KADCYLA inj(Trastuzumab Emtansine[Genetical Recombination])重组曲妥珠单抗注射剂,カドサイラ点滴静注用100mg/カドサイラ点滴静注用160mg
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罗氏乳腺癌新药Kadcyla获日本批准
2013年9月22日,罗氏(Roche)宣布,抗体偶联药物(ADC)新药Kadcyla(ado-trastuzumab emtansine,T-DM1)获日本劳动卫生福利部(MHLW)批准,用于不能手术或复发性HER2阳性乳腺癌的治疗。
今年2月,Kadcyla获得了FDA的批准,是首个获批用于HER2阳性转移性乳腺癌治疗的抗体偶联药物(ADC)。
Kadcyla的获批,是基于日本II期临床试验和III期EMILIA试验的数据。
EMILIA试验在既往接受过赫赛汀(Herceptin,通用名:trastuzumab,曲妥珠单抗)和一种紫杉类药物(taxane)治疗的HER2阳性转移性乳腺癌患者中开展,将Kadcyla与标准疗法进行了对比。研究数据表明,与标准疗法相比,Kadcyla显著改善了总生存期(OS)和无进展生存期(PFS),同时更少的患者经历严重不良事件。
Kadcyla由罗氏曲妥珠单抗和ImmunoGen公司的DM1细胞毒制剂的偶联药物,2者通过ImmunoGen公司的连接体(linkers)偶联。罗氏拥有Kadcyla的全球开发和商业化权利。
目前,罗氏正在开展数个研究,评价Kadcyla用于潜在额外用途的潜力,包括用于HER2阳性转移性乳腺癌的一线治疗,用于早期HER2阳性乳腺癌、晚期HER2阳性胃癌的治疗。
作成又は改訂年月
** 2014年8月改訂(第4版)
* 2014年4月改訂
日本標準商品分類番号
**874291
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2013年2月
薬効分類名
抗HER2注1)抗体チューブリン重合阻害剤複合体
注1)HER2:Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2型、別称:c-erbB-2)
承認等
販売名
カドサイラ点滴静注用100mg

販売名コード
4291426D1026
承認・許可番号
承認番号
22500AMX01816
商標名
KADCYLA

薬価基準収載年月
*2014年4月
販売開始年月
*2014年4月
貯法・使用期限等
貯 法
2~8℃保存
使用期限
2年6カ月(外箱に表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
生物由来製品
劇薬
**処方箋医薬品注2)
注2)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含有量(1バイアル中)注3)
有効成分
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)注4)106mg
添加物
精製白糖 318mg、コハク酸 6.3mg、水酸化ナトリウム 2.4mg、ポリソルベート20 1.1mg
注3)本剤は注射用水(5.0mL)を抜き取り、1バイアルに溶解した時にトラスツズマブ エムタンシン濃度が20mg/mLとなるように過量充填されている。
注4)本剤を構成するトラスツズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程の培地成分としてブタの胃組織由来成分(ペプトン)を使用している。
性状
性状
白色の塊
剤形
注射剤(バイアル)
溶解液
日局注射用水 5mL
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.7
pH:注射用水(5.0mL)に溶解後
4.7~5.3
浸透圧:注射用水(5.0mL)に溶解後
157~261mOsm/kg
溶状:注射用水(5.0mL)に溶解後
澄明~乳白光を呈する、無色~微褐色の液
販売名
カドサイラ点滴静注用160mg
販売名コード
4291426D2022
承認・許可番号
承認番号
22500AMX01817
商標名
KADCYLA

