高カルシウム血症
・ 副甲状腺癌
・ 副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症
開始用量としては、成人にはシナカルセトとして1回25mgを1日2回経口投与する。以後は、患者の血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、1日2回経口投与する。増量を行う場合は1回の増量幅を25mgとし、2週間以上の間隔をあけて行うこと。なお、血清カルシウム濃度の改善が認められない場合は、1回75mgを1日3回又は4回まで経口投与できる。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1. 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
(1)
本剤は血中カルシウムの低下作用を有するので、血清カルシウム濃度が低値でないこと (目安として9.0mg/dL以上) を確認して投与を開始すること。
(2)
**血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は週1回測定し、維持期には2週に1回以上測定すること。血清カルシウム濃度が8.4mg/dL以下に低下した場合は、下表のように対応すること。血清カルシウム濃度やPTHのコントロールが困難な場合には減量幅を12.5mgとすることを考慮すること。
血清カルシウム濃度の検査は、本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために、服薬前に実施することが望ましい。また、低アルブミン血症 (血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満) の場合には、補正値※を指標に用いることが望ましい。
(3)
PTHが管理目標値に維持されるように、定期的にPTHを測定すること。PTHの測定は本剤の開始時及び用量調整時 (目安として投与開始から3ヶ月程度) は月2回とし、PTHがほぼ安定したことを確認した後は月1回とすることが望ましい。なお、PTHの測定は本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために服薬前に実施することが望ましい。
2. 副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
**血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は週1回を目安に測定し、維持期には定期的に測定することが望ましい。血清カルシウム濃度が8.4mg/dL以下に低下した場合は、必要に応じて減量又は休薬し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮する。ただし、血清カルシウム濃度が7.5mg/dL以下に低下した場合は、直ちに休薬すること。また、低アルブミン血症 (血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満) の場合には、補正値※を指標に用いることが望ましい。血清カルシウム濃度やPTHのコントロールが困難な場合には減量幅を12.5mgとすることを考慮すること。
※補正カルシウム濃度算出方法:
補正カルシウム濃度 (mg/dL)=血清カルシウム濃度 (mg/dL)-血清アルブミン濃度 (g/dL)+4.0
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
低カルシウム血症の患者[低カルシウム血症を悪化させるおそれがある](「重要な基本的注意」の項参照)
2.
痙攣発作のある患者又はその既往歴のある患者[海外臨床試験において、痙攣発作の既往歴を有する患者等で、痙攣発作が発現したとの報告がある]
3.
肝機能障害のある患者[本剤は肝臓で代謝されるので、曝露量が増加する]
4.
消化管出血や消化管潰瘍又はその既往歴のある患者[症状を悪化又は再発させるおそれがある]
重要な基本的注意
1.
本剤投与中は定期的に血清カルシウム濃度を測定し、低カルシウム血症が発現しないよう十分注意すること。低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、本剤の減量等も考慮するとともにカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること (<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)。また、本剤投与中にカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を中止した際には、低カルシウム血症の発現に注意すること。なお、低カルシウム血症との関連の可能性が考えられる症状として、本剤の臨床試験ではQT延長、しびれ、筋痙攣、気分不良、不整脈、血圧低下及び痙攣等が報告されている。
2.
