盐酸曲马多胶囊 Tramal Capsules(Tramadol Hydrochloride)トラマールカプセル25mg/トラマールカプセル50mg
--------------------------------------------------------------------------------
Nippon Shinyaku公司的tramadol hydrochloride(商品名:Tramal)25mg和50mg胶囊和口崩膜片已在日本批准上市,用于治疗癌性疼痛及慢性疼痛疾病。

作成又は改訂年月
**2013年12月改訂(第4版)
*2013年6月改訂
日本標準商品分類番号
871149
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
*2013年6月
薬効分類名
がん疼痛・慢性疼痛治療剤
承認等
販売名
トラマールカプセル25mg
販売名コード
1149038M1023
承認・許可番号
承認番号
22200AMX00872000
商標名
Tramal Capsules 25mg
薬価基準収載年月
2010年9月
販売開始年月
2010年9月
貯法・使用期限等
貯法
気密容器、室温保存
使用期限
外箱に表示
規制区分
劇薬
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
組成
1カプセル中にトラマドール塩酸塩25mgを含有する。
添加物
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを含有し、カプセル本体に酸化チタン、黄色三二酸化鉄、赤色3号、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチンを含有する。
性状
性状
だいだい色と淡黄色よりなる硬カプセル剤である。
外形

側面

識別コード

カプセル号数
4号
全長(mm)
14.1
外径(mm)
5.3
重量(mg)
145
販売名
トラマールカプセル50mg
販売名コード
1149038M2020
承認・許可番号
承認番号
22200AMX00873000
商標名
Tramal Capsules 50mg
薬価基準収載年月
2010年9月
販売開始年月
2010年9月
貯法・使用期限等
貯法
気密容器、室温保存
使用期限
外箱に表示
規制区分
劇薬
処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
組成
1カプセル中にトラマドール塩酸塩50mgを含有する。
添加物
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを含有し、カプセル本体に酸化チタン、黄色三二酸化鉄、青色1号、黄色5号、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチンを含有する。
性状
性状
緑色と淡黄色よりなる硬カプセル剤である。
外形