薬価基準収載年月
*2014年4月
販売開始年月
*2014年4月
貯法・使用期限等
貯 法
2~8℃保存
使用期限
3年(外箱に表示の使用期限内に使用すること)
規制区分
生物由来製品
劇薬
**処方箋医薬品注2)
注2)注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
成分・含有量(1バイアル中)注3)
有効成分
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)注4)171mg
添加物
精製白糖 514mg、コハク酸 10.1mg、水酸化ナトリウム 3.9mg、ポリソルベート20 1.7mg
注3)本剤は注射用水(8.0mL)を抜き取り、1バイアルに溶解した時にトラスツズマブ エムタンシン濃度が20mg/mLとなるように過量充填されている。
注4)本剤を構成するトラスツズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程の培地成分としてブタの胃組織由来成分(ペプトン)を使用している。
性状
性状
白色の塊
剤形
注射剤(バイアル)
溶解液
日局注射用水 8mL
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.7
pH:注射用水(8.0mL)に溶解後
4.7~5.3
浸透圧:注射用水(8.0mL)に溶解後
157~261mOsm/kg
溶状:注射用水(8.0mL)に溶解後
澄明~乳白光を呈する、無色~微褐色の液
一般的名称
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)注
警告
1.
本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、本剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2.
肺臓炎、間質性肺炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至る例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分又はトラスツズマブ(遺伝子組換え)に対し過敏症(過敏症と鑑別困難で死亡につながるおそれのある重篤なInfusion reactionを含む)の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能又は効果
○HER2陽性の手術不能又は再発乳癌
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
2.
本剤の手術の補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
3.
本剤は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法の治療歴のある患者に投与すること。
用法及び用量
通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法について、有効性及び安全性は確立していない。
2.
初回投与時は90分かけて投与すること。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
3.
副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮すること。減量後に再度増量はしないこと。
減量の目安

(1) 左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
(2) AST(GOT)、ALT(GPT)増加による休薬、減量及び中止基準