本剤の開始時及び用量調整時は頻回に患者の症状を観察し、副作用の発現などに注意すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール 等
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
クラリスロマイシン 等
アミオダロン塩酸塩
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。本剤とケトコナゾールを併用したとき、本剤のAUCが約2倍増加した1)。
機序・危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、上記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
薬剤名等
三環系抗うつ薬
アミトリプチリン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩 等
ブチロフェノン系抗精神病薬
ハロペリドール 等
フレカイニド酢酸塩
ビンブラスチン硫酸塩
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。本剤とデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を併用したとき、デキストロメトルファンのAUCが約11倍増加した2)。
機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により上記のようなCYP2D6基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
薬剤名等
カルシトニン
ビスホスホン酸塩系骨吸収抑制剤
パミドロン酸二ナトリウム水和物
アレンドロン酸ナトリウム水和物
インカドロン酸二ナトリウム水和物 等
副腎皮質ホルモン
コルチゾン
プレドニゾロン
デキサメタゾン 等
臨床症状・措置方法
血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。
薬剤名等
ジギトキシン
ジアゼパム 等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。
機序・危険因子
血漿たん白結合率が高いことによる (「薬物動態」の項参照)。
副作用
○維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
国内臨床試験において、安全性評価対象573例中、副作用 (臨床検査値異常を含む) は393例 (68.6%) に認められた。
そのうち主な副作用は、悪心・嘔吐124例 (21.6%)、胃不快感107例 (18.7%)、食欲不振56例 (9.8%)、腹部膨満34例 (5.9%) 等の消化器症状、低カルシウム血症・血清カルシウム減少84例 (14.7%)、QT延長33例 (5.8%) であった。[承認時]
○副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
国内臨床試験において、安全性評価対象7例中、副作用 (臨床検査値異常を含む) は7例 (100%) に認められた。
そのうち主な副作用は、悪心・嘔吐4例 (57.1%)、胃食道逆流性疾患2例 (28.6%) であった。
海外臨床試験において、安全性評価対象46例中、副作用 (臨床検査値異常を含む) は39例 (84.8%) に認められた。
そのうち主な副作用は、悪心・嘔吐29例 (63.0%)、錯感覚7例 (15.2%)、体重減少4例 (8.7%)、食欲減退4例 (8.7%) であった。[承認時]
重大な副作用
1. 低カルシウム血症・血清カルシウム減少 (13.7%)
低カルシウム血症に基づくと考えられる症状 (QT延長、しびれ、筋痙攣、気分不良、不整脈、血圧低下及び痙攣等) があらわれることがあるので、<用法・用量に関連する使用上の注意>の項を参照の上、血清カルシウム濃度を定期的に測定すること。異常が認められた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。また、必要に応じて本剤を減量又は中止すること。
2. QT延長 (5.3%)
QT延長が起こることがあるので、異常が認められた場合は、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。また、必要に応じて本剤の減量又は投与を中止すること。
3. 消化管出血、消化管潰瘍 (頻度不明)
消化管出血、消化管潰瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 意識レベルの低下 (0.2%)、一過性意識消失 (0.2%)
意識レベルの低下、一過性意識消失等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 突然死 (0.3%)
本剤投与例に原因不明の突然死が報告されている。
その他の副作用
消化器
5%以上
悪心・嘔吐 (25.1%)、胃不快感 (17.1%)、食欲不振、腹部膨満
消化器
1~5%未満
上腹部痛、下痢、便秘、胃・十二指腸炎、消化不良、腹部不快感、胃腸障害、逆流性食道炎、腹痛
消化器
1%未満又は頻度不明
胃潰瘍、口内炎、心窩部不快感、便潜血、胃腸炎、痔核、裂孔ヘルニア
循環器
1~5%未満
血圧上昇、不整脈
循環器
1%未満又は頻度不明
血圧低下、心筋梗塞、心室性期外収縮、心房細動、動悸、心筋虚血、上室性期外収縮、頻脈
精神・神経
1~5%未満
頭痛、しびれ、めまい、錯感覚、不眠症
筋骨格
1~5%未満
筋痙攣、四肢痛、関節痛
筋骨格
1%未満又は頻度不明
筋痛、こわばり
代謝
1%未満又は頻度不明
CK (CPK) 上昇、LDH上昇、血糖上昇、脱水、高脂血症、総コレステロール上昇
感覚器
1~5%未満
味覚異常
肝臓
1~5%未満
Al-P上昇
肝臓
1%未満又は頻度不明
肝機能異常[AST (GOT)・ALT (GPT) 上昇、ビリルビン上昇※、γ-GTP上昇※]
眼
1%未満又は頻度不明
結膜出血、眼乾燥
皮膚
1~5%未満
そう痒
皮膚
1%未満又は頻度不明
発疹、脱毛、皮下出血
内分泌
1%未満又は頻度不明
甲状腺腫
血液
1~5%未満
貧血
血液
1%未満又は頻度不明
血小板減少
その他
1~5%未満
けん怠感、浮腫
その他
1%未満又は頻度不明
気分不良、脱力、胸部不快感、口渇、体重減少、シャント閉塞、胸痛、発熱、勃起不全
以上のような症状があらわれた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
※頻度不明
高齢者への投与
65歳以上の患者における副作用 (特にQT延長) の発現頻度は65歳未満の患者に比較して高い傾向が認められているため、副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験 (ラット及びウサギ) で母動物の低カルシウム血症、体重増加抑制及び摂餌量減少、胎児重量の減少が観察されている。また、動物実験 (ラット及びウサギ) で胎盤を通過することが報告されている]。
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること[動物実験 (ラット) で乳汁中に移行することが報告されており、授乳期新生児の体重増加抑制が認められている]。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない (使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与は低カルシウム血症を発現させると考えられる。過量投与の場合、低カルシウム血症の徴候及び症状を観察し、低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。なお、本剤はたん白結合率が高いので、血液透析は過量投与の効果的な処置とはならない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服薬するよう指導すること[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている]。
その他の注意
1.