側面

識別コード

カプセル号数
4号
全長(mm)
14.1
外径(mm)
5.3
重量(mg)
145
一般的名称
トラマドール塩酸塩カプセル
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある。]
3.
モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者、又は投与中止後14日以内の患者(「相互作用」の項参照)
4.
治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
*非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
疼痛を伴う各種癌
慢性疼痛
効能又は効果に関連する使用上の注意
*慢性疼痛患者においては、その原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
用法及び用量
通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回100mg、1日400mgを超えないこととする。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1. 初回投与量
本剤を初回投与する場合は、1回25mgから開始することが望ましい。
2. 投与間隔
4~6時間ごとの定時に経口投与すること。ただし、生活時間帯に合わせて投与間隔を調整することも可能とする。
3. 増量及び減量
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと。増量・減量の目安は、1回25mg(1日100mg)ずつ行うことが望ましい。
4. *がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー・ドーズ)
本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突出痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行って鎮痛を図ること。本剤の臨時追加投与の1回投与量は、定時投与中の本剤の1日量の1/8~1/4を経口投与すること。
5. *投与の継続
*慢性疼痛患者において、本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること。また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
6. 投与の中止
(1)
本剤の投与を必要としなくなった場合は、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
(2)
*がん疼痛患者において、本剤の1日の定時投与量が300mgで鎮痛効果が不十分となった場合、本剤の投与を中止し、モルヒネ等の強オピオイド鎮痛剤への変更を考慮すること。その場合には、定時投与量の1/5の用量の経口モルヒネを初回投与量の目安とすることが望ましい。また、経口モルヒネ以外の強オピオイド鎮痛剤に変更する場合は、経口モルヒネとの換算で投与量を求めることが望ましい。
7. 高齢者への投与
75歳以上の高齢者では、本剤の血中濃度が高い状態で持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、1日300mgを超えないことが望ましい(「薬物動態」の項参照)。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
オピオイド鎮痛剤を投与中の患者[痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある(「相互作用」の項参照)。]
2.
腎障害又は肝障害のある患者[高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、患者の状況を考慮し、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること(「薬物動態」の項参照)。]
3.
てんかんのある患者、痙攣発作を起こしやすい患者又は痙攣発作の既往歴のある患者[痙攣発作を誘発することがあるので、本剤投与中は観察を十分に行うこと。]
4.
薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者[依存性を生じやすい。]
5.
呼吸抑制状態にある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
6.
脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を来すおそれがある。]
7.
オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者
8.
ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]
9.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
2.
本剤を投与した際に、悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがある。悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として緩下剤の併用を考慮し、本剤投与時の副作用の発現に十分注意すること。
3.
*眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。
4.
*鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。
相互作用
相互作用の概略
本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6及びCYP3A4により代謝される。
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
モノアミン酸化酵素阻害剤
セレギリン塩酸塩
エフピー
臨床症状・措置方法
外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系(攻撃的行動、固縮、痙攣、昏睡、頭痛)、呼吸器系(呼吸抑制)及び心血管系(低血圧、高血圧)の重篤な副作用が報告されている。モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者及び投与中止後14日以内の患者には投与しないこと。また、本剤投与中止後にモノアミン酸化酵素阻害剤の投与を開始する場合には、2~3日間の間隔をあけることが望ましい。
機序・危険因子
相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
オピオイド鎮痛剤
中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、催眠鎮静剤等)
臨床症状・措置方法
痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある。
機序・危険因子
本剤と相加的に作用が増強されると考えられる。
2. 薬剤名等
三環系抗うつ剤
セロトニン作用薬〔選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等〕
臨床症状・措置方法
セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。
また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある。
機序・危険因子
相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。
3. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
呼吸抑制が生じるおそれがある。
機序・危険因子
本剤と相加的に作用が増強されると考えられる。
4. 薬剤名等
カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
