DOPASTON FOR INTRAVENOUS USE(LEVODOPA)左旋多巴,ドパストン静注25mg/ドパストン静注50mg
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作成又は改訂年月
**2013年8月改訂 (第14版)
*2011年6月改訂 (第13版)
日本標準商品分類番号
871164
薬効分類名
パーキンソニズム治療剤
承認等
販売名
ドパストン静注25mg
販売名コード
1164400A1045
承認・許可番号
承認番号
22000AMX02328000
欧文商標名
DOPASTON FOR INTRAVENOUS USE 25mg
薬価基準収載年月
2008年12月
販売開始年月
1972年1月
貯法・使用期限等
貯法:
室温保存、しゃ光
使用期限:
外箱に表示の使用期限内に使用すること。(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1) 注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量 (1mL中)
日局レボドパ2.5mgを含有
添加物 (1mL中)
亜硫酸水素ナトリウム0.1mg
等張化剤、塩酸、pH調節剤
性状
色調・剤形
無色澄明・注射液
pH
2.5~4.5
浸透圧比
約1 (生理食塩液に対する比)
販売名
ドパストン静注50mg
販売名コード
1164400A2041
承認・許可番号
承認番号
22000AMX02327000
欧文商標名
DOPASTON FOR INTRAVENOUS USE 50mg
薬価基準収載年月
2008年12月
販売開始年月
1972年1月
貯法・使用期限等
貯法:
室温保存、しゃ光
使用期限:
外箱に表示の使用期限内に使用すること。(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)
規制区分
処方せん医薬品注1)
注1) 注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量 (1mL中)
日局レボドパ2.5mgを含有
添加物 (1mL中)
亜硫酸水素ナトリウム0.1mg
等張化剤、塩酸、pH調節剤
性状
色調・剤形
無色澄明・注射液
pH
2.5~4.5
浸透圧比
約1 (生理食塩液に対する比)
一般的名称
レボドパ注射液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
閉塞隅角緑内障の患者〔眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。〕
2.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3.
非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤投与中の患者 (「重要な基本的注意」、「相互作用」の項参照)
効能又は効果
パーキンソン病、パーキンソン症候群
用法及び用量
通常成人1日量レボドパとして25~50mgを1~2回に分けて、そのままゆっくり静注又は生理食塩液もしくはブドウ糖注射液などに希釈して点滴静注する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝又は腎障害のある患者〔副作用の発現が増加するおそれがある。〕
2.
胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある患者又はその既往歴のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
3.
糖尿病患者〔血糖値の上昇を誘発し、インシュリン必要量を増大させるとの報告がある。〕
4.
重篤な心・肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
5.
慢性開放隅角緑内障の患者〔眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。〕
6.
自殺傾向など精神症状のある患者〔精神症状が悪化するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
閉塞隅角緑内障のおそれのある場合は、隅角検査あるいは眼圧検査を行うことが望ましい。
2.
本剤の投与は、少量から開始し、観察を十分に行い慎重に維持量まで増量すること。また他剤から本剤に切りかえる場合には、他剤を徐々に減量しながら本剤を増量するのが原則である。
3. 長期投与時:
レボドパ製剤の長期投与により、次のような現象があらわれることがあるので、適切な処置を行うこと。
(1)
wearing off (up and down) 現象があらわれた場合には、1日用量の範囲内で投与回数を増やす等の処置を行うこと。
(2)
on and off 現象があらわれた場合には、維持量の漸減又は休薬を行う。症状悪化に際しては、その他の抗パーキンソン剤の併用等の処置を行うこと。
4.
前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
5.
セレギリン塩酸塩 (B型モノアミン酸化酵素阻害剤) との併用に際しては、使用前に必ずセレギリン塩酸塩の添付文書を参照すること。
6.
**レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
血圧上昇等を起こすおそれがある。
機序・危険因子
レボドパから変換して産生されたドパミン、ノルアドレナリンの分解が非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤によって抑制され、これが体内に蓄積されるためと考えられている。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
レセルピン製剤
**テトラベナジン
臨床症状・措置方法
脳内ドパミンが減少し、本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
**脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
薬剤名等
血圧降下剤
メチルドパ水和物、レセルピン、節遮断剤等
臨床症状・措置方法
血圧降下剤の作用を増強することがある。
機序・危険因子
機序は不明であるが、レボドパに血圧降下作用があるためと考えられている。
薬剤名等
抗精神病薬
フェノチアジン系薬剤 (クロルプロマジン、チオリダジン等)
ブチロフェノン系薬剤 (ハロペリドール等)
その他 (ペロスピロン等)
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱することがある。
機序・危険因子
これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
薬剤名等
全身麻酔剤
ハロタン等
臨床症状・措置方法
不整脈を起こすことがある。
機序・危険因子
ハロタン等は交感神経のα、βレセプターの感受性を高める。一方、レボドパとの併用ではレボドパから転換したドパミンがα、βレセプターに作用して、不整脈を起こす可能性がある。
薬剤名等
ピリドキシン
臨床症状・措置方法
末梢での本剤の脱炭酸化を促進するため、本剤の作用が減弱することがある。
機序・危険因子
ピリドキシンはレボドパ脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減少させると考えられる。
薬剤名等
他の抗パーキンソン剤
抗コリン剤、アマンタジン塩酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩
臨床症状・措置方法
精神神経系の副作用が増強することがある。
機序・危険因子
併用によりレボドパの効果増加につながるが、同時に精神神経系の副作用が増強される可能性もある。
薬剤名等
*NMDA受容体拮抗剤
メマンチン塩酸塩等
臨床症状・措置方法
本剤の作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
薬剤名等
パパベリン塩酸塩
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
パパベリン塩酸塩が線条体にあるドパミンレセプターをブロックする可能性がある。
薬剤名等
鉄剤
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
薬剤名等
イソニアジド
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
副作用
(本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)
744例の副作用集計より、主な副作用及び発現率をみると、悪心・嘔吐 (4.2%)、次いで血圧低下 (1.2%)、不随意運動、食欲不振、血圧上昇 (各0.8%)、頭痛・頭重感、不眠 (各0.7%) の順であった。
〔新開発医薬品の副作用のまとめ (その28)1)〕
重大な副作用
1. Syndrome malin:
(頻度不明)
急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態等があらわれることがあるので、このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
2. 錯乱 (頻度不明)、抑うつ (頻度不明)、幻覚 (0.3%):
錯乱、抑うつ、幻覚があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
3. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の悪化:
(頻度不明)
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の悪化があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. **溶血性貧血(頻度不明)、血小板減少(頻度不明):
溶血性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 突発的睡眠:
(頻度不明)
前兆のない突発的睡眠があらわれることがあるので、このような場合には、減量、休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の4.項参照)
その他の副作用
精神神経系
(5%以上又は頻度不明)
見当識障害注2)、味覚異常、病的賭博、病的性欲亢進
精神神経系
(0.5~5%未満)
不随意運動注2)、頭痛・頭重感、不眠
精神神経系
(0.5%未満)
妄想注2)、興奮注2)、傾眠、めまい、けん怠感
消化器
(5%以上又は頻度不明)
便秘、唾液分泌過多、胸やけ
消化器
(0.5~5%未満)
悪心・嘔吐、食欲不振
消化器
(0.5%未満)
口渇、下痢
泌尿器
(5%以上又は頻度不明)
排尿異常
**血液注3)
(5%以上又は頻度不明)
白血球減少、貧血
過敏症注3)
(5%以上又は頻度不明)
発疹
循環器
(5%以上又は頻度不明)
不整脈
循環器
(0.5~5%未満)
血圧低下、血圧上昇、心悸亢進
眼
(5%以上又は頻度不明)
視覚異常
肝臓注4)
(5%以上又は頻度不明)
AST (GOT) 上昇、 ALT (GPT) 上昇
腎臓
(5%以上又は頻度不明)
浮腫
*その他
(5%以上又は頻度不明)
嗄声、発汗、筋肉痛、脱毛、唾液・痰・口腔内粘膜・尿・便等の変色 (黒色等)
*その他
(0.5%未満)
耳鳴、熱感、汗の変色 (黒色等)
注2) 減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
注3) 投与を中止すること。
注4) 投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。
高齢者への投与
不安、不眠、幻覚、血圧低下等の副作用があらわれることがあるので注意すること。〔高齢者では、生理機能の低下によりレボドパに対する忍容性が低下していることが多い。〕
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔動物実験 (マウス、ラット) で初期発生への影響及び胎仔毒性が認められている。〕
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい。〔乳汁分泌が抑制されるおそれがある。また、動物実験 (ラット) でレボドパの乳汁移行が知られている。〕
臨床検査結果に及ぼす影響
ニトロプルシドナトリウム水和物の検尿テープによる尿検査では、ケトン体反応が偽陽性になる場合がある。
過量投与
本剤の過量投与により、異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに嘔気、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。このような場合には、呼吸器や心機能を観察しながら適切な処置を行うこと。
適用上の注意
1.
**調製時:
本剤はアルカリ溶液中で分解し、着色(褐色~黒色)する2),3)ので、アルカリ性注射剤との混合は避けること。
2.