透析導入前の二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全患者に本剤を投与した海外臨床試験において、透析施行中の患者に比べて血清カルシウム濃度が正常下限 (8.4mg/dL) 未満になりやすいとの報告がある3)。なお、透析導入前の二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全患者への投与は承認外である。
2.
海外において、本剤による過度のPTHの低下により、無形成骨症が生じたとの報告がある。
3.
海外において、本剤投与後の急激なPTHの低下により、低カルシウム血症及び低リン酸血症を伴う飢餓骨症候群 (hungry bone syndrome) を発現したとの報告がある。
薬物動態
1. 単回経口投与時の血中濃度
(1) 健康成人4)
健康成人 (日本人) に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与した時の血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであった。(薬物動態の表1参照)
健康成人にシナカルセト塩酸塩を単回経口投与した時の血漿中濃度推移
(2) 血液透析患者5)
血液透析患者 (日本人) に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与した時の非透析日及び透析日における血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであり、透析の影響は認められなかった。(薬物動態の表2参照)
血液透析患者にシナカルセト塩酸塩を単回投与した時の血漿中濃度推移
2. 反復経口投与時の血中濃度
健康成人 (日本人) に本剤50mgを7日間反復経口投与した時の血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移より、7日間の投与期間中にほぼ定常状態に達していることが確認された。
血液透析患者 (日本人) を対象に、反復投与時の血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移について最長53週間検討しているが、経時的な上昇又は低下傾向は認められず、反復投与により血漿中シナカルセト濃度は定常状態に到達していることが確認された。
3. 食事の影響6)
健康成人 (日本人) を対象に本剤50mgを単回経口投与した時の本剤の薬物動態に対する食事の影響を検討した結果、空腹時及び食後投与時における本剤の薬物動態パラメータはほぼ同様な値を示しており、本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響は小さいものと考えられた。
4. たん白結合率
健康成人の血漿を使用したin vitro 試験でのシナカルセト (25~100ng/mL) の血漿たん白結合率は男性で96.67~97.67%、女性で94.33~97.67%と高く、男女間に差は認められなかった7)。また、本剤を単回経口投与した時のシナカルセトの血漿たん白結合率は、肝機能正常者及び肝機能障害者 (外国人) を対象とした試験8) において94.7~97.1%、腎機能正常者及び腎機能障害者 (外国人) を対象とした試験9) で92.7~95.1%とほぼ同じ値を示した。結合たん白種としてアルブミンが考えられ7)、サイトIIに対する親和性が高いことが示唆された10)。
5. 代謝
健康成人 (外国人) を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果、シナカルセトはN -脱アルキル化又はナフタレン環の酸化により速やかに代謝されることが確認された11)。
6. 排泄
健康成人 (日本人) を対象とした試験における本剤の未変化体の尿中排泄率は非常に低く、反復投与による尿中排泄に対する影響は認められなかった12)。健康成人 (外国人) を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果より、本剤は主に代謝物として尿中に排泄されることが確認された11)。
7. 薬物相互作用
健康成人 (外国人) を対象に胃内pHを変動させる薬剤 (炭酸カルシウム) の影響について検討した結果、これらの薬剤は本剤の薬物動態に影響を及ぼさないことが確認された13)。また、リン吸着剤 (セベラマー塩酸塩) の影響について検討した結果、セベラマー塩酸塩は本剤の薬物動態に影響を及ぼさないことが確認された14)。
健康成人 (外国人) を対象に本剤がワルファリンの薬物動態及び薬力学に与える影響を検討した結果、本剤はR -及びS -ワルファリンの薬物動態及びワルファリンの薬力学 (プロトロンビン時間及び第VII血液凝固因子活性) に影響を与えないことが確認された15)。
表1 健康成人にシナカルセト塩酸塩を単回投与した時の薬物動態パラメータ
n=6 平均
投与量 (mg) |
薬物動態パラメータ |
薬物動態パラメータ |
25 |
Cmax(ng/mL) |
2.63±1.23 |
25 |
tmax(hr) |
3.9±1.4 |
25 |
AUC (ng・hr/mL) |
18.5±10.5 |
25 |
t1/2 (hr) |
7.70±3.54 |
50 |
Cmax(ng/mL) |
17.73±10.89 |
50 |
tmax(hr) |
4.0±0.0 |
50 |
AUC (ng・hr/mL) |
117.7±65.7 |
50 |
t1/2 (hr) |
24.81±9.41 |
100 |
Cmax(ng/mL) |
41.88±12.19 |
100 |
tmax(hr) |
4.0±1.3 |
100 |
AUC (ng・hr/mL) |
409.8±160.3 |
