Bredinin Tablets(Mizoribine) ブレディニン錠25/ブレディニン錠50
ダウンロード
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作成又は改訂年月
** 2011年3月改訂(第13版)
* 2009年11月改訂
日本標準商品分類番号
873999
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
2003年11月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1995年9月
薬効分類名
免疫抑制剤
承認等
販売名
ブレディニン錠25
販売名コード
3999002F1020
承認・許可番号
承認番号
15900AMZ00185000
商標名
Bredinin Tablets
薬価基準収載年月
1984年3月
販売開始年月
1984年3月
貯法・使用期限等
*貯法
室温保存(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
外箱に表示(3年)
基準名
日本薬局方
ミゾリビン錠
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1錠中)
ミゾリビン25mg
添加物
無水乳糖、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、エチルセルロース、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、タルク、カルナウバロウ
性状
剤形
白色フィルムコーティング錠
外形
大きさ
直径 7.8mm、厚み 3.1mm
重量
150mg
識別コード
324
販売名
ブレディニン錠50
販売名コード
3999002F2027
承認・許可番号
承認番号
15900AMZ00186000
商標名
Bredinin Tablets
薬価基準収載年月
1984年3月
販売開始年月
1984年3月
貯法・使用期限等
*貯法
室温保存(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
外箱に表示(3年)
基準名
日本薬局方
ミゾリビン錠
規制区分
処方せん医薬品
注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1錠中)
ミゾリビン50mg
添加物
無水乳糖、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、エチルセルロース、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、タルク、カルナウバロウ
性状
剤形
白色フィルムコーティング錠(片面割線入り)
外形
大きさ
直径 8.6mm、厚み 3.6mm
重量
212mg
識別コード
325
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.
白血球数3,000/mm3以下の患者[骨髄機能抑制を増悪させ、重篤な感染症、出血傾向等が発現するおそれがある。]
3.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「使用上の注意6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
1.
腎移植における拒否反応の抑制
2.
原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。また、頻回再発型のネフローゼ症候群を除く。)
3.
ループス腎炎(持続性蛋白尿、ネフローゼ症候群または腎機能低下が認められ、副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)
4.
*関節リウマチ(過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤さらに他の抗リウマチ薬の少なくとも1剤により十分な効果の得られない場合に限る。)
用法及び用量
1. 腎移植における拒否反応の抑制
通常、体重1kg当り下記量を1日量として、1日1~3回に分けて経口投与する。
しかし、本剤の耐薬量および有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
初期量としてミゾリビン2~3mg相当量
維持量としてミゾリビン1~3mg相当量
2.
原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)およびループス腎炎(持続性蛋白尿、ネフローゼ症候群または腎機能低下が認められ、副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)
通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。
ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。
なお、本剤の使用以前に副腎皮質ホルモン剤が維持投与されている場合には、その維持用量に本剤を上乗せして用いる。症状により副腎皮質ホルモン剤の用量は適宜減量する。
3. *関節リウマチ
通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎障害のある患者では排泄が遅延し、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、腎機能(血清クレアチニン値等)及び年齢、体重等を考慮し、低用量から投与を開始するなど用量に留意して、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること[患者のクレアチニンクリアランスと本剤の消失速度との関係、またクレアチニンクリアランスを血清クレアチニン値、年齢及び体重より換算する計算式例は「薬物動態 1.吸収」の項参照]。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制を増悪させ、重篤な感染症、出血傾向等が発現するおそれがある。]
2.
細菌・ウイルス・真菌等の感染症を合併している患者
ウイルス性肝炎においては、肝炎を増悪させることがある[骨髄機能抑制により、感染症を増悪させるおそれがある。]
3.
出血性素因のある患者[骨髄機能抑制により、出血傾向が発現するおそれがある。]
4.
腎障害のある患者[「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照]
重要な基本的注意
1.
骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
2.
感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
**免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
4.
プリン合成阻害作用に基づく尿酸生成増加のため尿酸値の上昇があらわれることがある。ネフローゼ症候群に対する臨床試験において、尿酸値の上昇が231例中21例(9.1%)に認められ、10mg/dL以上11例、最高値13.1mg/dLであった。
5.