(3) 高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準

(4) 血小板減少症による休薬及び減量基準

(5) 末梢神経障害による休薬基準

GradeはNCI CTCAE(v.4)による。
ULN:正常値上限
4.
本剤の投与時には、添付の日局注射用水(点滴静注用100mg:5mL、点滴静注用160mg:8mL)により溶解してトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)20mg/mLの濃度にした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに日局生理食塩液250mLに希釈し、点滴静注する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
安静時呼吸困難等の症候性の肺疾患のある患者[肺臓炎があらわれることがある(「重大な副作用」の項参照)。]
2.
左室駆出率(LVEF)が低下している患者[LVEF低下を悪化させるおそれがある(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
3.
次に掲げる心機能の低下するおそれのある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
(1)
アントラサイクリン系薬剤の投与歴のある患者
(2)
胸部への放射線治療中の患者又はその治療歴のある患者
(3)
うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈のある患者又はその既往歴のある患者
(4)
冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者
(5)
高血圧症の患者又はその既往歴のある患者
4.
肝機能障害のある患者[安全性は確立していない。]
5.
血小板数減少のある患者又は抗凝固剤治療を受けている患者[出血のおそれがある(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
重要な基本的注意
1.
左室駆出率(LVEF)低下、うっ血性心不全等の心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開又は中止を判断すること(「重大な副作用」の項参照)。
2.
Infusion reaction(症状:呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱等)が、本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く報告されている。これらの症状は、主に本剤の初期の投与時にあらわれやすい。本剤投与中及び投与後は患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与中止等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること(「重大な副作用」の項参照)。
3.
AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン等の増加があらわれることがある。重度な肝機能障害、肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン等)を行い、異常が認められた場合には、休薬、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
4.
血小板数減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血小板数を測定し、出血に関する症状の有無を確認する等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、休薬、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
5.
本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブとの取り違えに注意すること(「用法・用量」、「過量投与」の項参照)。
相互作用
ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験において、本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1は、主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆されているため、CYP3Aを強く阻害する薬剤と併用する際には注意すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
HER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした国内第II相試験(JO22997試験)のうち本剤が投与された73例において、副作用が67例(91.8%)に認められた。主な副作用は、けん怠感32例(43.8%)、鼻出血30例(41.1%)、悪心29例(39.7%)、発熱23例(31.5%)、食欲減退21例(28.8%)、血小板数減少20例(27.4%)、AST(GOT)増加15例(20.5%)等であった。(承認時)
HER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした海外第III相試験(TDM4370g試験)のうち本剤が投与された490例において、副作用が427例(87.1%)に認められた。主な副作用は、けん怠感201例(41.0%)、悪心165例(33.7%)、血小板数減少145例(29.6%)、AST(GOT)増加100例(20.4%)、ALT(GPT)増加79例(16.1%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 間質性肺疾患注5)
(1.1%)
呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群等の症状を伴う肺臓炎又は間質性肺炎があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。
2. 心障害注5)
(1.6%)
左室駆出率(LVEF)低下、うっ血性心不全等の心障害があらわれることがあり、重度の心障害に至った例も報告されている。異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。
3. 過敏症注5)
(1.4%)
アナフィラキシー等の重度の過敏症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. Infusion reaction注5)
(1.2%)
呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。また、重度のInfusion reactionがあらわれた場合には直ちに投与を中止して適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
5. 肝機能障害注5)(28.2%)、肝不全注5)(頻度不明注6))
AST(GOT)増加(20.4%)、ALT(GPT)増加(15.5%)、血中ビリルビン増加(3.6%)等の肝機能障害があらわれることがある。肝機能検査値異常を伴う重度の肝機能障害、肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されているので、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、門脈圧亢進症の症状等について観察を十分に行い、発現が疑われる場合には肝生検等の実施を考慮し、結節性再生性過形成が診断された場合には、投与を中止すること。
6. 血小板減少症注5)
(29.3%)
血小板減少症があらわれることがあり、頭蓋内出血等の重度の出血(0.4%)により死亡に至った例も報告されている。異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。
7. 末梢神経障害注5)
(16.9%)
しびれ等の末梢神経障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、休薬等の適切な処置を行うこと。
注5)海外第III相臨床試験(TDM4370g試験)及び国内第II相臨床試験(JO22997試験)でみられた発現頻度を示した。
注6)上記試験以外でみられた事象については頻度不明とした。
その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて休薬、減量等の適切な処置を行うこと。注5)
1. 精神神経系
5%以上
頭痛(14.0%)、味覚異常
2. 精神神経系
1%~5%未満
めまい、不眠症、嗜眠
3. 精神神経系
1%未満
平衡障害、片頭痛、嗅覚錯誤、うつ病
4. 消化器
5%以上
悪心(34.5%)、便秘(14.2%)、下痢(13.9%)、嘔吐(13.5%)、口内乾燥(11.9%)、腹痛
5. 消化器
1%~5%未満
口内炎、消化不良、歯肉出血、腹部不快感、腹部膨満、消化管出血
6. 消化器
1%未満
鼓腸、胃食道逆流性疾患、口腔内痛、口唇乾燥、歯周病、痔核
7. 循環器
1%~5%未満
高血圧、動悸、ほてり
8. 呼吸器
5%以上
鼻出血(17.4%)
9. 呼吸器
1%~5%未満
呼吸困難、咳嗽、鼻漏
10. 呼吸器
1%未満
口腔咽頭痛、鼻乾燥
11. 皮膚
5%以上
発疹
12. 皮膚
1%~5%未満
そう痒症、爪の異常、皮膚乾燥、皮下出血、脱毛症、紅斑
13. 皮膚
1%未満
皮膚炎、多汗症、蕁麻疹
14. 筋・骨格
5%以上
筋骨格痛(11.9%)、関節痛
15. 筋・骨格
1%~5%未満
筋痙縮
16. 筋・骨格
1%未満
筋骨格硬直
17. 耳
1%~5%未満
回転性めまい
18. 眼
1%~5%未満
視力障害(霧視、視力低下)、流涙増加、結膜炎、眼乾燥
19. 眼
1%未満
眼充血、結膜出血、眼刺激、眼そう痒症
20. 代謝
5%以上
食欲減退(16.9%)、血中カリウム減少
21. 代謝
1%未満
高血糖、血中尿酸増加、脱水
22. 生殖器
1%未満
腟出血
23. 血液
5%以上
貧血、好中球数減少
24. 血液
1%~5%未満
白血球数減少
25. 血液
1%未満
リンパ球数減少
26. その他
5%以上
けん怠感(41.4%)、発熱(13.0%)、疼痛(背部痛、四肢痛等)、悪寒、粘膜の炎症
27. その他
1%~5%未満
浮腫(全身性浮腫、末梢性浮腫)、鼻咽頭炎、体重減少、胸痛、インフルエンザ様疾患、尿路感染、上気道感染
28. その他
1%未満
カンジダ症、挫傷、熱感、粘膜乾燥、胸部不快感、口渇、インフルエンザ、胃腸炎、肺炎、体重増加
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、心機能、肝・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。妊娠する可能性のある婦人には、適切な避妊法を用いるよう指導すること。[本剤を構成するトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている。本剤を構成するDM1の類薬であるメイタンシンを用いた動物実験において、催奇形性及び胎児毒性が報告されている。]
2.
授乳婦に投与する場合は、授乳を中止させること。[本剤を構成するトラスツズマブを用いた動物実験において、乳汁への移行が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]
過量投与
海外臨床試験の本剤過量投与例において、死亡例が報告されている。過量投与にみられる主な症状は、血小板減少症であった。なお、本剤の過量投与に対する解毒剤は知られていない。
適用上の注意
1. 調製時
(1)
調製時には、日局注射用水、日局生理食塩液以外は使用しないこと。
(2)
溶解時は静かにバイアルを回転させ、完全に溶解すること。
(3)
用時調製し、調製後は速やかに使用すること。また、残液は廃棄すること。
2. 投与時
(1)
0.2又は0.22μmインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製)を通して投与すること。
(2)
他剤との混注をしないこと。
(3)
ブドウ糖溶液との混合を避け、本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと。
(4)
点滴静注のみとし、静脈内大量投与、急速静注をしないこと。
(5)
点滴静注に際し、薬液が血管外に漏れると、投与部位における紅斑、圧痛、皮膚刺激、疼痛、腫れ等の事象をおこすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与時(日本人における成績)1)
日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者10例に本剤1.8、2.4又は3.6mg/kg注7)を90分(±10分)間点滴静注したときのトラスツズマブ エムタンシンの血清中濃度推移は以下のとおりであった。Cmax及びAUCinfはいずれも投与量の増加に応じて増加した。CL及びVssは投与群間で同様の値の範囲内にあった。t1/2は投与群間で大きく異ならなかった。以上のことから、血清中トラスツズマブ エムタンシンの薬物動態は検討した範囲内で線形性を示した。
注7)承認された用法・用量は3.6mg/kg(体重)を3週間間隔投与である。
単回投与時のトラスツズマブ エムタンシン濃度推移

