盐酸罗沙替丁醋酸酯ALTAT Powder for Solution for Injection(Roxatidine Acetate Hydrochloride) *アルタット静注用75mg
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作成又は改訂年月
2014年10月改訂 (第14版)
* 2012年6月改訂
日本標準商品分類番号
872325
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2004年3月
薬効分類名
H2受容体拮抗剤
承認等
*アルタット静注用75mg
販売名コード
2325403D1069
承認・許可番号
承認番号
22400AMX00161
商標名
ALTAT FOR I.V. INJECTION
薬価基準収載年月
薬価基準収載
販売開始年月
1995年3月
貯法・使用期限等
貯 法
室温保存
使用期限
外箱等に表示
基準名
日本薬局方
注射用ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩
規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含量
1管中 日局ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩75mg
添加物
1管中 グリシン75mg,pH調節剤
性状
剤形・性状
アンプル(白色の塊又は無晶形の粉末の凍結乾燥製剤)
本品1管を生理食塩液20mLに溶かした場合
無色澄明,pH:3.5~4.5,浸透圧比:約1(生理食塩液に対する比)
一般的名称
注射用ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
上部消化管出血(消化性潰瘍,急性ストレス潰瘍,出血性胃炎による)
通常,成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液20mLにて溶解し,1日2回(12時間ごと)緩徐に静脈内投与する.又は輸液に混合して点滴静注する.なお,年齢,症状により適宜増減する.一般的に1週間以内に効果の発現をみるが,内服可能となった後は経口投与に切りかえる.
麻酔前投薬
通常,成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液20mLにて溶解し,麻酔導入1時間前に緩徐に静脈内投与する.
用法及び用量に関連する使用上の注意
腎機能障害患者では血中濃度が持続することがあるので,投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど注意すること.(「薬物動態」の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
薬物過敏症の既往歴のある患者
2.
肝障害のある患者
3.
腎障害のある患者
[血中濃度が持続することがあるので,使用に際しては投与量を減ずるか投与間隔をあけること.](「薬物動態」の項参照)
4.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
治療にあたっては経過を十分に観察し,病状に応じ治療上必要最小限の使用にとどめ,本剤で効果がみられない場合には他の療法に切りかえること.なお,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること.
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4,533例中156例(3.44%)の副作用(臨床検査値異常を含む)が報告された.主なものはAST(GOT),ALT(GPT)上昇等の肝臓・胆管系障害(1.96%),白血球減少,好酸球増多等の白血球・網内系障害(0.84%)等であった(再審査終了時).
重大な副作用
1. ショック(0.1%未満)
ショック(初期症状:不快感,顔面蒼白,血圧低下等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
2. 再生不良性貧血,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少(0.1%未満)
再生不良性貧血,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少(初期症状:全身けん怠,脱力,皮下・粘膜下出血,発熱等)があらわれることがあるので,定期的に血液検査を実施し,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
3. *中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
4. 肝機能障害,黄疸(0.1%未満)
AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP上昇等の肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
5. 横紋筋融解症(0.1%未満)
横紋筋融解症があらわれることがあるので,CK(CPK),LDH等の筋逸脱酵素の急激な上昇,ミオグロビン尿,筋肉痛等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
重大な副作用(類薬)
1. アナフィラキシー様症状
頻度不明
他のH2受容体拮抗剤で,アナフィラキシー様症状があらわれるとの報告があるので,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
2. 間質性腎炎
頻度不明
他のH2受容体拮抗剤で,間質性腎炎〔初期症状:発熱,腎機能検査値異常(BUN,クレアチニン上昇等)等〕があらわれるとの報告があるので,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
3. 房室ブロック等の心ブロック
頻度不明
他のH2受容体拮抗剤で,房室ブロック等の心ブロックがあらわれるとの報告があるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
4. 不全収縮
頻度不明
他のH2受容体拮抗剤で,不全収縮があらわれるとの報告があるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
その他の副作用
1. 過敏症
0.1%未満
発疹,そう痒感等
2. 血 液
0.1~5%未満
好酸球増多,白血球減少
3. 血 液
0.1%未満
貧血
4. 消化器
0.1%未満
悪心等
5. 消化器
頻度不明
便秘,下痢,腹部膨満感,口渇等
6. 肝 臓
0.1~5%未満
肝機能異常,AST(GOT),ALT(GPT),LDH上昇等
7. 肝 臓
0.1%未満
ALP上昇等
8. 精神神経系注)
0.1%未満
めまい,幻覚,可逆性の錯乱状態
9. 精神神経系注)
頻度不明
頭痛,眠気,しびれ,不眠等
10. 投与部位
0.1%未満
一過性の疼痛
11. その他
0.1%未満
血圧上昇,BUN上昇
12. その他
頻度不明
女性型乳房,乳汁分泌,けん怠感
*上記のような副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと.