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
6.
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
7.
原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群に投与する場合には、次の事項に留意すること。
(1)
副腎皮質ホルモン剤のみでは十分な治療効果が認められない患者、又は副作用、合併症等により副腎皮質ホルモン剤の減量が必要な患者に限り使用すること。
特に副腎皮質ホルモン剤の1日投与量がプレドニゾロン換算で20mg以上である患者には、副腎皮質ホルモン剤の減量を目的とする場合に限る。
(2)
頻回再発型のネフローゼ症候群を除く。
(3)
投与開始後6カ月を目標として、尿蛋白、腎機能等を定期的に測定し経過をみながら以降の投与継続の可否を検討する。1日尿蛋白量、クレアチニンクリアランス、血清総蛋白、その他臨床諸症状の経過を総合的に判定し、改善効果を認め投与を継続する場合には、以後も定期的に尿蛋白、腎機能等を測定しながら投与すること。また、病態の急速な進展がみられる場合には、中止又は他の治療法を考慮するなどの適切な処置を行うこと。
なお、従来より投与している治療薬剤は継続して併用することが望ましい。
8.
ループス腎炎に投与する場合には次の条件をいずれも満足する患者に限ること。
(1)
臨床的に全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され、アメリカリウマチ協会の1982年改訂SLE分類基準1)の4項目以上を満たした患者
(2)
ループス腎炎の存在が以下の項目のうち、少なくとも1項目を持つことで確認された患者(SLE以外の原因による腎障害は除く)
a
4週以上の持続性蛋白尿
b
ネフローゼ症候群
c
腎機能低下(クレアチニンクリアランス(Ccr)70mL/分以下又は血清クレアチニン値1.5mg/dL以上)
(3)
副腎皮質ホルモン剤のみでは十分な効果が認められない患者、又は副作用、合併症等により副腎皮質ホルモン剤の減量が必要な患者
9.
関節リウマチに投与する場合には、次の事項に留意すること。
(1)
活動性の関節リウマチに対してのみ投与を考慮すること。
(2)
過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤で十分な効果が認められず、また金剤(注射用、経口用)、D-ペニシラミン、ブシラミン、ロベンザリット二ナトリウム等の抗リウマチ薬を使用して、十分な効果が認められなかった患者、又は投与中止を必要とする副作用が発現した患者に限り使用すること。
(3)
本剤は遅効性であり、通常、効果発現まで2~4カ月間の継続投与が必要である。ただし、6カ月間継続投与しても効果があらわれない場合には、投与を中止すること。なお、従来より投与している非ステロイド性抗炎症剤は継続して併用することが望ましい。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
生ワクチン
乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等
臨床症状・措置方法
ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
機序・危険因子
免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、感染の可能性が増加する。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
不活化ワクチン
インフルエンザワクチン等
臨床症状・措置方法
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
機序・危険因子
免疫抑制作用により、ワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの調査及び市販後の使用成績調査等における総症例5,621例中、792例(14.09%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。その主なものは、腹痛、食欲不振等の消化器系障害253例(4.50%)、白血球減少等の血液系障害127例(2.26%)、発疹等の過敏症125例(2.22%)等であった。(再審査終了時)
重大な副作用
1. 骨髄機能抑制
(2.19%)
汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、ヘマトクリット値の低下等があらわれることがあるので、頻回に検査を行うなど観察を十分に行い、重篤な血液障害が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. **感染症
(1.32%)
肺炎、髄膜炎、敗血症、帯状疱疹等があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 間質性肺炎
(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
4. 急性腎不全
(0.04%)