平均値±標準偏差
(表)
(2) 反復投与時(日本人における成績)2)
日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者32例に本剤3.6mg/kgを3週間間隔で90分間(±10分、忍容性が確認された場合、2回目以降30分間(±10分)に短縮可能)点滴静注したときのトラスツズマブ エムタンシンの血清中濃度推移は以下のとおりであった。血清中トラスツズマブ エムタンシンの蓄積はほとんど認められなかった。
反復投与時の血清中トラスツズマブ エムタンシンのトラフ濃度及びピーク濃度

平均値±標準偏差(n=2~28)
2. 分布2,3,4)
日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者に本剤3.6mg/kgを点滴静注したときのVssの平均値は54.9mL/kg(30例)であり、ほぼ血漿容量に相当した。
本剤を構成するDM1をヒト血漿に20ng/mLの濃度で添加した際の血漿蛋白結合率は93.2%であった。
In vitro試験から、DM1はP-糖蛋白質(P-gp)の基質であることが示唆された。
3. 代謝2,5)
トラスツズマブ エムタンシンは主として細胞内のリソゾームにより異化を受けると推測される。血漿中代謝物として、DM1及びMCC-DM1注8)がトラスツズマブ エムタンシンと比較して低い濃度で検出された。日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者に本剤3.6mg/kgを点滴静注したときのサイクル1における血漿中DM1及び血漿中MCC-DM1はともに投与後30分にピーク値を示し、その値は各々3.79±0.950ng/mL(28例)、8.65±3.03ng/mL(28例)であった。Lys-MCC-DM1注9)はほとんど検出されなかった。ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験で、DM1は主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆された。
注8)MCC-DM1:DM1とMCCリンカーが結合した状態で遊離した代謝物
注9)Lys-MCC-DM1:リシン残基とともにMCC-DM1が遊離した代謝物
4. 排泄
(参考)動物実験の結果6)
DM1を3H標識したトラスツズマブ エムタンシンをラットに単回静脈内投与したとき、DM1、Lys-MCC-DM1及びMCC-DM1を含む異化代謝物は主に糞中に排泄され(50%)、尿中への排泄は少なかった(8.2%)。
薬物動態の表
単回投与時のトラスツズマブ エムタンシンの薬物動態パラメータ
投与量
(mg/kg) |
Cmax
(μg/mL) |
AUCinf
(μg・day/mL) |
t1/2
(day) |
CL
(mL/day/kg) |
Vss
(mL/kg) |
1.8(n=1) |
35.3 |
141 |
2.39 |
12.9 |
57.1 |
2.4(n=4) |
43.4±15.2 |
204±70.5 |
2.88±0.317 |
13.4±6.34 |
67.6±20.3 |
3.6(n=5) |
82.0±10.0 |
346±41.1 |
3.74±1.15 |
10.6±1.26 |
59.1±6.62 |
平均値±標準偏差
臨床成績
<日本人における成績>
HER2陽性進行・再発乳癌患者を対象とした第II相臨床試験(JO22997試験)2)
トラスツズマブ及び化学療法既治療のHER2陽性の進行・再発乳癌を対象として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で73例に投与した。奏効率は38.4%であった。
<外国人における成績>
HER2陽性進行・再発乳癌患者を対象とした第III相ランダム化比較試験(TDM4370g試験[EMILIA試験])7)
タキサン系薬剤及びトラスツズマブ既治療のHER2陽性進行・再発乳癌を対象に、カペシタビン+ラパチニブ(Cap+Lap)の併用療法を対照群として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で490例に投与した(有効性評価例は495例)。主要評価項目である独立判定委員会評価による無増悪生存期間の最終解析及び全生存期間の中間解析(目標イベント数である632イベントのうち、331イベントが発生した時点)について、Cap+Lap群に対する本剤群の有意な延長が認められた。
TDM4370g試験の無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線

