INOVAN Injection(Dopamine Hydrochloride syringe)イノバン注0.1%シリンジ/イノバン注0.3%シリンジ/イノバン注0.6%シリンジ
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作成又は改訂年月
**2015年2月改訂(規制区分の記載整備、他)〈第13版〉
*2011年12月改訂(製品仕様変更に伴う改訂)
日本標準商品分類番号
872119
薬効分類名
急性循環不全改善剤
承認等
販売名
イノバン注0.1%シリンジ
販売名コード
2119402P3030
承認・許可番号
承認番号
21700AMX00028
欧文商標名
INOVAN Injection 0.1% syringe
薬価基準収載年月
2005年12月
販売開始年月
2002年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
**規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
イノバン注0.1%シリンジは、1シリンジ50mL中に次の成分を含有する。
有効成分
日局ドパミン塩酸塩 50mg
添加物
日局亜硫酸水素ナトリウム 15mg
添加物
日局ブドウ糖 2.5g
添加物
pH調整剤
性状
外観
無色澄明
規格pH域
3.0~5.0
浸透圧比
1.0~1.2
安定性
本剤はpHによってその安定性が左右され、pH8以上で着色する。
販売名
イノバン注0.3%シリンジ
販売名コード
2119402P4037
承認・許可番号
承認番号
21700AMX00029
欧文商標名
INOVAN Injection 0.3% syringe
薬価基準収載年月
2005年12月
販売開始年月
2002年12月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
**規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
イノバン注0.3%シリンジは、1シリンジ50mL中に次の成分を含有する。
有効成分
日局ドパミン塩酸塩 150mg
添加物
日局亜硫酸水素ナトリウム 15mg
添加物
日局ブドウ糖 2.5g
添加物
pH調整剤
性状
外観
無色澄明
規格pH域
3.0~5.0
浸透圧比
1.1~1.3
安定性
本剤はpHによってその安定性が左右され、pH8以上で着色する。
販売名
イノバン注0.6%シリンジ
販売名コード
2119402P5025
承認・許可番号
承認番号
21800AMZ10258
欧文商標名
INOVAN Injection 0.6% syringe
薬価基準収載年月
2006年7月
販売開始年月
2006年7月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の期限内に使用すること
**規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
イノバン注0.6%シリンジは、1シリンジ50mL中に次の成分を含有する。
有効成分
日局ドパミン塩酸塩 300mg
添加物
日局亜硫酸水素ナトリウム 15mg
添加物
日局ブドウ糖 2.5g
添加物
pH調整剤
性状
外観
無色澄明
規格pH域
3.0~5.0
浸透圧比
1.2~1.4
安定性
本剤はpHによってその安定性が左右され、pH8以上で着色する。
一般的名称
ドパミン塩酸塩注射液(シリンジタイプ)
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
褐色細胞腫[カテコールアミンを過剰に産生する腫瘍であるため、症状が悪化するおそれがある。]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)
下記のような急性循環不全状態に使用する。
(1)
無尿、乏尿や利尿剤で利尿が得られない状態
(2)
脈拍数の増加した状態
(3)
他の強心・昇圧剤により副作用が認められたり、好ましい反応が得られない状態
通常ドパミン塩酸塩として1分間あたり1~5μg/kgを持続静脈投与し、患者の病態に応じ20μg/kgまで増量することができる。
投与量は患者の血圧、脈拍数および尿量により適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
末梢血管障害のある患者(糖尿病、アルコール中毒、凍傷、動脈硬化症、レイノー症候群、バージャー病等)[末梢血管収縮作用により症状が悪化するおそれがある。]
2.
未治療の頻脈性不整脈又は心室細動の患者[陽性変時作用により症状が悪化するおそれがある。]
3.
擬糖尿病及び糖尿病の患者[ブドウ糖含有製剤のため、血糖値が上昇するおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
それぞれのショック状態において必要に応じ最初に輸液、輸血、呼吸管理、ステロイド投与等の処置を考慮する。
2.
血圧、脈拍数及び尿量等、患者の状態を観察しながら投与する。
3.
大量投与したとき、脈拍数の増加がみられた場合や尿量の増加がみられない場合には本剤を減量するか中止する。
4.
本剤はブドウ糖を含んでいるので、ブドウ糖の投与が好ましくない患者には他の希釈剤で希釈したドパミン塩酸塩を使用する。
5.
新生児・乳幼児・老人等の重篤な心疾患患者に使用する場合には水分摂取量が過剰にならないように十分注意して投与する。また、必要に応じ高濃度製剤(2%ドパミン塩酸塩製剤)を適切な濃度に希釈して使用することも考慮する。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名