急性腎不全があらわれることがある。腎障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)で尿酸値の上昇を伴ってあらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血液透析等の適切な処置を行うこと。
5. 肝機能障害、黄疸
(1.74%)
AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. 消化管潰瘍、消化管出血、消化管穿孔
(0.39%)
消化管潰瘍、消化管出血、消化管穿孔があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7. 重篤な皮膚障害
(頻度不明)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8. 膵炎
(頻度不明)
膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
9. 高血糖、糖尿病
(0.11%)
高血糖、糖尿病及び糖尿病の悪化があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 腎臓
0.1~5%未満
腎機能異常(蛋白尿、血尿、BUN、クレアチニンの上昇等)
2. 肝臓
0.1~5%未満
肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDH、γ-GTP、LAP、ビリルビンの上昇等)
3. 消化器
0.1~5%未満
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、腹痛、便秘、口内炎、舌炎
4. 消化器
0.1%未満
腹部膨満感、軟便、舌苔
5. 過敏症注)
0.1~5%未満
発疹、そう痒感、発熱
6. 代謝異常
0.1~5%未満
尿酸値の上昇、ALP上昇
7. **代謝異常
頻度不明
痛風
8. 皮膚
0.1~5%未満
脱毛
9. 精神神経系
0.1~5%未満
めまい、頭痛、味覚異常、しびれ
10. 精神神経系
0.1%未満
眠気、耳鳴、四肢異常知覚
11. その他
0.1~5%未満
全身けん怠感、浮腫、口渇
12. その他
0.1%未満
ガンマグロブリン低下、動悸、悪寒、ほてり、月経異常、胸痛
13. その他
頻度不明
眼球充血
注)発現した場合には、投与を中止すること。
高齢者への投与
本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、排泄が遅延するおそれがあるので、腎機能(血清クレアチニン値等)及び年齢、体重を考慮し適宜減量すること[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態 1.吸収」の項参照]。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
催奇形性を疑う症例報告があり2)、また、動物実験(ラット3)、ウサギ4))で催奇形作用が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
2.
授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
臨床検査結果に及ぼす影響
尿中ビリルビン試験で偽陽性を示すことがある。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
その他の注意
免疫抑制剤による治療を受けた患者では、悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫、皮膚癌等)の発生率が高いとする報告がある5~8)。
薬物動態
1. 吸収
腎機能を良好に維持している腎移植患者にブレディニン錠25を4錠(100mg)経口投与したとき、下記のデータが得られている9)。
Tmax:2時間
Cmax:2.38μg/mL
T1/2:2.2時間
クレアチニンクリアランス(Ccr)と血中からの消失速度定数は高度に相関した10)。
なお、クレアチニンクリアランスを血清クレアチニン値、年齢及び体重より換算する計算式の一例11)を示す。
クレアチニンクリアランス=体重×(l-m×年齢)÷血清クレアチニン値
l=1.80(女),2.305(男);m=0.0070(女),0.0104(男)
関節リウマチ患者にブレディニン錠50を1錠(50mg)又は2錠(100mg)注1)経口投与した結果、血中濃度に用量依存性が認められた。また、1日3錠(150mg)又は6錠(300mg)注1)4週間連続投与での蓄積性は認められなかった12)。
2. 排泄
腎機能を良好に維持している腎移植患者にブレディニン錠25を4錠(100mg)経口投与した結果、6時間までの尿中排泄率は約80%であった。また、腎機能障害患者では、本剤の排泄は遅延した(投与量の減量等を考慮する必要がある)。また、無尿状態の慢性腎不全患者2例にブレディニン錠25を8錠(200mg)注2)経口投与し、投与2時間後より5時間の血液透析を行った結果、血中濃度は下降した9)。
関節リウマチ患者にブレディニン錠50を1錠(50mg)又は2錠(100mg)注1)経口投与した結果、24時間までの尿中排泄率は約30~80%であった12)。