同時あるいは前投与で本剤の鎮痛効果を下げ作用時間を短縮させる可能性がある。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素が誘導されるため。
5. 薬剤名等
キニジン
臨床症状・措置方法
相互に作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
機序不明
6. 薬剤名等
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
外国において、ジゴキシン中毒が発現したとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
7. 薬剤名等
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
臨床症状・措置方法
外国において、出血を伴うプロトロンビン時間の延長、斑状出血等の抗凝血作用への影響がみられたとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
8. 薬剤名等
オンダンセトロン塩酸塩水和物
臨床症状・措置方法
本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。
機序・危険因子
本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる。
9. 薬剤名等
ブプレノルフィン、ペンタゾシン等
臨床症状・措置方法
本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。
機序・危険因子
本剤が作用するμ-オピオイド受容体の部分アゴニストであるため。
副作用
副作用等発現状況の概要
*がん疼痛を対象とした安全性評価対象例267例中、副作用は181例(67.8%)に認められた。主なものは、便秘(30.0%)、悪心(29.2%)、嘔吐(19.5%)、傾眠(18.7%)、食欲減退(9.4%)、浮動性めまい(8.6%)及び頭痛(6.4%)であった。
慢性疼痛を対象とした安全性評価対象例762例中、副作用は650例(85.3%)に認められた。主なものは、便秘(50.8%)、悪心(49.2%)、傾眠(29.5%)、嘔吐(19.0%)、浮動性めまい(18.5%)、口渇(9.3%)、食欲減退(6.6%)、頭痛(6.2%)、倦怠感(5.6%)であった。(承認時)
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明※)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、気管支痙攣、喘鳴、血管神経性浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 痙攣(頻度不明※)
痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 依存性(頻度不明※)
長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止すること。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがあるので、適切な処置を行うこと。また、薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者では、厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること。
4. *意識消失
意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
※:注射剤又は海外で認められた副作用であるため頻度不明。
その他の副作用
1. 呼吸器
1%未満
呼吸困難、*口腔咽頭痛、*咽喉乾燥
2. 呼吸器
頻度不明※
呼吸抑制
3. 循環器
1%未満
血圧上昇、ほてり、血圧低下、動悸
4. 循環器
頻度不明※
起立性低血圧、不整脈、顔面蒼白、胸内苦悶、頻脈、徐脈
5. 血液凝固系
1%未満
好中球増加、好酸球増加・減少、リンパ球減少、*ヘマトクリット減少、*ヘモグロビン減少、*赤血球減少、*白血球増加、*血小板減少
6. 精神神経系
5%以上
傾眠、浮動性めまい、頭痛
7. 精神神経系
1~5%未満
振戦、*不眠症
8. 精神神経系
1%未満
譫妄、幻覚、鎮静、体位性めまい、睡眠障害、不随意性筋収縮、*感覚鈍麻、*味覚異常、*記憶障害、*健忘、*ジスキネジー、*眼振、*回転性めまい、疲労、耳鳴、悪夢、気分変動、*うつ病、*落ち着きのなさ、不安
9. 精神神経系
頻度不明※
頭重感、興奮、虚脱感、両手のしびれ感、ふらつき感、不快感、錯感覚、協調運動異常、失神、錯乱、活動低下・亢進、行動障害、知覚障害、言語障害
10. 消化器
5%以上
悪心、嘔吐、便秘、食欲減退
11. 消化器
1~5%未満
下痢、腹部不快感、上腹部痛
12. 消化器
1%未満
口内乾燥、*口内炎、*消化不良、*腹痛、*胃炎、*口唇炎、*胃食道逆流性疾患、*口の錯感覚、腹部膨満感
13. 消化器
頻度不明※
腹鳴
14. 肝臓
1~5%未満
AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加
15. 肝臓
1%未満
Al-P増加、LDH増加
16. 皮膚
1~5%未満
多汗症、そう痒症、湿疹
17. 皮膚
1%未満
発疹、*全身性そう痒症、蕁麻疹、*薬疹、冷汗
18. 腎臓及び尿路系
1~5%未満
排尿困難
19. 腎臓及び尿路系
1%未満
尿糖陽性、尿蛋白陽性、尿潜血陽性、クレアチニン増加、BUN増加、*頻尿、*尿量減少、尿閉
20. 代謝異常
1%未満
尿酸増加、トリグリセリド増加
21. その他
5%以上
口渇、倦怠感
22. その他
1~5%未満
無力症、異常感
23. その他
1%未満
CK(CPK)増加、熱感、*脱水、*視力障害、*背部痛、*関節痛、*四肢痛、*筋骨格硬直、*浮腫、*末梢性浮腫、*疼痛、*胸部不快感、*転倒、易刺激性、悪寒、発熱、霧視
24. その他
頻度不明※
冷感、散瞳
※:注射剤又は海外で認められた副作用であるため頻度不明。
高齢者への投与
高齢者では、生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊婦、新生児に対する安全性は確立されていない。また、胎盤関門を通過し、退薬症候が新生児に起こる可能性がある。なお、動物実験で、器官形成、骨化及び出生児の生存に影響を及ぼすことが報告されている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止すること。[静脈内投与(国内未承認)の場合、0.1%が乳汁中に移行することが知られている。]
小児等への投与
小児等への投与に関する安全性は確立されていない(使用経験がない)。
過量投与
徴候、症状
中毒による典型的な症状は、縮瞳、嘔吐、心血管虚脱、昏睡に至る意識障害、痙攣、呼吸停止に至る呼吸抑制等が報告されている。
処置
緊急処置として、気道を確保し、症状に応じた呼吸管理と循環の管理を行うこと。本剤摂取後2時間以内の場合、胃内容物の吸引、胃洗浄あるいは活性炭投与等の処置が有効である。また、呼吸抑制に対してはナロキソンの投与、痙攣に対してはジアゼパムの静脈内投与を行うこと(ナロキソンは動物実験で痙攣を増悪させるとの報告がある)。本剤は透析によってはほとんど除去されず、急性中毒に対して、解毒のための血液透析、あるいは血液濾過のみの治療は不適切である。
適用上の注意
薬剤交付時:
(1)
本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用をしないように指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること。
(2)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 健康成人
健康成人男性6例にトラマドール塩酸塩カプセルを空腹時単回経口投与したとき、トラマドール及び活性代謝物モノ-O-脱メチル体(M1)の血漿中濃度は投与後2時間までにCmaxに達した後、それぞれ5~6時間及び6~7時間のt1/2,βで低下した。血漿中トラマドール及びM1のCmax及びAUC0-∞はいずれも用量に比例して増加した1)。