フェノチアジン誘導体(プロクロルペラジン等)、ブチロフェノン誘導体(ドロペリドール等)
臨床症状・措置方法
本剤の腎動脈血流増加等の作用が減弱することがある。
機序・危険因子
上記の薬剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
2. 薬剤名
モノアミン酸化酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強かつ延長することがある。
機序・危険因子
本剤の代謝が阻害される。
3. 薬剤名
ハロゲン化炭化水素系麻酔剤(ハロタン等)
臨床症状・措置方法
頻脈、心室細動等の不整脈を起こすおそれがある。
機序・危険因子
上記麻酔剤により、本剤の感受性が高まる。
副作用
副作用等発現状況の概要
〔イノバン注(2%ドパミン塩酸塩製剤:1977年6月承認)による〕
承認時及び1981年3月までの副作用頻度調査において、2,389例中副作用の発現例は240例(発現率10.0%)で254件であった。主な副作用は、不整脈201件(8.4%)、四肢冷感12件(0.5%)、嘔吐11件(0.5%)等であった。
重大な副作用
1.
麻痺性イレウス(0.08%)があらわれることがある。
2.
末梢血管の収縮により四肢冷感(0.5%)等の末梢の虚血が起こり、壊疽を生じることもあるので、四肢の色や温度を十分に観察し、変化があらわれた場合には投与を中止し、必要があればα-遮断剤を静脈内投与する。
その他の副作用
1. 循環器
5%以上
不整脈(心室性期外収縮、心房細動、心室性頻拍等)※
2. 循環器
0.1~5%未満
動悸
3. 循環器
頻度不明
頻脈
4. 消化器
0.1~5%未満
嘔気、嘔吐、腹部膨満、腹痛
5. その他
0.1%未満
静脈炎、注射部位の変性壊死、起毛
上記のような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
※不整脈が発現した場合には、抗不整脈剤を投与するか本剤の投与を中止すること。
高齢者への投与
高齢者では、生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
過量投与
誤って過量投与した場合には、患者の状態が安定するまで投与速度を落とすか一時的に投与を中止する。必要な場合にはα-遮断剤の投与等適切な処置を行う。
適用上の注意
1. 投与時
(1)
ブリスター包装開封後は速やかに使用すること。
(2)
血管外へ漏れた場合、注射部位を中心に硬結、又は壊死を起こすことがあるので、できるだけ太い静脈を確保するなど慎重に投与すること。
(3)
他の薬剤を混注して使用しないこと。
2. 投与方法
(1)
本剤はシリンジポンプを用いて投与すること(針をつけて直接投与しないこと)。
(2)
本剤をシリンジポンプにセットするに際し、本シリンジが使用可能な設定であることを必ず確認すること。
(3)
携帯型ディスポーザブル注入ポンプは流量精度が不十分なため使用しないこと。
薬物動態
1. 血中濃度(参考:カナダでの試験成績)1)
健常人8名にドパミン塩酸塩4μg/kg/minを180分間点滴静注した場合の遊離ドパミン及びその代謝物の血漿中濃度推移は下図のとおりである。
2. 代謝・排泄(参考:アメリカでの試験成績)2)
ドパミン塩酸塩は、大半がMAO、COMTの作用を受けて代謝されるが、一部は副腎等でノルアドレナリン、アドレナリンに転換された後代謝されると推定されている。
健常成人6名に14C-ドパミン塩酸塩(104.6μCi/872μg/1000mL)を4時間点滴静注した場合、点滴投与時間内に投与量の約40%が尿中に排泄され、このうちHVAは約53%、ノルアドレナリンは4.7%、ドパミンは9%であった。投与5日後の総回収率は97±3.5%であり、このうち投与したドパミンの直接関連代謝物は75%であり、残りの25%はノルアドレナリンの代謝物であった。
臨床成績
臨床成績3)
〔イノバン注(2%ドパミン塩酸塩製剤:1977年6月承認)による〕
国内25施設総計167症例に対し、119症例に有効で、総有効率71.3%を示した。
各疾患別の有効率は、心原性ショック76.6%(72/94)、出血性ショック90.0%(9/10)、その他の急性循環不全(ショック)及び急性循環不全状態60.3%(38/63)であった。
薬効薬理
1. 心収縮力増強作用4)
冠動脈血流、大動脈血流及びLVdp/dtは投与量に比例して増加する。
2. 腎血流量増加作用5)
ドパミン受容体を介して腎血流量を増加させる。
3. 上腸間膜血流量増加作用6)
ドパミン受容体を介して上腸間膜血流量を増加させる。
4. 血圧上昇作用7)
心拍出量の増加により血圧を上昇させる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ドパミン塩酸塩 Dopamine Hydrochloride
化学名
4-(2-Aminoethyl)benzene-1, 2-diol monohydrochloride
分子式
C8H11NO2・HCI=189.64
化学構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。
溶解性
水又はギ酸に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくい。
pH
4.0~5.5(1→50)
融点
約248℃(分解)
分配係数
logP′OCT= -2.3〔測定法:フラスコシェイキング法、n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液〕