TDM4370g試験の全生存期間のKaplan-Meier曲線
薬効薬理
本剤は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブとチューブリン重合阻害作用を有するDM1を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体である。
(1) 抗腫瘍効果8,9,10)
本剤は、in vitroにおいて、トラスツズマブに感受性のHER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(SK-BR-3、BT-474)に対し、トラスツズマブよりも強い増殖抑制作用を示した。また、トラスツズマブに非感受性のHER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(KPL-4、HCC1954、BT-474EEI)に対して増殖抑制作用を示した。さらに、HER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(BT-474EEI、KPL-4)を同所移植したマウスにおいて、増殖抑制作用を示した。
(2) 作用機序8,9,10,11,12,13)
本剤は、トラスツズマブと同様に、HER2及びFcγ受容体との結合活性を示し、HER2細胞外ドメインの遊離(シェディング)抑制、PI3K/AKT経路のシグナル伝達阻害及び抗体依存性細胞傷害活性を示す。また、本剤は、HER2に結合して細胞内に取り込まれた後、DM1含有代謝物を遊離し、G2/M期での細胞周期停止及びアポトーシスを誘導する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)(Trastuzumab Emtansine(Genetical Recombination))(JAN)
構造式
アミノ酸214個の軽鎖2分子とアミノ酸450個の重鎖2分子からなる糖タンパク質であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)の、平均3.5個の主にリシン残基のεアミノ基に、エムタンシン(4-({3-[(3-{[(1S)-2-{[(1S,2R,3S,5S,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルアミノ}-3-オキソプロピル)スルファニル]-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル}メチル)シクロヘキシルカルボニル基)が結合した抗体薬物複合体
分子式
エムタンシン:C47H62ClN4O13S
トラスツズマブ(遺伝子組換え):
軽鎖(C1032H1599N277O335S6)
重鎖(C2198H3391N585O672S16)
分子量
エムタンシン:958.53
トラスツズマブ(遺伝子組換え):約148,000
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え):約151,000
包装
カドサイラ点滴静注用100mg:1バイアル
日局注射用水1アンプル(5mL)添付
カドサイラ点滴静注用160mg:1バイアル
日局注射用水1アンプル(8mL)添付
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:国内第I相試験(JO22591試験)
2)
社内資料:国内第II相試験(JO22997試験)
3)
社内資料:DM1の血漿蛋白結合試験(in vitro試験)
4)
社内資料:薬物トランスポーター(in vitro試験)
5)
社内資料:DM1の代謝酵素に関する試験(in vitro試験)
6)
社内資料:動物実験:排泄
7)
Verma S, et al.:N Engl J Med. 367:1783, 2012
8)
社内資料:腫瘍増殖抑制活性及び作用機序(in vitro試験)
9)
Lewis Phillips GD, et al.:Cancer Res 68:9280, 2008
10)
Junttila TT, et al.:Breast Cancer Res Treat 128:347, 2011
11)
社内資料:HER2結合活性(in vitro試験)
12)
社内資料:Fcγ受容体、C1q結合性及び抗体依存性細胞傷害活性(in vitro試験)
13)
Erickson HK, et al.:Mol Cancer Ther 11:1133, 2012
文献請求先
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