トラマドール塩酸塩カプセル経口投与後のトラマドール及び活性代謝物M1の血漿中濃度推移
(薬物動態の表参照)
(2) 高齢者
健康高齢者20例(66~82歳)にトラマドール塩酸塩カプセル50mgを経口投与したときの血清中トラマドール濃度は、健康非高齢者8例(22~47歳)の結果と同様の推移を示した。一方、後期高齢者(75歳以上、8例)では前期高齢者(65歳以上75歳未満、12例)に比べ、血清中トラマドールのCmax、AUC0-∞及び尿中排泄量が30~50%増加し、t1/2,β及びMRTが約1時間延長した。(外国人によるデータ)
(3) 肝硬変患者
肝硬変患者12例にトラマドール塩酸塩カプセル50mgを経口投与したとき、健康成人と比較して血清中トラマドールのCmax及びAUC0-∞は顕著に増加し、t1/2,βは約2.6倍に延長した。(外国人によるデータ)
(4) 腎障害患者
腎障害患者21例(クレアチニンクリアランス:80mL/min以下)にトラマドール塩酸塩100mgを静脈内投与したとき、血清中トラマドールのt1/2,β及びAUC0-∞は健康成人のそれぞれ最大で1.5倍及び2倍であった。(外国人によるデータ)
2. 分布
(1) 組織への移行(ラット)
14C-トラマドール塩酸塩を雄性ラットに30mg/kg経口投与した後、放射能濃度はほとんどの組織で投与後1~2時間で最高値に達した。投与後1時間の組織中濃度は肝臓、腎臓及び肺で高く、それぞれ血漿中濃度の約15、13及び11倍であった。脳内の放射能濃度は血漿の約2倍高かった。各組織からの放射能の消失は血漿と同様に速やかであり、放射能濃度は投与後24時間で最高値の10%以下に低下した2)。
(2) 血漿タンパク結合(平衡透析法)
14C-トラマドール塩酸塩の血漿タンパク結合率は、0.2~10μg/mLの範囲で19.5~21.5%であり、結合率に濃度依存性は認められなかった3)。
3. 代謝
(1)
トラマドールの主な代謝経路は、O-及びN-脱メチル化(第一相反応)並びにそれらの代謝物のグルクロン酸又は硫酸抱合(第二相反応)であった4)。
(2)
トラマドールのO-脱メチル化反応にはCYP2D6が、N-脱メチル化反応にはCYP3A4が主に関与していた5)。
4. 排泄
健康成人男性6例にトラマドール塩酸塩カプセル25、50又は100mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後24時間までの尿中排泄率に用量間で差はなく、投与量の12~16%が未変化体として、12~15%がモノ-O-脱メチル体(M1)、15~18%がM1の抱合体として排泄された1)。
薬物動態の表
薬物動態パラメータ
パラメータ |
トラマドール
25mg |
トラマドール
50mg |
トラマドール
100mg |
Cmax(ng/mL) |
87.6±21.2 |
161±18 |
342±73 |
tmax(hr) |
1.8±0.8 |
1.3±0.5 |
1.5±0.8 |
t1/2,β(hr) |
6.06±1.58 |
5.74±0.67 |
5.31±1.57 |
AUC0-∞(ng・hr/mL) |
774±247 |
1287±229 |
2682±1182 |
パラメータ |
M1
25mg |
M1
50mg |
M1
100mg |
Cmax(ng/mL) |
16.4±5.3 |
37.7±5.2 |
86.8±33.7 |
tmax(hr) |
2.2±1.0 |
1.8±0.8 |
2.0±1.1 |
t1/2,β(hr) |
6.81±1.21 |
6.72±1.18 |
6.09±1.69 |
AUC0-∞(ng・hr/mL) |
196±40 |
428±52 |
808±184 |
平均値±標準偏差(n=6)
臨床成績
1. がん疼痛6)
非オピオイド鎮痛剤(非ステロイド性鎮痛剤又はアセトアミノフェン)投与中で安静時の痛みの程度(VAS値)が25mm以上の日本人がん疼痛患者95例を対象とし、本剤1日4回又は対照薬(モルヒネ硫酸塩徐放性製剤)を1日1回(朝)2週間投与した第III相二重盲検比較試験の成績は以下のとおりであった。
主要評価項目として設定した便秘スコアは、本剤群と対照薬群との間に有意な差が認められ(P=0.0073)、本剤は対照薬に比べて便秘の程度が低いことが示唆された。(臨床成績の表1参照)
最終評価時の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量に基づく改善度判定により「有効」と判定された症例の割合は、本剤群89.6%(43/48例)、対照薬群87.2%(41/47例)であった。また、最終評価時の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量及びレスキュー・ドーズの投与状況は以下のとおりであり、本剤群と対照薬群でほぼ同様であった。(臨床成績の表2参照)
2. *慢性疼痛7)~9)
(1) *ランダム化治療中止プラセボ対照二重盲検比較試験(国内第III相)
1)
*変形性関節症と診断され、非ステロイド性消炎鎮痛剤の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛患者を対象に、非盲検下で1~5週間かけて100~400mgの範囲で適宜増減した後、二重盲検期への移行基準を満たした患者160例に、本剤又はプラセボをランダムに割り付けて4週間投与したとき(本剤群79例、プラセボ群81例)、二重盲検下での鎮痛効果不十分をイベントとしたイベント発生までの期間は、プラセボ群と比較し本剤群で有意に長かった。
(ログランク検定:P=0.0002)