静脈注射時:
静脈注射を必要とする場合にはゆっくり投与すること。
3.
アンプルカット時:
本品はワンポイントアンプルであるが、アンプルの首部をエタノール綿等で清拭してから、カットすることが望ましい。
その他の注意
1.
抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動 (遅発性ジスキネジア) を通常軽減しない。場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがある。
2.
悪性黒色腫が発現したとの報告がある。
薬物動態
(参考: 動物)
分布・代謝・排泄4),5)
ラットに14C標識レボドパ (26.1mci/mg) を静脈内投与し、体組織への分布状態を全身オートラジオグラフィーで観察した結果、投与30分後には脳内への取り込みが最大となり、尾状核、被殻への局在が認められている。また、投与10分後には腎臓、小腸、膵臓、副腎、肝臓等に高い放射能活性が認められ、1時間後まで持続する。投与されたレボドパは、ほとんどが尿中にホモバニリン酸 (HVA)、3, 4-dihydroxyphenyl acetic acid (DOPAC) の形で排泄される。
臨床成績
本剤の臨床試験は、78例のパーキンソン病及びパーキンソン症候群を対象に実施された。その結果、主要三症状の改善を指標とした場合、無動~寡動では、80.3% (57/71)、筋強剛では80.8% (59/73)、振戦では61.2% (41/67) の改善率を示した。一般に静注療法では、経口療法にくらべ、より少量で有効、かつ効果の発現が速やかである反面、持続はやや短いという傾向が得られた。6~8)
薬効薬理
1. γ運動ニューロンに対する作用9)
実験的にペントバルビタール麻酔ネコを用い、尾状核、中脳網様体、大脳皮質、小脳前葉等を電気刺激することによって引き起こされるγ運動ニューロン放電の促進がレボドパの投与によって抑制される。
2. 薬剤その他処置に伴う無動、筋緊張亢進、振戦に対する作用10),11)
マウスのレセルピンによるせむし様姿勢、ラットのレセルピンによる筋緊張亢進、ラットの尾状核刺激による回転運動及びマウスのレセルピンならびにフィゾスチグミンによる無動又は寡動の症状にレボドパが拮抗することが認められている。
正常又は片側性脳損傷サルにα-メチル-チロシンを投与すると振戦及び緊張が誘発されるが、レボドパの投与により短時間内に消失がみられている。
3. 作用機序12),13)
レボドパは、パーキンソン病の病態生理に重要な関連性を有するといわれるドパミンの前駆物質で、その投与により血液脳関門を通過し脳内に取りこまれ、そこでドパミンに転換されて生理作用を発揮し、パーキンソン病及びパーキンソン症候群に効果をもたらすとされている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
レボドパ (Levodopa)
化学名:
3-Hydroxy-L-tyrosine
略称:
L-DOPA
構造式:

分子式:
C9H11NO4
分子量:
197.19
性状:
本品は白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
本品はギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール (95) にほとんど溶けない。
本品は希塩酸に溶ける。
融点:
約275℃ (分解)
分配係数:
フラスコ振とう法による本品の水とオクタノールの分配係数log Pow (Pow=オクタノール相の濃度/水相の濃度) は-2.4 (pH7.0) であった。
包装
ドパストン静注25mg (10mL): 10管
ドパストン静注50mg (20mL): 10管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
医薬品副作用情報, No. 32 厚生省薬務局 (1978)
2)
**第十六改正日本薬局方解説書(廣川書店)C-5324 (2011)
3)
**川地晶子ほか:医学と薬学,69 (5), 767-774 (2013)
4)
Shindo, H., et al.: Chem.Pharm.Bull., 21 (4), 817-825 (1973)
5)
Shindo, H., et al.: Chem.Pharm.Bull., 19 (12), 2490-2500 (1971)
6)
村越康一: 診療と新薬, 8 (3), 417-421 (1971)
7)
前田 進: 診療と保険, 13 (2), 225-232 (1971)
8)
宮沢 博ほか: 薬物療法, 4 (2), 227-231 (1971)
9)
酒井 豊ほか: 日本薬理学雑誌, 69 (3), 467-482 (1973)
10)
高木 弘ほか: L-DOPAの一般薬理作用の検索 (三共研究所年報, 22, 123-141 (1970))
11)
Goldstein, M., et al.: Nature, 224 (217), 382-384 (1969)
12)
Hornykiewicz, O.: Pharmacol. Rev., 18 (2), 925-964 (1966)
13)
Cotzias, G. C., et al.: N.Engl.J.Med., 276 (7), 374-379 (1967)
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
大原薬品工業株式会社 安全管理部 お客様相談室
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