注)他のH2受容体拮抗剤で,痙攣(頻度不明)があらわれるとの報告がある.
高齢者への投与
投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど慎重に投与すること.
[本剤は主として腎臓から排泄されるが,高齢者では腎機能が低下していることが多く,血中濃度が持続するおそれがある.](「薬物動態」の項参照)
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.また,ラット及びウサギの器官形成期投与試験におけるラットの63mg/kg投与群1)及びウサギの32mg/kg投与群2),ラットの周産期・授乳期投与試験における60mg/kg投与群3)の少数例に死亡がみられている.]
2.
投薬中は授乳させないよう注意すること.
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている.]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない).
適用上の注意
1.
投与経路
本剤は静脈内注射にのみ使用すること.
2.
投与速度
本剤を投与する場合には,1管を20mLに希釈して少なくとも2分以上かけて緩徐に注入すること.
3.
投与時の注意
静脈内投与により注射部位の一過性の疼痛を起こすことがあるので,注射部位,注射方法等に十分注意すること.また,注射に際しては血管外に漏出しないように注意すること.
4.
その他
本品はワンポイントカットアンプルであるが,アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい.
その他の注意
本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので,悪性でないことを確認のうえ投与すること.
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 健康成人4)
健康成人に1回75mgを静脈内投与した結果,最大血漿中濃度は773ng/mL,血漿中半減期は3.36時間であった.
また,健康成人に75mgを1日2回3日間連続静脈内投与したときの血漿中薬物動態の解析結果から蓄積性は認められなかった.
(2) 腎機能障害患者
腎機能障害患者に75mgを経口投与すると,表1に示すとおり健康成人と比較して吸収過程に変化はみられなかったが,最大血漿中濃度に到達した後の血漿からの消失は腎機能の低下とともに遅延した5).したがって腎機能障害患者に本剤を投与する場合には,投与量,投与間隔の適切な調節が必要である.
2. 代 謝6)
健康成人に75mgを経口投与した結果,尿中代謝物は主に脱アセチル体であり,ついで多かったのはカルボン酸誘導体であった.
3. 排 泄4)
健康成人に75mgを静脈内投与した結果,24時間以内に投与量の約67.5%が脱アセチル体として尿中に排泄された.
4. 胎児への移行7)
帝王切開患者に75mgを手術前2回経口投与した結果,臍帯血漿中濃度は母体静脈血漿中濃度の約60%であり,羊水への移行量は投与量の0.3%以下であった.
臨床成績
<上部消化管出血>
<麻酔前投薬>13),14)
麻酔時における嚥下性肺炎の発生防止を目的とした二重盲検比較試験を含む臨床試験において,胃液に対する総合効果(胃液量減少,胃液pH上昇)の有効率及び有用率はともに96.8%(90/93)であった.
薬効薬理
1. ヒトでの作用
(1) 胃酸分泌抑制作用
1) 基礎分泌15)
健康成人に75mgを静脈内投与した結果,投与後3時間の総酸分泌量は92.6%抑制された.
2) ペンタガストリン刺激分泌16)
健康成人に75mgを静脈内投与した結果,ペンタガストリン(6μg/kg)筋注による刺激後90分間の総酸分泌量は90.0%抑制された.
3) 24時間分泌17)
消化性潰瘍患者に1回75mgを1日2回(12時間ごと)静脈内投与した結果,胃内のpHは著明に上昇した.24時間の平均pHは4.39とプラセボ投与時(2.66)より有意に上昇した.
(2) ペプシン分泌抑制作用
健康成人に75mgを静脈内投与した結果,投与後3時間の総ペプシン分泌量は85.5%抑制された15).また,健康成人に75mgを静脈内投与した結果,ペンタガストリン(6μg/kg)筋注による刺激後90分間の総ペプシン分泌量は65.4%抑制された16).