2)
*帯状疱疹後神経痛と診断され、非オピオイド鎮痛剤(NSAIDs、プレガバリン他)の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛患者を対象に、非盲検下で1~5週間かけて100~400mgの範囲で適宜増減した後、二重盲検期への移行基準を満たした患者166例に、本剤又はプラセボをランダムに割り付けて4週間投与したとき(本剤群81例、プラセボ群85例)、二重盲検下での鎮痛効果不十分をイベントとしたイベント発生までの期間は、プラセボ群と比較し本剤群で有意に長かった。
(ログランク検定:P<0.0001)

(2) *非盲検長期投与試験(国内第III相)
*各種疾患(変形性関節症、腰痛症、関節リウマチ、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症)に伴う慢性疼痛を有し、非オピオイド鎮痛剤(NSAIDs、プレガバリン他)の経口投与により十分な鎮痛効果が得られない患者173例を対象に、本剤を1日4回、100~400mgの範囲で適宜増減して最長52週間投与したときのVAS値の平均値は、前観察期の64.6mmに対して、28週後には34.9mmに低下し、その後52週までほぼ一定の値で推移した。
臨床成績の表
表1 第III相二重盲検比較試験における便秘スコア
(便秘スコア解析対象90例)
評価例数 |
便秘スコアa)
0 |
便秘スコアa)
1 |
便秘スコアa)
2 |
便秘スコアa)
3 |
便秘スコアa)
4 |
便秘スコアa)
5 |
便秘スコアa)
6 |
検定 |
本剤群 |
46 |
18
(39.1) |
2
(43.5) |
8
(60.9) |
15
(93.5) |
1
(95.7) |
1
(97.8) |
1
(100.0) |
P=0.0073
(Wilcoxon順位和検定) |
対照薬群 |
44 |
8
(18.2) |
4
(27.3) |
7
(43.2) |
10
(65.9) |
7
(81.8) |
4
(90.9) |
4
(100.0) |
P=0.0073
(Wilcoxon順位和検定) |
(累積%)
a) 便秘スコア0:便秘なし
便秘スコア1:便秘あり、無処置
便秘スコア2:便秘あり、酸化マグネシウム990mg/日(330mg/回)以下を服用
便秘スコア3:便秘あり、酸化マグネシウム990mg/日(330mg/回)を超えて服用
便秘スコア4:便秘あり、刺激性下剤を服用
便秘スコア5:便秘あり、坐剤又は浣腸を実施
便秘スコア6:便秘あり、摘便を実施
表2 第III相二重盲検比較試験における最終評価時(2週後又は中止時)の安静時の痛みの程度(VAS値)とその変化量及びレスキュー・ドーズ投与状況
|
本剤群 |
対照薬群 |
評価例数 |
48 |
47 |
治験薬投与開始前のVAS値(mm)a) |
45.3±15.9 |
44.5±16.8 |
最終評価時のVAS値(mm)a) |
16.5±14.4 |
14.1±21.3 |
最終評価時のVAS値変化量(mm)a) |
-28.9±17.0 |
-30.5±27.0 |
最終評価時のレスキュー・ドーズ:投与症例の割合(%)b) |
29.2(14) |
27.7(13) |
最終評価時のレスキュー・ドーズ:投与回数(回/日)c) |
2.1±1.0 |
2.1±1.0 |
a) 平均値±標準偏差
b) レスキュー・ドーズ(本剤群:本剤、対照薬群:モルヒネ塩酸塩製剤)投与症例の割合(レスキュー・ドーズ投与例数)
c) レスキュー・ドーズ投与症例における平均投与回数、平均値±標準偏差
薬効薬理
1. 薬理作用に関する検討(in vivo)10), 11), 12)
(1)
マウス及びラットを用いたライシング法、ホットプレート法及びテールフリック法による侵害刺激実験において、トラマドール塩酸塩は経口、腹腔内又は皮下投与で鎮痛効果を示した。代謝物M1の塩酸塩をラットに静脈内投与した場合、テールフリック法による侵害刺激反応をトラマドール塩酸塩よりも低用量から抑制した。
(2)
マウスを用いたテールフリック法による侵害刺激法において、トラマドール塩酸塩を腹腔内投与した時の鎮痛作用はオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン塩酸塩で抑制された。一方、α2-アドレナリン受容体拮抗薬であるヨヒンビン塩酸塩及びセロトニン2型受容体拮抗薬であるリタンセリンは、マウスにトラマドール塩酸塩をくも膜下腔内に投与した時の鎮痛作用を抑制した。
(3)
*ラットの坐骨神経を部分結紮した神経障害性疼痛モデルにおいて、トラマドール塩酸塩は経口投与で抗アロディニア作用を示した。
2. 作用点に関する検討(in vitro)13)
(1)
ラット脳を用いた受容体結合実験において、トラマドール塩酸塩はδ及びκ-オピオイド受容体よりもμ-オピオイド受容体に高い結合親和性を示した。M1塩酸塩のラットμ-オピオイド受容体に対する結合親和性は、モルヒネ塩酸塩に劣るもののトラマドール塩酸塩より高かった。
(2)
ラット脳を用いた取り込み実験において、トラマドール塩酸塩はノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み系を抑制した。これらの再取り込み系に対するM1塩酸塩の抑制作用は、トラマドール塩酸塩と同程度あるいは弱かった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トラマドール塩酸塩(Tramadol Hydrochloride) (JAN)
化学名
(1RS, 2RS)-2-[(Dimethylamino)methyl]-1-(3-methoxyphenyl)cyclohexanol hydrochloride
分子式
C16H25NO2・HCl
分子量
299.84
化学構造式