100 |
t1/2 (hr) |
32.22±5.63 |
n=6 平均値±標準偏差
表2 血液透析患者にシナカルセト塩酸塩を単回投与した時の薬物動態パラメータ
投与量 (mg) |
薬物動態パラメータ |
非透析日 |
透析日 |
25 |
Cmax(ng/mL) |
5.16±2.34 |
9.92±6.64 |
25 |
tmax(hr) |
5.6±1.1 |
4.8±1.4 |
25 |
AUC (ng・hr/mL) |
57.6±25.1 |
85.4±26.0 |
25 |
t1/2 (hr) |
28.45±14.24 |
32.94±14.52 |
50 |
Cmax(ng/mL) |
17.89±10.00 |
20.71±13.71 |
50 |
tmax(hr) |
6.0±1.1 |
4.6±1.6 |
50 |
AUC (ng・hr/mL) |
207.1±91.8 |
218.6±99.6 |
50 |
t1/2 (hr) |
38.58±20.19 |
33.96±10.23 |
100 |
Cmax(ng/mL) |
26.92±15.80 |
36.70±26.09 |
100 |
tmax(hr) |
4.8±1.8 |
4.4±1.8 |
100 |
AUC (ng・hr/mL) |
383.3±126.5 |
408.4±125.8 |
100 |
t1/2 (hr) |
38.47±8.62 |
40.12±7.50 |
表2 血液透析患者にシナカルセト塩酸塩
Cmax、tmaxはn=8、それ以外はn=7 平均値±標準偏差
臨床成績
1. プラセボ対照二重盲検比較試験 (血液透析)16)
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者143例 (本剤72例、プラセボ71例) を対象に、本剤又はプラセボを1日1回25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い14週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値 (250pg/mL以下) に達した被験者の割合は、本剤で51.4%、プラセボで2.8%であり、本剤ではプラセボと比較し有意に高かった (χ2=42.521、p<0.001)。
2. 長期投与試験 (血液透析)17~19)
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者369例を対象に、本剤を1日1回12.5mg注) 又は25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い1年間経口投与した。その結果、本剤の血清intact PTH濃度低下効果は長期にわたり維持され、終了時に目標値 (250pg/mL以下) に達した被験者の割合は48.2%であった。
注) *維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症に対する本剤の開始用量は1日1回25mgである。
3. 一般臨床試験 (腹膜透析)20)
腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者29例を対象に、本剤を1日1回25mgより投与開始し、100mgまでの範囲で用量調整を行い16週間経口投与した。その結果、投与終了時において血清intact PTH濃度が目標値 (250pg/mL以下) に達した被験者の割合は24.1%であり、腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者における本剤の血清intact PTH濃度低下効果が確認された。
4. 一般臨床試験 (副甲状腺癌、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症)
<国内臨床試験>21)
副甲状腺癌に伴う高カルシウム血症患者5例、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症患者2例を対象に、本剤1回25mgを1日2回より投与開始し、1回75mg1日3回までの範囲で用量調整を行い経口投与した。用量調整期終了時 (投与期間4~13週間) には、補正血清カルシウム濃度は7例中5例でベースライン値から1.0mg/dL以上減少し、5例で10.3mg/dL以下に低下した。
<海外臨床試験>22,23)
副甲状腺癌患者29例、副甲状腺摘出術が禁忌又は摘出後に再発し、血清カルシウム濃度が12.5mg/dLを超えた原発性副甲状腺機能亢進症患者17例を対象に、本剤1回30mgを1日2回より投与開始し、1回90mg1日4回までの範囲注)で用量調整を行い経口投与した。用量調整期終了時 (投与期間1~22週間) には、血清カルシウム濃度は46例中33例 (71.7%) でベースライン値から1.0mg/dL以上減少し、14例 (30.4%) で10.3mg/dL以下に低下した。
注) 副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症に対する本剤の開始用法・用量は1回25mgを1日2回であり、最高用法・用量は1回75mgを1日4回である。
薬効薬理
1. 作用・効果
(1) PTH分泌抑制作用 (in vitro )
本剤は、ウシ副甲状腺細胞24) 及びヒト副甲状腺細胞25) からのPTH分泌を濃度依存的に抑制した。
(2) 副甲状腺細胞増殖抑制作用
本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により副甲状腺細胞増殖を抑制し、副甲状腺過形成の進展を抑制した26)。
(3) 血清PTH及びカルシウム濃度低下効果
本剤は、正常ラット24) 及び部分腎摘ラットへの単回経口投与により血清PTH及びカルシウム濃度を投与量依存的に低下させた。