取扱い上の注意
1. 投与前の注意
(1)
本シリンジの使用にあたっては、適合するシリンジポンプを使用すること。
(2)
シリンジが破損するおそれがあるため、強い衝撃を避けること。
(3)
本剤は空気遮断性の高い包装内に脱酸素剤を入れて安定性を保持しているので、包装フィルム表面に減圧によるへこみがない場合は、使用しないこと。
(4)
ブリスター包装は使用時まで開封しないこと。
(5)
ブリスター包装は開封口から静かに開けること。
(6)
内容液が漏れている場合や、内容液に変色、混濁や浮遊物等の異常が認められるときは使用しないこと。
(7)
シリンジに破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
2. 投与時の注意
(1)
外筒を強く握らないこと。[液漏れする可能性がある。]
(2)
*押子を時計回りに回し、しっかりと接続すること(カチッという音がしたら、接続完了である)。[押子の接続が適切でない場合、“サイフォニング(自然落下による急速注入)”や“逆流”が起こるおそれがある。]
(3)
*シリンジポンプにセットする前に、ガスケットに歪みがないか、ガスケットと押子接続用部品の間に緩みや隙間がないか確認すること。[これらが適切でない場合、エアー混入、液漏れやシリンジポンプの残量警報が発報しないおそれがある。]
(4)
シリンジポンプにセットする前に、十分注意して外筒内のエアーを抜き取った後、シリンジ先端と、注入ラインの接合部をしっかりと装着・ロックすること。[不十分な場合、接合部位のはずれ、接合部位からの液漏れや注入ライン内へのエアー混入が起こることがある。]
(5)
他の医療機器(三方活栓等)と嵌合する場合は、過度な締め付けをしないこと。[シリンジ先端に破損、空回りが生じ、液漏れ、エアー混入を引き起こす可能性がある。]
(6)
*シリンジ内に極端な陰圧がかかる状態で使用しないこと。[ガスケットから押子接続用部品、押子接続用部品から押子が外れ、急速注入されることがある。]
(7)
シリンジポンプのスライダーのフックに確実にセットすること。[正しくセットされていない場合、“サイフォニング”や“逆流”が起こるおそれがある。]
(8)
シリンジポンプにセットした後、患者に静脈針を穿刺する前には、使用するシリンジポンプの指定する方法に従い、必ずプライミング(注入経路のエアー抜き等)を行うこと。
(9)
シリンジポンプと注入ライン先端(投与部位)の落差はできるだけ小さくすること。[高低差によるサイフォニング現象により、薬液の急速注入が起こることがある。また、落差と接合部の装着・ロックが不十分であることが重なると注入ライン内へのエアー混入が助長される可能性がある。]
(10)
投与中は注入ラインの破損、接合部の緩み及び薬液漏れ等について定期的に確認すること。
3. 投与後の注意
(1)
開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液は容器とともに速やかに廃棄すること。
(2)
シリンジの再滅菌・再使用はしないこと。
包装
イノバン注0.1%シリンジ:5本
イノバン注0.3%シリンジ:5本
イノバン注0.6%シリンジ:5本
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Kuchel O., et al.:Fed. Proc., 45, 2254, (1986)
2)
Goodall M., et al.:Biochem. Pharmacol.,17, 905, (1968)
3)
社内資料:吉竹 毅,他;Dopamineの臨床における効果(全国集計)
4)
Arisaka M.:Jpn. Circ. J., 38, 227, (1974)
5)
McDonald R. H., et al.:J. Clin. Invest., 43, 1116, (1964)
6)
Yeh B. K., et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther.,168, 303, (1969)
7)
竹内省三, 他:脈管学, 14, 113, (1974)
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
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製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
協和発酵キリン株式会社
東京都千代田区大手町1-6-1
操作方法
〈各部の名称〉

〈使用方法〉
注意:適合するシリンジポンプを使用し、本シリンジが使用可能な設定であることを必ず確認すること。
1.

押子をまっすぐ挿入し、押子接続用部品に軽く突き当てた後、押子を時計回りに回し、しっかりと接続すること(カチッという音がしたら、接続完了である)。[押子の接続が適切でない場合、“サイフォニング”や“逆流”が起こるおそれがある。また、ガスケットが歪んだり、ガスケットと押子接続用部品の間に隙間があると、エアー混入、液漏れやシリンジポンプの残量警報が発報しないおそれがある。]
2.

シリンジ先端のキャップを、回転させながら外す。
3.

シリンジポンプにセットする前に、十分注意して外筒内のエアーを抜き取る。
シリンジ先端部に直接手が触れないよう注意し、注入ラインの接合部をしっかりと装着・ロックする。
4.

シリンジポンプの取扱説明書に従い、スライダーのフックに確実にセットし、投与する。[正しくセットされていない場合、“サイフォニング”や“逆流”が起こるおそれがある。]