(参考)
1. 分布
ラットに単回経口投与した結果、腎及び胃に最も高い組織内濃度を認めた。また、肝、膀胱、小腸、脾及び胸腺にも血中より高い組織内濃度を認めたが、脳への移行はほとんど認められなかった13)。21日間連続投与において組織蓄積傾向は認められなかった14)。妊娠ラットに経口投与した結果、子宮、卵巣、胎盤及び少量ながら胎児への移行が認められた13)。
また、分娩後のラットにおいて乳汁移行が認められた15)。
2. 代謝
ラットに経口投与し、血漿及び尿を同位体逆希釈分析法により測定した結果、代謝物は認められなかった13)。
注1)本剤の関節リウマチに対する承認用量は、「成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。」である。
注2)本剤の腎移植における拒否反応の抑制に対する承認用量は、「1日量として、初期量としてミゾリビン2~3mg/kg相当量、維持量として1~3mg/kg相当量を1~3回に分けて経口投与する。」である。
臨床成績
1. 腎移植における拒否反応の抑制
一般臨床試験における臨床成績の概要は、次のとおりである16)。
(1)
一年生存率及び一年生着率
移植当初より本剤を用いて免疫抑制療法が行われた症例
一年生存率:91.9%(68/74)
一年生着率:79.7%(59/74)
(2)
白血球減少又は肝障害の認められた症例の免疫抑制剤を減量又は中止し本剤を投与した結果、継続して免疫抑制療法が実施でき、白血球減少の症例のうち75.7%(28/37)、肝障害の症例のうち54.5%(48/88)が良好に回復した。
2. 原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群
(1)
プラセボを対照として本剤150mg/日を24週投与した二重盲検比較試験17)
全般改善度 改善以上
ブレディニン群:33.8%(27/80)
プラセボ群:14.1%(11/78)
(2)
本剤150mg/日及び75mg/日を24週投与した二重盲検比較試験18)
全般改善度 改善以上
150mg/日投与群:45.5%(10/22)
75mg/日投与群:24.0%(6/25)
(3)
本剤は原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群患者のうち、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者において検討され腎機能の悪化防止、尿蛋白量の改善効果等が認められた17~19)。
3. ループス腎炎
(1)
プラセボを対照として本剤150mg/日を24週投与した単盲検比較試験20)
全般改善度 改善以上
ブレディニン群:26.1%(6/23)
プラセボ群:4.3%(1/23)
(2)
単盲検比較試験20)及び一般臨床試験19,21~24)
本剤を150mg/日投与した症例の全般改善度 改善以上
25.4%(15/59)
(3)
ループス腎炎患者のうち、びまん性増殖性糸球体腎炎(DPGN)、1日尿蛋白3.5g以上、血清クレアチニン値1.2mg/dL以上及び低補体を示す患者において比較的高い改善率が得られている19~24)。
4. 関節リウマチ
(1)
第III相試験として二種の二重盲検比較試験が実施され、本剤の有用性が認められた25,26)。
1)
プラセボを対照として本剤300mg/日注)を16週投与した二重盲検比較試験25)
全般改善度 改善以上
ブレディニン群:27.0%(24/89)
プラセボ群:12.4%(11/89)
2)
関節リウマチ患者のうち、既治療薬として金製剤、D-ペニシラミン等の抗リウマチ薬が使用され、その有用性が認められず中止されていた患者においても改善効果が認められた25)。
(2)
市販後の使用成績調査(4年間)
全般改善度 改善以上
全体:32.4%(861/2,658)
150mg/日投与群:32.9%(471/1,430)
300mg/日注)投与群:38.7%(48/124)
(3)
市販後の特別調査(用量比較試験)
全般改善度 改善以上
24週投与試験27)
150mg/日投与群:21.1%(41/194)
300mg/日注)投与群:25.5%(39/153)
全般改善度 改善以上
長期投与試験28)(平均59.8週)
150mg/日投与群:34.4%(21/61)
300mg/日注)投与群:55.3%(21/38)
注)「薬物動態」の項注1)参照。
薬効薬理
1. 免疫抑制作用
(1)
各種の哺乳動物由来培養細胞を用いたin vitroの実験において、リンパ系細胞の増殖を抑制する29)。
(2)
イヌ30)及びヒト31)末しょう血のリンパ球を用いたin vitroの実験において、各種マイトージェンによる幼若化反応を抑制する。
(3)
ウサギをヒツジ赤血球で免疫した実験において、一次応答及び二次応答による抗体産生を抑制する30)。
(4)
イヌ腎移植32,33)において、移植片の生着延長が認められる。
(5)
腎炎の病態モデルであるウサギ馬杉腎炎において生存日数の延長、尿蛋白出現日の遅延が認められ34)、ラット馬杉腎炎においては尿蛋白量増加の抑制が35)、また、マウスBSA腎炎において尿蛋白量増加の抑制、血清抗BSA抗体価の上昇抑制36)、更にこれらの試験では腎組織障害の軽減が認められる。