(4) 骨障害抑制効果
二次性副甲状腺機能亢進症では、血清PTH濃度の上昇による骨障害が発症する。本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により血清PTH濃度の上昇による骨障害の症状である骨髄線維化、皮質骨粗鬆化、皮質骨骨密度低下及び骨強度低下を抑制した。
2. 作用機序24~26)
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成及び副甲状腺細胞増殖を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血清PTH濃度を低下させる。また、反復投与では本剤の副甲状腺細胞増殖抑制作用も血清PTH濃度低下に寄与すると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
シナカルセト塩酸塩 (Cinacalcet Hydrochloride) (JAN)
化学名:
N -[(1R )-1-(Naphthalen-1-yl) ethyl]-3-[3-(trifluoromethyl) phenyl]propan-1-amine monohydrochloride
分子式:
C22H22F3N・HCl
分子量:
393.87
構造式:
性状:
白色~帯微黄白色の結晶性の粉末である。N , N -ジメチルホルムアミド、メタノール又はエタノール (99.5) に溶けやすく、水に溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
融点:
約181℃
承認条件
○副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後に本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
**包装
レグパラ錠12.5mg 100錠 (PTP)
レグパラ錠25mg 100錠 (PTP)
レグパラ錠75mg 100錠 (PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Harris R. Z. et al.: Clin. Pharmacokinet. 46, 495 (2007)
2)
Nakashima D. et al.: J. Clin. Pharmacol. 47, 1311 (2007)
3)
Health Canada Endorsed Important Safety Information on Sensipar (cinacalcet hydrochloride). June 19 (2007)
4)
社内資料: 健康成人を対象とした本剤の単回経口投与試験
5)
Ohashi N. et al. : Br. J. Clin. Pharmacol. 57, 726 (2004)
6)
社内資料: 本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響に関する検討
7)
社内資料: 本剤の血漿たん白結合に関する検討
8)
Padhi D. et al.: Clin. Drug Investig. 28, 635 (2008)
9)
Padhi D. et al.: Clin. Pharmacokinet. 44, 509 (2005)
10)
社内資料: 本剤の血漿たん白に対する結合部位の検討
11)
Kumar G. N. et al.: Drug Metab. Dispos. 32, 1491 (2004)
12)
東純一ほか: 薬理と治療 35, 953 (2007)
13)
社内資料: 本剤の薬物動態に対する炭酸カルシウムの影響に関する検討
14)
社内資料: 本剤の薬物動態に対するセベラマー塩酸塩の影響に関する検討
15)
Padhi D. et al.: Drugs RD. 8, 79 (2007)
16)
Fukagawa M. et al.: Nephrol. Dial. Transplant. 23, 328 (2008)
17)
秋澤忠男ほか: 腎と透析 63, 119 (2007)
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Shigematsu T. et al.: Am. J. Nephrol. 29, 230 (2009)
20)
窪田実ほか: 腎と透析 63, 423 (2007)
21)
社内資料: 副甲状腺癌及び難治性原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症患者を対象とした本剤の効果
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23)
Marcocci C. et al. : J. Clin. Endocrinol. Metab. 94, 2766 (2009)
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Nemeth E. F. et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther. 308, 627 (2004)
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Kawata T. et al.: J. Bone Miner. Metab. 24, 300 (2006)
26)
Colloton M. et al.: Kidney Int. 67, 467 (2005)
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表2 血液透析患者にシ