及び鏡像異性体
性状
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
本品は水、メタノール、酢酸(100)又はエタノール(95)に溶けやすく、無水酢酸に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
181~184℃
取扱い上の注意
光によりカプセルが退色することがあるが、内容物に影響はない。
包装
トラマールカプセル25mg:PTP 100カプセル、500カプセル、1000カプセル
トラマールカプセル25mg:バラ 500カプセル
トラマールカプセル50mg:PTP 100カプセル、500カプセル、1000カプセル
トラマールカプセル50mg:バラ 500カプセル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
大熊誠太郎ほか:臨床医薬, 26(8), 497(2010)
2)
トラマドール塩酸塩の組織分布試験(日本新薬社内資料)
3)
トラマドール塩酸塩の血漿タンパク結合試験(日本新薬社内資料)
4)
トラマドール塩酸塩のヒト尿中代謝物の検討(日本新薬社内資料)
5)
トラマドール塩酸塩のin vitro代謝試験(日本新薬社内資料)
6)
平賀一陽ほか:臨床医薬, 26(8), 569(2010)
7)
*小川節郎ほか:臨床医薬, 29(6), 497(2013)
8)
*小川節郎ほか:臨床医薬, 29(6), 513(2013)
9)
*小川節郎ほか:臨床医薬, 29(6), 531(2013)
10)
Raffa R. B. et al. : J. Pharmacol. Exp. Ther., 260(1), 275(1992)
11)
Hennies H. H. et al. : Arzneimittelforschung, 38(II), 877(1988)
12)
*トラマドール塩酸塩の神経障害性疼痛に対する作用(日本新薬社内資料)
13)
Frink M. C. et al. : Arzneimittelforschung, 46(II), 1029(1996)
**文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
ファイザー株式会社 製品情報センター
〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7
学術情報ダイヤル 0120-664-467
FAX 03-3379-3053
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
日本新薬株式会社
京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
**販売提携先
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木3-22-7
Licensed by
GRUENENTHAL GMBH
GERMANY