(3) 血清ガストリンに及ぼす影響
上部消化管出血患者に1日150mgを7日間静脈内投与した結果,血清ガストリン値は投与前後において有意な変動は認められなかった10).注射剤の第I相試験において健康成人に1日150mgを3日間静脈内投与した結果,1例において血清ガストリン値が投与15及び30分後に約400pg/mLに上昇した4).
(4) 血清プロラクチン等に及ぼす影響10)
上部消化管出血患者に1日150mgを7日間静脈内投与した結果,血清プロラクチン,血清LH,FSH,テストステロン,エストラジオール,DHEA-S及びコルチゾールは投与前後において臨床上問題となる変動を示さなかった.
(5) 胃液内へキソサミン量に対する作用15)
健康成人に75mgを静脈内投与した結果,胃液中のへキソサミン濃度は有意に増加したが,ヘキソサミン分泌量には有意な変動は認められなかった.
2. 動物での作用
(1) 実験的急性胃出血に対する作用18)
ラットの実験的急性胃出血に対し,用量依存的に胃出血量を抑制した.
(2) 胃粘膜電位差に対する作用19)
ラットに25mg/kgを静脈内投与した結果,基礎状態の胃粘膜電位差には影響がみられなかったが,アスピリン胃内注入による胃粘膜電位差の低下は有意に抑制された.
(3) 胃粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度に対する作用20)
ラットに10mg/kgを静脈内投与した結果,基礎状態の粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度には影響がみられなかったが,脱血ショックによるこれら指標の低下は有意に抑制された.
(4) 胃粘膜プロスタグランジン産生能に対する作用21)
ラットに200mg/kgを経口投与した結果,胃粘膜のプロスタグランジンE2及びプロスタグランジンI2の産生能を低下させなかった.
(5) 胃粘膜障害抑制作用22)
ラットに30mg/kgを腹腔内投与した結果,無水エタノール,0.6N塩酸及び0.2N水酸化ナトリウム投与による胃粘膜障害の発生を有意に抑制した.
(6) 胃粘液生合成・分泌増加作用
ラット胃組織培養系において粘液生合成増加作用が認められた(in vitro)23).また,ラットに50,100及び200mg/kgを経口投与した結果,100mg/kg以上で胃粘液分泌を増加させた24).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩
Roxatidine Acetate Hydrochloride[JAN]
化学名
(3-{3-[(Piperidin-1-yl)methyl]phenoxy}propylcarbamoyl)methyl acetate monohydrochloride
分子式
C19H28N2O4・HCl
化学構造式
分子量
384.90
融 点
147~151℃(乾燥後)
性 状
白色の結晶又は結晶性の粉末である.
水に極めて溶けやすく,酢酸(100)に溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けにくい.
包装
アルタット静注用75mg:10管
アルタット静注用75mg:50管

主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料(ラットにおける胎児毒性試験)
2)
社内資料(ウサギにおける胎児毒性試験)
3)
臼井哲夫 他:応用薬理,42:449,1991
4)
青井禮子 他:臨床医薬,5:2485,1989
5)
高畠利一 他:薬理と治療,13:3377,1985
6)
本間誠次郎 他:応用薬理,30:555,1985
7)
河西 稔 他:麻酔,35:130,1986
8)
三好秋馬 他:消化器科,13:123,1990
9)
三好秋馬 他:臨床医薬,7:2737,1991
10)
三澤 正 他:医学と薬学,25:1591,1991
11)
細川俊彦 他:診療と新薬,28:323,1991
12)
長町幸雄 他:診療と新薬,28:1261,1991
13)
野口純一 他:診療と新薬,27:2113,1990
14)
河西 稔 他:麻酔,40:1364,1991
15)
杉山 貢 他:消化器科,12:120,1990
16)
杉山 貢 他:消化器科,13:505,1990
17)
長尾房大 他:消化器科,14:194,1991
18)
布施宏昭 他:薬理と治療,18:2965,1990
19)
白土賢治 他:薬理と治療,13:1413,1985
20)
川野 淳 他:薬理と治療,13:1429,1985
21)
Mikami,T.:薬理と治療,16:3743,1988
22)
Shiratsuchi,K.et al.:Arch.int.Pharmacodyn.,294:295,1988
23)
Ichikawa,T.et al.:Br.J.Pharmacol.,122:1230,1997
24)
高橋伸行 他:薬理と治療,26:1701,1998
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください.
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
TEL 0120-848-339
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製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
あすか製薬株式会社
東京都港区芝浦二丁目5番1号
販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号