(6)
ループス腎炎(SLE)の病態モデルであるNew Zealand Black/White F1マウスにおいて、延命効果37,38)、抗DNA抗体価の上昇抑制38)、腎組織障害の進行遅延38)等が認められる。
(7)
関節リウマチの病態モデルであるアジュバント関節炎ラットにおいて後肢の腫脹増加及び骨破壊の抑制が認められ39,40)、また、コラーゲン関節炎ラットにおいても関節炎発症率及び腫脹増加の抑制、更に抗コラーゲン抗体価の減少が認められる39)。
2. 作用機序
プリン合成系のイノシン酸からグアニル酸に至る経路を拮抗阻害することにより核酸合成を抑制する41)が、高分子核酸中には取り込まれない42)(in vitro)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ミゾリビン(Mizoribine)
化学名
5-Hydroxy-1-β-D-ribofuranosyl-1H-imidazole-4-carboxamide
構造式
分子式
C9H13N3O6
分子量
259.22
性状
本品は白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。
本品は水に溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
本品の水溶液(1→100)のpHは3.5~4.5である。
融点
約198℃(分解)
取扱い上の注意
*アルミピロー開封後、湿気を避けて保存すること。本剤は湿気により変色することがある。変色したものは使用しないこと。
包装
ブレディニン錠25:100錠(PTP10錠×10)
ブレディニン錠50:100錠(PTP10錠×10)
主要文献及び文献請求先
主要文献
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13)
村瀬 潤一他:応用薬理,15(5),829~835(1978)
14)
真弓 忠範他:社内資料(薬物動態:組織蓄積傾向)
15)
辻野 正俊他:社内資料(薬物動態:乳汁移行性)
16)
稲生 綱政:移植,17(Suppl.),547~561(1982)
17)
越川 昭三他:腎と透析,34(4),631~650(1993)
18)
越川 昭三他:腎と透析,33(1),133~147(1992)
19)
越川 昭三他:腎と透析,23(5),971~980(1987)
20)
本間 光夫他:臨床医薬,5(4),795~824(1989)
21)
柴崎 敏昭他:基礎と臨床,22(16),5821~5826(1988)
22)
石川ひとみ他:リウマチ科,1(2),250~256(1989)
23)
石川 敏子他:腎と透析,27(1),137~141(1989)
24)
近藤 啓文他:臨床免疫,21(4),643~650(1989)
25)
塩川 優一他:医学のあゆみ,156(12),811~831(1991)
26)
塩川 優一他:炎症,11(4),375~396(1991)
27)
柏崎 禎夫他:炎症,16(4),269~289(1996)
28)
近藤 啓文他:炎症,18(1),61~80(1998)
29)
Sakaguchi,K.,et al.:Cancer Res.,35,1643~1648(1975)
30)
鎌田 貢壽:移植,17(1),46~55(1982)
31)
加村ひろみ他:移植,17(Suppl.),579~584(1982)
32)
佐川 史郎他:腎と透析,9(4),441~449(1980)
33)
横田 和彦:日本外科学会雑誌,83(8),769~782(1982)
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Kobayashi,Y.,et al.:Virchows Arch.[Cell Pathol.],43,103~119(1983)
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陳 香美他:日本腎臓学会誌,29(4),375~382(1987)
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大久保充人他:日本腎臓学会誌,28(1),51~59(1986)
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Kamata,K.,et al.:Clin.Immunol.Immunopathol.,33,31~38(1984)
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辻野 正俊他:炎症,10(1),63~66(1990)
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石川 浩明他:炎症,11(5),507~511(1991)
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Sakaguchi,K.,et al.:J.Antibiot.,29(12),1320~1327(1976)
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